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「ホトケノザについて」

木曜日, 4月 30th, 2015

KW:植物・雑草・ホトケノザ・仏の座・サンガイグサ・三階草・宝蓋草・接骨草・イリドイド・iridoid

Q:ホトケノザについて

A:ホトケノザは『仏の座』との漢字表記がされる。学名: Lamium amplexicaule L。シソ科オドリコソウ属の一年直立草本、あるいは越年草である。別名:サンガイグサ(三階草)は、茎が段々につくことから。成長した際の高さは10-30cm。四角断面の茎は柔らかく、下部で枝分かれして、先は直立する。
葉は対生で、縁に鈍い鋸歯があり、下部では葉枝を持つ円形、上部では葉枝はなく茎を抱く。花期は3-6月、上部の葉脇に長さ2cmほどの紫で唇形状の花をつける。蕾のままで結実する閉鎖花が混じる。特に街中の空き地や道端では、葉は大形で、殆ど閉鎖花ばかりの個体が増えている。白い花をつけるものもあり、シロバナホトケノザ(Lamium amplexicaule f. albiflorum)と呼ばれる。
漢薬名:宝蓋草(ホウガイソウ)。別名:接骨草(セッコツソウ)、蓮台夏枯(レンダイカゴ)、毛葉夏枯(モウヨウカゴ)、灯竜草(トウリュウソウ)、珍珠蓮(チンシユレン)、仏座、風盞(フウサン)、連銭草、大銅銭七、蝋燭扦草(ロウショクセンソウ)。
image生育地:道端、草地、畑地。
分布:東北、江蘇、浙江、四川、江西、雲南、貴州、広東、江西、福建、湖南、湖北、チベット等。
成分:葉はイリドイド(iridoid)のグルコシドであるラミオシド、ラミオール、ラミイドイポラミイドを含む。新鮮な葉に含まれるラミイドの量は約0.02%である。
本種を食べたとき苦みを感じるとする報告もあるが、その苦味の原因がイリドイド配糖体であるとする報告が見られる。しかし大量に摂取しなければ、体に害はないと云われている。
イリドイドは、二次代謝物の一種として多種多様な植物及び動物にみられ、イソプレンより生合成されるモノテルペンで、多くの場合アルカロイド生合成の中間体である。化学的にはイリドイドは通常酸素などの複素6員環と融合した5員環からなる。イリドミルメクス属 (Iridomyrmex) のアリで防御化学物質として合成されるイリドミルメシンにより化学構造は例証され、はじめて単離されたことからイリドイドは名付けられた。
仏の座の名称の由来は、半円形の2枚の茎葉が茎を囲むようについた形を仏の座す敷物-『蓮華座』に例えた和名である。
本種はアジアやヨーロッパ、北アフリカ等に広く分布する。日本では北海道以外の本州、四国、九州、沖縄に自生する。道端や田畑の畦などによく見られる雑草である。春の七草の一つに「ほとけのざ」があるが、これは別種で、標準和名をコオニタビラコというキク科の草である。仏の座は食用ではないため、注意を要する。
薬効:辛苦(辛みと苦味)、温(冷えの症状を改善)。風を去る、絡を通す、腫れを消す、止痛するの効能がある。筋骨疼痛、四肢の痺れ、打撲傷、瘰癧(ルイレキ:頸部リンパ節が数珠状に腫れる)、手足の痺れを治す。
本種は「春の七草」に選択されている物ではなく、春の七草の仏の座はキク科のコオニタビラコ(小鬼田平子:Lapsana apogonoides Maxim.)のことだとされている。

1)増村征夫:和名の由来で覚える372種-野と里・山と海辺の花ポケット図鑑;新潮社,2014
2)廣田伸七:ミニ雑草図鑑-雑草の見分け方-;全国農村教育協会,2009
3)岩瀬 徹:野外観察ハンドブック-形とくらしの雑草図鑑-見分ける280種;全国農村教育協会,2007
4)上海科学技術出版社・編:中薬大辞典[4];小学館,1998

            [11.141.AMP:2015.4.8.古泉秀夫 ]