Archive for 6月 23rd, 2013

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「管花地精について」

日曜日, 6月 23rd, 2013

 

KW:健康食品・管花地精・肉蓯蓉・オニク・ホンオニク・肉蓯蓉・ニクジュヨウ・蓯蓉・ジュヨウ・迷肉蓯蓉

Q:TVで『管花地精』と称する植物を不老長寿の植物として紹介していたが、これは何か

A:別名『管花地精』は、シルクロードの歴史に伝えられる中国新疆(シンキョウ)地方の高地や砂漠地帯に自生するハマウツボ科の植物、肉蓯蓉(ニクジュヨウ)あるいは蓯蓉(ジュヨウ)、迷肉蓯蓉等の肉質茎。
異名:肉松蓉(ニクショウヨウ)、蓯蓉、地精(チセイ)、金筍(キンジュン)、大蕓(ダイウン)。[『従』は草冠、『雲』は草冠付] 。
原植物
1.肉蓯蓉(Cistanche salsa(C.A.Mey.)G.Beck)。多年生寄生草本、高さ15-40cm。茎は多肉質で肥厚し、円柱形、黄色、分枝しないか時には基部から2-3分枝する。種子は多数、開花期は5-6月、結実期は6-7月。アルカリ性の土地、枯れた川や溝の砂地、ゴビ砂漠一帯に生える。紅砂や塩爪爪、着葉塩爪、珍珠、西伯利亜白刺等の根に寄生する。本品は微量のアルカロイド、及び結晶性の中性物質を含む。その他、フェニルエタノイド配糖体、アクテオシド、イリドイド、D-マンニトール、β-シトステロール等も含有する。
2.蓯蓉(Cistanche deserticola Y.C.Ma)。多年性寄生草本。高さ1mに達する。形は肉蓯蓉と似ているが、茎の鱗片状葉は抜針形又は線状抜針形。湖の周辺、砂地、林に生え、木の根に寄生する。
3.迷肉蓯蓉(Cistanche ambigua(Bge.)G. Beck)。多年生の寄生草本、茎の基部が特に肥厚している。砂地、林中に生え木の根に寄生する。アルカロイドが含まれている。

オニク(Boschniakia rossica Fedtsch.et Flerov)。本品は本州中部以北から北海道の高山に自生するミヤマハンノキに寄生。更に千島列島、カムチャッカ、中国、東シベリアから北米西部と広範囲に分布している。
オニクはハマウツボ科のオニク属の1年草。肉蓯蓉(ニクジユヨウ、ニクソウヨウ)を尊重して御肉(オンニク)と呼び、それがオニクとなった。我が国のオニクは中国産と区別するため和肉蓯蓉としている。
別名:キムラタケ(キンマラダケの略)、オカサダケ(方言)。
中国産肉蓯蓉はホンオニクと呼んでオニクと区別されているが、これは同じハマウツボ科のホンオニク属に分類される多年草である。内蒙古、甘粛、陜西、新疆、ロシアなどの砂漠地帯で、塩分が多くて特殊な草木しか生育しないような不毛の地に、主に自生している。ホンオニクの学名『サルサ』は塩の意味である。
オニクの成分としてボシニアラクトン、ボニシアキンという塩素性物質が報告されている。
適応:強壮、強精

1)上海科学技術出版社・編:中薬大辞典;株式会社小学館,1985
2)伊澤一男:薬草カラー大事典;株式会社主婦の友社,1998
3)http://www.kanpoyaku-nakaya.com/nikujuyou.html,2004.5.25.

