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『CA-19-9について』

日曜日, 9月 20th, 2009

KW:語彙解釈・臨床検査・CA-19-9・carbohydrate antigen・糖鎖抗原・癌発生・スクリーニング・モノクローナル抗体

Q: CA-19-9検査の結果について

A: CA-19-9=carbohydrate antigen 19-9の略称である。糖鎖抗原19-9。

癌発生の有無をスクリーニングする目的で各種の癌反応が考案されてきた。1970年以降モノクローナル抗体作成技術の進歩とともに、癌細胞にのみ反応し、正常細胞には反応しないモノクローナル抗体の作成が可能となり、1978年にNS-19-9が報告され、それを用いたCA-19-9測定系は臨床的に高い評価を受け、現在も広く使用されているとする報告がある。

CA-19-9の異常値の出るメカニズムと臨床的意義

CA-19-9はヒト結腸、直腸癌細胞株SW 1116を免疫原とするモノクローナル抗体NS19-9が認識する抗原で、抗原決定基はシアリルLewis A(Lea)とされる。健常者では約20万の糖蛋白上に、癌患者では分子量約500万の巨大ムチン糖蛋白上に存在している。またシアリルLea抗原はE-セレクチンのリガンドの一つと考えられており、転移との関連が示唆されている。組織分布は膵管、胆嚢、胆管、胃、気管支、唾液腺、前立腺、結腸、直腸などの上皮細胞上に分布するが、膵管、胆嚢、胆管に多く発現し、これらの癌で高い陽性率を示す。早期癌での陽性率は低く、スクリーニングには不適で、治療再発のモニターに使用される。

判 読

?若年女性にやや高いとする報告があるが、基準値内の変動であることが殆どである。

?血液型Lea陰性者(日本人の5-10%)では、陰性を示すので本検査の適応はない。

?進行癌の拡大切除では術後一過性に上昇することがある。

?膵癌でもacinar cell(腺房細胞)とislet cell(島細胞)由来の癌は陰性なので注意を要する。?IMXキットでは肝硬変の患者の陽性率が高い。

?プロゾーン現象による異常低値に注意する。

対 策

高値を認めた場合には、腹部エコー、CT等の画像診断、内視鏡検査、血液学的検査、他の腫瘍マーカーの測定などを行い、癌の発見に努める。膵癌を中心に検索するためには、超音波内視鏡、ERCP等の画像診断や膵液細胞診を追加する。女性では婦人科的検索も行う。それでも診断がつかない場合、CA-19-9を1ヵ月後再検し、上昇を認める場合再度精査を行う。

1)金井正光・編:臨床検査法提要 改訂第32版;金原出版株式会社,2005

2)高久文麿・監:臨床検査データブック;医学書院,2009-2010

[615.8.CAR:2009.6.29.古泉秀夫]