薬局苦情拾遺[6]-11)薬局で病名・保険証確認・薬剤師か?
医薬品情報21
古泉秀夫
H18.10.24.「薬局で病名を聞かれた」(患者・電話)
「保険請求が出来ない」との理由で、薬局で病名を聞かれた。病院に聞いたら「(薬局で答える)必要はない」といわれたが、どうなのか?
[事務局対応]お話を伺い、一応納得していただく。
H18.10.25.「無断で保険証のコピーを取られた」(患者・電話)
保険薬局にかかったら、保険証の提示を求められ、無断でコピーを取られた。年配の薬剤師だったが、個人情報の管理に対する認識が低い。薬剤師会の会員かどうか調べてほしい。また、行政にも状況を伝えたいので、行政の連絡先を教えてほしい。
[事務局対応]お話をうかがった上で、当該都道府県の医療安全センターの電話番号を教える。
H18.10.25.「薬剤師かどうか調べたい」(患者・電話)
薬局の薬剤師が本当に薬剤師かどうか怪しい薬局がある。その人が本当に薬剤師であるかどうかを調べるにはどうしたらよいか。また、その薬局から、薬歴や調剤録など、私の個人情報を全て廃棄し、コンピュータ上からも消却してほしいが、その要求は可能か。
[事務局対応]行政に相談するよう話す。
[薬事新報,No.2490:968(2007)]
薬局で保険請求するのに『患者の病名』は必要がないはずである。保険薬剤師が処方せんを受け付けた場合には、処方せんに記入もれや記入誤り等の不備な点がないことを確認しなければならないとされているが、『患者の病名』については、確認しなければならないという定めはない。保険薬局で保険請求する場合、病名がいるのであれば処方せん上に病名欄を設ければいい話で、それがないということは保険薬局での請求事務に、患者の病名は必要がないということである。また、病名は患者固有の秘匿すべき情報であり、妄りに第三者に知らすべき情報ではないはずである。
保険薬局で保険証の確認が求められているのは、処方せんに保険請求上必要とされる記載がされていない場合のみであって、保険証のコピーを取れ等という定めはない。保険証の確認は、月1回月初頭に通院中の医療機関が行えばいいはずで、もし変更があれば、処方せんに反映しているはずである。
保険薬局における保険証の確認については、次の規定がされている。
*特にその処方せんが保険医療機関に従事している保険医から、保険医療を受ける資格のある患者、すなわち被保険者か被扶養者である患者に交付された保険処方せんであることを確かめること、また、処方せんか被保険者証(健康保険継続療養証明書を含む。)によって、患者に給付資格があるか確かめることが必要である。この点を怠ると調剤報酬の支払いが受けられないことがある。
*被保険者記号、番号、保険者名の確認
記号、番号、保険者名などは、保険医によって記載されることになっている。しかし、受付した保険処方せんにたまたま記入もれが発見された場合には、患者の保険証を確認して記入する必要がある。
上記の何れにも保険証をコピーするという規定はなく、病院等でも保険証の記載内容を確認するだけという現状を考えれば、保険薬局が保険証のコピーを取るなどというのは、明らかに別の意図があると勘繰られても仕方がない。各県薬剤師会は、このような具体的な内容について、研修会等で、徹底的に指導するか、Q&A形式で回答が得られるような仕組みを構築すべきである。
保険薬局の職員が本当に薬剤師かどうか疑っている御意見については、率直に言って他に替わるべき保険薬局はないのであろうかという疑問を持つのである。患者と薬剤師の関係とはいえ、人と人の関係であり相性がある。相性の悪い薬剤師のいる保険薬局に処方せんを持参する必要は全くない訳で、『かかりつけ薬局』を作ると言うことからいえば、何軒かの保険薬局を回ってみて、固定するより仕方がない。薬局内に薬剤師名を掲示するようになっており、地区の薬剤師会にも薬剤師の名簿があり確認することが出来るはずである。そこで判らなければ、保健所にも保険薬局の開設者等の名簿はあるはずである。
1)日本薬剤師会・編:保険薬局業務指針2006年版;薬事日報社,2006
(2007.10.8.)