「流石茶について」

KW:健康食品・流石茶・りゅうせきちゃ・さすがちゃ・赤芽柏・裏白樫・柿葉・隈笹・梅寄生・枸杞・波布茶・烏龍茶・籬通・杉菜・鬱金

 

Q:流石茶について

A:流石茶として市販されている製品の配合成分として、次のものが見られる。

配合成分 配合成分の食効
赤芽柏   トウダイグサ科アカメガシワ属の落葉性高木。別名:ゴサイバ(五菜葉)、アカメガシワ。赤芽槲。中国名:野梧桐(ヤゴトウ)。学名:Mallotus japonicus Muell.Arg.。樹皮にはやや多量のタンニンがある。消炎・収斂作用。 胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃酸過多、胆石症等の治療に使用。民間では、樹皮よりも、赤い新芽と新葉、赤い葉柄の干したものの方が効果があるとされている。
裏白樫   ブナ科コナラ属の常緑高木。和名:ウラジロガシ。学名:Quercus stenophylla Makino。薬用部分:小枝、葉。フラボノイドのクエルセチン、ケンフェロール、イソクエルセチン、トリテルペノイドのフリーデリン、エピフリーデリン、フリーデナロール、タラクセロールの他、コハク酸、エラグ酸、没食子酸、β-D-グルコガリン、カテコール、ピロガールなどを含む。裏白樫エキス(Uragilogashi Exe.)は動物実験の結果、膀胱内結石形成抑制作用・溶解作用が認められたと報告されている。民間療法として、胆石症、腎石症に用いられているとする報告が見られる。
柿葉   カキノキ科カキノキ属の落葉高木。学名:Diospyros Kaki Thunb.。柿渋中のタンニン様物質の水溶液は経口摂取で血圧降下作用を示すとの報告があるが、これは含まれるコリンの作用かもしれない。若葉にはvitamin Cが多い(生葉100g中1000mg)。その他、柿葉にはフラボノイドのケルセチン誘導体が含まれている。この物質は、血圧上昇に深く関与しているアンジオテンシンIIの生成を抑制する作用が認められている。果肉には糖質、タンニン、ペクチン、vitamin A1物質、酵素類を含む。
クマザサ
(隈笹)
  イネ科ササ属の多年草。別名:ヤキバザサ。学名:Sasa albo-marginata Makino et Shibata。薬用部分:葉。葉には葉緑素が含まれるが、その他の成分については未詳。葉緑素には皮膚や粘膜創傷面の治癒を促す作用がある。葉抽出エキスは、外国では胃炎・胃糜爛症・胃潰瘍等の治療剤として使用されている。
バイキセイ
(梅寄生)
  サルノコシカケ科マンネンタケ属に属する担子菌類の一品種。中国名:霊芝、和名:マンネンタケ。学名:Ganoderma lucidum。別名:瑞草、門出茸、仙草、吉祥茸、神芝、万年芝、赤芝。従来は梅の古木10万本に対し2-3個しか採集できないとされる希少品種であった。高血圧の改善、低血圧者の血圧を高める、動脈硬化の予防、高血圧症の改善、降圧剤の副作用軽減、老化防止等の作用が報告されている。β-グルカン、食物繊維ヘミセルロース、トリテルペノイド類のガノデリン酸、塩基成分のアデノシン、グアノシン等のヌクレオチド類、多糖蛋白質複合体のガノデランB、ガノデランC、ペプチドグリカン等を含有。
枸杞   ナス科クコ属の半落葉低木。学名:Lycium chinense Mill。薬用部分:葉、液果及び地下部の皮。葉にはカリウム、微量のルチン、vitaminB1、vitaminB2、vitamin C、メチオニン、硝酸カリ、葉緑素等。地下部の皮には消炎・解熱・強壮の効果があるとされ肺結核、糖尿病などによいといわれているが、僅かな消炎効果以外は望めない。枸杞実にはベタイン、フィリイエン等のalkaloidが含まれ、alkaloidは神経に働き疲労した神経を興奮させるとされているため、精気がみなぎったような感じになる。特にベタインは消化器系の分泌、運動を促し、胃腸病に対して間接的な効果を発揮するとされている。

ハブ茶
(夷草)

