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「有機ゲルマニウムについて」

金曜日, 3月 21st, 2014

 

KW:薬名検索・健康食品・ゲルマニウム・有機ゲルマニウム・乳癌・術後・副作用・相互作用・禁忌

Q:乳癌の術後に健康食品として売られている有機ゲルマニウムを摂取しているが、効果は期待できるか

A:ゲルマニウム及び有機ゲルマニウムについて、次の報告が見られる。

英名

germanium

品名 ゲルマニウム 有機ゲルマニウム化合物
英名 germanium organogermanium
性状等

Ge.原子番号32の元素、原子量72.59。周期表、典型元素IV族に属する非金属元素の一つ。
1885年C.Winklerにより発見された。地表近くのケイ酸塩岩石中に広く分布。銀、スズ、砒素などの鉱物、特に閃亜鉛鉱(硫化物)が主原料。地核中の存在度1.5ppm(52位)。硫化物より金属を作る時の副産物として得られる。mp937.2℃。灰黒色金属光沢を持つ。その他、青白色の硬い金属で、融点936℃、沸点約2700℃、d5.325、空気中ではかなり安定で、酸、アルカリにも侵されにくい。粉末は濃硝酸に溶ける。王水には溶けるが塩酸には溶けないとする報告が見られる。
二酸化ゲルマニウム(毒性がある)。

germanium-炭素(水素も含む場合が多い)結合を持つ化合物の総称。1887年C.WinklerによるテトラエチルゲルマニウムGe(C2H5)4の合成が最初である。同じIVB族のケイ素化合物に似たところが多く、ケイ素の場合のシランに相当するゲルマンGeH4を母体として命名される。現在の所4価のgermaniumの有機化合物だけが知られている。
アルキル化合物、アリール化合物は、空気、水に対して安定である。また有機ゲルマンGeR4は化学的にも熱的にも安定で、アルキル化合物は無色で蒸留可能な液体、アリール化合物は結晶として単離出来る。

次に有機ゲルマニウムの製品として市販されている商品について、医薬品として厚生労働大臣の承認を受けている医薬品と、いわゆる健康食品として市販されている商品について紹介する。

商品名 セロシオンカプセル10
(アステラス)
Ge-132
一般名

プロパゲルマニウム(propagermanium)。
化学名:3-oxygermylpropionic acid polymer。
治験記号:SK-818。
CAS番号:12758-40-6。

一般化学名:カルボキシ・エチル・ゲルマニウム・セキスオキサイド:poly-trans[(2-carboxyethl)germasesquioxsane]。略号:p・t-CEtGeO。化学名:Carboxyethylgelmanium sesquioxide。
性状 (C3H5GeO35)n 。プロパゲルマニウムは、白色の結晶性の粉末で、臭いはなく、味は僅かに酸味がある。水に溶け難く(1g/150-210mL)、エタノール、アセトン、エーテル、ジクロルメタン又はヘキサンに殆ど溶けない。0.02N-水酸化ナトリウム液に溶ける。融点:約230℃(分解)。

浅井ゲルマニウム研究所が水溶性の有機ゲルマニウムの合成に成功、Ge-132として治験の検討がされた。
元素記号:Ge、原子番号:32、原子量:72.61。炭素族元素の一つ。空気中で安定、赤熱すると白色の酸化ゲルマニウムを作る。アルカリ溶液、塩酸に不溶。王水に可溶。Ge2+、Ge4+があり4価が安定である。

作用機序

propagermaniumは、IL-1、IL-2、INF-γ産生増強等により、細胞障害性T細胞、NK(natural killer)細胞を賦活し、ウイルス感染細胞を破壊する。また、抗体産生増強によりウイルス関連抗原の排除を促す。更にIFN-α/β産生増強により、ウイルスの増殖を抑制する。

