Archive for 11月, 2014

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「プロポフォール小児への投与に関する注意」

日曜日, 11月 30th, 2014

KW:副作用・プロポフォール・propofol・集中治療室・ICU・プロポフォール注入症候群・propofol infusion syndrome・PRIS

Q:プロポフォールを小児に投与し事故が発生したという報道があるが、本剤の小児への投与に関する注意について

A:報道された内容の概略は次の通りである。

『東京女子医大病院(東京都新宿区)で2月、手術後に人工呼吸器をつけて経過観察中だった男児(2)が死亡した事故で、男児が成人への基準値の2倍を超える鎮静剤を投与された疑いが強いことが15日、関係者への取材で分かった。警視庁捜査一課は1回ごとの投与量や日時などを示した病院の資料を押収。この鎮静剤は集中治療室(ICU)で人工呼吸中の子供への投与が禁じられており、病院側が危険性を認識しながら過剰に投与したとみて、担当医らから業務上過失致死容疑で事情を聴いている。

男児は2月18日にあごのリンパ管腫の手術を受け、ICUに移されたが、同21日に高熱を出すなど容体を急変させ、午後8時ごろに死亡が確認された。病院側は手術の麻酔薬として鎮静剤「プロポフォール」を使用。ICUで男児は人工呼吸器をつけていたが、鎮静状態を継続するため、死亡するまでの4日間で計10回以上、追加投与していた。最後の投与は心停止する数時間前の21日午前9時ごろだった。投与量は添付文書で示された成人向けの量を大幅に超え、病理解剖などの結果、男児がプロポフォール注入症候群と呼ばれる合併症を発症していた疑いが強いことも分かった。

1%-ディプリバン注(アストラゼネカ)
propofol(JAN)………10mg/1mL
添加物(1mL中)ダイズ油100mg・濃グリセリン22.5mg・精製卵黄レシチン12mg・エデト酸ナトリウム水和物0.055mg・pH調整剤(適量)。
性状:白色の乳濁液で、特異なにおいがある。pH:7.0~8.5。
禁忌:(次の患者には投与しないこと)
1.本剤又は本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。2.妊産婦(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)。3.小児(集中治療における人工呼吸中の鎮静)(「小児等への投与」の項参照)。
効能・効果:全身麻酔の導入及び維持。集中治療における人工呼吸中の鎮静。
用法・用量:1.全身麻酔の導入及び維持[(1)導入:通常、成人には本剤を0.05mL/kg/10秒(プロポフォールとして0.5mg/kg/10秒)の速度で、患者の全身状態を観察しながら、就眠が得られるまで静脈内に投与する。なお、ASAIII及びIVの患者には、より緩徐に投与する。通常、成人には本剤0.20~0.25mL/kg(プロポフォールとして2.0~2.5mg/kg)で就眠が得られる。高齢者においては、より少量で就眠が得られる場合がある。就眠後は必要に応じて適宜追加投与する。(2)維持:通常、酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスと併用し、本剤を静脈内に投与する。適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節する。通常、成人には、本剤0.4~1.0mL/kg/時(プロポフォールとして4~10mg/kg/時)の投与速度で適切な麻酔深度が得られる。
また、鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤、局所麻酔剤等)を併用すること。なお、局所麻酔剤併用時には通常より低用量で適切な麻酔深度が得られる。]
2. 集中治療における人工呼吸中の鎮静 成人(高齢者を含む)には本剤を0.03mL/kg/時(プロポフォールとして0.3mg/kg/時)の投与速度で、持続注入にて静脈内に投与を開始し、適切な鎮静深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節する。通常、成人には本剤0.03~0.30mL/kg/時(プロポフォールとして0.3~3.0mg/kg/時)の投与速度で適切な鎮静深度が得られる。なお、疾患の種類、症状の程度を考慮し、必要とする鎮静深度に応じて投与速度を増減すること。また、必要に応じて鎮痛剤を併用すること。

用法・用量に関連する使用上の注意
[全身麻酔の導入及び維持の場合]:維持における使用例導入後の時間:投与速度
0-10分:1.0mL/kg/時(プロポフォールとして10mg/kg/時)
10-20分:0.8mL/kg/時(プロポフォールとして8mg/kg/時)
20-30分:0.6mL/kg/時(プロポフォールとして6mg/kg/時)
30分~ : 全身状態をみながら調節する。