           [015.9.CIS:2004.5.25.古泉秀夫]

「メルスモンの適応外使用について」

日曜日, 6月 23rd, 2013

 

KW:薬物療法・適応外使用・メルスモン・melsmon・胎盤絨毛分解物・胎盤・placenta・プラセンタエキス・placenta extract・ラエンネック・laennec

Q:メルスモンの使用方法-保険適応外使用について

A:メルスモン(melsmon;メルスモン製薬株式会社)は、胎盤絨毛分解物の水溶性物質で多種アミノ酸を含有する。本品2mL中には100mgの水溶性物質(エキス)を含む。添加物として無痛化剤、ベンジルアルコール0.03mLを含む等の報告がされている。

本品の成分である胎盤(placenta)抽出エキス(placenta extract)は、最近美容目的での用途が拡大しておりエステや化粧品業界で先行していたが、食品機能としても注目されるようになってきた。それに伴って、美容外科、診療所等でメルスモン等を用いて種々の治療が試みられている。

メルスモンの承認適応は『更年期障害、乳汁分泌不全』であり、それ以外の使用は全て適応外使用である。また、ヒト胎盤由来製剤であるラエンネック(laennec;株式会社日本生物製剤)の承認適応は『慢性肝炎における肝機能の改善』であり、本剤の場合もその他の使用例は適応外使用である。なお、ラエンネックでは薬効・薬理として肝再生促進作用・抗脂肝作用・組織呼吸賦活作用・間質結合織の吸収促進作用等が報告されている。

placenta extractの薬効・薬理については、作用機序については未だ十分明らかではないが、細胞呼吸促進・創傷治癒促進・抗疲労等の諸作用が認められており、これら多種多様な生物学的活性作用が広汎な生体過程への賦活作用を示し、組織細胞の新陳代謝を高め、身体の異常状態を正常化するとしている。

その他、現在までに報告されている薬理作用として自律神経調整作用、強肝・解毒作用、基礎代謝向上作用、免疫賦活作用、抗炎症・創傷回復促進作用、内分泌調整作用、血行促進作用、造血作用等がある。また、抗アレルギー作用、肉芽形成促進作用、疲労回復作用、貧血改善作用、抗突然変異作用等が確認されているの報告も見られる。

placenta extractの現在までに確認されている成分は、下記の通りであると報告されている。

核酸関連成分 ウラシル、アデニン、グアニン、チミン、シトシン等
アミノ酸 リジン、アラニン、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、グリシン、バリン、セリン、チロシン、フェニルアラニン、スレオニン、アルギニン、プロリン、シスチン、イソロイシン、メチオニン、ヒスチジン等
ミネラル ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等
その他 キサンチン等

両剤の承認適応以外での使用は、何れも自費扱いであり、ルール上は全ての診療が自費扱いとされる。

1)メルスモン添付文書,2000.4.改訂
2)医学大辞典;南山堂,1992
3)健康産業流通新聞,2000.6.8.
4)ラエンネック添付文書,1999.4.改訂

[035.1.MEL:2001.7.17.古泉秀夫]

「利尿剤の効力比較」

日曜日, 6月 23rd, 2013

 

KW:臨床薬理・薬効薬理・利尿剤・効力比較・ラシックス・furosemide・ループ利尿薬・フルイトラン錠trichlormethiazide・thiazide系利尿薬

Q:ラシックス錠40mgを服用中の患者が頻繁に排尿を訴える。フルイトラン錠に変更することで、排尿頻度を下げることは可能か。

A:次の通り報告されている。
ラシックス(サノフィ)は、1錠中にfurosemideを10・20・40mgを含有する製剤と1g中に40mgを含有するラシックス細粒4%の製剤が存在する。
furosemideはループ利尿薬に分類される薬で、利尿効果を目的とする場合は、ループ利尿薬を使用する。ループ利尿薬は、利尿効果は強力であるが、降圧効果は比較的弱い。うっ血性心不全、他の浮腫あるいは体液貯留等利尿効果の期待される疾患では第一選択薬である。ループ利尿薬はヘレン係蹄の上行脚髄質において管腔側より作用し、Na、chlorideの再吸収を抑制する。

