健康食品として市販されているお茶中の ミネラル含有量

KW:健康食品・茶葉・ミネラル・ミネラル含有量・副作用・高カリウム血症・カリウム含有量

Q:健康食品として市販されているお茶中に含まれているミネラルの含有量について

A:市販されている全ての健康食品-お茶として服用-の全データを確認することはできないが、一部の製品について、入手できたので以下に紹介する。

お茶の成分(乾物中mg%)

試料 Ca Mg Na K Fe 基原・その他の成分
明日葉茶 1054 215 36 1520 42 セリ科植物。ビタミンB12含有。葉緑素の含有量大。茎・根茎成分ルテオリン(強心・利尿作用)、ゲルマニウム(抗癌作用)、キサントアンゲロール(抗潰瘍・血小板凝集抑制作用) 。
ウッチン茶 93 224 31 2310 7 ショウガ科の植物。鬱金の沖縄方言名:ウッチンの茶製剤。黄色色素のクルクミン、精油成分(フラボノイド、カンファー、アズノン、シネオール等)肝解毒機能促進、胆汁分泌促進、胆道結石除去、利尿・強心・抗出血・抗潰瘍・コレステロール抑制作用等が報告。
烏龍茶 124 120 53 1382 33 ツバキ科の植物。茶樹葉の半発酵茶。脂肪分解作用、食欲増進作用、消化促進作用。
ギムネマ茶 1022 347 35 1610 43 ガガイモ科の植物。ギムネマ・シルベスタの葉。ギムネマ酸(糖分吸収抑制)、健胃・利尿・強壮。
キダチアロエ茶 2671 738 178 1421 4 ユリ科の植物。アロイン・アロエエモジン(健胃・瀉血・緩下作用)、アロエチン(抗菌・美白)、アロエウルシン(抗潰瘍作用)、葉緑素、サポニン、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE含有
ぎん茶 5970 325 125 2520 105 マメ科植物(英名:Leucaene)の多年生小高木。ギンネムの醗酵物。亜鉛、銅、セレン等を含有。
くみすくちん茶 1307 228 119 1776 10 シソ科の植物。ネコノヒゲ。猫髭草。Orthosiphon dristatus(BL)Mig。
グアバ茶 1038 165 33 1595 10 フトモモ科の植物。和名:バンジロウ。葉緑素、葉酸、ビタミンA・B2・C・E及びビタミンU、蛋白質、多糖類含有。血糖低下作用。
どくだみ茶 816 174 8 4795 12 どくだみ科の植物。デカノイルアセトアルデヒド・ラウリルアルデヒド(抗菌作用)、エルチトリン・イソクエルチトリン(強心・利尿・毛細血管強化作用) 。
杜仲茶 1150 238 12 1018 48 トチュウ科の植物。痩身作用、コラーゲン新陳代謝促進作用。ピノレジノール・ジグルコサイド、ゲニポシド酸。
プーアル茶 317 138 26 1435 44 ツバキ科の植物。茶樹から作られる。サポニン(消化促進効果)、カテキン(整腸作用)、精神安定作用、利尿・止瀉作用等。
もろへいや茶 1533 339 48 4005 20 シナノキ科の植物。生鮮野菜。ツナソ(綱麻)。 英名:ジュート。カロチン(人参の1.5倍)、従来の野菜に比較して栄養価は高い。
ルイボスティー茶 135 107 264 291 11 マメ科の植物。針葉樹の一種ルイボスの細葉を醗酵後乾燥。学名:アスパラサス・リネアリス(Asparathus linearis)。 カフェイン含有量0。抗酸化作用、活性酸素消去作用。