[集中治療における人工呼吸中の鎮静の場合]:1.本剤は、持続注入により投与すること。急速投与を行わないこと。2.本剤は、通常、7日を超えて投与しないこと。ただし、鎮静効果が認められ、7日を超えて本剤投与による鎮静が必要な場合には、患者の全身状態を引き続き慎重に観察すること。
使用例時間:投与速度:0~5分:0.03mL/kg/時。5分~:0.03~0.30mL/kg/時(全身状態を観察しながら適宜増減)
慎重投与:(次の患者には慎重に投与すること)
1.ASAIII、IVの患者及び衰弱患者[無呼吸、低血圧等の呼吸循環抑制が起こるおそれがあるので例えば、導入時の投与速度を約1/2、すなわち本剤約0.025mL/kg/10秒に減速する。]
2.循環器障害、呼吸器障害、腎障害、肝障害及び循環血液量減少のある患者[無呼吸、低血圧等の呼吸循環抑制や覚醒遅延が起こるおそれがあるので患者の全身状態を慎重に観察しながら、投与量や投与速度に注意する。]
3.てんかん発作の既往歴のある患者[痙攣があらわれることがある。]
4.薬物依存の既往歴のある患者
5.薬物過敏症の既往歴のある患者
6.脂質代謝障害の患者又は脂肪乳剤投与中の患者[本剤1.0mLあたり約0.1gの脂質を含有する。血中脂質濃度が上昇する可能性があるので、血中脂質が過剰になるおそれのある患者については、血中脂質をモニターし本剤又は併用中の脂肪乳剤の投与量を調節すること。]
7. 高齢者(「高齢者への投与」の項、「薬物動態」の項参照)
重要な基本的注意[共通]
1.本剤投与にあたっては、原則としてあらかじめ絶食させておくこと。
2.本剤投与にあたっては、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行えるよう準備しておくこと。
3.本剤の使用に際しては、一般の全身麻酔剤と同様、麻酔開始より患者が完全に覚醒するまで、麻酔技術に熟練した医師が、専任で患者の全身状態を注意深く監視すること。集中治療の鎮静に利用する場合においても、集中治療に熟練した医師が本剤を取り扱うこと。
4.本剤投与中は気道を確保し、血圧の変動に注意して呼吸・循環に対する観察・対応を怠らないこと。
5.本剤投与中は、適切な麻酔又は鎮静深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節すること。
6.汚染防止:本剤は防腐剤を使用しておらず、また脂肪乳剤のため汚染されると細菌が増殖し、重篤な感染症が起こるおそれがあるので以下の点に注意すること。
(1) 開封後、無菌的に取り扱い、直ちに使用を開始すること。
(2) 本剤の投与に使用するチューブ類等も無菌的に取り扱うこと。
(3) 1アンプル又は1バイアルを複数の患者に使用しないこと。1人の患者に対し、1回のみの使用とし、残液は廃棄すること。
(4) 本剤の投与に使用した注射器、チューブ類及び本剤の残液は手術終了時又は、投与開始12時間後のいずれか早い時点で廃棄すること。また、12時間を超えて投与する場合は、新たな注射器、チューブ類及び本剤を使用すること。
7.本剤の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事しないよう、患者に注意すること。
[集中治療における人工呼吸中の鎮静の場合]
1.本剤投与中は、鎮静レベル及び中枢神経系機能の評価を必要に応じて行い、鎮静に必要な最低投与速度を定めること。2.本剤投与中は、気管挿管による気道確保を行うこと。3. 人工呼吸からの離脱の過程では、患者の観察を継続し、必要に応じて人工呼吸を行うこと。
4.本剤を長期にわたり投与する場合、特に熱傷、下痢、重度の敗血症患者等の亜鉛欠乏をきたすおそれのある患者においては、必要に応じて亜鉛の補充を行うこと。[エデト酸ナトリウム水和物は亜鉛等の金属イオンとキレートを形成する。]
重大な副作用
1.低血圧(5%以上):低血圧があらわれることがある。このような場合には患者の頭部を下げ、重篤な場合には血漿増量剤、昇圧剤の使用等適切な処置を行うこと。
2.アナフィラキシー様症状(0.1%未満):血管浮腫、気管支痙攣、紅斑、低血圧を伴うアナフィラキシー様症状があらわれることがある。
3.気管支痙攣(0.1%未満):気管支痙攣を起こすことがあるので、本剤の使用にあたっては、緊急時に対応できる準備をし、本剤投与中は観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
4.舌根沈下(0.1~5%未満)、一過性無呼吸(0.1~5%未満):舌根沈下、一過性無呼吸があらわれることがある。このような場合には気道を確保し、人工呼吸等適切な処置を行うこと。
5.てんかん様体動(0.1~5%未満):痙攣・反弓緊張等のてんかん様体動があらわれることがある。
6.重篤な徐脈(0.1~5%未満)、不全収縮(0.1%未満):重篤な徐脈、不全収縮があらわれることがある。(本剤には迷走神経抑制作用がないので、迷走神経が亢進した状態あるいは徐脈等を生じる可能性のある薬剤を併用する場合には、麻酔導入前又は維持中、抗コリン剤(例えばアトロピン)の静脈内投与を行う等適切な処置を行うこと。)
7.心室頻拍(0.1%未満)、心室性期外収縮(0.1~5%未満)、左脚ブロック(0.1%未満):心室頻拍、心室性期外収縮、左脚ブロックがあらわれることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。
8.肺水腫(0.1%未満):肺水腫があらわれることがある。
9.覚醒遅延(0.1~5%未満):覚醒遅延があらわれることがあるので、使用に際しては十分な患者管理のできる状態で使用すること。
10.横紋筋融解症(0.1%未満):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
11.悪性高熱類似症状(0.1%未満):原因不明の頻脈、不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋硬直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、ソーダライムの異常加熱・急激な変色、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿等を伴う重篤な悪性高熱類似の臨床症状を呈することがあるので十分な観察をし、使用中、これら類似症状を認めた場合は、直ちに適切な処置等を行うこと。
高齢者への投与:本剤は主に肝臓で代謝され、尿中に排泄される。一般に高齢者では、肝、腎機能及び圧受容体反射機能が低下していることが多く、循環器系等への副作用があらわれやすいので、投与速度を減速する(例えば、導入時の投与速度を約1/2すなわち本剤約0.025mL/kg/10秒に減速する)など患者の全身状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与:1.ヒト胎児へ移行することが報告されているので、妊産婦には投与しないこと。2.ヒト母乳中へ移行することが報告されているので、授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。
小児等への投与:1.低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。2.集中治療における人工呼吸中の鎮静においては、小児等には投与しないこと。[因果関係は不明であるが、外国において集中治療中の鎮静に使用し、小児等で死亡例が報告されている。]
過量投与:急速投与又は過量投与により、循環器・呼吸器系の抑制が起こる可能性がある。呼吸器系が抑制された場合には、酸素による人工換気を行うこと。また、循環器系が抑制された場合には患者の頭部を下げ、重篤な場合には血漿増量剤、昇圧剤を使用すること。