  マメ科カワラケツメイ属の1年草。学名:Cassia tora L.、別名:決明、ロッカク草。漢方名:決明子。ハブ茶は北米原産のエビス草(夷草)の種子を使用する。種々の眼病、習慣性便秘、高血圧、肝炎、脚気、浮腫等に使用された。ハブ茶は健康増進と、強壮、肝臓と腎臓の強化目的で使用される。
烏龍茶  

ツバキ科チャ属の常緑小高木。学名:Thea sinensis L.。烏龍茶は半醗酵の茶で、緑茶と紅茶の中間のお茶であるとされている。発酵の過程で生葉中にはない香気成分(ネロリドール、インドール、ジャスミンラクトン等)が発現するといわれている。烏龍茶はカフェインが少なく、放置してもタンニンの解毒・殺菌作用は変質しないため、いわゆる宵越しのお茶でも飲めるとされている。肥満予防、花粉症等のアレルギーの原因となるヒスタミン抑制効果がいわれている。

カキドオシ
(籬通・垣通)

  シソ科カキドオシ属の多年草。和名:連銭草、積雪草、生薬名:疳取草(カントリソウ)。学名:Glechoma hederacea L.。薬用部分:花期から夏期の全草。茎葉には精油(リモネン等)、タンニン、苦味質などが含まれる。その他、成分としてウルソール酸、硝酸カリ、コリン、タンニン、カリウム塩等を含むとする報告がある。効用として神経痛、肝臓病、胆石、糖尿病、虚弱体質、疲労、胃弱、浮腫等がいわれている。
杉菜  

トクサ科トクサ属の夏緑性多年草。薬用部分:栄養茎。学名:Equisetum arvense L.。全草中主成分はサポニン、P、K、Mg、鉄、銅、Mn、Ge、珪素等のミネラル類を多く含み、Caは100g中に1740mgにも達する。、vitamin C等。サポニンは血液中に入ると赤血球のコレステロール等と結びつき、赤血球の被膜の透過性を低下させ、その結果として溶血を引き起こすが、微量では気道からの分泌物を増やすため咳を誘発し、去痰剤となる。民間療法として利尿剤として利用されてきたが、利尿作用については薬理学的には未詳とする報告も見られる。米国で肉体疲労、貧血、前立腺肥大、尿路結石、肺結核、小児の夜尿症に有効の報告。

秋鬱金   ショウガ科ウコン属(クルクマ属)の多年草。漢名:鬱金。中国名:薑黄、学名:Curcuma longa L.。秋鬱金はクルクミンを多く含むことから染料や食材の着色料として利用される。ターメリックとしてカレー粉の材料になっている。特に春鬱金(学名:Curcuma aromatica S、中国名:鬱金)のクルクミンや精油成分について肝臓の解毒機能促進、胆汁分泌促進、胆道結石除去、利尿、強心、抗出血、抗菌、抗潰瘍、血中コレステロールの抑制作用があるとされている。

 

流石茶は医薬品ではないため、薬効を標榜することはできない。従って、惹句として『胆石、腎臓結石、尿路結石等の結石症を予防』する等としているが、次の点に注意が必要である。

生薬成分を含め配合されている植物には、多種多様な成分が含まれており、それぞれについて機能が報告されているが、茶剤として使用した場合、これらの含有成分が全て期待通りの機能を果たすわけではない。また、植物成分は、栽培地・栽培時の天候等種々の自然条件の影響により含有成分は必ずしも一定ではない。従ってあくまでも補助的な使用と考え、何等かの症状が自覚される場合、疾病が重篤化する前に、医療機関に受診すべきである。

 

1)伊沢凡人・他:カラー版 薬草図鑑;家の光協会,2003
2)奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典-機能性食品・特定保健用食品-;東洋医学舎,2004・2005
3)牧野富太郎:コンパクト版 原色牧野日本植物図鑑I;北隆館,2003
4)牧野富太郎:コンパクト版 原色牧野日本植物図鑑II;北隆館,2000
5)牧野富太郎:コンパクト版 原色牧野日本植物図鑑III;北隆館,2002
6)http://www.holos-web.com/1-005.html,2005.3.21.
7)http://www.taiseidrug.com/urajiro(o).htm,2005.3.21.
8)古泉秀夫・編著:わかるサプリメント健康食品;じほう,2003

                                                [015.9.MAL:2007.2.19.古泉秀夫]