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『漢方としてのイワタバコについて』

土曜日, 7月 26th, 2014

 

KW:健康食品・漢方薬・イワタバコ・岩煙草・岩萵苣・イワヂシャ・山萵苣・苦苣苔・クキョタイ・コナンドロシド・アクテオシド・acteoside

Q:岩煙草は漢方薬として使用されるのか。

A:次の報告が見られる。

岩煙草は、イワタバコ科イワタバコ属の双子葉の多年草で、我が国では園芸植物と見られている。
岩煙草の別称として岩萵苣(イワヂシャ)とする名称も見られる。学名:Conandron ramondioides Sieb.et Zucc。岩煙草は本州から沖縄、台湾分布、山地の湿った岩壁に生える多年草。根茎は塊状。葉は長さ10-30cm、楕円状卵形で根生し垂れ下がり、冬は堅く丸まって越冬する。花期は6月。長さ6-12cm程の1-2本の花茎を出し、上端の集散花序に、紅紫色の花を開く。果実は皮針形の蒴果。葉は濃緑色で、葉には皺があり艶も見られる。この葉が煙草の葉に似ていることから岩煙草の名称で呼ばれている。中国では、苦苣苔(クキョタイ)と呼ばれているとされる。

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[薬用部分]葉又は全草(岩萵苣<イワヂシャ>)。

[成    分]全草から苦味配糖体のコナンドロシド(天然型フェニルプロパノイド配糖体)の他、アクテオシド(acteoside)、同義語:ベルバスコシド(verbascoside)、クサギニン(kusaginin)等が単離されている。

acteosideはオリーブの果実や胡麻の葉等に含まれているポリフェノールの一種である。抗酸化作用が強く、赤ワインに含まれるポリフェノール『レスベラトロール』の15倍、ビタミンCの5倍の抗酸化力を持っているとする報告が見られる。また、炭水化物(糖質)の分解に関与する酵素『α-グルコシダーゼ』の働きを抑えて、血糖値を上げ難くする作用があるといわれている。

[効 能]民間では岩萵苣と称し、慢性胃炎や胃アトニー等、胃腸薬として煎服する。

[使 用 法]8-9月頃成熟した葉を採取。1日量5gに240-270mLの水を加え、半量になるまでとろ火で煮詰め、岩煙草の残渣を除いて食間3回に分けて服む。

その他、岩煙草の約5g-10gに水600mL-800mLを加えて弱火で15-20分間煎じ、その後岩煙草を取り除き、1日数回に分けて服用する。蕺草(ドクダミ)、蓬、麦茶等と一緒に煎じて服用してもよい。
岩煙草粉末:1回約1-2gを水又は微温湯で1日数回服用するか、お湯に混ぜて服用する。岩煙草の粉末は、単独で服用してもよいが、牛乳、野菜ジュース、スープ等に混ぜて服用する。

岩煙草は、観賞用の花として知られているが、若い葉は古くから、山菜として賞味されていた。若葉は苦味があるが、そのままか酢味噌、天麩羅等とし、普通に摂食することも可能で、また茹でて浸し物、和え物等にすると粘り気があって美味であるとされている。

1)三橋 博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
2)サプリメント大学;http://www.suplement.jp/dictionary/list/akuteosido/,2014.6.23.
3)やなぎ堂薬局;http://yanagidou.co.jp/syouyaku-yakusou-iwatabako.html,2014.6.23.

   [015.9.CON:2014.7.1.古泉秀夫]