プロポフォール注入症候群(propofol infusion syndrome:PRIS):集中治療における人工呼吸中の鎮静の目的で、プロポフォール投与中に代謝性アシドーシス、横紋筋融解症、高カリウム血症、心不全が発現した症例は一般に『プロポフォール注入症候群』と呼ばれる。更に上記症状の発現を認めた患者背景について、新たな知見が得られたとして、次の記載が見られる。
『外国で、集中治療における鎮静の目的で、本剤の投与を受けた重篤な患者において、因果関係が確立していないが、代謝性アシドーシス、横紋筋融解症、高カリウム血症、心不全が極めて稀れに発現し、数例が死亡に至ったという報告がある。これらの症状を発現した患者の背景として、組織への酸素供給の低下、重大な神経学的な障害(頭蓋内圧亢進等)や肺血症、その他、血管収縮剤・ステロイド・強心剤・本剤の高用量投与が報告されている。』

添付文書の記載内容は、『人工呼吸中の鎮静においては、小児等には投与しないこと。』として明らかに小児への投与は「不可」ということになっている。添付文書の記載事項について、添付文書の記載内容の曖昧さ、例えば『妊婦への投与』等の記載内容を例示してだから必ずしも守らなくていいという意見を述べられる方もいるが、一事を持って万事を推し量るのは止めたほうがいい。少なくとも副作用の記載は、事実が記載されているのであって、その事実を跳ね返すだけの新たな事実を示すことが出来ないのであれば、守るべきである。

                -添付文書の記載内容を守る文化を創るべきである-

1)1%ディプリバン注添付文書,2012. 12.
2)プロポフォール1%静注20mL・50mL(日医工)使用上の注意改訂情報,2009.7.
3)JAPIC:成分から調べる医薬品副作用報告一覧;丸善,2014

                 [065.PRO:2014.11.30.古泉秀夫]

