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「副作用-酷い胃痛の発生原因は」

金曜日, 9月 5th, 2008

 

KW:副作用・消化器系副作用・胃痛・腹痛・ウルソ錠・アリチアN50・ロヒプノール錠・リーマス錠・ウルソデオキシコール酸・炭酸リチウム

 

Q:C型ウイルス肝炎の初期段階との診断を受けたが、他に治療中の疾患があり、インターフェロンの使用は回避された。治療薬として次の処方が出されているが、服用後、酷い胃痛に困っています。服用中の薬にそのような副作用はありますか。
ウルソ6錠・アリチアN50 2錠・重質酸化マグネシウム・ロヒプノール2 1錠・リーマス錠200 1錠

 

A:各薬剤の関連すると思われる副作用として、次の報告が見られる。

 

[分類]一般名・商品名(会社名) 消化器系副作用

[236]ursodeoxychlic acid
ウルソ錠(田辺三菱)
錠:50・100mg

下痢、悪心、食欲不振、嘔吐、腹痛、便秘、胸やけ、胃部不快感。

[317]thiamine disulfide 10mg・pyridoxine hydrochloride  50mg・cyanocobalamin 0.25mg
アリチアN50(メルク製薬)

食欲不振、胃部不快感、下痢等。

[112]flunitrazepam
ロヒプノール錠(中外)
錠:1・2mg

口渇、食欲不振、胃部不快感、下痢、便秘、腹痛、嘔吐、舌の荒れ、胸やけ、流涎、口の苦み。

[117]lithium carbonate
リーマス錠(大正富山)

lithiuma中毒として食欲低下、嘔吐・嘔気、下痢の消化器症状。
口渇、嘔気・嘔吐、下痢、食欲不振、胃部不快感、腹痛、便秘、唾液分泌過多、胃腸障害。

 

ursodeoxychlic acidについては、胃粘膜刺激作用により胃酸の分泌を促進するとの報告がされており、in vitroの実験において弱い細胞障害性を有するとの報告も見られるため、胃痛の発現はウルソ錠が原因ではないかと思われるが、“酷い胃痛”と表現される症状に該当するか否かは不明である。

lithium carbonateにも消化器症状として腹痛が報告されている。lithiumの副作用として重大なものは過量投与によるlithium中毒である。中毒の初期症状として悪心・嘔吐、下痢、食欲不振、嚥下困難、粗大振戦、筋痙攣、運動障害、運動失調、脱力、運動過少、傾眠、眩暈、発熱、発汗、言語障害、錯乱などが見られる。中毒が進行すると、初期症状の増強に加えて、頭痛、耳鳴、腱反射亢進、情緒不安、譫妄、昏睡、徐脈などの症状が現れる。
その他の副作用としては、時に脳波異常、頭痛、眩暈、知覚異常、傾眠又は不眠、振戦、運動失調、心電図異常、不整脈、血圧低下、腹痛、嘔吐、口渇、食欲不振、腎機能異常、甲状腺機能異常、肝機能異常、白血球増多症が起こることがある等の報告が見られる。

その他、本品1.0gを水100mLに溶かした液のpHは10.9-11.5の強アルカリ性溶液になるとされており、胃液の状況によっては、本品による胃粘膜への刺激も考慮する必要があると思われる。

 

1)高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2007
2)アリチアN50添付文書,2006年7月改訂
3)ウルソサン錠・顆粒IF,2001.10.改訂第4版
4)第十五改正日本薬局方解説書;廣川書店,2006

 

  [065.LIT:2008.2.6.古泉秀夫]