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「エスタブリッシュ医薬品について」

水曜日, 4月 17th, 2013

KW:語彙解釈・エスタブリッシュ医薬品・establish  drug・長期収載医薬品・後発医薬品・標準的医薬品

Q:最近業界紙で「エスタブリッシュ医薬品」なる用語を見たがこれはどういう範疇に入る医薬品か

A: 「エスタブリッシュ医薬品(establish  drug)」とは、ファイザー製薬が後発医薬品の製造販売を実施する上での戦略的立場で打ち出した概念である。同社は二律背反にある『長期収載医薬品と後発医薬品』を販売するに際し、『エスタブリッシュ医薬品』(特許のない標準的医薬品)として独立した医薬品事業部門を確立した。また『エスタブリッシュ医薬品』の取扱について、MRには疾患や薬物療法など一般的知識が必要になるとしており、会社全体としてMRのキャリアパスデザインに影響する部署になることを期待しているようである。

現在、厚生労働省は医療費の抑制を強化するということで、特許切れの従来ゾロと称していた医薬品を、後発品あるいはジェネリックと称して、利用の強化に取り組んでいる。それを受ける企業の方は、行政の使用推奨策に乗っているだけで、売り上げが伸びるという現状に、満面の笑みを浮かべているようである。

所で後発会社は、単純に売り上げが増えることを喜んでいるように見えるが、ゾロといえども医薬品である。医薬品というのは『情報の集積体』である。情報の管理が出来ない企業に薬の販売はして欲しくない。医薬品というのは、病気の治療をするという役割を担っている重要物質であるが、同時に有害反応という命に係わる問題も起こす物質なのである。

医薬品の取扱において最優先させるべきは安全であり、安全な使用には情報の提供を行うことが必要なのである。『エスタブリッシュ医薬品』という命名の是非については議論のある所かもしれないが、『長期収載医薬品と後発医薬品』を取り扱う部署としてMRの配置も含めて確立するという姿勢は、評価すべきだろう。

1)RISFAX,第6061号,H.24.4.11.

        [615.8.EST:2013.3.25.古泉秀夫]