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「アマランサス葉の含有成分について」

月曜日, 1月 7th, 2008

KW:健康食品・アマランサス・アマランサス葉・葉鶏頭・grain amaranthus・Inca wheat・紐鶏頭・ヒモゲイトウ、仙人穀・センニンコク、繁穂ヒユ、種粒ヒユ、子実用アマランサス

 

Q:アマランサス葉の含有成分について

 

A:アマランサスとは、葉鶏頭の仲間で、ヒユ科、ヒユ属の1年生草本である。60属中に800の種があり、その内10種ほどが食用にされている。メキシコからアンデス南部を原産地とするものや、インドから東南アジア、またヨーロッパが原産のものもある。耐暑性と耐寒性を備えており、生育前半に霜にあたらなければ、生育はしだいに旺盛となる。
学名:Amaranthus hypocondriacus L.、 A. caudatas、 A. curuentus等。
別名:ヒモゲイトウ、センニンコク、繁穂ヒユ、種粒ヒユ、子実用アマランサス
英名:Grain amaranthus、Inca wheat
種類: 雑穀、擬穀類食用。

アマランサス属は、さらにAmaranthus節とBlitopsis節に分けられる。前者はグレインタイプであり、染色用、装飾用、野菜用を含むが、大多数は雑草である。この中には、A. cruentus、南米で栽培されている紐鶏頭(A. caudautus)、メキシコで栽培されている繁穂ヒユ (A. hypochondriacus)及びA. edulisが含まれているが、A. edulisを除き無限花序である。一方、Blitopsis節は無限花序で、頂部に穂があっても小さい。この中には、葉菜用のA. tricolor(葉鶏頭)、A. gangeticus及びA. blitumなどが含まれている。

amaranthusの近縁種

子実用
栽培種 A. hypochondriacus L.
栽培種 A. caudatus L.(紐鶏頭、仙人穀)
栽培種 A. cruentus L.(スギモリケイトウ、フジ鶏頭)

 

葉菜用 A. tricolor L.(葉鶏頭)
葉菜用 A. viridis L.(アオビユ、ホナガイヌビユ)
葉菜用 A. dulius Mart. ex Thell.(スギモリケイトウに近似)
野生種 A. spinosus L.(ハリビユなど)
野生種 A. retroflexus L.(アオゲイトウ)
野生種 A. patulus Bertoloni L.(ホソアオゲイトウ)

 

amaranthusの一部は、広い環境に適応できる。早生種を選べば北海道でも栽培可能なことがわかったと報告されている。普通の葉は先の尖った楕円形を呈している。葉の大きさは種によって多様である。茎色も濃緑から赤紫まで色々である。光合成能力が高い。
amaranthusは、南米Tehuacan ValleyのBC6700-5000の遺跡から発見されている。新世界における古い作物の一つであり、4千年前から耕作され、トウモロコシ、ジャガイモなどと共にインカ古代文明を支えた食物のひとつと伝えられている。
19世紀初頭にインド、ネパール地域に持ち込まれ、この地域を中心に、主として食用目的に栽培されている。中国では葉鶏頭の若い茎葉を野菜とし、薬用とする他、小鳥の餌、あるいは穂や茎葉は豚の餌として使っている。
アメリカでは中国から品種を輸入して栽培しているが、1980年代に、雑草としてのアマランサスを研究中に、薬効があることが解り、健康食品として見直されているとされる。日本でもアレルギー性患者をもつ家庭で関心を持ち始めているが、輸入穀物は検疫の際、燻蒸するため、国産品が求められている。
amaranthusは、葉は野菜、実は穀物、花は観賞用となるほか、ミネラルや良質たん白質が豊富であるため健康食品として、また水田転作作物として関心が持たれつつある。

amaranthus生葉100g中[農業機構(FAO)資料;Elias, J(1977)]

  mineral
蛋白質 食物繊維 Fe Ca Na K P
4.6-14.9g 7.4g 2.2-24.8mg 146-476mg 41-15mg 411-624mg 45-610mg

 

vitamin
A B1 B2 C niacin
65-7715IU 0.01-0.08mg 0.14-0.42mg 12-120mg 0.3-1.8mg

以上、調査の結果を報告するが、まだ野菜としての大衆的認知が得られていないため、食品としての詳細な栄養成分の報告は入手できなかった。しかし、取り敢えず、上記の各成分については、国外での報告例として紹介されていた。

  [015.9.AMA:2006.1.112.古泉秀夫]

 

1)古泉秀夫・編著:わかるサプリメント健康食品Q&A;じほう,2003
2)http://www.agri.pref.hokkaido.jp/chuo/hata2/tokuyo51.htm,2005.11.10.
3)http://misa.ac.affrc.go.jp/mihonen/CROP4.html,2005.11.10.
4)http://www.nava21.ne.jp/~uesugi/ken/seibun/amaranthus.htm,2005.11.10.