ウイルス感染防御作用(in vivo):単純ヘルペスII型ウイルス感染マウスの死亡率を低減、ワクシニアウイルス感染マウスに発現するポック数抑制。

免疫賦活作用:細胞性免疫及び液性免疫賦活作用。T細胞賦活作用。細胞障害性T細胞(Tc細胞)誘導作用。NK細胞活性化作用。IFN産生増強作用。

肝障害に対する作用:動物実験で四塩化炭素、ガラクトサミン等による急性肝障害に対して血清トランスアミナーゼの上昇抑制。▼主要排泄臓器:腎臓(尿中:41.9%/24時間・糞中:50.1%/72時間)。

germaniumはヒトにおけるミネラルとしての必須性は認められていない。しかし微量で循環器や免疫系に対する働きがあると考えられているが、その役割と機序は不確定である。食品ではムツ、鰊、鮪等の魚類や干しひじき、トマトジュース等に含まれている。
抗酸化作用があり、高血圧、高脂血症、心臓病、脳への血液循環を改善する作用。体内の酸素の消耗を防ぎ、認知症等を予防する可能性、鎮痛、抑鬱症状に作用。インターフェロンの産生を促し、免疫機能亢進、食物アレルギーの改善。骨関節炎、リウマチ性関節炎、骨粗鬆症の改善。
ラットにおいてゲルマニウム欠乏により骨変化、脛骨DNA減少。ケイ素欠乏による変化抑制。

効能
・効果

HBe抗原陽性B型慢性肝炎におけるウイルスマーカーの改善
[有効以上:32.9%・やや有効以上:62.2%]。

ヒトでの有効性については、信頼できる実証データは十分に揃っていない。効能・効果の標榜は薬事法違反。
用法
・用量

1日30mg・分3 食後。
投与開始16週目にvirusesmarker(HBe抗原等)を含めた臨床検査を実施、virusesmarkerの改善が見られなかった場合、他の療法を考慮する。

1日250mg-500mg服用の指示がされている資料がある。
1日200mg-600mg服用の指示が出されている資料もある。

相互作用 現段階では報告されていない。 germaniumを含むオタネニンジン製品によりフロセミド耐性が1例報告されている。
警告 慢性肝炎が急性増悪することがあり、死亡例が報告されている。 経口摂取回避。安全性未確認。2-36カ月で15-300g摂取で腎障害、死亡が31例報告されている。
禁忌

(1)黄疸のある患者[B型慢性肝炎が重症化することがある。]
(2)肝硬変の患者、あるいは肝硬変の疑われる患者[B型慢性肝炎が重症化することがある。]
(3)本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

具体的な情報はないが、医薬品と同様な事象が類推される。
副作用

総症例2,015例中副作用報告は10.9%であった。主な症状はGOT上昇(1.89%)、GPT上昇(1.99%)、倦怠感(.34%)、食欲不振(0.89%)。
重大な副作用:B型慢性肝炎の急性増悪:黄疸、肝不全(投与開始直後2,4,6週-肝機能検査)。
過敏症:発疹、掻痒、蕁麻疹、湿疹。
消化器:食欲不振、腹痛、嘔気、嘔吐、下痢、便秘、腹部膨満感、胸焼け、口内炎。胃もたれ感。
精神神経系:抑鬱、眠気、眩暈、頭痛、手足の痺れ。不眠、振戦。
肝臓:黄疸、GOT上昇、ALT上昇、ビリルビン値上昇。
血液:好酸球増多。白血球減少。
その他:月経異常、脱毛、倦怠感、血圧上昇、発熱、関節痛、胸痛、浮腫。

経口摂取により貧血、筋障害、末梢神経障害、腎不全が起こり、また死に至った例が報告されている。

いわゆる健康食品としての有害事象の報告は現段階で限られているが、可能性として左記の有害事象の発現は起こりえる。

ゲルマニウムの解毒効果によるダイエット効果を標榜した食品に対し、景品表示法違反(優良誤認)で公取委排除命令→合理的根拠認められない[読売新聞,第4744号,2008.4.2.]。

 

1)志田正二・代表編:化学辞典;森北出版株式会社,1999
2)広川薬科学大辞典[第2版];株式会社廣川書店,1990
3)世間の薬学;薬局,35(8),1984
4)清水俊雄・編:改訂増補版 機能性食品素材便覧;薬事日報社,2006
5)奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典2006-2007改訂新版;東洋医学舎,2006
6)セロシオンカプセル10添付文書,2005.4.改訂

