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「花菖蒲」

木曜日, 10月 13th, 2016

    鬼城竜生

横須賀市阿部倉にある『横須賀 しょうぶ園』で、6月1日から6月30日迄の間、花しょうぶまつりが開かれることになっていた。5月の初めに来たふじまつりはやや遅いのではと思っていたが、まだ白い藤の花が咲いていないのでまだ終imageimageわりには成らないと云われ、花しょうぶはいつ頃がいいですかと聞いたところ、10日頃と云うことで、6月10日に出かけた。

花しょうぶは、江戸時代に栽培が盛になり、多くの品種が生み出されたとされる。横須賀しょうぶ園は、江戸系、肥後系、伊勢系、米国系に分類しているとされる。
5月下旬から7月上旬にかけて、凡そ7,000m2の田に412品種、14万株の花しょうぶが次々と花開くように育成しているとしている。

所で花菖蒲は有名であるが、些かハッキリしないところがある。何しろ区別のし難い似たような花が幾つかあると云うことが、解り難くしているのではないか。

ハナショウブ。あやめ科、アヤメ属。Iris ensata Thunb.var.hortensis Mak.et Nemoto。花の咲くさといも科の菖蒲の意。原種のノハナショウブの改良園芸品種。色彩が多く500種以上もある。水辺等の湿地に栽培する多年草。高さ60-80cmで群生。根茎は横に這い多数分枝して繁殖。茎は直立し、円柱形。葉は2列に互生し直立、剣状で隆起した中脈を持つ。花は6-7月。頂きに直立した2小胞間から径15cm、内花被片も大きく成る。特徴:外花被片に網目模様なし。外花被片に黄色い斑紋がある。

アヤメ類の総称としてハナショウブをアヤメと呼ぶことも多く、間違いにはあたらないとする報告が見られる。系統を大別すると、品種数が豊富な江戸系、室内鑑賞向きに発展してきた伊勢系と肥後系、原種の特徴を強く残す長井系(長井古種)の4系統に分類でき、他にも海外、特にアメリカで育種が進んでいる外国系がある。

imageimageノハナショウブ。あやめ科、アヤメ属。Iris ensata Thunb.forma Makino。野生の花菖蒲の意。現在の花菖蒲の原種と云われている。北海道から九州及び朝鮮半島、中国東北部、東シベリアに分布。山野の日当たりの良い湿地や草原に生える多年草。花菖蒲の原種で、葉形は同じだが、幅が狭い。茎は直立、高さ60-120cm。無毛、花は6-7月、2しょう状包は子房を包む。外花被片3で下垂し、同色の内花被片3は小型で、直立、雄蕊3。花柱3岐。

カキツバタ→燕子花、杜若、Iris laevigataはアヤメ科アヤメ属の植物である。カキツバタは湿地に群生し、5月-6月にかけて紫色の花を付ける。内花被片が細く直立し、外花被片(前面に垂れ下がった花びら)の中央部に白ないし淡黄色の斑紋があることなどを特徴とする。特徴:外花被片に網目模様なし。外花被片に白い斑紋がある。

アヤメ→多くが山野の草地に自生し、他のアヤメ属の種であるノハナショウブやカキツバタのように湿地に生えることは稀。葉は直立し高さ40-60cm程度。5月ごろに径8cmほどの紺色の花を1-3個付ける。外花被片(前面に垂れ下がった花びら)には網目模様があるのが特徴で、本種の和名のもとになる。花茎は分岐しない。北海道から九州まで分布する。
特徴:網目模様・外側の花びらに黄色い模様がある。毒成分:イリジェニン、イリジン、テクトリジン。毒部位:全草、根茎、樹液。毒症状:皮膚炎、嘔吐、下痢、胃腸炎。

アヤメ類

有毒部位:全草、特に根茎。
imageimage毒性:誤食すると嘔吐、下痢を起こし、汁液が付くと皮膚炎を起こす。
特徴:地下に根茎又は塊茎、球茎を持つ。葉は剣状で直立し、長さ40-80cm。4-7月にいわゆるアヤメ形の花を付ける。
毒性成分:アルカロイドのイリジェニン、イリジンテクとリジン等。

菖蒲湯、漢方薬として利用するショウブ(サトイモ科)は漢字では菖蒲と書くが、ハナショウブ(有毒)とは異なる。

ショウブ(アヤメ、アヤメグサ)。サトイモ科ショウブ属。Acorus calamus L.var asiaticus Pers.セキショウの漢名、菖蒲に基づいた名。古くは文理(アヤ)、文目(アヤメ)。薬用や端午の節句に用いる。北半球の温帯から暖帯に分布。アジアに自生し水辺に群生する多年草。根茎は太く、横に伸び節多く、頭より葉を束生し直立。葉は中肋が突出し、高さ70cm位。香がある。花は5-7月で無柄。長さ5cm位の肉穂花序、包は長さ20-40cm。花被片6。雄蕊6。

1)牧野富太郎: 原色牧野日本植物図鑑 I;北隆館,2000
2)佐竹元吉・監:日本の有毒植物;学研マーケティング,2012   

          (2016.6.25)