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「アザルフィジンと健康食品の相互作用」

火曜日, 3月 2nd, 2010

KW:相互作用・アザルフィジン・美爽煌茶・便秘・軟便・ハネセンナ・ローズヒップ・カミツレ・ギムネマ・カワラケツメイ・大麻種子・麻の実・麦芽・ファイバー

Q:現在アザルフィジンを服用中である。便秘解消の目的で『美爽煌茶』を飲用し始めたところ、便秘は解消したが、軟便状態になった。更に下血が見られ、腰痛も悪化した気がするが、薬との相互作用か。

A:アザルフィジンEN錠(参天-ファイザー)は、サラゾスルファピリジン(Salazosulfapyridine)を成分とする抗リウマチ薬である。

なお、現段階において、本剤と飲食物・嗜好品との相互作用について、添付文書中に記載はされていない。

本剤の副作用として『消化器(1%未満): 便秘、腹部膨満感、下痢、口唇炎、胸やけ、舌炎、口渇』が報告されている。

『美爽煌茶』について、Internetによるhome page(HP)を検索したが、HPは検索できなかった。『美爽煌茶』飲用者が入手したと思われる「美爽煌茶」Q&Aには、9種類の厳選ハーブをブレンドした健康茶であるとしている。また紅茶を基本としており、caffeineを含むとする記載も見られる。

*カッシア・アラタ(Cassia alata)は、インドネシアの伝統herbで、インドネシア、印度、スリランカ等の湿地帯に自生するマメ科カワラケツメイ属の植物。食物繊維を豊富に含み、また、クリソフェノール(chrysophenol:植物中に含まれる下剤の一種で血液を介して大腸に分泌され、anthraquinoneとして腸管を刺激する)を多く含み、この成分が体外排出を促進して便秘の解消に役立。また「tannin、flavonoid(quercetin)などの抗菌作用の強い成分やビタミン、ミネラルなども含まれインドネシアでは、1300年も前から民間薬として使われてきた生薬である。中国では駆虫、皮膚炎等に用いられる。インドネシアでは葉を皮膚病に用いる。

[分類]マメ科カワラケツメイ属。

[学名]Cassia alata

[英名]Candle Bush、キャンドルブッシュ。

[和名]ハネセンナ。

[別名]Golden candle、ゴールデンキャンドル。

[原産地]南米、西インド諸島原産。

[効能]利尿、便通促進、腸内細菌調節、高血圧、かゆみやタムシ、虫刺され、傷の治療

[用途]便秘の解消、マッサージローション。

*ローズヒップ(Rose Hips)。ドッグローズ(Dog Rose)の深紅色の果実(ヒップ“hips”と呼ばれる)である。ヒトでの有効性・安全性について調べた文献に十分なデータが見当たらない。独逸のコミッションEモノグラフ(薬用植物評価委員会)では未承認ハーブに分類されている。

[分類]バラ科バラ属。

[学名]Rosa species, Rosa canina , Rosa laevigata Michx.

[英名]Rose Hips,Wild Dog Rose,Dog rose

[和名]ローズヒップ。

[原産地]欧羅巴、亜細亜と北アフリカの温帯地方原産。

[成分]果実にはvitamin C(1.25%)、vitaminA、B1、B2、B3とK、flavonoid、tannin(2-3%)、転化糖、ペクチン、有機酸、polyphenol、carotenoid、揮発油、バニリンを含有する。

[効能]高濃度のビタミンを含有する。tannin成分は下痢を緩和させる。果実は穏やかな利尿作用をもち、更に脱水症状と胃の炎症を軽減する。

[用途]胸部疾患の民間療法の材料。

*カミツレ。1987年、本品から調製したクリームで傷を治す効果についてテストしたところ、ジャーマンカミツレが最も子供の疝痛に効果があったとする報告がされている。民間療法での利用として噛み傷、刺し傷、カタル、花粉症、疝痛、湿疹等が報告されている。新鮮な植物は皮膚炎を起こす可能性がある。CYP3A4・CYP1A2の基質となる医薬品に対する代謝抑制作用が考えられるの報告。

