Archive for 6月 7th, 2009

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『エビクサについて』

日曜日, 6月 7th, 2009

KW:薬名検索・メマンチン・memantin・エビクサ・ebixa・ナメンダ・namenda

Q:エビクサとは何の薬ですか

A:エビクサ(Ebixa)[H.Lundbeck A/S Made in Germany]は、1錠中にmemantin hydrochloride 10mgを含有する製剤が市販されている。

メマンチン塩酸塩は、中等度・重度アルツハイマー認知症の治療薬としてEU及び米国で承認され、臨床使用されているが、我が国では、2008年現在臨床試験中であると報告されている。memantinはメルツ社(独・Merz Pharmaceuticals GmbH)が開発。米国ではForest Laboratories社からナメンダ(Namenda)の商品名で発売されている。

薬理:NMDA(N-methyl-D-aspartate)antagonist。既存のacetylcholine esterase阻害剤とは異なり、記憶や学習などに関係する脳内神経伝達物質グルタミン酸受容体の一つであるNMDA受容体への拮抗作用を有する。神経細胞保護作用による認知症症状の進行抑制が期待される。米食品医薬品局(FDA)は中度から重度のアルツハイマー病の進行を遅らせることを期待できる治療薬として承認した。

これまで軽度から中度の症状に対する薬はあったが、重度の患者向けの薬の認可は初めて。

痴呆症状を引き起こすアルツハイマー病は、脳内神経伝達物質のグルタミン酸の過剰が原因のひとつと考えられており、FDAなどによると、memantinはグルタミン酸の働きを阻害し、神経細胞を保護するという。

米国で実施された重度のアルツハイマー病患者650人を対象にした臨床試験では、記憶の減退や判断能力の低下を遅らせる効果が確認された。患者の6-7%に、めまいや頭痛などの副作用が報告されている。

1989年独逸において認知症治療薬として発売。2002年6月EUで承認、2002年に独・メルツ社が発売。日本では1997年末、サントリー(現アスビオファーマ)が日本での販売権を獲得、2002年架橋治験を開始。国内第II相臨床試験に海外第III相臨床試験を利用した架橋による申請を2004年に予定していたが厚生労働省との協議で、国内大規模第III相臨床試験が必要となり新たに実施されている。

1)New Current28-治験薬一覧-,19:29(2008.12.20)

[011.1.MEM:2009.2.15.古泉秀夫]

『nitazoxanideについて』

日曜日, 6月 7th, 2009

KW:薬名検索・nitazoxanide・ニタゾキサニド・Alinia・クリプトスポリジウム症・駆虫剤

Q:nitazoxanideについて

A:ニタゾキサニド [Nitazoxanide・商品名Alinia(Romark社)]。経口液剤・錠剤。

『本品はニトロチアゾールベンザミド(nitrothiazolebenzamid)系薬であるが、構造的にはmetronidazoleに類似する。esterasesによって活性型のチゾキサニドとなり、これがピルビン酸:フェレドキシン酸化還元酵素で活性化され、代謝系における電子伝達を阻害する。クリプトスポリジウム症の薬剤として期待されているが、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバ、回虫、鞭虫、肝蛭などにも効果があるとされる。熱帯病治療研究班(略称)では経口(懸濁液)を導入しているが、11歳を超える小児、成人、HIV感染者を含む免疫不全者における安全性と有効性は確立されていない』とする報告が見られる。

[適応]研究班では、後天性免疫不全症候群(AIDS)などの免疫不全者におけるクリプトスポリジウム症のみを対象としている。

[用法・用量]1-2g/日 分2  14日間の投与を基本とする。

[治療効果]メキシコでAIDS患者を対象としてランダム化二重盲検プラセボ対照試験が行われ、約4週間の観察期間につき、上記の1 g/日が63%、2 g/日が67%の寄生虫学的治癒率を示し、また下痢の消失をもたらした[1]。

[副作用]腹痛、下痢、嘔吐、頭痛などが記載されているが、薬剤との因果関係は不明である。

[小児への投与]元来、途上国の免疫健常な小児で治験が行われてきたが、免疫不全の小児を対象としたデータはみられない。免疫健常な小児では、1-3歳が200 mg/日・分2、3日間、4-11歳が400 mg/日・分2、3日間。

[妊婦への投与]安全性は確立されていない。

その他

ロタウイルス性下痢で入院した小児患者に、チアゾライド系の抗感染症薬であるニタゾキサニドを投与し、効果を調べる小規模な無作為割付試験を実施した米国の研究で、投与開始から症状消失までに要する時間は、ニタゾキサニド群で31時間だったのに対し、偽薬群では75時間となり、明確な差が見られた。米Romark Laboratories社Romark 医学研究所のJean-Franccedilois Rossignol氏らの研究で、詳細はLancet誌2006年7月8日号に掲載された。

寄生虫病の一種である住血吸虫症の治療薬ニタゾキサニドが、C型肝炎にも効くことが、エジプトでの臨床試験でわかった。エジプトでは住血吸虫とC型肝炎ウイルス両方に感染する患者が多く、住血吸虫症の治療薬がC型肝炎にも効くと言われてきたが、米バイオテクノロジー企業「Romark医学研究所」の試験で裏づけられた。同社がイタリアで開かれた欧州肝臓学会で発表した。同社のJean-Franccedilois Rossignol氏らがエジプトのC型肝炎患者で試験した結果、標準治療を受けた40人のうち、C型肝炎ウイルスが消えたのは半数の20人だったが、標準治療にニタゾキサニドを加えた28人では約8割の22人になった。ニタゾキサニドがC型肝炎ウイルスに効く理由ははっきりしていない。

等の報告が紹介されている。

1)Rossignol, J.-F., Hidalgo, H., Feregrino, M., Higuera, F., Gomez, W.H., Romero, J.L., Padierna, J., Geyne, A., Ayers, M.S.: A double-‘blind’ placebocontrolled study of nitazoxanide in the treatment of cryptosporidial diarrhoea in AIDS patients in Mexico. Trans. R. Soc. Trop. Med. Hyg. 92:663-666, 1998

2)ヒューマンサイエンス振興財団政策創薬総合研究事業熱帯病治療薬研究班:,2009.4.3.

3)ロタウイルス性下痢;,2009.4.3.

[011.1.MIT:2009.4.3.古泉秀夫]