[011.1.PRP:2011.5.27.古泉秀夫]

「アムロジンとグレープフルーツの相互作用」

金曜日, 3月 21st, 2014

 

KW:相互作用・アムロジン・ベシル酸アムロジピン・amlodipine besilate・グレープフルーツ・grapefruit・dihydropyridine系・Ca拮抗薬・CYP3A4

Q:アムロジンとグレープフルーツの相互作用は報告されているか

A:アムロジン錠(大日本住友)は、アムロジピンベシル酸塩(amlodipine besilate)を成分とする薬物である。薬効分類は『高血圧症・狭心症治療薬。持続性Ca拮抗薬』として分類されている。従来、添付文書中に『grapefruit』との相互作用について、特に記載されていなかったが、2010年8月『使用上の注意改訂のお知らせ」の連絡文書が配布され、グレープフルーツジュースとの相互作用に係わる注意が添付文書に記載された経緯について説明がされた。

3.相互作用

本剤の代謝は主として薬物代謝酵素CYP3A4が関与していると考えられている。

併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
グレープフルーツジュース 本剤の降圧作用が増強されるおそれがある。同時服用をしないよう注意すること。 グレープフルーツに含まれる成分が本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する可能性が考えられる。

グレープフルーツジュース

相互作用を検討した臨床試験結果に基づいて、アムロジピンはグレープフルーツジュースとの相互作用は受け難いことが報告されています。また、その一方で、グレープフルーツやグレープフルーツジュースの摂取によってアムロジピンの降圧作用が増強したと疑われた症例が報告され、これらの症例ではグレープフルーツに含まれる成分がアムロジピンの代謝を阻害し、その血中濃度が上昇した可能性が考えられました。したがって、併用注意に追記することとしました。

[アムロジンとの相互作用が疑われた症例]

1.低血圧、失神:(経過)投与129日目:朝アムロジン服用。夜に食事、飲酒後フルーツ(内容不明)摂取。摂取30分後血圧低下感、失神発現。臥位にて回復。

▼再投与64日目:朝グレープフルーツ摂取、20分後アムロジン服用。服用40分後に気分不快、不安感発現、臥床にて回復。グレープフルーツの摂取を避けて投与継続。
2.ショック(血圧低下に伴う意識消失):(経過)発現直前は食事摂取不良の状態で、食事が取れないためグレープフルーツを15日間毎日摂食。

3.低血圧による失神:(経過)グレープフルーツを日常的に摂食。

尚、従来amlodipine besilateとgrapefruitとの相互作用について、次の報告がされている。

amlodipineとGF-jとの相互作用については、使用上の注意に設定されていない。その理由はGF-jによるamlodipineの血中濃度の上昇は軽度(Cmax 115%、AUC 116%に上昇)で、血圧と心拍数に影響はなかったとの報告及び薬物動態と血圧に影響はなかったとする、何れも外国人によるdataが報告されていることによる。

cytochrome  P450(CYP)酸化系酵素の特徴

①ミクロソームに局在し、他は核膜に弱い活性が認められる。
②肝臓における活性が特に強く、他の臓器の活性は1/5-1/30とされる。CYP3A4の活性は腸管で高い
③分子多様性で多数のサブファミリーの酵素が存在する。更に遺伝多型を示す多くの分子種が存在する。
脂溶性の薬のみ酸化
⑤基質特異性が極めて低く、一つの分子種で多くの薬を代謝し、一つの薬の一つの代謝経路にも多くのcytochrome P450が関与する。
⑥多くの化学物質により特殊なcytochrome P450が誘導を受ける。
基質特異性が低いので、他の化学物質により活性が阻害されやすい

経口投与された薬は主として小腸粘膜から吸収され門脈系に入るが、粘膜壁を通過する際、代謝を受ける。特に人の場合には、CYP3A4の発現量がかなり高く、この分子種により主として代謝される薬では小腸における代謝の関与がかなり高い