[分類]キク科シカギク属

[学名]Matricaria recutita L.(Matricaria chamomilla L.)、(Chamomilla officinalis L.)。

[英名]German chamomile、ジャーマンカモミール。

[別名]Chamomilla recutita。カミツレ、カミルレ、カミレ、ドイツカミツレ、母菊、欧薬菊。

[和名]カミツレ、ジャーマンカミツレ。

[原産地]欧羅巴や他の温暖な気候の地域で野生でも栽培でも育つ。

[成分]揮発油(プロアズレン、ファルネシン、α-ビサボロール、スピロエーテル)、flavonoid(アンテミディン、ルテオリン、ルチン)、苦味配糖体(アンテミン酸)、coumarin、tannin。

[効能]抗炎症、抗痙攣、静穏、緩下、緩やかな苦味、抗アレルギー

[用途]胃痛、胃弱、胃酸過多、腸内ガス、浮腫、疝痛に有用。スピロエーテルを含み、非常に強い抗痙攣作用があり、緊張、筋肉の痛みを緩和し、生理痛を和らげる。

*ギムネマシルベスタ(Gymnema sylvestre)、糖尿病患者の血糖値や血中コレステロールの低下など、一部にヒトでの有効性が示唆されている。ヒトにおける安全性については信頼できるデータが見当たらない。

[分類]カガイモ科ホウライアオカズラ属

[学名]Gymnema sylvestre R. Br.

[英名]Gurmar、Gur-Mar Gymnema

[和名]ギムネマ・シルベスタ

[別名]ギムネマ、武靴葉(ブカトウ)・匙羹藤(シカトウ)(中国名)。

[原産地]中国南部、台湾、印度等に分布する常緑つる性植物。

[成分]ギムネマ酸(gymnemic acid)。ギムネマ酸はgymnemageninをアグリコンとしたトリテルペノイド(triterpenoid)である。

[効能]甘味抑制作用、抗齲蝕作用、腸管内でのブドウ糖吸収抑制。

[用途]糖尿病の症状に対して、古くから使用されてきた。

*カワラケツメイ。伝承的な用法としては、利尿、緩下用にお茶として用いられた。弘法大師がお茶として飲用したとの伝承から弘法茶とする報告も見られる。

[分類]マメ科カワラケツメイ属。

[学名]Cassia mimosoides L.var.nomame Makino。

[和名]河原決明。

[別名]ネムチャ、マメチャ。

[原産地]本州、四国、九州の日当たりのよい原野、河原、道端、荒地に群れる1年草。

[成分]全草に少量のanthraquinone類、flavanol類。種子には脂肪油、β-シトステロール等が含まれるの報告。

[効能]強壮、利尿、鎮咳

[用途]脚気、腎炎、黄疸、偏頭痛、慢性便秘、夜盲症、陰萎等に用いるの報告。

*麻の実。アサは現在世界中で合法(繊維と種子)にも違法(覚醒剤として使用)にも栽培されている。使用部位は雌花の花部、種子。大麻種子は、全ての必須アミノ酸と脂肪酸を含み、そのバランスの良さは植物界でもっとも理想的といわれている。また消化吸収されやすい上質の蛋白質を多く含んでいるので、生活習慣病、体力の低下した病中病後、妊産婦、高齢者にも適した食品である。大麻種子の約30%は不飽和脂酸で、殆どはリノール酸(ω6)とリノレン酸(ω3)である。

[分類]アサ科アサ属

[学名]Cannabis sativa

[英名]Marijuana(マリファナ)

[和名]アサ

[別名]火麻似(中国:カマニン)

[原産地]コーカサス、中国、イラン、北印度原産。

[成分]アサは異なる60種類以上のカンナビノイドを含有し、THC(δ9-テトラハイドロカンナビノール)を含む。またflavonoidや揮発油、アルカロイドを含有する。主な精神作動物質の一つであるTHCを唯一含む植物である。

