Archive for 12月 28th, 2007

トップページ»

紅葉巡礼

金曜日, 12月 28th, 2007

鬼城竜生

紅葉の写真が撮りたいということで、11月24日(土曜日)六義園に出かけた。蒲田から京浜東北線で田端まで行き、山手線に乗り換えて、駒込駅で降りる。駅を出て本郷通りを左側に行くと直ぐのところに入り口があるが、相変わらずの人気で、立て込んでいた。

しかし、そのうちに気が付いたのだが、入り口300米先という案内板が眼に入り、その入り口を目指すことにしたところ、たいした混雑もなく入園券を手に六義園-001入れることが出来た。駒込駅に近い入り口は“染井門”で、我々が入った入り口に管理所が置かれているところを見ると、どうやらこちらが正門のようである。

六義園は、五代将軍徳川綱吉の信任が厚かった川越藩主・柳沢吉保が、元禄15年(1702年)に築園した“回遊式築山泉水”の大 名庭園で、池を巡る園路を歩きながら変化する景色を楽しめる繊細で穏和な日本庭園であると紹介されている。

庭を見てどの辺りが穏和で繊細なのか、理解できるほどに侘び寂の心があるわけではないので、庭園を見て穏和・繊細なる感銘は受ける前に、これだけの庭を造るためにどれだけの金を掛けたのかという下世話な話である。更にこの別邸に徳川綱吉が何回か招かれた事があるという話を物の本で読んだことがあるが、江戸城から六義園まで相当の距離があるが、これを駕籠に揺られてきたとすれば、駕籠を担ぐ方も乗る方も、相当我慢強いのではないかと変なことに感心した。

明治時代に入り六義園-002三菱の創業者・岩崎彌太郎が別邸として手に入れたようだが、勝ち戦に乗って安く買い叩いたのではないかとつまらぬ事を考えたが、昭和13年(1938年)に東京市に寄付され、昭和28年(1953年)に国の特別名勝に指定されたということである。

しかし、庭が広すぎて、何処に何が植えられているのか、確認するところまで行かず、感動的な紅葉を見ることは出来なかった。 ただ、何日か後で、六義園の紅葉としてTVで放送しているのを見たが、見事な紅葉が映し出されていた。場所と日時が合いさえすれば、それなりの写真が撮れるということのようである。

折角ここまで来たので、旧古河庭園まで足を伸ばしてみようということで、駒込駅から本郷通りを登って旧古河庭園に辿り着いた。今年の7月当たりから左足の太腿に原因不明の痛みを感じるようになっており、長い道を歩くと足を引き摺るようになるため、若干つらかったのと薔薇が有名な庭園という印象を持っていたため、紅葉を撮るという目的からは外れているのであまり期待はしていなかった。

この場所は、明治の元勲・陸奥宗光(1844-1897)の別邸が古河庭園-001 あった場所で、宗光の次男・潤吉(1869-1905)が、足尾銅山で知られる古河財閥の創始者・古河市兵衛(1832-1903)の養子になった際に、邸宅も古河家の所有となったものだという。この庭園の建物は、大正六年(1917年)に古河財閥三代目当主・古河虎之助(1887-1940)が、英国の建築家ジョサイア・コンドルに設計を依頼して建てられたもので、洋風庭園の設計はコンドル自身が行っているが、庭園の大半を占める和風庭園は、京都の庭師・七代目小川治兵衛(1860-1933)、通称『庭師・植治』の手によるものだとされている。

大正初期の代表的庭園であるとされるこの庭は、当初、古河財閥の迎賓館として使われ、戦後は進駐軍の宿舎とされていたが、その後、国の所有とされ、平成18年(2006年1月)国の名勝に指定されたという。

古典様式の洋館の内部見学は、1日何回かに分け、時間と人数の制限をしているよう古河庭園-002で、運が良ければ入館できるようであるが、当日は人数制限の枠外ということで、入館することは出来なかった。『旧古河庭園』は、 テラス式の洋風庭園・和風庭園を絶妙に組み合わせた庭園として評価されているようである。特に和風庭園は、武蔵野台地の裾に入り込んだ低地を取り込み、土地の高低差を利用した庭園となっており、庭の彼方此方に灯籠等も配置されており、素人が写真を撮るには優しいというか、撮りやすい庭ということが出来る。

最も、和・洋両庭園の好みは、人それぞれで違うのだろうが、坂を利用し、水を多用した庭園の佇まいは、日本人好みである。痛めた足を庇いながら、本郷通りの最後の登りを文句を言いながら登ったが、庭園内では、その登った分を下った所に和風庭園があり、下って行く辛さはあったが、決して御損は掛けないという景観が眼前に展開した。

期待していなかった紅葉が、目の前に広がり、庭園の広大さはさておき、紅葉ということでいえば、六義園より数段上ではないかというのが正直なところであった。更にほぼ平らな六義園に比べて、谷底を望むような形で展開する旧古河庭園の方が、見た目には納得出来る庭園だったといえる。

(2007.12.23.)

