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「町内会は行政の機関なのか」

木曜日, 7月 14th, 2011

       魍魎亭主人

 

谷市で、自治会が配布した殺虫用の薬品を誤飲したとみられる70代の女性2人が重症になり、市や自治会関係者は大きな衝撃を受けている。市によると、自治会役員が薬品を緑茶用のペットボトルに小分けしたとみられる。市は近く各自治会に対し薬品管理の徹底を求めるほか、誤飲を避けやすい粒剤などの導入の検討を始めた。[毎日JP]
県警によると、15日午後5時10分ごろ、越谷市の女性(74)宅の1階居間で、この女性と、友人の女性(71)が倒れていた。県警は、刑事事件での捜査も視野に入れ誤飲の原因を調べている。

市によると、問題の薬品は水性サフロチン乳剤「ES」。薄い黄色をしている。今回はボウフラの駆除用で、200倍に薄めて排水溝に散布する目的だったという。市環境政策課によると、重症になった74歳の女性宅は、自治会の班長を務めている。薬品は連合自治会長が13日に市役所から10缶(原液18リットル入り)を受け取り、これを傘下の5自治会が2缶ずつ分けた。

女性宅のある自治会では、役員が薬品を緑茶用のペットボトルに小分けし、26班の班長宅へ13-15日に配布したという。

市は13日から薬品を希望する160自治会に、「安全な取り扱い方法」などを記したパンフレットを添えて配布した。「誤飲防止のため飲料水の容器には絶対保管しないで下さい」と記していたという。

ボウフラの駆除のために、排水溝に散布するのであれば、行政の手で業者に依頼して散布するのが順当ではないのか。それをやらずに町内会に丸投げで任せてしまった結果が今回の事故である。町内会は行政の下請け機関ではないはずだが、地方では行政に組み込まれているということなのか。しかし、もしそうだとしても、小瓶の製品を購入して配布するか、なければ業者に小分けして納入するよう交渉し、兎に角間に入る素人が、小分けなどしなくて済むようにすべきだろう。

所でこの事故を受けて、厚生労働省は監視指導・麻薬対策課長通知を発出した。つまり『本件のように、必要な許可、適正な表示及び包装なしに医薬品である殺虫剤を小分けして配布することは、薬事法違反』ということであり、法律を犯しているということをいいたい訳である。勿論健康に対する配慮に欠けるということもいっているが、法律に違反したとなると、機械的な処分の対象ということで、配慮は得られないかもしれないが、小分けした人だけではなく、行政の不手際も処分の対象にしなければ、片手落ちということになる。

    薬食監麻発0518第1号
        平成23 年5 月18日

各都道府県衛生主管部(局)長 殿

                                      厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長

                              殺虫剤の配布について

今般、埼玉県越谷市内において、自治会が第2類医薬品である殺虫剤をお茶のペットボトルに小分けし、これを誤飲した女性二人が意識不明となる重大な健康被害が発生しました。
このような行為は医薬品の小分け製造であり、薬事法(昭和35 年法律第145号)第13 条に基づく医薬品製造業の許可が必要となります。

また、医薬品については、誤使用を防止する観点から、薬事法により、医薬品の名称等がその直接の容器又は被包に記載されていなければならないこと(薬事法第50 条)、医薬品の容器又は被包は、その医薬品の使用方法を誤らせやすいものであってはならないこと(薬事法第57 条第1 項)が定められており、これらの条項に違反する医薬品については、その販売、授与等が禁止されています。

本件のように、必要な許可、適正な表示及び包装なしに医薬品である殺虫剤を小分けして配布することは、薬事法違反であり、また同時に、公衆衛生上の観点からも、重大な健康被害をもたらす可能性の高い極めて危険な行為です。

ついては、貴管内の関係部局に対して、このような事例が再び発生することを防ぐべく、殺虫剤の不適切な小分け配布について厳に慎むよう周知徹底を図られたく、お願いいたします。

    (2011.6.16.)