キシリトール入りガムによる呼吸困難
KW:食物アレルギー・過敏症・キシリトール・ガム・キシリッシュ・クリスタルミント
Q:キシリトール入りガムのうち『クリスタルミント』を噛むと心臓がバクバクするとか息苦しくなる等の症状が出ることがあるが、これはアレルギーと考えていいのか
A:キシリトール入り『シュガーレスガム『キシリッシュXYLISHクリスタルミントCRYSTAL MINT(明治製菓)』の表示成分は次の通りである。
- 名称:チューインガム
- 原材料名:マルチトール、食塩、甘味料(キシリトール、アセスルファムカリウム、スクラロース)、ガムベース、香料、炭酸カルシウム、増粘剤(アラビアゴム)、リン酸カルシウム、光沢剤、軟化剤、香辛料抽出物、乳化剤、ポリフェノールオキシダーゼ、デキストラナーゼ(風味)
- 内容量:12粒入り
- 息・キレイ:ラッカーゼ+ローズマリー配合+デキストラナーゼ(風味)
- 美しい歯、もっと大切に:キシリトール+ハイドロキシアパタイト
エネルギー | 蛋白質 | 脂質 | 炭水化物 | ナトリウム | キシリトール | 糖類 |
33kcal | 0g | 0g | 12.9g | 3mg | 7.2g | 0g |
各種配合成分の特徴は、次の通り報告されている。
- ハイドロキシアパタイト(hydroxiapatite): 歯や骨を構成する成分であり、リン酸カルシウムからなる無機鉱物の一種。hydroxiapatiteの成分は、人間を含む動物の骨や歯などと同じ成分である。
- デキストラナーゼ(dextranase):カビを培養して得られる酵素。汚れを分解する酵素。
- ミント(mint):スペアミント。シソ科ハッカ属・多年草。学名:Mentha spicata。別名:ミドリハッカ、オランダハッカ。
原産地:ユーラシア大陸・アフリカ。
その他の品種:林檎の香りのアップルミント(学名:Mentha suaveolens Ehrh.)、ミントの元祖とも言われるウォーターミント(学名:Mentha aquatica L.)、冷たい香りのクールミント(学名:Mentha arvensis var.agrestis)、刺激的な香りのペパーミント(学名:Mentha piperita)、オレンジミントとも呼ばれるオーデコロンミント(学名:Mentha xpiperita ‘Citrata’)。 - ラッカーゼ(laccase):o-ジフェノール又はp-ジフェノール(ヒドロキノン)を分子状酸素を使って、o-キノン又はp-キノンに酸化する酵素。
各種の微生物、茸、ウルシなどに存在する銅酵素。また、ウルシなどの植物や動物に広く存在する酵素で、酸素の存在下でフェノール類、アニリン類を酸化する等の報告が見られる。 - ローズマリー(rosemary):ローズマリー油(rosemary oil)。南ヨーロッパに産するシソ科植物マンネンロウ(Rosmarinus officinalis)の花及び水蒸気蒸留して得られる無色又は黄緑色の香油。
成分はショウノウ、シネオール、ボルネオール、ピネン、カンフェンなどである。用途:安価な石鹸、化粧品香料などの原料。 - アセスルファムカリウム(acesulfame potassium):アセスルファムカリウムは、飲料、菓子、ジャム類等100品目以上の食品に、甘味料として使用される。動物における抗原性試験の結果、炎症反応は観察されなかったとされている。
以上の調査の結果、アレルギーの可能性が推測されるのは、dextranase、laccaseの酵素類であるが、これらの酵素に対する過敏症試験をした後でなければ、確定出来ない。
該当者が皮膚科において貼布試験を受けるのも一つの考え方であるが、ガムは『生命維持基本食品』ではないため、他のガムに変更したとしても何等問題にはならない。摂食するガムの変更をお奨めする。
[065.XYL:2004.9.3.古泉秀夫]
- 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
- 静岡県静岡工業技術センターhttp://www.s-iri.pref.shizuoka.jp/,2004.9.2.
- 森田慶子:
http://www.morita-dewrite.co.jp/d_and_g/garden/g_h_data/g_mint.html,2004.9.3. - 生物化学辞典 第3版;東京化学同人,2002
- 財団法人 日本食品化学研究振興財団;http://www.ffcr.or.jp/,2004.9.3.