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アマランサスについて

木曜日, 1月 10th, 2008

KW:健康食品・アマランサス・アトピー・amaranthus・成分・組成・カルダータス・ヒポコンドリアカス・ケニアッタ

Q:粟・稗等の餅の中にアマランサスを入れた物が市販されており、アトピーに良いと新聞に書いてあったが、このアマランサスとは何か

A:新聞報道[1991.10.3.朝日新聞・朝刊-神奈川版]によれば、

猿害に縁遠い転間作物・アマランサスを神奈川-真鶴農協[TEL.0465-68-1225]が栽培として、ミカンの減反後地に「健康食品」として使われる作物アマランサスの試験栽培を始めている。粟に似た実を粉にし小麦粉に混ぜ、パンやうどんに加工して同農協で販売する計画。アマランサスは中南米が原産、その実にはミネラルや蛋白質を多く含み、アトピー性皮膚炎で愛用する人も多い

等の報道がされている。

尚、amaranthusについて、次の報告がされている。

アマランサスは、インカの古代食物として長い伝統と歴史を持つが、儀式用食物として用いられていたため、邪教の食物としてその価値が認められず、ヨーロッパにも紹介されず、19世紀に入りアジアに紹介された。その後アフリカに導入され、野菜や穀物としての利用が広がってきた。アマランサスは、野菜として夏期の高温でも良く生育し、C4植物の性質を持ち、他の野菜の生育しない不良環境でも良く育つだけではなく、蛋白質・ビタミンC・鉄・カルシウム・線維等、特に昨今栄養として要求される成分を極めて豊富に含んでいる。

アマランサス茎・葉の主要成分(乾物100g当たりの成分量)

乾物重量 15.0g
カロチン 5.7mg
6.9mg
カルシウム 410mg
ビタミンC 64mg
蛋白質 4.6g
脂質 968mg

アマランサスの穀実は、疑穀類といわれ、穀物でない穀物として分類されている。穀類の栄養成分は、蛋白質や脂質、線維等のほか、カルシウム・リン・鉄・カリウム等を豊富に含み、他の穀類にない優れた成分組成を持っている。更に近年、食物性アレルギーのアトピー性皮膚炎にアマランサスが有効であるとして、御飯やパンに約10%混ぜて調理すると、アレルギーが回避できるとする報告がみられる。

アマランサス実の栄養成分組成比較(可食部100g当たり)

廃棄率(%) ?
エネルギー 372kcal
水分 9.8g
蛋白質 13.0g
脂質 7.3g
灰分 4.6g
炭水化物
糖質 61.3g
繊維 4.0g
無機質
Ca 152mg
P 485mg
Fe 111mg
Na 6.9mg
K 969mg
ビタミン
B1 0.06mg
B2 0.20mg
ナイアシン 1.7mg
C 0

食物連鎖の中で、どの様な作用があるのかは解明されていないが、脂質の中に占める脂肪酸が炭素数16のパルミチン酸と18のステアリン酸、オレイン酸、リノール酸が脂肪酸総量の97.33%を占め、これがアトピーの回避機作と深い係わりがあるのではないかとされている。

アマランサスの種類

 

■ カルダータス[AmaranthscaudatusL.](餅・タイプ)
子実利用。→ヒユ科の植物。センニンコク(和名)、老槍穀(ロウソウコク)。葉はベタイン、蓚酸塩を含む。種子にはフィトヘマグルチニンと脂肪油を含み、その中には飽和脂肪酸23.8%、不飽和脂肪酸71%、不鹸化性物質3.2%を含む。脂肪酸中にはパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸を含む。不鹸化性物質には4種類のステロイドを含み、その中の一つはβ-シトステロールである。
■ ヒポコンドリアカス(ウルチ・タイプ)
子実利用・野菜利用
■ ケニアッタ(ウルチ・タイプ)
子実利用・野菜利用
■ トリカラー[AmaranthustricolorL.]
鑑賞用花き・野菜利用。→ヒユ科の植物。雁来紅(和名)ハゲイトウ。→大量のビタミンC、アマランチン含む。
■パイアム
野菜

アマランサスの利用
機能性食品 アトピー性皮膚炎等
健康食品
  1. うどん・ソバ→乾麺(5%程度混入)
  2. 生麺(10%程度混入)
  3. パン・クッキー(カルダータス)
  4. その他→御飯(10?20%)/雑炊(20?25%)

[59.FD19.011.1AMA][1992.1.21.・1999.4.9.一部修正.古泉秀夫]


  1. SDIC・私信,1992
  2. 真鶴農協・私信,1992
  3. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典[第一巻];小学館,1985,p.399
  4. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典[第三巻];小学館,1985
  5. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典[第四巻];小学館,1985,p.2761
  6. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.243,1992.1.23.より転載