利点:①強力な利尿効果がある。②多用量まで直線的な用量-効果関係にある。③増量によって効果が増強する。④腎機能低下例でも有効である。
欠点:①利尿効果が強すぎ、脱水、電解質異常、血栓塞栓症等を惹起することがある。②薬剤間で利尿効果に大きな差はないが、furosemideが用いられることが多い。
等の報告が見られる。また、利尿効果を期待する場合にはループ利尿薬が主に用いられるが、利尿効果が強力すぎる場合には、サイアザイド系利尿薬を用いる。

§健常人に40mgを経口投与したとき、血中濃度のピークは1-2時間目に最大、半減期は3.54±0.77時間。経口投与後1時間以内に効果発現、約6時間持続する。大部分が代謝を受けずに未変化体として尿と糞便中に排泄される。健常人に経口投与時、24時間後には尿中排泄はなくなり、蓄積作用は認められない。蛋白結合率:91-99%(主にalbumin)。

§本剤の利尿効果をラットの尿中Na排泄量でみると、その最大Na排泄量はチアジド系薬剤の約3倍を示し、最小有効量10mg/kgから最大有効量100mg/kgと幅広い薬用量を持つ

フルイトラン錠(塩野義)は、1錠中にtrichlormethiazideを1・2mg含有する製剤が存在する。
trichlormethiazideはthiazide系利尿薬に分類される薬で、降圧効果を目的とする場合は、thiazide系利尿薬を使用する。遠位尿細管でのNa再吸収を抑制することにより、短期的には循環血液量を減少させ、長期的には末梢血管抵抗を低下させる。但し血清クレアチン2.0mg/dL以上では無効であり使用を避ける。腎機能低下例ではループ利尿薬を用いる。少量(1/4-半錠)を使用することにより、降圧効果を損ねずに、低K血症、耐糖能悪化、高尿酸血症等代謝系への悪影響を最小化することが出来る。

§thiazide系利尿薬は降圧薬として高血圧症に対する第一選択薬の一つである。最近では、使用量を少量にとどめ、他剤との併用が行われている。angiotensin受容体阻害薬との合剤が使用可能となっている。

利点:①有効率が高い、②至適用量の個人差が小さい、③効果の発現が緩徐で、過度の高圧を来さない、④起立性低血圧がない、⑤薬剤耐性になり難い、⑥1日1回の服用で済む、⑦他の降圧薬による体内水分貯留傾向を解消することにより降圧効果を増強する、⑧安価である、⑨豊富な使用経験と、長期投与の実績がある、⑩Ca再吸収を促進し、骨粗鬆症等の骨疾患に有益である可能性がある。
欠点:①有効量の幅が狭く、それ以上に増量しても効果は増大しない、②腎機能低下例(血清クレアチニン2mg/dL以上)では効果が弱い、③副作用、特に代謝面への影響がある(常にチェックする必要がある)。

§thiazide系利尿薬は遠位尿細管におけるNa、chlorideの再吸収を抑制する。trichlormethiazideは約2時間で作用が発現し、約6時間で最高に達し、約24時間持続する。消失半減期は6時間、作用持続時間は約6時間。24時間後までの尿中累積排泄率は68.2±4.3%(mean±S.E.)であった。蛋白結合率:85%。

§furosemideの効能又は効果は『高血圧症(本態性、腎性等)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、末梢血管障害による浮腫、尿路結石排出促進』とされており、心性浮腫を治療目的としていたとすれば、簡単にtrichlormethiazideに変更することは難しいと考えられる。患者は現在furosemide 40mg錠の投与を受けており、取り敢えず半量の20mg錠の投与を検討してはどうかと考える。

1)ラシックス錠添付文書,2012.10.
2)フルイトラン錠添付文書,2011.2.
3)大阪府病院薬剤師会・編:全訂医薬品要覧;薬業時報社,1984
4)高久史麿・他監:治療薬マニュアル2013;医学書院,2013
5)大内尉義・他編:疾患と治療薬-医師・薬剤師のためのマニュアル-改訂第5版;南江堂,2003

         [015.4.FUR:2013.4.30.古泉秀夫]