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『nitazoxanideについて』

日曜日, 6月 7th, 2009

KW:薬名検索・nitazoxanide・ニタゾキサニド・Alinia・クリプトスポリジウム症・駆虫剤

Q:nitazoxanideについて

A:ニタゾキサニド [Nitazoxanide・商品名Alinia(Romark社)]。経口液剤・錠剤。

『本品はニトロチアゾールベンザミド(nitrothiazolebenzamid)系薬であるが、構造的にはmetronidazoleに類似する。esterasesによって活性型のチゾキサニドとなり、これがピルビン酸:フェレドキシン酸化還元酵素で活性化され、代謝系における電子伝達を阻害する。クリプトスポリジウム症の薬剤として期待されているが、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバ、回虫、鞭虫、肝蛭などにも効果があるとされる。熱帯病治療研究班(略称)では経口(懸濁液)を導入しているが、11歳を超える小児、成人、HIV感染者を含む免疫不全者における安全性と有効性は確立されていない』とする報告が見られる。

[適応]研究班では、後天性免疫不全症候群(AIDS)などの免疫不全者におけるクリプトスポリジウム症のみを対象としている。

[用法・用量]1-2g/日 分2  14日間の投与を基本とする。

[治療効果]メキシコでAIDS患者を対象としてランダム化二重盲検プラセボ対照試験が行われ、約4週間の観察期間につき、上記の1 g/日が63%、2 g/日が67%の寄生虫学的治癒率を示し、また下痢の消失をもたらした[1]。

[副作用]腹痛、下痢、嘔吐、頭痛などが記載されているが、薬剤との因果関係は不明である。

[小児への投与]元来、途上国の免疫健常な小児で治験が行われてきたが、免疫不全の小児を対象としたデータはみられない。免疫健常な小児では、1-3歳が200 mg/日・分2、3日間、4-11歳が400 mg/日・分2、3日間。

[妊婦への投与]安全性は確立されていない。

その他

ロタウイルス性下痢で入院した小児患者に、チアゾライド系の抗感染症薬であるニタゾキサニドを投与し、効果を調べる小規模な無作為割付試験を実施した米国の研究で、投与開始から症状消失までに要する時間は、ニタゾキサニド群で31時間だったのに対し、偽薬群では75時間となり、明確な差が見られた。米Romark Laboratories社Romark 医学研究所のJean-Franccedilois Rossignol氏らの研究で、詳細はLancet誌2006年7月8日号に掲載された。

寄生虫病の一種である住血吸虫症の治療薬ニタゾキサニドが、C型肝炎にも効くことが、エジプトでの臨床試験でわかった。エジプトでは住血吸虫とC型肝炎ウイルス両方に感染する患者が多く、住血吸虫症の治療薬がC型肝炎にも効くと言われてきたが、米バイオテクノロジー企業「Romark医学研究所」の試験で裏づけられた。同社がイタリアで開かれた欧州肝臓学会で発表した。同社のJean-Franccedilois Rossignol氏らがエジプトのC型肝炎患者で試験した結果、標準治療を受けた40人のうち、C型肝炎ウイルスが消えたのは半数の20人だったが、標準治療にニタゾキサニドを加えた28人では約8割の22人になった。ニタゾキサニドがC型肝炎ウイルスに効く理由ははっきりしていない。

等の報告が紹介されている。

1)Rossignol, J.-F., Hidalgo, H., Feregrino, M., Higuera, F., Gomez, W.H., Romero, J.L., Padierna, J., Geyne, A., Ayers, M.S.: A double-‘blind’ placebocontrolled study of nitazoxanide in the treatment of cryptosporidial diarrhoea in AIDS patients in Mexico. Trans. R. Soc. Trop. Med. Hyg. 92:663-666, 1998

2)ヒューマンサイエンス振興財団政策創薬総合研究事業熱帯病治療薬研究班:,2009.4.3.

3)ロタウイルス性下痢;,2009.4.3.

[011.1.MIT:2009.4.3.古泉秀夫]