イチジクの食効について

月曜日, 1月 7th, 2008

KW:健康食品・機能性食品・生薬・果実・イチジク・無花果・ムカカ・ペクチン

 

Q:健康食品としてイチジクを原材料とした製品が市販されているが、これの食効について

A:通常、イチジクと呼称されている果実は、クワ科の植物で、漢方名『無花果(ムカカ)』(和名:イチジク)の乾燥した花托である。

イチジク(Ficus carica L.)。

落葉低木若しくは小高木。高さは10mに達し、乳汁がある。

異名として阿駅(アエキ)・底珍(テイチン)・天生子(テンセイシ)、映日果(エイジツカ)、優曇鉢(ユウドンハチ)・蜜果(ミツカ)・文仙果(ブンセンカ)・品仙果(ヒンセンカ)等が報告されている。

  • [成分]:果実にはブドウ糖、果糖、蔗糖、クエン酸と少量のフマール酸、コハク酸、マロン酸、ピロリジン-カルボン酸、蓚酸、リンゴ酸、キナ酸及び植物成長ホルモン(オーキシン)を含む。乾燥果、未熟果及び植物の乳汁は抗腫瘍成分を含むとされている。乳汁中にはアミラーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等を含む。
  •  
  • [薬理]:無花果は豊富な栄養分を含み、食用にされる。
    便秘の時には、食物性の軽い下剤になる。
    樹の乳液(ラテックス)には、ラットの移植性肉腫を抑制する成分が含まれる(注射時)。
    乾燥果の水抽出物から活性炭、アセトン処理を経て得られる物質には、抗エールリッヒ肉腫の作用がある。
    未熟果実から得られる乳汁は、ラット移植性肉腫とマウスの自然性乳癌を抑制し、腫瘍を壊死させることができる。
    また移植性腺癌、骨髄性白血病、リンパ肉腫の成長を遅らせ、退化させることができる。この乳汁をラットに0.02mL、ウサギに0.05mL静脈注射すると、直ちに致死する。解剖すると内臓の毛細血管に損傷が見られ、腹腔内注射の状況もこれと類似している。
    皮下注射は局部の壊死を起こすが、経口投与では無毒である。
    石油エーテル、エチルエーテル抽出物は、ウサギ・ネコ・イヌに対していずれも降圧作用があり、呼吸はやや興奮を示す。
    ネコの瞬膜試験では、神経節遮断作用はない。降圧作用の原理は、末梢性のものによると推定されている。
  • その他:主成分は糖で、約10%(乾果は66%)含まれ、ビタミン・ミネラル類も少量ずつまんべんなく含まれている。この他食物繊維のペクチンがあり、腸運動を活性化し、便秘に効果的である。更に三大栄養素の分解酵素が含まれているので、その効果は多様である。
    また無花果には抗炎症作用があり、喉痛、痔疾に効果がある。葉の煎剤を痔の患部に塗布すると効果的であるとされている。果肉や葉からでる白色乳汁に含まれるペプチドは血圧抑制作用があり、外用では疣贅の治療に用いる等の報告がされている。

なお、無花果可食部100g当たりの栄養成分値は下記の通りである。

  エネルギー 水分 蛋白質 脂質 炭水化物-糖質 炭水化物-繊維 灰分
生果 43kcal 87.7g 0.6g 0.1g 10.4g 0.7g 0.5g
乾果 271kcal 22.0g 3.8g 0.6g 66.0g 4.4g 3.2g
缶詰 83kcal 78.4g 0.5g 0.1g 19.9g 0.8g 0.3g

 

無機質
Ca P Fe Na K Mg Zn Cu
26mg 16mg 0.3mg 2mg 170mg ? ? ?
170mg 100mg 1.9mg 12mg 1100mg      
30mg 30mg 0.1mg 8mg 110mg      

 

ビタミンA   ビタミン
カロチン A効力 B1 B2 ナイアシン C  
12μg 0 0.03mg 0.03mg 0.2mg 2mg 生果
30μg 17IU 0.05mg 0.05mg 1.0mg 0 乾果
0 0 0.02mg 0.02mg 0.1mg 0 缶詰

なお、上表のうち項目の無いものについては測定値の記載が無いことを意味する。

[015.9.FIG:2007.3.21.古泉秀夫]


  1. 上海科学技術出版社・編:中薬大辞典;小学館,1998
  2. 奥田拓道:健康・栄養食品事典;東洋医学舎,2000-2001
  3. イチジクFIGパンフレット[(株)コーワリミテッド 〒171-0031 東京都豊島区目白3-14-20 ]
  4. 香川芳子・監修:四訂食品成分表;女子栄養大学出版部,2000

飲食物中の蓚酸含有量について

月曜日, 1月 7th, 2008

KW:健康食品・機能性食品・食品・蓚酸・oxalic acid・植物・蓚酸低減量・野菜類

 

Q:食品中に含まれる蓚酸の含有量について、測定値は報告されているか

 

