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「山百合」

日曜日, 10月 21st, 2012

   鬼城竜生

7月4日(水曜日)京浜急行の三崎口から三浦市初声町下宮田にある飯盛山妙音寺に出かけた。何年か前に来た時は、駅前の通りを左に取り、水戸入口を過ぎ、三叉路を左に、三妙音寺-001崎高校前を過ぎ半次商店の前を左に、更に突き当たりの道を降りながら左に曲がるという、昔の道を使ったが、今回は駅前交番の信号を過ぎて左に行き右に曲がって坂を下り、飯盛団地の中を通って、殆ど道なりに右側に拠っていくとやがて妙音寺に辿り着く。

この時期妙音寺を訪問する目的は、山百合の花を見るという目的のためである。妙音寺は、お寺の説明によると『花と石仏によって構成する妙音寺裏山の一帯を「花山曼荼羅」という。浄土の世界を現世に表現した、まさに「花浄土」であり、主たる花「山ゆり」をはじめ、桜、梅、スイセン、ツツジ、ハス、アジサイ、キキョウなど、延べ50種3,200本の花木によって彩られている』というものである。これからの季節は、花芍薬が終わり、鉄砲百合、桔梗と続き、更に6月の花、山百合へ続き、アジサイ、そして蓮と続くとされている。

前回来た時には明らかに山百合の花が賑やかに眼に付いたが、今回はどういう訳か咲き終わった花とまだ蕾のままという情景が見られた。自生の山百合(一部植栽)約600株あるとされるが、自生の山百合と植栽の百合との花期が合わないのが今の状況ではないのかと思われた。

庭で仕事をしている方に「蕾が多いところを見ると山百合の時期としてはまだ速いということですかね」とお訊ねしたところ「蕾の花は別な物です。和尚が何処かに出かけた時に山百合と云われて買ってきたようですが、少し違うようですね」とのことであった。前回訪問時に山の手入れを始めたら花の数が減ってきたという話をされていたが、境内の問題ではなくて、周辺の開発が進み、住宅が建ち並ぶという、自然環境の変化が影響しているのではないか。廻りの木々は切ら妙音寺-002妙音寺-003れ、草は刈られ、熱せられた風が吹きすぎ、灼熱の太陽は地べたを焼き尽くす。

涼やかな風が吹き、直射日光に地べたを灼かれることもなく、降った雨は山の草木に確保され、常に一定の湿度が保たれている。そんな自然環境の中だから山百合の群生地になっていたと思われるが、あまりにも環境が変わりすぎている。多分そのために自生の山百合の数が減ったものと思われるが、それを考えると自生の山百合を復活することは難しいのではないかと思われる。

折角、和尚さんが買ってきた山百合擬きは、もし山百合だとしても明らかに妙音寺の原生種とは異なっているようであり、花の咲き様が違っている。懸命に復活の努力をされている様であるが、一度壊してしまった自然は戻らない。妙音寺の境内に今でも原生種の群落が見られるところがある様である。前回来た時には見ることが出来たが、今回は通行止めになっていて、竹垣の向に隠されている山百合の花は見ることができなかった。

帰りに、三崎口の飲み屋に寄り、刺身を摘みにして冷や酒を飲むことで昼飯代わりにしたた。何か鮪の加工品でも買おうと寄った売店で、売店の女性が花を見に来たんですかと声を掛けてくれた。そうだけど間だ蕾が多くて、山百合は駄目だったと言ったら、
「あら先週のお客さんは見事な花が見られたと仰ってましたよ」と言った。
「へえー今日は、花の萎んだ奴、未だ咲かない奴とバラバラでしたがね」
「どうしたんでしょうかね。」

という話になったが、山百合は先週が最盛期だったのかもしれない。本日の総歩行数は6,429歩。

          [2012.7.8.]