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『かたくりの花』

日曜日, 10月 27th, 2013

                鬼城竜生

八王子にある片倉城跡公園に“かたくりの花”の写真を撮りに行った。しかし時期が早くて、僅かな花しか咲いていなかった。それ以降、殿ケ谷戸庭園に“かたくりの花”が咲くと云うことで、狙いカタクリ-001カタクリ-003を付けていたのだが、機会を逃して見に行くことができないでいた。

今年3月、新聞に練馬区大泉町にある“清水山憩いの森”で“かたくりの花”が咲いており、見頃を迎えているという新聞記事を偶然眼にした。練馬区と云ってもあまり印象のある区ではなく、“清水山憩いの森”と云われてもどの当たりか見当が付かない。そこで調べて見たところ、練馬区大泉町にある“清水山憩いの森”は、野性のカタクリが群生している所だというのが解った。

当日、憩いの森で配布されていた四つ折りの説明によれば、『“清水山憩いの森”は練馬区の北西部を流れる白子川沿いの、北斜面にある。主な樹種はコナラ・イヌシデ・クヌギ・エゴノキ等の植生を示す雑木林である。林床にはカタクリを初めヤマホトトギス、キツネノカミソリ、ヤマブキソウ等、この付近では少なくなってしまった野草をそれぞれの季節に見ることができます。

なかでもカタクリは、この林に約30万株あると推定されています。その半数近くの株が、毎年交代で花を咲かせていると考えられ、春には一面に紫紅色となります。カタクリは冬から早春にかけカタクリ-002カタクリ-004て、陽光が降りそそぐ、湿り気のある落葉樹林に見られます。関東地方では普通、北向きの斜面林に多く見られ、この清水山憩いの森もカタクリの自生地として適しているようです。』

東京23区内で、現在確認されている唯一カタクリの自生地で、1976年以降は大切に保護されているという。春先には緑色の葉と薄い紫紅色の花が、一枚の大きなジュータンのように森の中に敷きつめる。紫紅色の花は、晴れた日の朝に開き、気温が下がる夕方に閉じる。曇りや雨の日、寒い日には花が開かないこともあるので、よく晴れた暖かい日が見頃となる。カタクリは花の後、実が熟し、種子を飛ばす。種子は次に花を咲かせるまで長い歳月を土の中で、鱗茎に養分を蓄えながら過ごし、平均8年目でようやく2枚の葉を出す。それからやっと花を咲かせる。だが、咲いた花の寿命は僅かに10日程度と短い。紫紅色の小さな花びらを6枚、宙に向かって反り返らせたカタクリの花。どこか菫に似た可憐な姿に心を引かれる人も多い。

カタクリはユリ科に属する多カタクリ-005年草で、地下に鱗茎を持つ球根植物である。花は2枚の葉の間から出る15cm程度の茎の先に1個つく。紫紅色の6枚の花弁を持ち、下向きに咲く。花弁の内側の濃い紅色の模様は、花の蜜のある場所を示す印だとされている。

カタクリは種子から花が咲くまで7-8年掛かると云われている。発芽1年目は針のような葉を着け、その後数年間は一枚葉で次第に成長し、7-8年目に二枚葉を出して花を咲かせる。自然の状態では花を付けた翌年は一枚葉となり、開花を休む。カタクリは2月下旬頃から地上に芽を出し始めるが、3月中旬頃に出る茶褐色の芽は一枚葉に成長、花は咲かない。3月中旬頃から二枚葉になる芽が出てきて花を付ける。

4月中旬頃まで次々と花を咲かせ、その後結実期に入り、5月中旬頃までに葉は枯れ地表から完全に姿を消してしまう。カタクリが地表に姿を見せるのは1年のうち極僅かの期間である。2ヵ月という地上での生活で鱗茎は養分を蓄え、成長しながら少しずつ地中に潜り、地表下15-20cmの深さに定着するとされている。

大江戸線の“光が丘駅”からバスで土支田二丁目バス停下車、徒歩約300mという行程を信じて2013年3月28日(木曜日)にかみさんと出かけた。時期としては良かったようで、写真を何枚か写したが、兎に角難しい。何せ下向きに花が咲いており、下から煽りたくとも茎の長さが短いため、地面にカメラを置いたとしても、巧く撮れるという保証はない。そういえば、現場には近所の方々が面倒を見るために出張っていたが、飾ってあった写真は、流石というものが見られた。また白い花の写真があったが、白い花は稀にしか咲かないようである。総歩行数は5,059歩と少なかった。

             (2013.5.7.)