§蹌々踉々[7]
水曜日, 6月 1st, 2016鬼城竜生
『弱者切り捨ての発想』
世界保健機関(WHO)のワクチンに関する諮問委員会は子宮頸がんワクチンについて「現在まで、接種勧奨に変更を要する安全性の問題は認められない」とする、新たな声明を出したという。我が国で子宮頸がんワクチンの接種勧奨が中止されている現状に言及し「弱いエビデンスに基づいた政策決定によって、安全で有効なワクチンを使う機会が不十分だと本当の害をもたらしうる」と云っているという。このワクチンの副作用については、現在我が国では調査・研究が進められている。世界保健機関が弱い根拠に基づいた政策決定だと云っているが、ワクチンの接種により重篤な副作用が発生しているのは事実である。何度もの薬害を経験してきた我が国とすれば、用心深くなるのは当然で有り、また少数者を無視することは出来ない。WHOの云い分は、少数の犠牲はやむを得ないと云っているのと同じではないのか。弱者切り捨ては、例え世界的な保険・医療を指導する立場にあろうとも、無視するわけにはいかない(呑)。
『特定機能病院要件厳格化』
東京女子医大病院で“人工呼吸中の子供への投与が禁止”されている鎮静剤を大量に投与し、2歳男児が死亡した14年の事例を受けて、『院内で薬のリスクに関する情報が共有されていなかったことが事故の一因となったため、医療安全部門に専従の薬剤師を置くことも承認要件に加える』との報道[読売新聞,第50211号,2015.11.6.]がされた。これは厚生労働省が特定機能病院の要件厳格化の一つとして導入することになったものだが、配置される薬剤師、事に当たって意見を述べる程度の事で考えているとすれば、配置の意味がなくなる。少なくとも科学的根拠のない“適応外使用”については断固として止めるという、覚悟が求められる。例えば医師が『人道的立場』等という、意味不明の呪文を唱えたとしても、患者の安全を守るためには『駄目なものは駄目』という意見を述べる事が重要であり、その権限を施設側から与えられなければ、形式だけの存在に終わる(呑)。
『何をなさっているのか』
戦後発現した我が国における薬害の嚆矢とされているのが、『1948年11月に京都市および島根県東部で実施されたジフテリア予防接種において、84名の乳幼児死亡を含んで 1,000人規模の被害を発現した事故』である。世界の予防接種史上最大の事件とされているこの薬害は、製造企業が予防接種液の製造過程で無毒化とロットの取扱いを誤り、品質管理=安全性確保において最後の砦であるはずの国家検定の試験品抜取りに重大な誤りがあったことが大惨事の原因だったと考えられている。所で今回の化血研の不正問題。開いた口が塞がらないというのが正直な感想である。何故、製造法を変更した時に届を出さないで隠蔽してしまったのか。その時、僅かな時間を稼ぐために、届を出さないという判断をしたのだろうが、その結果が会社の存立に係わるような話に発展した。下手を打てば会社の解散という所まで行くかもしれない(呑)。
『特定機能病院要件厳格化』
東京女子医大病院で“人工呼吸中の子供への投与が禁止”されている鎮静剤を大量に投与し、2歳男児が死亡した14年の事例を受けて、『院内で薬のリスクに関する情報が共有されていなかったことが事故の一因となったため、医療安全部門に専従の薬剤師を置くことも承認要件に加える』との報道[読売新聞,第50211号,2015.11.6.]がされた。これは厚生労働省が特定機能病院の要件厳格化の一つとして導入することになったものだが、配置される薬剤師、事に当たって意見を述べる程度の事で考えているとすれば、配置の意味がなくなる。少なくとも科学的根拠のない“適応外使用”については断固として止めるという、覚悟が求められる。例えば医師が『人道的立場』等という、意味不明の呪文を唱えたとしても、患者の安全を守るためには『駄目なものは駄目』という意見を述べる事が重要であり、その権限を施設側から与えられなければ、形式だけの存在に終わる(呑)。