KW:物理化学的性状・配合変化・ラシックス注・ソルデム3輸液・フロセミド・furosemide
Q:ラシックス注をソルデム3輸液の管側から投与してもよいか
A:ラシックス注の性状及び用法・用量について次の報告がされている。
ラシックス注20mg・100mg/管[サノフィ-日医工サノフィ]
成分:1管2mL中日局フロセミド(furosemide)20mg・10mL中100mg含有。
添加物:塩化ナトリウム・pH調節剤:適量。
pH:8.6-9.6。(変化点pH:6.32で白濁→沈殿)
褐色アンプル入り、無色澄明な液体。
浸透圧比:約1(0.9%生理食塩液に対する比)。本品は希水酸化ナトリウム試液に溶ける。本品は光によって徐々に着色する。
用法・用量:通常、成人にはフロセミドとして1日1回20mgを静脈注射又は筋肉内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。腎機能不全等の場合にはさらに大量に用いることもある。
適用上の注意:静脈注射時:緩徐に投与すること。特に、大量静脈注射の必要がある場合には、毎分4mg以下となるよう投与速度を調節すること。[大量を急速に静脈注射した場合に難聴があらわれやすい。]
貯法:遮光・室温保存。
<ラシックス注は以下の薬剤との配合により混濁を生じた>
アクラシノン注射用(pH:5.0-6.5→pH7以上の注射液とは配合不可) 、アプレゾリン注射用(pH:3.5-5.0)、アリナミンF25mg・50mg・100mg注(pH:3.3-4.3)、ケタラール静注用(pH:3.5-5.5)、サイレース静注(pH:3.5-5.5)、注射用サイメリン(pH:4.0-6.0)、セファランチン注10mg(pH:2.5-3.5)、タガメット注射液(pH:4.5-6.0)、ダカルバジン注用(pH:3.0-4.0)、テラルビシン注射用(pH:5.0-6.5→pH6付近が最も安定、酸性側(pH5以下)及びアルカリ性側(pH8以上)で経時的に力価低下)、ドイル静注用(pH:6.8-7.8)、ドルミカム注射液(pH:2.8-3.8→本剤は酸性溶液で安定、pHが高くなると沈殿や白濁を生ずることがある。アルカリ性注射液との配合は避ける)、ニトログリセリン注(pH:3.5-6.0)、ネオラミン・スリービー液(pH:3.0-5.0)、ノバントロン注(pH:3.0-4.5)、パントシン注(pH:4.2-5.2)、ピノルビン注射用(pH:5.0-6.57→pH6付近が最も安定で、酸性側 (pH5以下)及びアルカリ性側 (pH8以上) で経時的に力価低下)、ファルモルビシン注射用(pH:4.5-6.0) 、フェロン注射用(pH:4.5-5.5)、プロタノールL注(pH:3.5-5.0)、ペルサンチン静注(pH:2.5-3.0) 、ミノマイシン点滴静注用(pH:2.0-3.5)、メイセリン静注用(pH:4.5-6.0)、メタボリン注射液(pH:2.5-4.5)、モダシン静注用(pH:5.8-7.8)、注射用ルシドリール(pH:3.5-4.5)、ロヒプノール静注用(pH:3.5-5.5→アルカリ性側で黄変)
ソルデム3輸液(200mL・500mL)[テルモ]
-ブドウ糖-電解質液 (維持液)-
組成:1袋 200mL中
ブドウ糖 |
5.4g |
塩化ナトリウム |
0.350g |
塩化カリウム |
0.30g |
L-乳酸ナトリウム液 (L-乳酸ナトリウムとして)
|
0.896g (0.448g) |
〈電解質量〉1袋 200mL中
Na+ |
10mEq |
Cl? |
10mEq |
K+ |
4mEq |
L-Lactate? |
4mEq |
〈熱量〉:1袋 200mL中21.6kcal。
pH:4.5-7.0 。浸透圧比:約0.9 (生理食塩液に対する比) 。
用法・用量:通常成人1回500-1000mLを点滴静注する。投与速度は通常成人1時間あたり300-500mL、小児の場合、1時間あたり50-100mLとする。なお、年齢、症状、体重により適宜増減する。
貯法:室温保存。
<ソルデム3>
配合薬剤 (会社名) |
含量 |
輸液量 |
配合変化 |
ファンギゾン (ブリストル) |
50mg |
500mL |
配合直後黄色混濁 |
ドイル注射用 (田辺三菱) |
2g |
500mL |
24時間以内に力価低下 |
ソルダクトン静注用(ファイザー) |
200mg |
500mL |
1時間以内に混濁 |
ソルダクトン静注用(ファイザー) |
200mg |
500mL |
配合直後に沈殿混濁 |
アレビアチン注 (大日本住友) |
250mg |
500mL |
1時間以内に混濁 |
ラシックス注のpHは8.6-9.6で、変化点pH:6.32で白濁→沈殿の変化を起こすと報告されている。ソルデム3輸液のpHは4.5-7.0であり、pH7.0の製品であれば、両剤間に配合変化は起きないと考えられるが、pH4.5の製品ではあるいは変化を起こす可能性が予測されるが、側管から投与する場合、接触面が少ないことが考えられるので、変化は見られない可能性がある。またラシックス注の大量投与時以外、注射速度の規定はないので、側管からの投与は問題ないと考える。但し、製品のpHによって変化が見られる場合も考えられるので、注入終了時までの観察が必要である。
1)ラシックス注添付文書,2012.10.
2)ソルデム3輸液添付文書,2011.12.
3)日本薬局方フロセミド注IF,2012.3.
4)ソルデム3輸液IF,2006.3.
[014.26FUR:2012.10.6.古泉秀夫]