『漢方としてのイワタバコについて』

日曜日, 11月 30th, 2014

KW:薬名検索・漢方薬・イワタバコ・岩煙草・岩萵苣・イワジシャ・山萵苣・苦萵苔・クキョタイ・コナカンドロシド・アクテオシド・acteoside

Q:岩煙草は漢方薬として使用されているか。

A:次の報告が見られる。

岩煙草は、イワタバコ科イワタバコ属の双子葉の多年草で、我が国では園芸植物と見られている。
岩煙草の別称として岩萵苣(イワチシャ)とする名称も見られる。学名:Conandron ramondioides。岩煙草は台湾原産で、温暖で湿った岩壁や湿気の多い斜面に生育する。岩煙草の葉は、冬には枯れて根茎で過ごすが、春には長さ5-20cm程の根生葉を数枚出し、岩壁に垂らす。葉は濃緑色で、葉には皺があり艶も見られる。この葉が煙草の葉に似ていることから岩煙草の名称で呼ばれている。
新葉(越冬芽)は冬は堅く丸まり、褐色の毛で密に覆われて越冬する。初夏には10cm-15cm程の花茎を伸ばし、直径1-1.5cm程の星型の花を多数咲かせる。
中国では、苦萵苔(クキョタイ)と呼ばれているとされる。
岩煙草は、観賞用の花として知られているが、若い葉は普通に摂食することも可能で、山菜料理や精進料理として酢味噌和え、胡麻和えなどにして食しているとされる。

含有成分:岩煙草に含まれている成分として全草から苦味配糖体のアクテオシド、ベルバスコシド等が含まれているとされる。

使用部位:葉及び全草。

効能:岩煙草の効能として胃潰瘍、慢性胃炎、食べ過ぎ、飲み過ぎ等の症状に効果があるとされる。

用法・用量:岩煙草の約5g-10gに水600mL-800mLを加えて弱火で15-20分間煎じ、その後岩煙草を取り除き、1日数回に分けて服用する。蕺草(ドクダミ)、蓬、麦茶等と一緒に煎じて服用してもよい。
岩煙草粉末:1回約1-2gを水又は微温湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用する。岩煙草の粉末は、単独で服用してもよいが、牛乳、野菜ジュース、スープ等に混ぜて服用する。

アクテオシド(acteoside)、同義語:ベルバスコシド(verbascoside)、クサギニン(kusaginin)。acteosideはオリーブの果実や胡麻の葉等に含まれているプロフェノールの一種である。抗酸化作用が強く、赤ワインに含まれるポリフェノール『リスベラトロール』の15倍、ビタミンCの5倍の抗酸化力を持っているとする報告が見られる。また、炭水化物(糖質)の分解に関与する酵素『α-グルコシダーゼ』の働きを抑えて、血糖値を上げ難くする作用があるといわれている。

1)三橋 博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
2)サプリメント大学;http://www.suplement.jp/dictionary/list/akuteosido/,2014.6.23.
3)やなぎ堂薬局;http://yanagidou.co.jp/syouyaku-yakusou-iwatabako.html,2014.6.23.

              [011.1.CON:2014.11.30.]

『リョウブについて』

日曜日, 11月 30th, 2014

KW:健康食品・漢方・リョウブ・令法・Clethra barbinervis Sieb.et Zucc.・救荒植物・ハタツモリ・旗積り・畑積り・バルビネルビ酸・クリスリ酸・taraxerol

Q:令法について

A:リョウブについて次の報告が見られる。
リョウブ(漢名:令法)、日本各地及び済州島、中国山東省に分布。学名:Clethra barbinervis Sieb.et Zucc.。リョウブ科リョウブ属。古名:はたつもり(畑つ守)。山林に生え時に群落を造る落葉小高木である。高さ3-7m。枝は輪生状、幹は茶褐色。若枝には星状毛がある。葉は有柄で互生、倒皮針形鋸歯がある。夏、枝の先に長さ6-15cmの総状花序を出し、小さい白色の花を密に付ける。萼は5裂、花冠は茎0.5-0.6cm、深く5裂。雄蕊は10本。若葉は山菜とされる。庭木としても植えられる。古名:ハタツモリ(旗積り、畑積り)。樹皮は表面が縦長な形に剥げ落ちて、その後茶褐色で滑らかになるので、「サルスベリ」と呼ぶ地方もある。 葉は長さ10cm、幅3cmほどで倒卵形に近い楕円形、縁には細かい鋸歯がある。表面にはつやがなく、無毛または微毛を生じる。枝先にらせん状につくが、枝先にまとまる傾向が強い。昔は飢饉のときの救荒植物として利用された。また、腹中の虫を除去するの記載も見られる。現在は「令法飯」などの材料にする。 また、5年に一度しか採取できないがハチミツが市場に出ることも。結晶化せず、香り高い。

令法という名は、救荒植物として育て蓄えることを法で決められたからといわれるが、花序の形から「竜尾」がなまったとの説もある。ハタツモリは畑つ守などの字が当てられるが、語源ははっきりしない。

