「ABX-EGFについて」
KW:薬名検索・ABX-EGF・治験記号・抗癌剤・ヒトモノクローナル抗体・上皮細胞成長因子受容体・EGFR・panitumumab・パニツムマブ・結腸直腸癌
Q:治験記号ABX-EGFの薬剤について
A:治験記号ABX-EGF(Amgen社-Abgenix社)の薬剤は、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)を標的とした完全ヒトモノクローナル抗体製剤のパニツムマブ(panitumumab)である。我が国における第I相臨床試験において、有望な結果が得られたことが日本癌治療学会において国立がんセンター消化器内科の山田康秀氏によって報告されたとされる。
ABX-EGFは、米・アブジェニックス社(Abgenix社)がトランスジェニックスマウス(XenoMouse)を用いて産生した、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)に対する完全ヒト化モノクロナール抗体(IgG2)である。米・アムジェン社(Amgen社)と共同で抗がん剤として開発し、国内でもAmgen社が臨床試験を進めている。
本抗体はEGFRを直接標的にした完全ヒト化モノクロナール抗体(静注)である。米・イムクローン社のキメラ抗体エルビタックス(セツキシマブ:cetuximab)や英・アストラゼネカ社のイレッサと競合する。cetuximabはキメラ型のモノクロナール抗体で、また、前投薬を必要とする週1回の静注剤であるが、ABX-EGFは前投薬を必要とせず、2週間若しくは3週間に1回の静注投与で済む可能性が期待されている。
治験段階で報告されている有害事象のうち発現頻度の高いのは皮膚発疹(90%超)で、その他の事象としては、疲労感、貧血、悪心、食欲不振、便秘、低マグネシウム血症等が見られている。
商品名:Vectibix
米では2006年9月転移性結腸直腸癌の標準的な化学療法後の第3選択療法剤としてFDAにより承認された。
1)http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/egfr1.html,2007.3.29.
2)パニツムマブ;New Current,17(27):25-29(2006.12.10.)
[011.1.PAN:2007.4.9.古泉秀夫]