*エビス草種子(ロッカクソウ)。蛮夷の異国から渡来したことを意味する。薬用として栽培される。小エビス草の成熟種子の乾燥したものを小決明子、エビス草の成熟種子を乾燥したものを大決明子という。市販の“ハブ茶”は、この二種を起源とする。

[分類]マメ科カワラケツメイ属。

[学名]Cassia tora L.又はC.obtusifolia L.。Cassiae Torae Semen(Cassiae Semen)。

[英名]Sicklepod(シックルポッド)、Coffee senna(コヒーセンナ)。

[和名]コエビスグサ、エビスグサ(夷草)

[別名]決明子(エビスグサ種子の生薬名)。決明(ケツメイ)、草決明(ソウケツメイ)、夜関門(ヤカンモン)。

[原産地]北米原産の1年草。

[成分]アントラキノン誘導体のemodin、obutusifolin、aurantio-obtusinなど

[効能]消炎、緩下、整腸、利尿、降圧。

*麦芽(malt)。大麦を水に浸して発芽させ、乾燥して醗酵したもの。モルトともいう。マルトース(麦芽糖)を分解する酵素アミラーゼを大量に含んでおり、ビールの醸造や水飴の製造に用いられる。

[成分]イネ科オオムギを発芽させ、乾燥したもの。

[効能]消化薬。

*ファイバー(fibre)。食物繊維。植物線維は体の構成成分やエネルギー源にならないため、以前は役に立たない食物の残渣と考えられていた。現在では『人の消化酵素で消化されない食事中の難消化成分の総体』と定義され、栄養素の吸収を緩やかにしたり、有害な物質を排出する作用が認められ機能性成分として重要視される。植物細胞の構成成分を中心に動物性の成分も含めて、水に溶けない“不溶性食物繊維”と水に溶ける“水溶性食物繊維”に分けられる。

[効果]消化管活動の活発化、ブドウ糖の吸収速度抑制、コレステロール吸収抑制、胆汁酸の体外排泄促進、腸管内での栄養素拡散防止及び栄養素吸収の緩徐化、排便促進、有害物質排出促進等。

『美爽煌茶』は紅茶を主体として上記9品目が配合されているというが、各成分の配合量等についての詳細は不明である。質問者が製品の包装箱等を所持しているのであれば、確認されたい。

なお、配合されている物質の主な働きは緩下作用であり、その意味では薬物療法中の患者が、主治医に相談することなく、このような製品を使用することは避けるべきである。また、本品飲用中に『軟便状態、更に下血が、腰痛の悪化』等が見られたということであれば、直ちに飲用を中止し、飲用中のお茶の外箱等内容の記載されているものがあれば持参し、医師に相談すべきである。

1)原色牧野日本植物図鑑[III];北隆館,2002

2)難波恒雄・監訳:世界薬用植物百科事典;誠文堂新光社,2000

3)薬用ハーブの機能研究-60のメディカルハーブの成分と機能性最新レポート-増補改訂版;CMPジャパン株式会社,2004

4)田中平三・他監訳:健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース;同文書院,2006

5)奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典(健康・栄養食品事典-機能性食品・特定保健用食品);東洋医学舎,2006

6)中村丁次・監修:最新版からだに効く-栄養成分バイブル;主婦と生活社,2001

[015.2.SAL:2009.5.4.古泉秀夫]