樹皮成分の一つはtaraxerolで、その他ceryl cerotinateが確認できた。リョウブ実中にウルソール酸とする報告が見られる。

有効成分:トリテルペノイドのバルビネルビ酸、クリスリ酸の報告が見られる。春の若葉を茹でて、水か灰汁に浸して、アクを抜き、ひたし物、いため物、汁の実、ご飯に混ぜてリョウブ飯に、そのまま薄く衣をつけて天ぷらに古くから、リョウブを食べると「癪(しやく)を消して湿熱を去り、中を補うことができる」としていて、平安時代から江戸時代には、飢饉に備えて若葉を蒸して乾燥して蓄えた。

1)ハテナ君が聞く「希少糖」って何?「太りにくい」のが人気:読売新聞,第49714号,2014.6.26.
2)廣田晋七・編:ミニ山野草図鑑<離弁花編>;全国農村教育協会,2013
3)牧野富太郎: 原色牧野日本植物図鑑 II;北隆館,2000
4)牧野富太郎: 原色牧野日本植物図鑑 I;北隆館,2003
5)田辺良久・他:薬用植物成分の研究(第7報)-リョウブの樹皮及び実の成分について;薬学雑誌,86(5):441-443(2966)
6)薬用植物一覧表;http://www.e-yakusou.com/sou02/soumm185.htm,2014.7.2.

                [011.1.CLE:2014.11.30.古泉秀夫]

第5回東京医労連 ぶらり戦跡巡り

水曜日, 11月 5th, 2014

       鬼城竜生

2014年10月7日(火曜日)午後1時に東京駅丸の内南口に集合した東京医労連OB会の16名は、先ず本日の案内人・檜山紀雄さんの案内で行幸通りに出て、本日のコースの概略東京医労連-001の説明と、所要時間について説明を受けた。

御幸通りは天皇(御:み)が行幸(幸:ゆき)に際して通行したことを記念して命名されている。外国から来る賓客が皇居に来る場合、東京駅の丸の内中央口から自動車か儀装馬車かどちらかを選ぶことが出来ることになっており、多くの大使は馬車での皇居移動を選ぶという。

再度新装なった東京駅に戻り、丸の内南口を入った北東面左端付近にある壁に、事件の概要を記したプレートがあり、それを見ながら原 敬暗殺事件に関する説明文を参加者全員で読ませて戴いた。それによる1921年(大正10年)11月4日、当時の首相だった原 敬が、鉄道省山手線大塚駅職員の中岡艮一によって東京駅乗車口(現在の丸の内南口)で暗殺(刺殺)された事件で、中岡は原首相に対して批判的な意識を持っていたとされる。中岡の供述によれば、原首相が政商や財閥中心の政治を行ったと考えていたこと、野党の提出した普通選挙法に反対したこと、また尼港事件が起こったことなどによるとされている。その他一連の疑獄事件が起きたことや、反政府的な意見の持ち主であった上司・橋本栄五郎の影響を受けたことなどもあって、中岡は原首相暗東京医労連-002殺を考えるようになったとされる。

しかし、実際にはそんな単純な話ではなく、中岡に対する特別な処遇(3度もの大赦)で1934年には早くも釈放された。戦時中には比較的安全な軍司令部付の兵となっていたなどとあいまって、本事件に関する政治的背景の存在を推測する論者も多いとされる。南口から北口に周り、輝くと題した雄勝石絵を見ることになった。重野事務局長の曰わく、岩手県の小学生の『作』ということであったが、説明文によると『平成23年3月11日14時46分に起きた東日本大震災により、東日本沿岸部は甚大な津波被害を受けました。町の中心部が壊滅した宮城県石巻市雄勝町は、硯生産日本一のシュアを誇り雄勝産天然スレートは、平成24年復原完成の東京駅舎に屋根材として使用されています。雄勝町と東京駅の石が繋いだご縁により、雄勝の被災児童生徒による「雄勝石絵」が設置されることになりました。この石絵は東京駅舎に使用されている屋根材同様の雄勝産天然スレートを20㎝角に加工し、1枚ずつ子供達が彩色した108枚を組み合わせ一つの大きな石絵にしたものです。富士山を照らす旭日は勇気の光、星は希望の輝きで大地を照らすこの作品は、被災から復興へ立ち上がる日本を象徴したものです。

この石絵が東日本大震災後の復興と更なる発展・進化のシンボルとして震災により被災した全ての子供達の勇気と誇りの源となり、未来に向けて語り継ぐものとなることを願ってやみません。』
制作:石巻市立雄勝小学校・大須小学校・船越小学校・雄勝中学校・大須中学校

                               平成23年度在学全児童生徒
                               原画監修 雄勝石作家 齋藤玄昌實
                               雄勝石復興プロジェクト石絵教室実行委員会

 

