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『フィジカルアセスメントについて』

火曜日, 7月 19th, 2011

 

KW:語彙解釈・フィジカルアセスメント・physical・assessment・身体的・査定・評価・身体的情報評価

Q:最近薬剤師あるいは看護師の仕事の関係で「フィジカルアセスメント」という言葉を聞くが、全く同じ意味で解釈していいのか

A:physicalは「?身体の、肉体の;身体的な、肉体的要求の、肉欲の。?物質[界]の、自然[界]の;自然の法則に従った。?物理の、物理的;物理的科学の、自然科学の」意味である。
assessmentは「?課税、賦課;査定;評価、?査定額;課税額;評価される価値」の意味である。

physical assessmentは「physical=身体的な」、「assessment=情報を意図的に収集して判断する」とする意味付けも見られるが、直訳すると「物理的評価」あるいは「肉体的評価」である。その他、「身体に現れる情報を収集し、整理し、意味付けするという一連の作業」とする報告もされている。

看護職の言うフィジカルアセスメントは、医師の診察が最先端の医療機器を用いた診断になっており、正確で詳細なデータの補足は可能になったが、医師本人が患者に接し、打診・聴診・触診をする機会が減少している。そこで代替行為として看護師によるフィジカルアセスメント(打診・聴診・触診など、実際に患者の体に触れ、患者の症状を分析する)を行うこととしている。

従ってphysical assessmentとは、身体的情報の収集及び評価ということであり、将に『診察』という言葉に含まれる医師の行為そのものと言うことが出来るが、『診察』は医師の専権行為であるため使用できない。更に『診療補助』・『診察補助』では従来の看護業務との変化が表現できないということで、原語そのものを用いているものと思われるが、直訳すれば「身体情報の収集・評価」とすることが出来る。

看護師は常に患者の傍についており、高度な医療機器による診断結果よりは、従来行われていた診察の結果の方が、日常業務に役立つと考えていると言うことである。その意味では高度医療を行う病院以外では、医師自身が従来の診察方法を行っており、看護師が医師擬きの『診察』類似行為をする必要はないと思われる。

その意味では、physical assessment(身体的情報評価)という表現に、看護師以外の職種が『診察』類似行為を行うことの意味は含まれていないが、薬剤師が病棟業務、更に進んで医師の業務の一部を代行するという考え方から、physical assessmentなる用語を持ち出してきたものと考えられる。

1)小学館ランダムハウス英和大辞典;小学館,1979
2)http://hitan.net/physical_assessment.html,2011.3.18.
3)山内豊明:在宅療養を支援するフィジカルアセスメント;月刊ナーシング,29(10):100-103(2009)

         [615.8.PHY:2011.3.29.古泉秀夫]