一方、grapefruitについては次の報告が見られる。

grapefruitが薬物の効力に影響することは、最近では広く知られてきている。grapefruitは肝臓ではなく小腸上皮細胞内のCYP3A4及びP-糖タンパク質(MDR1:multidrug resistance protein 1)を特異的に阻害することが知られている。その結果、これらの基質となる薬の代謝及び小腸管腔への排泄が抑制され、吸収量が顕著に増大する事例がある。更にgrapefruit juiceによる抑制効果は、服用する薬によっては、数日間持続することがあるので、そのように薬物を服用する際にはgrapefruit juiceの飲用を中止することが無難である。

grapefruit juiceの飲用がCYP3A4に影響する原因物質として、従来grapefruit juice中の種々の含有成分が標的とされてきた。しかし最近になって6′,7′-Dihydroxybergamottin(DHB)が、原因物質であることが判明してきた。但し、薬物とDHBとの相互作用だけでは説明のつかない現象が見られ、その部分にはP-糖タンパク質が関与していることで説明されている。

DHBはCYP3A4のmechanism-based inhibition(MBI:不可逆阻害)であることが動物実験により確認されたが、更に単なるCYPの阻害剤ではなく、CYP3A4の分解を促進し、CYP3A4を消失する作用を持つことが判明した。

但し、同じCa拮抗剤でも注射剤では相互作用が見られないということもあり、CYP以外にも何らかの因子がgrapefruit juiceとの相互作用に関与していることが予測され、検証の結果小腸でのP-糖タンパク質が吸収・排泄過程で関与していることが判明した。P-糖タンパク質は、小腸上皮細胞で、有害物質などを体外に排泄する作用を持っている。P-糖タンパク質とCYP3A4の基質・阻害剤は相同性が高いことが知られている。但し、P-糖タンパク質の影響については、現段階では否定的であるとするとする報告も見られる。

1)アムロジン錠添付文書,2007.12.
2)アムロジン錠「サンド」IF,2008.7.
3)アムロジン錠IF,2008.1.
4)高久史麿・他監修:治療薬マニュアル 2008;医学書院,2008
5)中野重行・他編:臨床薬理学 第2版;医学書院,2003
6)大西憲明・編著:一目でわかる医薬品と飲食物・サプリメントの相互作用とそのマネジメント;フジメディカル出版,2003
7)アムロジン錠・OD錠-使用上の注意改訂のお知らせ:大日本住友,2010.8.
8)国立健康・栄養研究所:「健康食品」の安全性・有効性情報; http://www.nih.go.jp/eiken/,2010.9.13.

           [015.2.AML:2008.8.8.古泉秀夫・2010.8.30.改訂]

『感染症の分類-重要な感染症-改訂第2版』

金曜日, 3月 21st, 2014

 

KW:滅菌・消毒・感染症・感染症分類・一類感染症・二類感染症・三類感染症・四類感染症・五類感染症

Q:重要な感染症について、表にまとめたものはあるか。

A:重要な感染症の『重要な』は、取り方によって異なると考えられる。感染症としての『重症度』なのか、あるいは『院内感染』としての重要度なのか、『有効な治療薬がない感染症』であるために重要なのか等である。
しかし、取り敢えずということで、我が国において法律に基づいて分類されている感染症を表示してあるので、それを紹介する。なお、更に詳細な表が必要な場合、『感染症法中の感染症の分類と措置等 第三改訂』を参照すること。

