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『みちのく仏像展』

木曜日, 5月 7th, 2015

            魍魎亭主人

特別展『みちのくの仏像』-東北六県を代表する仏像が結集-と云う展示が東京国立博物館で行われるというので、見に行くことにした。東北と云えばなんでも食いつくわけではないが、今回image気になったのは福島・勝常寺、宮城・双林寺、岩手・黒石寺の各県の古刹が全て薬師如来像と云うのが興味を引かれた点である。

薬師如来は除病延寿、眼病平癒が本願で、薬師の衆生救済の十二願が知られている。医・薬が専門で、貧しい時代の病の治癒を願って御参りをする仏で有り、それが東北に多いというのは、気候風土の影響で貧しかったことの反映でもあるのかと考えたが、どうなんだろうか。原発が暴走した後、現地に行って講演を聞いたが、原発の導入は、貧しさから逃れられるという幻想の結果だと云っていたが、貧しさを人質に、東京辺りの電気の需要量を賄ってきたと云うことかもしれない。

勝常寺:(国宝仏。巨材を用いた一木造りのみちのくを代表する仏像)
双林寺:(重要文化財。欅の一木から彫り出した像)
国石寺:(重要文化財。貞観4年(862年)の墨書銘があり、7年後に発生した貞観地震を知る像)

勝常寺の薬師如来坐像は平安時代・9世紀の作造とされている。巨材を用いた一木造(いちぼくづくり)の堂々とした姿は、みちのく仏教文化の繁栄を伝えますとする説明がパンフレットにimageimage記載されていたが、本当に繁栄を反映しているのか。

双林寺の薬師如来坐像は同じく平安時代・9世紀の作造である。欅の一木から彫り出された像で、厚い胸板の表現などに、平安前期彫刻の力強さがよく表れているとされる。

黒石寺の薬師如来坐像は平安時代・9世紀(貞観4年:862年)の作造である。桂の一木から彫り出されている像で、この像の最大の幅は左右の膝の間で101.5cm、木心は臍の辺りにあるとされており、彫刻する前の木はそれより大きくなければならないわけで、東北地方に多い『桂』の木は、胴回り2mを超える大木になると云われている。

上野の吉野桜にはまだ早く、眼を引いたのは『緋寒桜』の名札の付いた桜だった。ヒカンザクラ(緋寒桜)は、バラ科サクラ属に属する植物。サクラの原種の一つで、旧暦の正月あたりに咲くことからガンジツザクラ(元日桜)とも呼ばれるという。その他、タイワンザクラ(台湾桜)、ヒザクラ(緋桜)と云う別名で呼ばれることもあるとされる。
学名:Prunus campanulata 。

image知らなかったが、東京国立博物館の庭園が散策可能と云うことだった。但し、開園は春と秋の2回、10:00-16:00と云うことで、桜と紅葉の季節と云うことなんだろう。その他、移築された茶室が5棟、桜は江戸彼岸、枝垂れ桜、兼六園菊桜、大島桜、帝吉野桜、山桜、八重紅彼岸等の花が見られることになっている。まだ時期的には早すぎて桜は咲いていなかったが、桜の花が見られる時期と紅葉の時期には、見に行く価値のある庭だということが出来る。

写真の五重塔は高さ570cmの銅製の塔である。最上部の相輪には龍が絡み付き、垂木、斗拱の組み物の細部まで入念に作られている。基壇に第五代将軍徳川綱吉が法隆寺に奉納した旨の銘文が線刻されているという。

2015年3月21日土曜日、総歩行数10,329歩。

1)東京国立博物館・他編:特別展みちのくの仏像;東京国立博物館等,2015

 

(2015.5.5.)