ゲルニカオリンピックに負ける

東京医労連-003次に駅前にある"OAZO"の中に飾られている『ゲルニカ』(Guernica)を見る予定になっていたが、檜山さんの話では、オリンピックの展示をやっていて見れないという話だった。驚いたことに檜山さんは我々を案内する前に、全コースを踏査していたと云うことで、その真面目さというか、責任感に頭の下がる思いである。

ゲルニカは、スペインの画家パブロ・ピカソがスペイン内戦中に空爆を受けた町ゲルニカを主題に描いた絵画、およびそれと同じ絵柄で作られたタペストリー作品であるとされている。スペイン内戦の最中の1937年4月26日、スペイン北部・バスク州の小都市ゲルニカがフランコ将軍を支援するナチスによって空爆を受けた。史上初めての都市無差別空爆と言われるたいる。滞在中のパリでこの報を聞いたピカソは、かねて人民戦線政府より依頼されていた同年のパリ万国博覧会スペイン館の壁画として急遽ゲルニカを題にこの作品に取り組み、6月4日には完成させると云う豪腕を振るっている。

将門塚から皇居東御苑へ

次に徒歩で、三井物産ビルに隣接して祀られている将門塚に御参りした。平将門の首塚とは、平将門の首を祀っている塚。将門塚(しょうもんづか)とも呼ぶ。東京都指定の旧跡である。伝承では、将門の首級は平安京まで送られ東の市、都大路で晒されたが、3日目に夜空に舞い上がり故郷に向かって飛んでゆき、数カ所に落ちたとさ東京医労連-004れる。伝承地は数か所あり、いずれも平将門の首塚とされている。その中でも最も著名なのが、東京都千代田区大手町一丁目2番1号外地図にある首塚である。かつては盛土と、内部に石室ないし石廓とみられるものがあったので、古墳であったと考えられている。

次いで大手門から皇居東御苑に入った。大手三の門は、大手門から三の丸尚蔵館の前を過ぎた正面のところににあり内側には同心番所が設けられている。この門も本来は枡形門で、両側和水堀だったという。ここを駕籠に乗ったまま通ることができたのは、尾張・紀伊・水戸の徳川御三家だけで、それ以外の大名はここで降ろされ、検問を受けた。このことから、この門は下乗門とも呼ばれていたという。檜山さんは城内に入るための“手形”を古道具屋から購入したと云って持参してきていた。次に百人番所が有り、最後に大番所が有り、それぞれに与力・同心が詰めて城内の安全を図っていたという。

現在、再建論議が起こっている天守台は、江戸城本丸の一番北側に位置している。江戸城の天守は、慶長11年(1606)の家康、元和8年(1622)の秀忠、寛永15年(1638)の家光と将軍の代替わりごとに築き直され、将軍の権力の象徴であったともいえる。慶長の天守は、現在より南の富士見多聞のあたりに位置していたと云われている。店主は五層で、元和・寛永の天守は、現在の天守台とほぼ同じ位置にあったという。元和の天守は元和8年(1622)、二代将軍秀忠の本丸改造の際、慶長の天守を撤去して新しく建てたもので、翌9年に完成、高さは慶長の天守を上回っていたといわれている。寛永の天守は、東京医労連-005東京医労連-006寛永15年(1638)、三代将軍家光のとき、元和の天守台に建てたもので、「江戸図屏風」によると金の鯱をのせた五層の天守閣になっている。

この寛永の天守は、明暦3年(1657)の火災で焼け落ち、翌年に加賀藩前田家の普請により高さ18mの花崗岩でできた天守台が築かれます。これが現在残る天守台ですが、四代将軍綱吉の叔父である保科正之の戦国の世の象徴である天守閣は時代遅れであり、城下の復興を優先すべきであるとの提言により、以後天守閣は再建されることはなかったという。天守台での眺望を楽しんだ後、二の丸庭園に向かった。
二の丸庭園は、九代将軍家重時代の庭絵図面を元に池泉回遊式庭園として復元された日本庭園である。二の丸池は、小堀遠州作といわれる庭園の池水とほぼ同じ位置にあると説明されている。その他二の丸雑木林があり、昭和天皇の御発意により都市近郊で失われていく雑木林を復元すると云うことで造成された雑木林が有り、その木々の彼方此方に野生の草が生えており、遅い秋の花々がまだ見られた。それぞれの草花木々には、それぞれ名札が付けられており、小まめに整備されている事に感心した。更に他では見られない、野草が生えており、その写真を撮ることが出来た。季節毎に野草を見る場所として、皇居東御苑は都内では得難い場所になっていると思われる。
本日の総歩行数12,773歩。
                                                                 

(2014.10.8.)

