「カダンセーフの安全性について」
水曜日, 4月 9th, 2008KW:毒性・中毒・安全性・農薬・殺虫剤・カダンセーフ・ソルビタン脂肪酸エステル・sorbitan fatty acid ester
Q:保育園の近接地に区の家庭菜園用地が準備されている。そこで使用される予定といわれているカダンセーフの安全性について
A:カダンセーフ(フマキラー)は、ソルビタン脂肪酸エステル乳剤を主成分とする製品で、有効成分はソルビタン脂肪酸エステル 0.14%である。
ソルビタン脂肪酸エステル(sorbitan fatty acid ester)は、非イオン性界面活性剤で、糖類の一種であるソルビトールを脱水したソルビタンと、食用油脂を分解して得られた脂肪酸とをエステル化して作られたソルビタンのの脂肪酸エステルである。
国際的に主要なものはソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノバルミテートの5種類であるが、日本では脂肪酸の種類とエステル化度を変えることにより、各種のものが作られている。
ソルビタン脂肪酸エステルは、白-黄褐色の粉末又は薄片、粒状、蝋状の塊又は液体である。ソルビタンモノラウレート(sorbitanmonolaurate)は、冷水に分散し、ソルビタンモノステアレート(sorbitanmonostearate)、ソルビタンモノパルミテート(sorbitanmonopalmitate)は、冷水には溶けないが温水には分散し、加温された油脂には分散する。
本品は純品ではなく、sorbitol、sorbitan、ソルバイドのモノ、ジ、トリエステルの各種エステルの混合物となるので、同じ種類でも企業により規格、性能は幾分異なる。
本品は代表的な乳化剤であるが、単独で使われる用途は少なく、主として他の乳化剤と組み合わせて使われる。各種乳飲料やアイスクリームなどの乳化安定に、ショートニング、クリーム類などのクリーミング性の向上の他、清涼飲料水からチューインガムまで、多くの食品に使用される。
本品をスプレーすることにより害虫・病原菌が本品の薄い皮膜に覆われ、害虫は呼吸が出来ず窒息死する。病原菌は、本品の被膜に覆われることにより栄養吸収阻害を起こすため死滅する。
[人畜毒性]普通物。[登録会社]フマキラー。
以上の報告から本品の植物に対する噴霧により人体に影響することはないと考えられる。
1)農薬の手引き 2008年版;化学工業日報社,2008
2)フマキラーあっとホームページ;http://www.fumakilla.co.jp.html,2008
[63.099.SOR:2008.4.9.古泉秀夫]