「ガマについて」
火曜日, 12月 30th, 2014
KW:生薬名・ガマ・蒲・穂綿・蒲黄・香蒲・ガマ科・ガマ属・Typha latifolia・効能・異名・成分
Q:生薬名蒲黄はガマの事だとされるが、ガマについて
A:ガマ(蒲)はガマ科の多年生植物で「古事記」の大国主命がサメに毛をむしられた白兎の赤むけの肌を治すのにガマの穂綿(蒲の黄を敷いて)を使った“因幡の白兎”の神話は、日本の医薬としての初めに当たるとされている。若い葉は柔らかく野菜として食べられると云われる。
川辺、池沼の浅いところに生える多年生草本。ガマ科ガマ属。学名:Typha latifolia。
薬用部:花粉(夏、花が開き始めようとするとき、香蒲の上部の黄色い雄性花穂を採取し、日干しにした後挽き潰し、篩にかけ、細かい粉末とする。
効能:外用(切り傷、擦り傷、痔の出血に)、消炎、止血。
その他、動物実験により産後の子宮収縮力増強又は緊張性を高める。血圧降下作用、腸蠕動増強作用、凝血作用等が報告されている。
生薬名:蒲黄(ホオウ)。香蒲。
異名:蒲厘花粉(ホリンカフン)、蒲花、蒲棒花粉、蒲草黄。
成分:花粉にはイソラムネチンのグリコシド、ペンタコサン、精油及び脂肪油を約10%含む。脂肪油には遊離したパルミチン酸とステアリン酸が約30%、シトステロールが約13%含まれる。このほかにもパルミチン酸、ステアリン酸及びオレイン酸のグリセリド、α-チファステロールを含む。水分16%、粗タンパク18.9%、粗澱粉13.31%、糖6.47%、粗脂肪1.16%、灰分3.7%が含まれる。糖ではブドウ糖、果糖、キシロース、アラビノースが97%を占め、ツラノース等の二糖類が約1.5%、少糖類(オリゴ糖)が約0.5%を占める。イソラムネチンのグリコシド、脂肪油約10%、シトステロール約13%を含む。
根茎は白く泥の中を横走する。茎は円柱形で、直立し、高さは1-2m程になる。葉は叢生し、広線形。7月頃花茎を出し、先端に花穂を付ける。花穂は上下に分かれ、上部が雄花穂、下部が雌花穂である。花穂は無数の花実を含み、いわゆるガマの穂綿は、花粉である。蒲黄:夏に採集した花粉を陰干しにし、これを直接患部に塗布する。蒲黄は日本の民間薬で利尿、通経薬として滑石や芍薬、当帰などと配合して内用し、また収斂性止血薬としてそのまま傷口や火傷に散布薬として用いる。花蒲黄は石松子の代用として用いられるとする報告もある。全草は香蒲と云い利尿薬として用いられる。
1)海老原昭夫:知っておきたい身近な薬草と毒草;薬事日報,2003
2)水野瑞夫・他:くらしの薬草と漢方薬-ハーブ・民間薬・生薬-新日本法規,2014
3)伊沢凡人・他:カラー版薬草図鑑;家の光協会,2003
4)上海科学技術出版社・編:中薬大辞典[4];小学館,1998
[011.1.TYP:2014.12.3.古泉秀夫]