一類感染症 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう(天然痘)、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱 感染力、罹患した場合の重篤性から判断して、危険性が極めて高い感染症
二類感染症 急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る)。 感染力、罹患した場合の重篤性から判断して、危険性が高い感染症
三類感染症 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、 腸チフス、パラチフス 感染力、罹患した場合の重篤性から判断して、危険性は高くないが、特定の職業への就業によって集団発生を起こしうる感染症。
四類感染症 E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽、鳥インフルエンザ、ボツリヌス症、マラリア、野兎病、ウエストナイル熱、エキノコックス症、オウム病、オムスク出血熱、回帰熱、キャサヌル森林熱、コクシジオイデス症、サル痘、腎症候性出血熱、西部ウマ脳炎、ダニ媒介性脳炎、つつが虫病、デング熱、東部ウマ脳炎、ニパウイルス感染症、日本紅斑熱、日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、鼻疽、ブルセラ症、ベネズエラウマ脳炎、ヘンドラウイルス感染症、発しんチフス、ライム病、リッサウイルス感染症、リフトバレー熱、類鼻疽、レジオネラ症、レプトスピラ症、ロッキー山紅斑熱。 既に知られている感染性の疾病であって、動物等の物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして政令で定める感染症。
五類感染症

(全数把握)
ウイルス性肝炎(A型肝炎及びE型肝炎を除く)、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、梅毒。
-省令で定める疾病-
アメーバ赤痢、急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介性脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く)、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血レンサ球菌感染症、ジアルジア症、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風しん症候群、破傷風、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症。

(定点)
インフルエンザ(鳥インフルエンザを除く)、性器クラミジア感染症、麻しん、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症。
-省令で定める疾病-
RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、クラミジア肺炎(オウム病を除く)、細菌性髄膜炎、水痘、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ(尖形コンジロームから変更)、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、百日咳、風しん、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎、薬剤耐性緑膿菌感染症、流行性角膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症。

国が感染症発生動向調査を行い、その結果などに基づいて必要な情報を一般国民や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・拡大を防止すべき感染症

 

今回、結核予防法が廃止(2007.4.1.)に伴い、『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』中に取込まれ、『二類感染症』として追加された。
また、今回、bio terrorへの使用が予測されるvirusが追加されており、その意味で重要な感染症の一覧とすることができる。

1)官報 号外第239号,15.10.16.
2)岡部信彦:感染症対策・予防接種の知識;調剤と情報,9(12):1679-1683(2003.11)
3)官報 号外第251号,15.10.30.
4)官報 第3716号,15.10.22.
5)基本医療六法編纂委員会・編:基本医療六法;中央法規,2002

   [615.28.INF:2004.1.12.古泉秀夫・2007.4.9.改訂]

『戦跡巡り第三弾』

金曜日, 3月 21st, 2014

                     鬼城竜生

戦跡巡り第三弾として『靖国神社・遊就館見学ツアー』が企画された。2013年10月11日(金曜日)、快晴の一日を約束する朝を迎えたが、今日はどういう訳か新宿区内の戦跡巡り第靖国-01靖国-02靖国-03三弾として靖国神社を見学し、遊就館なる付属の記念館を見学することになっていた。

都営浅草線で日本橋まで行き、東西線に乗り換えて九段下で下車、大鳥居の前で午後一時に待ち合わせる約束になっていた。大鳥居はこの神社の第一鳥居で、初代は大正十年五月(1921)に、日本一の鳥居として完成、高さ21m、笠木(最上部横幅)30cm。昭和十八年九月(1943)老朽化のため解体、撤去された。現在の鳥居は昭和四十九年(1974)に再建された物で、高さは25mあるとされる。

社号標は、神社正面入口の右側に石柱に『靖国神社』彫られた物が配置されているが、従来は上段に『別格官幣社』と彫られていたが、戦後、上部は切除されたものだという。『別格官幣社』とは近代社格制度により、明治維新以降、『延喜式』に倣って、新たに神社を等級化する制度である。しかし、第二次世界大戦後の昭和二十一年にGHQの命令により廃止されたが、今日でも「旧社格」などの名称で神社の格を表す目安とされる。『別格官幣社』とは、国家に功績を挙げた忠臣を祭神として祀る神社など、官幣社でも国幣社でもない官社のために別格官幣社が創設されたと説明されている。

