「グリセリンカリ液について」
土曜日, 7月 24th, 2010KW:院内製剤・グリセリンカリ液・ベルツ水・glycerin and potash solution・Liquor Baelzi・皮膚軟化剤・副作用・エタノール配合理由
Q:グリセリンカリ液の顔への使用は可能か
A:グリセリンカリ液(Liq.Pot.Glycerine)の製剤処方は、次の通り報告されている。
6局 (Solution of Glycerin with Potassium) |
9局(glycerin and potash solution) |
水酸化カリウム………………5g グリセリン……………………200cc アルコール……………………250cc 蒸留水…………………………適量 芳香性精油……………………適量 全量 1000cc |
水酸化カリウム………………3g グリセリン……………………200mL アルコール……………………250mL 芳香剤…………………………適量 常水……………………………適量 全量 1000mL |
調製法:水酸化カリウムに蒸留水の一部を加えて溶解した後グリセリン、アルコール及び残りの蒸留水を加え、芳香性精油適量で賦香し、必要あれば濾過する。芳香性精油としてベルガモット油が適当である。 性状:グリセリンカリ液は無色澄明芳香性の液である。 適用:本品はベルツ水(Liquor Baelzi)として一般に知られるもので、皮膚軟化剤として美顔料あるいは皮膚皹裂(クンレツ)等に塗擦する。 |
調製法:水酸化カリウムに常水の一部を加えて溶かした後、グリセリン、エタノール、芳香剤適量及び残りの常水を加え、ろ過して製する。 性状:本品は無色澄明の液で、芳香がある。本品の水溶液(1→5)のpHは約12である。 貯法:気密容器 適用:皮膚軟化剤として皮膚のひび、あかぎれ(皹)などに用いる。 |
来歴:本品は我国独特の製剤で、1976年東大医学部教授であったDr.Erwin Baelz博士の創製したものといわれ、ベルツ水(Liquor Baelzi)と一般に称されている化粧水である。外国薬局方には収載されていないが、種々の変法処方がある。
薬効:水酸化カリウムは皮膚の角化を軟化し、グリセリンは皮膚軟化及び乾燥防止作用により皮膚の皸裂に対し美粧の効果がある。但し、連用により少しの刺激にも侵され易くなることがある。
ethanol添加の目的は、その蒸発による清涼感と、軽い収斂作用によって皮膚を引き締める効果がある。通常30%以下、5-15%がよい。glycerinに併用すると、ベトツキを和らげる。本品はアルカリ性化粧水cologne(オーデコロン)の一種であるが、顔の化粧水としては、アルカリ性が強く、べとべとし過ぎてよくない等の報告が見られる。
尚、医療用医薬品としての「グリセリンカリ液(丸石製薬)」の「使用上の注意」として次の記載が見られる。
1.副作用:本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
頻度不明 |
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皮膚 |
刺激感、発赤等 |
この様な症状が現れた場合には、使用を中止すること。
2.適用上の注意
使用部位:粘膜には使用しないこと。
使用時:連用により、皮膚が刺激に対して弱くなることがあるので、長期連用を避けること。
1)朝日奈泰彦・他監修:第六改正日本薬局方註解;南江堂,1952
2)財団法人日本公定書協会・編:第九改正日本薬局方解説書;廣川書店, 1976
3)高野正彦:今日の皮膚外用剤;南山堂,1981
[014.16.BAE:2010.4.26.医薬品情報21・古泉秀夫]