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『人助けが本業ではないのか』

日曜日, 11月 28th, 2010

  魍魎亭主人      

 

日本助産師会が同会に加盟する433の助産所に対して、乳児の死因の一つであるビタミンK欠乏症予防に有効なビタミンK2シロップを、効果が疑問視されている民間療法「ホメオパシー」の錠剤で代用したことがある助産所は、過去2年間に414施設中36施設(約8.7%)にのぼることが、日本助産師会の調査で、7日明らかになった[読売新聞,第48331号,2010.9.8.]。

これに対し厚生労働省は、「医政局看護課長」名で以下の文書を発出した。

医政看発00907第2号   
   平成22年9月7日    

社団法人日本助産師会長殿

厚生労働省医政局看護課長      

 

助産所における乳児に対するビタミンK2シロップの投与について

今般、貴会が実施した「ビタミンK2シロップ投与とホメオパシーの使用に関する実態調査」により、一部の助産所において、新生児に対していわゆる「ホメオパシー」の「レメディー」を投与し、ビタミンK2シロップ(ビタミンKを含有するシロップ製剤)を投与しなかったケースがあることが判明したところである。

乳児期においてはビタミンKが欠乏し、頭蓋内出血を起こすリスク等が高まるため、これを予防する観点から、一般的に、乳児に対するビタミンK2シロップの投与が有効とされている。したがって、これを適切に実施するとともに、ビタミンK2シロップの投与を望まない妊産に対しては、そのリスク等を十分に説明することが重要と考えられる。

貴会におかれては、上記の内容について御了知の上、会員に周知を徹底するとともに必要に応じて研修等を実施するようお願いする。

この問題に関しては、1980年に厚生省心身障害研究班で予防に関する研究が行われ、以下の勧告案が出されている。その内容は以下の通りである。

出生24時間以内、6日目、1ヵ月後にビタミンK2シロップ 2mg/1mLを10倍に希釈*して 2mg/10mL として内服させる。この予防投与法に関しては、当初その有用性に関して関連学会からまちまちの見解が出されていました。しかし、1986 ? 1988年と1988 ? 1990年の2回にわたる厚生省班研究の調査により、K2シロップ3回投与法の有用性は現時点ではほぼ確立されています。

*本シロップは高浸透圧であり、壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis: NEC)が発症する危険性があるため。

新生児メレナ(新生児1次性出血症):多くは生後2-4日に発病する胃腸管出血で、ビタミンK依存性凝固因子活性の低下による新生児一次性出血症である。
出血が少量の時は便はタール状、吐物はコーヒー残渣様であるが、大量では暗赤色血便となり、血液臭がある。吐物は鮮血で凝血を認めることもある。

予防としては、生後早期にビタミンK2を1-2mgを経口投与する。あるいは産院入院中に2回ビタミンK2シロップを投与等の報告がされている。

何れにしろビタミンK欠乏による出血であれば、欠乏しているビタミンKを投与するのが常識であって、ビタミンKに変えて何の「レメディー」を飲ませたのか。素人ではないのである。例えば親が厭がったとしても、キチッと状況を説明して、薬を服ませる責任があるのではないか。

(2010.9.8.)