『よっぽど合わないようで………』

水曜日, 11月 5th, 2014

                         医薬品情報21
                               古泉秀夫

statin剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の服用がどうにも合わないということで、probucolに変更された。

probucolの血清総コレステロール低下の作用機序としては、LDL(低比重リポ蛋白)の異化率亢進作用、コレステロールの胆汁中への異化排泄促進作用及びコレステロール合成の初期段階での阻害作用が想定されている(食事性コレステロールの吸収阻害作用はほとんどないか、極めて弱いものと考えられる。)。黄色腫退縮及び動脈硬化退縮の作用機序としては、血清総コレステロール低下作用、HDLを介する末梢組織より肝臓へのコレステロール逆転送の促進作用及びLDLの酸化を抑制することによるマクロファージの泡沫化抑制作用(in vitro)が考えられている等の報告がされている。

尚、probucolの副作用として次の報告がされている。

重大な副作用

1.心室性不整脈(torsades de pointes)、失神(頻度不明*): 著明なQT延長に伴う心室性不整脈(torsades de pointes)、失神があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2.消化管出血、末梢神経炎(頻度不明*):消化管出血、末梢神経炎があらわれたとの報告がある。

3.横紋筋融解症(頻度不明*):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
(*自発報告又は海外において認められた副作用のため頻度不明。)

その他の副作用

1. 心臓(0.1%未満): QT延長等
2. 過敏症(0.1-5%未満): 発疹、そう痒等
3. 血液(0.1-5%未満): 貧血、白血球減少、血小板減少等
4. 精神神経系(0.1%未満): めまい、頭痛等
5. 消化器(0.1-5%未満):下痢・軟便、嘔気・嘔吐、食欲不振、腹痛、胸やけ
6. 消化器(0.1%未満): 腹部膨満感等
7. 肝臓(0.1-5%未満): AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LDH上昇等
8. 腎臓(0.1-5%未満): BUN上昇等
9. 筋肉(0.1-5%未満): CK(CPK)上昇等
10. その他(0.1-5%未満): 尿酸上昇、空腹時血糖上昇
11. その他(0.1%未満): けん怠感

医師の判断では、statin剤よりは筋肉に対する影響は少ないと見ていたようであるが、服用2カ月後の検査で、CK値は129から340という数値に跳ね上がっていた。医師はCK値をみて、一瞬どうしようかという顔をしたが、その時には何ら自覚症状は出ていなかったため、引き続き服用を継続することになった。しかし、服用継続2週間後には、筋肉痛が発現し、更に尿が赤色に変化し始めた。

服用を中止したとしても、高脂血症で即死ぬことはないだろうということで、服用を中止した。尿の着色は直ちに消失し、筋肉痛も徐々に軽くなった。結局、コレステロールを根っこから抑え込むというタイプの薬は体質的に合わないということで、医師に処方の変更を御願いした。

現在は別の薬(ペリシット錠:三和化学)を服んでいるが、これには横紋筋融解症の副作用は現段階で報告されていない。

ペリシット錠は、1錠中に「日局」ニセリトロール(niceritrol)125・250mgを含有する製剤である。

重大な副作用として『血小板減少』(透析を受けている患者)が報告されている。

その他の副作用として、次の報告がされている。

1. 過敏症: 0.1~5%未満: 発疹、蕁麻疹。
2. 精神神経系:0.1~5%未満: めまい。精神神経系0.1%未満: 頭痛、手足のしびれ。
4. 消化器0.1~5%未満 食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢。
5.消化器0.1%未満:胸やけ、腹痛、心窩部痛、便秘、口渇、胃部不快感、胸部不快感
6. 消化器頻度不明:口内炎
7. 血液:頻度不明 貧血
8.肝臓0.1-5%未満 AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、肝機能障害。9.肝臓0.1%未満: Al-P上昇。10. 腎臓頻度不明:BUN上昇、クレアチニン上昇。11.代謝0.1-5%未満 血糖値上昇。12. 代謝頻度不明 高尿酸血症、CK(CPK)上昇。13.その他0.1-5%未満 潮紅、顔面潮紅、熱感注、そう痒感。14.その他0.1%未満 ピリピリ感、動悸、脱力感、浮腫。

本剤の薬効薬理として、次の報告がされている。

1.血清脂質低下作用:ラットを用いたin vivo実験で、ニセリトロールは、外因性脂質の吸収抑制、コレステロールの排泄・異化排泄促進、LPLの活性化促進、脂肪組織からの脂肪酸動員抑制作用により、血清コレステロール、血清トリグリセリド等の脂質を低下させた。
2.血清リポ蛋白代謝改善作用:ラットを用いた高脂肪食負荷実験で、ニセリトロールは、血清中のVLDL及びLDL分画中のコレステロール及びトリグリセリドの増加を著しく抑制し、HDL分画中のコレステロールを増加させた。
3.血小板凝集能抑制作用:ラット、ウサギ及びヒトの多血小板血漿を用いた実験で、ニセリトロールは、コラーゲン凝集、アラキドン酸凝集の抑制を示した。
4.血流増加作用:ニセリトロールはイヌの大腿動脈及び総頸動脈血流量を明らかに増加させた。