蛋白質4.9%

タンニン8.58%

鉄7.63mg

Na 315mg

銅2.02ppm

マンガン62.5ppm

灰分2.0%

リン50.0mg

Ca 190mg

Mg 188mg

Zn 6.34ppm

ケルセチン31mg以上100g中

[注]mg%(ミリグラム・パーセント:milligrams per cent):液体(例えば血液)100mL中にある物質のmg数。

ルイボス』の成分については、上表の他、次の報告がされている。

ルイボス茶100g当たりの含有量

成分名 含有量 成分名 含有量
蛋白質 7.10% マグネシウム 186mg
タンニン 8.66% 2.09ppm
リン 6.18mg 亜鉛 7.18ppm
11.8mg マンガン 54.7ppm
カルシウム 187mg フラボノイド(ケルセチン) 42mg
ナトリウム 344mg 無水カフェイン 検出せず
カリウム 345mg ?  

(財)日本食品分析センター

クミスクチン(ジャバ茶葉)』[Orthosiphonis folium]

  • 原植物:Orthosiphon spicatus BENTH.
  • 別名:Orthosiphon stamineus BENTH.又はOrthosiphon aristatus BLUME MIQ.(ネコノヒゲ)
  • 産地:熱帯アジア原産。
  • 成分:0.02?0.06%の精油(酸性又はアルカリ性の水で蒸留、多量に抽出)。これまで単離された約60種の成分は、主にセキステルペン類である。約 0.2%の高度にメトキシル化されたフラボン類(sinensetin、euqatorin、scutellarein、tetramethyl ether、salvigenin、rhamnazin等)、サポニン類、約3%のカリウム塩。
  • 適応:利尿薬として慢性又は再発性の腎盂炎、膀胱カタル、腎臓カタル、過敏膀胱、明確な症状のない細菌尿症に用いる。水利尿ばかりでなく、ナトリウムクロリドの排泄も増加する。但し、利尿作用と含有成分の厳密な関連づけは困難。カリウム塩、サポニン類、フラボノイド類の複合作用によると推定の報告。

上表を見る通り、ハーブ茶等の含まれるカリウムの量は多い。

人体においてカリウムはエネルギー代謝、細胞膜輸送、細胞内外の電位差の維持等の機能を担っている。特に電位差の維持は、神経経路の信号伝導、筋収縮、腺組織の外分泌、ホルモンの内分泌、平滑筋・心筋の脱分極等にとって重要である。

カリウムはあらゆる食品(特に新鮮な野菜、果物、肉類)に含まれており、経口的に摂取されると、主に小腸で吸収され、通常、腎臓から排泄される。

通常の食生活を営んでいる限り、カリウム欠乏症や過剰症は起こらない。しかし、嘔吐、下痢、緩下薬乱用による消化管からの損失により欠乏症が起こる。降圧薬による欠乏症もある。糖尿病性アシドーシス、腎不全も重篤なカリウム喪失をもたらすことがある。カリウム欠乏症状には、脱力感、食欲不振、吐気、無関心、不安感、嗜眠、非合理的行動等がある。ときには不整脈、心停止をもたらすこともある等の報告がされている。

しかし、一方で、腎機能低下あるいは高齢者等で、腎からのカリウム排泄が遅延傾向を示す者では、ハーブ茶の飲用が高カリウム血症を惹起する可能性があるので、カリウム保持性利尿剤あるいは副作用として高カリウム血症が報告されている薬剤服用患者では、ハーブ茶の飲用について主治医あるいは薬剤師に相談することが必要である。

事実、どくだみ茶飲用と高カリウム血症発現の因果関係に関する調査依頼が散見されている。

[015.9POT:2000.7.12.古泉秀夫]


  1. 株式会社国際技研・私信.2000.7.7.[〒904-2174 沖縄県沖縄市与儀434 TEL.098-930-3301 kokusai@ibox.ne.jp]
  2. 渡辺良孝・編:ポケット医学英和辞典;医学書院.1997.p.733
  3. 奥田拓道:健康・栄養食品事典;東洋医学舎,2000-2001
  4. 井上博之・監訳:西洋生薬;廣川書店,1999
  5. 香川芳子・監修:四訂食品成分表;女子栄養大学出版部,2000