次に眼に付くのは狛犬で、高い台の上に乗っているが、『あ・ん』のオーソドックスな狛犬である。その近くに『あ・ん』の関係なしに鎮座している狛犬は、日清戦争(1894-95年)の最中、海靖国-04靖国-05城の山学寺が日本軍の野戦病院として使用されていた。その時軍医総監が、軍司令官を訪ねたおり、この獅子像にいたく感動したという話をしたところ、そんなにいいものならぜひ日本に持っていき、「陛下の叡覧に供して大御心の程を慰め奉りたい」ということになったと云うことである。元は清国海城三学寺にあったものを、対価を払って持ち込んだと云うことで「戦利品」ではないとされている。

明治二十年(1887)に完成した第二鳥居は、青銅製で、青銅鳥居としては日本一の大きさだという。第一と第二の鳥居の間には、大村益次郎の銅像が建てられており、当たりを睥睨しているが、顔は、若干腐蝕されているように見えるため、よく解らない。彼の銅像がある意味は、近代日本陸軍の創設者で、靖国神社の創建に尽力したためとされている。但し、大村益次郎は明治二年十一月(1869)に逝去とされている。靖国神社の起源は明治二年六月に建てられた東京招魂社に遡るとされているため、厳密に言えば東京招魂社の創建に尽力したと云うことなのだろう。

靖国-06靖国-07第二鳥居の跡に神門があり、その後中門鳥居があり拝殿、本殿と続く。本殿の後ろに配置されているのが心霊を合祀する際に用いる霊璽簿奉安殿があるとされる。本殿の左横に明治維新時代に斃れた志士の霊を祀っていた京都の社を持ち込んだ靖国の先進となった元宮、戦争や事変で亡くなり、靖国に合祀されない国内、国外及び諸外国の人が祀られている鎮霊社の二つが並んで祀られていた。

境内の奥に“神池庭園”がある。この庭園は明治の初めに作られたと云うが、平成十一年(1999)の復元工事で、全国有数の名園であることが解ったという紹介がされている。回遊式のこの庭園は、深い山の中を思わせる滝石組みが一番の見所とされているが、花崗岩の直橋は日本一の長さと紹介されている。春、桜の時期には都内では珍しい枝垂れ桜が咲いているが、“紅枝垂れ桜”の名札がぶら下げてあったと思うが、メモしてこなかったので確証はない。

靖国神社は今回で二度目である。一度目はこの桜の見物と御朱印を頂戴するために訪問した。その時気付かず、今回教えて貰ったものに第二鳥居の前にある大灯籠がある。富国徴兵保険相互会社が奉納した燈籠であるが、台座の周囲に、『日本赤十字救護看護婦の活動』等、日清戦争から満州事変までの軍事活動を描いたレリーフが埋め込まれている。前回もこの前を通ったが、これには気が付かなかった。それと今回、田安門側に建っている高燈籠(九段灯明台)についても、今回の案内人H氏の説明で初めて分かった。

靖国-08高燈籠は、靖国神社正面の常夜灯として明治四年(1871)に建設されたものだという。東京招魂社に祭られた霊のために建てられたものだという。正式には高燈篭というが、常燈明台ともいわれていると説明されている。当時、九段坂の上からは、遠く筑波山や房州の山々まで見渡すことができ、品川沖を行きかう船にとっては大変良い目印として灯台の役目も果たしていたという。当初は靖国通りをはさんで反対側に建てられていたが、道路の改修に伴い昭和五年(1930)に現在地に移転したものだという。

最後に遊就館を見学することになったが、隅から隅まで熱心に見ると6時間位掛かると云うことで、今回は2時間程度しか時間がなく、速歩の見学となった。兎に角膨大な資料に圧倒されたのと、第二次世界大戦の資料を見て、その御粗末な性能にこれでは勝てなかったなと云う思いに捉えられた。足を伸ばした環境省千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、時間が遅く門扉は閉められていた。

この後、H氏の私設ミュージアムに寄って、最近手に入れた竹下夢二の肉筆画なるものを見せて戴いたが、女性の腰回りの描写が夢二流ではなかったような気がしたが、一度専門家に鑑定して貰ったほうが良いかもしれない。

本日の総歩行数は8,998歩で、残念ながら一万歩にはならなかった。

       (2013.10.25.)