A:ヒトの生命維持に必要な栄養成分については、市販されている野菜等の食物全般にわたり測定値の報告がされているが、蓚酸(oxalic acid)は、特に栄養成分として必要性が認められていないため、全食品についての測定値は報告されていないようである。

なお、蓚酸は炭素原子を2個持ち、反応性が高く、金属と塩を作り、生成された塩は極めて溶け難い。

体内での蓚酸塩の沈着により尿路結石が惹起され、蓚酸レベルの高い人に多発する。更に野菜に含まれる蓚酸が、食品中のミネラルと結合し、その結果、これらのミネラルの吸収を阻害する。主にカルシウムと鉄の吸収が阻害されることが報告されており、注意が必要である。

測定値のある一部について、次に紹介する。

表1.食品中の蓚酸含有量(可食部100g中のg量)

食品名 測定部位 可溶性蓚酸 食品名 測定部位 可溶性蓚酸
アカザ 1.690 馬鈴薯 根茎 0.042
ツルナ 1.277 タンポポ 0.037
煎茶* 乾葉 1.044 葉茎 0.036
タケノコ 0.654 キク 花黄 0.035
ホウレン草 葉茎 0.650 春菊 0.027
浜防風 葉茎 0.585 パセリ 0.024
不断草 葉茎 0.580 セロリ 0.022
生姜 0.574 ニラ 葉茎 0.015
茗荷 花茎 0.447 キク 0.012
イタドリ 0.433 トマト 果菜 0.011
茗荷茸 葉茎 0.360 シメジ 全菜 ±
蒟蒻芋 0.175 サラダ菜 ±
ヤツガシラ 根茎 0.175 三つ葉 葉茎(冬) ±
里芋 根茎 0.151 ゼンマイ 葉茎 ±
筍水煮 0.138 ワラビ 葉茎 ±
アカメイモ 根茎 0.125 蒟蒻   0
生茶葉 0.121 土筆 0
葉茎 0.120 フキ 0
薩摩芋 0.103 フキ 0
三つ葉 葉茎(夏) 0.080 胡瓜 果菜 0
ヨモギ 0.063 大根 根茎 0
榎茸 全菜 0.061 紫蘇 青葉 0
大和芋 0.049 根茎 0
ナメコ 全菜 0.043 椎茸 全菜 0

*煎茶の場合1回使用量は2g程度  [中村経子:栄養と食糧,27:33(1974)]

上表の測定値は、可溶性蓚酸としているため、食品中の全蓚酸量として認識するかどうかは別として、植物中には一定量の蓚酸が含まれると考えることは可能である。但し、食物中の蓚酸が、全て体内に摂取されるわけではなく、ゼンマイ・蕨等では前処理として灰汁抜きが行われるため、相当量の蓚酸は植物本体から排出されるものと考えられる。また、茹でるという調理操作を必要とする野菜では、茹でこぼすという前処理によって含有量の低減が可能である。

次にほうれん草中の蓚酸量について、生及び茹でた場合の含有量の推移について、検討した資料を紹介する。

表2.ホウレン草中の蓚酸量の推移(mg/全量g)

  葉身 葉柄 可食部合計
豊葉 840.7/60.42 58.1/29.88 896.3/90.30
ニューアジア 504.2/55.50 35.2/35.40 539.4/90.90
新日本 587.3/53.30 54.3/39.00 641.6/92.30
茹で
  葉身 葉柄 可食部合計
豊葉 415.1/63.75 11.3/24.25 426.4/88.00
ニューアジア 315.7/61.50 13.6/27.10 329.3/88.60
新日本 347.5/58.70 14.2/29.40 361.7/88.10

[草間正夫・他:栄養学雑誌,21(2):13(1965)]

上表から可食部100g中の蓚酸の低減率を計算すると

表3.蓚酸の低減率

ホウレン草種類 低減率(%)
豊葉 51.11
ニューアジア 37.27
新日本 40.86

 

約40%から50%の蓚酸は、茹で汁中に排出されるという結果がでている。タケノコ(茎)の生中の蓚酸量について、可食部100g当たり 654mg、茹でた場合、可食部100g当たり138mgとする測定値が報告されている。この測定値から計算すると低減率は78.9%と計算できる。

また、上表の他、食品100g中の蓚酸量(mg)として次の測定値が報告されている。

食品名 含有量 食品名 含有量 食品名 含有量
ホウレン草 320-1260 リーキ 23-89 レタス 5-20
ナス 10-38 トマト 5-35 林檎 平均15
平均15 平均15 イチジク 80-100
茶葉 300-2000 煎茶 10-18/100mL ココア粉末 500-150

 

以上の報告から植物中に含まれる蓚酸は、生食しない限り茹で汁あるいは煮汁中に相当量溶出することが考えられる。

[015.9.WHE:2007.3.21.古泉秀夫]


  1. 山下光雄:野菜中の蓚酸含有量;日本医事新報社,No.3205:131(1985)
  2. 三浦里代:食品のシュウ酸含量;日本医事新報,No.3993:98-99(2000)