「シリカゲルの毒性」

対象物 シリカゲル(sillica gel)
成分 sillica gel[SiO2・xH2O]
一般的性状

ガラス状の透明又は半透明の粒子で、微細構造を持ち1gで450m2以上の表面積を有する。ガスの吸着能力が大で、この能力は低温ほど大である。水分の場合は、4℃以下で特に大である。放出は150-200℃で行う。水分のみならずアルコール、エーテル、ベンゼン、ガソリン、その他有機溶剤やガス、亜硫酸ガスどもよく吸着する。吸湿剤として使用するものには、ある程度以上水分を吸着すると色が変化するように微量のコバルト塩を付けたものが市販されている(青ゲル:乾燥時は青色で吸着すると無色あるいは赤色となる。)。コバルト塩の添加量は約5%とする報告が見られる。
CoCl2       + H2O →  CoCl2・6H2O
(淡青色)                      (淡赤色)

毒性

sillica 自体は、腸管から殆ど吸収されず、低毒性であり、成人経口時の推定致死量は15g/kg以上の無毒物質であるとされている。従って、家庭用として使用される包装単位では、誤摂取による中毒症状は発現しないとされており、症状としては局所粘膜の脱水程度であるとされる。
なお、コバルト塩については、25%が腸管から吸収されまた消化管刺激作用がある。sillica gel大量摂取の場合、塩化コバルトの毒性に注意。

症状 経口摂取:コバルト塩による消化管粘膜の糜爛、血便、嘔吐、顔面紅潮、低血圧、耳鳴。
処置

少量の摂取であれば、特別な処置を必要としない。大量摂取の場合でも、異物としての処置(経口摂取された異物は3日以内に80%が糞便中に自然排泄)-自然排泄によるが、時に下剤による排泄促進を図る。
ただし、稀に口腔粘膜又は消化管粘膜に付着することにより糜爛が生ずることがあるので水分(小児ではジュース等)、牛乳、粘膜保護剤(マーロックス、アルロイドG等)を投与する。小児で大腸粘膜に付着したためと考えられる疫痢様下痢の報告がある。
眼に入った場合:流水で洗浄。

事例 幼児がシリカゲルを3粒程度誤飲した。どの様に対処すればよいか。
備考 別名:ケイ酸ゲル。
文献

1)薬科学大辞典 第2版;広川書店,1993
2)西 勝英・監修:薬・毒物中毒救急マニュアル改訂3版;医薬ジャーナル,1986
3)鵜飼 卓・監修:第三版 急性中毒処置の手引き;薬業時報社,1999
4)13901の化学商品;化学工業日報社,2001

調査者 古泉秀夫 分類 015.11.SIL 記入日 2002.10.2.