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『期間業務職員とは何か?』

金曜日, 2月 28th, 2014

   魍魎亭主人

全日本国立医療労働組合の新聞に『賃金職員・期間業務職員の雇用と継続』という言葉が出てきた。国立ハンセン病療養所の職員の話である。

定員と全く同様の勤務形態で、同様の業務に従事しているという。『賃金職員』という言葉は、現役の頃に耳慣れた言葉であるが、“期間業務職員”という言葉は耳新しい。いずれにしろ両者『定員外職員』のことだとすれば、何故、“期間業務職員”なのか。

“期間業務職員”と聞くと、草むしりや溝浚い程度の季節限定の短期の労務ではないかと思われるが、聞くところによると、本来職員がやるべきものを、ハンセン病療養所の入所者が代行して行っており、入所者の高齢化と共に、出来なくなった仕事を代行するための職員だという。

入所者がしていた仕事として土木作業、炊事洗濯、重症患者の世話、療友の火葬、屎尿処理等、本来入所者以外の職員がやるべき作業を強制されていた。その他にも病棟付添、不自由者付添、治療手伝という名目で、入所者に看護作業をさせていたという。

これらの作業を行うために、雇用する職員を厚労省は“期間業務職員”と呼称しているようである。しかし、患者が出来なくなった作業を短期の労務として行うことは困難であり、結局、『賃金職員』と同じ勤務形態になる。つまり両者とも定員外職員=非正規雇用の労働者と云うことでは、同じことなのである。わざわざ名称を“賃金職員”と“期間業務職員”に区分けすることはない。

職員の名称をわざわざ区分して示すと云うことは、日勤単価や諸休暇等の労働条件が従前雇用されている“賃金職員”とは異なると云うことを意味しているのではないか。厚労省はハンセン病療養所の運営と同時に労働者の権利を守る立場にある。その厚労省が本来定員で配置しなければならない職員を定員外職員の配置で済ますと云うことは、在ってはならないことではないのか。

ましてハンセン病療養所の問題である。根拠のない理由で、永年に亘り差別されてきた入所者に対して、年齢的な問題から労務の提供が出来なくなり、その代替として人を採用するとすれば、新しい名称を付けて、あたかも短期の雇用に見えるような採用の姿を見せる必要はない。

ハンセン病療養所入所者に対する対応については、厚労省は覚悟を決めることである。理屈ではなく、国家として永年非人道的な扱いをしてきたのである。財源問題を云々するのではなく、彼らの生活環境を変えるために、国家として最大限の対応を取るというという覚悟を決めることである。その考えに立てば“期間業務職員”等という姑息な人の配置ではなく、必要人員は定員で配置すべきである。第一公務員の定員管理として総定員法による管理がされているが、厚労省は自分のところに係る定員削減枠を附属機関である国立病院・療養所の定員操作で逃れてきた。最終的にはハンセン病療養所以外の国立病院・療養所の職員は全て公務員の枠外にしようと考えている。

その中でハンセン病療養所の職員のみが国家公務員で残されることになったのは、その成り立ちの特殊性と、従来のハンセン病療養所の在りようを反省したからではなかったのか。もしそうであれば国家としての立ち位置を明確にすべきである。

       (2013.10.29.)