適用上の注意:服用時:空腹時に服用すると潮紅、熱感等の発現が多くなるので、食後すぐに服用することが望ましい。

当初の目的である『高脂質血症の改善』が出来ればstatin剤に拘る必要はないが、横紋筋融解症の前駆症状は、高齢者の場合、身体機能の低下と区別が難しい。つまり副作用による筋肉痛、あるいは腰痛と、高齢による筋肉痛の区分が付け難く、副作用と気付くまでに時間が掛かってしまった。その当たりの見極めをどうするのか、もっと検査値の変化に気を遣うべきではないかと思われる。事実服用中に『CK値が129から340という数値』に変化したわけであるから薬の変更等に気を遣うべきであったと考えている。

1)高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2007
2)ロレルコ錠・細粒添付文書,2007.7.
3)ペリシット錠125mg添付文書,2013.2.

       (2014.9.3.)

『学位の有難味?』

水曜日, 11月 5th, 2014

                    魍魎亭主人

 

横浜市大の学位謝礼、19人が計578万円の受領認める[2008年7月9日22時37分配信 読売新聞]
横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の学位取得を巡る謝礼授受問題で、同大の学位審査対策委員会(委員長・宗像紀夫弁護士)は9日、最終報告を公表し、受け取りを認めた教授17人、准教授2人の計19人の受取総額は少なくとも578万円だったことを明らかにした。また、19人以外にも、指導教授1人が謝礼を受け取っていたと認定、別の教授2人も受け取りを推認できるとした。

謝礼を渡したなどと証言した大学院生6人や、院生の証言がありながら、謝礼受け取りを否定していた教授9人に対し、委員が面談して再調査した。最終報告によると、教授9人のうち、2人が受け取りを認め、「金額などは覚えていないが、院生側が言うなら受け取ったのだろう」と回答した。1人は自ら、「授受は1回のみで5万円だった」と名乗り出たという。

受け取りを認定・推認された3人は、一緒に学位審査にあたった別の教授らが受け取りを認め、渡したとする院生らの証言と一致することが根拠となった。院生らが金銭を持ってきても受け取りを断った教授らも18人おり、同委員会は「学位取得の金銭謝礼が広く行われ、慣例化していた」と結論付けた。報告を受け、大学は学生や患者と教員の間での金品の授受を禁じる倫理規定を策定する。本多常高理事長は「医学部には世間の倫理観と乖離があった。噂がありながら放置された面もあり、報告での指摘や提言に沿って改善したい」と話した。

6年前の話を引き合いに出すと、横浜市大は迷惑な話と顔をしかめるかもしれないが、『博士号』というのは余り世間の信用性は高くはないのではないかと云うことの証明のために引き合いに出した。

それというのも理化学研究所・研究ユニットリーダーの小保方晴子氏(31)の博士論文に対する不正疑惑を調査していた早稲田大学の調査委員会(小林英明委員長)は、論文中に計26カ所の問題点があると認めたものの「学位取り消しの規定には当てはまらない」とする報告書を7月17日に公表した。

素人の立場で云わせて戴くと、26ヵ所も問題のある論文が、学内の審査委員会を通過したということの方が問題ではないのか。勿論、学問の道筋が専門分化し、更に細分化されているため、読んでも分からない部分があるのかもしれないが、それにしても論理の辻褄が合わないという事はあるのではないか。しかも、あちらこちらにいわゆるコピペと云われる他人の文書を切り貼りした部分があるというのでは、論文の質以前に審査委員会の委員の眼力が疑われる。

更に不正はあるが、取り消しは出来ないという御意見の様であるが、益々学位というのはいい加減な物だという話になって仕舞う。

最も、論博というのは、誰が書いたか分からないと云うことを利用し、あたかも当人が書いた様に提出して審査を受け、学位を取得したという話も耳にする。勿論、代筆者は金を貰うわけだが、その程度のものであれば誰も学位なんて云う物を信用しなくなる。最も、学位学位と騒ぐのは、大学の教員試験の際に必要性を云われる程度で、それ以外の時に学位が必要だという話はあまり聞かない。

1)学位謝礼総額578万円 横浜市大最終報告「金銭授受慣例化」;読売新聞,第47543号,2008.7.10.

                   [2014.8.1.]