『ルラシドンについて』

火曜日, 3月 2nd, 2010

KW:薬名検索・ルラシドン・lurasidone・SM-13496・双極性障害・躁うつ病

Q:ルラシドンの効能・効果について

A:ルラシドン(lurasidone)、SM-13496。大日本住友製薬。現在米国において第III相臨床試験中。双極性障害(うつ)への適応拡大(経口剤)。serotonin 5-HT2A・dopamine受容体拮抗作用を有する統合失調症治療薬として、日米欧で開発中とされる。双極性障害(躁うつ病)は気分の激しい高揚などが起こる(躁状態)と気持ちが落ち込んで日常行動への意欲が出難くなる(うつ状態)が交互に発現するのが特徴。欧米では統合失調症と双極性障害の適応を併せ持つ薬剤が多いことから、大日本住友製薬では既存製品に対抗して市場定着を果たすには、効能を増やす必要があると判断した。

大日本住友製薬は2009年4月双極性障害を対象とした米国内第III相臨床試験PREVAIL試験のスクリーニングを開始した。2010年度に2種の効能で申請、2012年に米国での発売を計画している。

lurasidoneは非定型抗精神病薬である。従来の非定型抗精神病薬よりも、錐体外路症状が惹起されないと報告されている。また、第三世代抗精神病薬に分類されるとする報告も見られる。

急性期の統合失調症患者を対象とした6週間投与のプラセボ対照二重盲検比較試験で、lurasidone 80mg/日投与群は、有意な差を持ってプラセボ群より高い有効性を示した。また、lurasidone投与群はプラセボ投与群より低い脱落率であり、高い忍容性を示した。

全世界規模で2,000人以上の患者に対し本剤の有用性と安全性を評価するPEARL(Program to Evaluate the Antipsychotic Response to Lurasidone)と名付けられた第III相試験プログラムが実施されていたが、2009年8月26日の報告では、PEARL 2試験が終了したとされている。また本剤80mg/日投与群は、試験終了時点においてプラセボ投与群と比較して有意に高い有効性を示した等の報告が見られる。

1)New Current,20(14):26(2009.6.20.)

2)大日本住友製薬,2009.5.21.

3)大日本住友株式会社:統合失調治療剤「ルラシドン」の第III相試験(PEARL 2試験)結果について;会社資料,2009.8.26.

[011.1LUR:2009.11.2.古泉秀夫]

『フラゾリドンについて』

火曜日, 3月 2nd, 2010

KW:薬名検索・フラゾリドン・furazolidone・動物用合成抗菌薬・NF-180・Furoxane・Furovag・Furoxone・Giarlam・Dependal-M

Q:フラゾリドンについて

A:フラゾリドン(furazolidone)は、合成抗菌薬又は動物用合成抗菌薬。黄色の結晶、水に溶ける(但し、水に不溶の報告も見られる)。275℃で分解する。分解に際し毒性のNOxガスを発生する。C8H7N3O5=225.16。グラム陽性・陰性菌に、静菌・殺菌作用を持つと報告されている。細菌のジヒドロゲナーゼの抑制、ピルビン酸からアセチルコエンザイムAへの生成抑制が作用機序とされている。消化管の細菌感染症に用いられていた。

CAS-67-45-8。別名:NF-180、[商]Furoxane、Furovag、Furoxone、Giarlam、Dependal-M等の名称が紹介されている。但し、現在、米国では使用されていないとする報告も見られる。

3-[[(5-nitro-2-furanyl)-methylene]amino]-2-oxazolidinone;3-(5-nitrofurfurylideneamino)-2-oxazolidinone。投与方法:Oral-Local。

furazolidoneは食品衛生法では『不検出』とされる農薬等の成分に分類されている。検出限界値:0.001ppm。急性毒性はラット経口(LD50):2336mg/kg。突然変異の誘発性は、昆虫における試験中に観察された。また、同様の影響は、人間のリンパ球での試験中にも観察されている。

1)The Merck index 14th,2006

2)Webkis-plus(化学物質データベース)登録物質リスト;http://w-chemdb.nies.go.jp/Webkis_list_1.htm,2009.8.17.

3)薬化学大辞典 第3版;廣川書店,2001

4)和光純薬:環境分析用試薬総合カタログ2008.9.動物用医薬品標準品

[011.1.FUR:2009.8.17.古泉秀夫]