『混合診療』

金曜日, 12月 28th, 2007

                                                                      魍魎亭主人 

 

弁護士も経験がないとして手を出さなかった混合診療に関する裁判で、厚生労働省を相手にして全くの素人(清郷伸人氏)が、第一回戦で勝ってしまった。驚くべき頑張りというか、執念というか。更に御当人は癌の治療を受けている患者であるということを聞けば、驚異的な意志の強さだといわなければならない。普通、具合が悪ければ、無気力に支配され、闘争心等は持ちようがないと思われるが、それだけでも脅威である。

原則的にいえば、健康保険は、その規定の枠内で診療をすることになっている。従って自由診療との併用は認められず、自由診療を選択すれば全てが自由診療に切り替えられて、診療に係わる経費は全て自費ということになる。

但し、1984年に『特定療養費制度』として高度先進医療、差額ベッド、歯科の選択材料の3種類について差額徴収の導入が認められた。それ以後、政府公認の混合診療(保険外併用療費制度)は増加し、16分野の混合診療が例外的に認められている。つまり厚生労働省が自ら承認した事例については、『保険外併用療法』として実施することが出来るが、それ以外は駄目だということである。

ところで今回の東京地裁の判決で、裁判官は『混合診療について、保険が受け取れないと解釈できる法律上の根拠はない』と判断したと報道されている。確かに法的には、保険診療で受診中の患者が自由診療を選択すると、全てが自費になるという法律は見たことがない。一方、厚生労働省は『基本的な原則は曲げない』として控訴する方針を明らかにしたというが、まあ、厚生労働省としては当然の反応ということだろう。

しかし、正直にいうと、厚生労働省の承認する『保険外併用療費制度』の中味は、金のかかる部分を自費で患者負担させることが目的で、本来保険対応で実施すべきものを弁別しているだけととれないこともない。つまり財源がないから別にしているだけで、財源があれば、差額徴収などする必要は全くないということではないか。その意味では、財源の不足以外に自由診療が存在していることの意味はなく、自由診療と保険診療が混在していても特に問題がないといわれればその通りではないのか。むしろ混合診療を認めることで、全額自費にするよりは、医療の選択の幅が広がるのではないかと思われる。

混合診療を認めることになると、保険診療の基本原則が崩れるとする意見が聞かれるが、歯科診療の部分では、自費診療の部分が多く、とっくの昔に保険診療は崩れかけているといえるが、それによって医療内容の差別化をいう意見はあまり聞かない。その意味でいえば国内で認められていない医療との併用による自由診療の選択は、患者の自己負担を軽減し、医療の選択肢を拡大するということになりはしないか。ただ問題なのは、自由診療部分を限りなく少なくする努力を一方ではしてもらわなければ困るということである。新しい医療が次々に開発されるなか、その取り込みが遅れれば、それこそ自由診療部分は拡大の一途をたどり、保険診療部分は限りなく縮小するということになり、人の命に値段を付けるのかという論議に発展する。

1)読売新聞,第47299号,2007.11.8.
2)読売新聞,第47300号,2007.11.9.

                                                                  (2007.11.18.)

シクロスポリンとグレープフルーツジュースの相互作用

金曜日, 12月 28th, 2007

KW:相互作用・シクロスポリン・ciclosporin・サンディミュン・グレープフルーツジュース・grapefruit juice

 

Q:シクロスポリンを服用している患者の食事箋に「グレープフルーツ禁」の指示が書かれているが、そのような相互作用はあるのか。また、どの程度の量で相互作用が起こるのか。

A:ciclosporinの製剤である『サンディミュン(ノバルティスファーマ株式会社)』の添付文書中に、食品・健康食品に関する相互作用について、次の記載がされている。

 

併用注意

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
グレープフルーツジュース 本剤の血中濃度が上昇することがある。
本剤服用時は飲食を避けることが望ましい
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれ。本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意。 セイヨウオトギリソウにより誘導された代謝酵素が本剤の代謝を促進すると考えられる。

 

その他、グレープフルーツジュースと本剤の相互作用について、次の報告が見られる。

*10人の健常人(男性:平均年齢 27.6歳、平均体重:76.0kg)を被験者とし、各試験の間に1週間のウォッシュアウト期間を設け、4種類の試験を行った。phase1、 phase2としてciclosporin(75mg/kg)を経口投与し、投与直前及び投与後2時間目に水又はグレープフルーツジュース250mLを飲用させた。phase3、phase4として3時間かけてciclosporin(2.5mg/kg)を静脈内投与し、同様に投与直前及び投与後2時間目に水又はグレープフルーツジュース250mLを飲用させた。

投与24時間までの血液を適時採血し、ciclosporinの全血中濃度を測定した。静脈内投与では、ciclosporinの体内動態にグレープフルーツジュースによる影響は殆ど無かった。しかし、経口投与例では、ciclosporinの全被験者の平均AUCとCmaxは、水を飲用したときに比較して約1.5倍に増大した。10人中3人の被験者はCmaxが2倍以上に増大した。また、ciclosporinの絶対バイオアベイラビリティーはグレープフルーツジュースによって0.22から0.36へ約62%上昇した。しかし、消失半減期(t1/2)は変化しなかった。

体内動態 経口投与 静脈内投与
  GF-j GF-j
Cmax(ng/mL) 936 1,340* 2,569 2,643
Tmax(hr) 3.2 4.2* ? ?
t1/2(hr) 6.3 8.1 6.1 5.7
AUC(ng・hr/mL) 6,722 10,730* 10,242 10,975

 

また、平常時にciclosporinの代謝能力が高いヒト(Cmaxが小さい人)ほど、グレープフルーツジュースの効果が増大するとする報告や ciclosporinの静脈内投与時には、影響せず、経口投与の際にバイオアベイラビリティの上昇が報告されている。グレープフルーツジュースと ciclosporinの相互作用はグレープフルーツジュース中に含まれる何等かの物質が小腸のP4503A4の活性を阻害したものと考えられている。

グレープフルーツジュース中には、主に配糖体として数種のフラボノイドが存在している。ナリンジンやクエルセチン、ケンフェロールは専らグレープフルーツジュース中に含有されており、相互作用の見られないオレンジジュース中には含まれていない。

ナリンジンはグレープフルーツの苦みの原因とされており、最も多量に存在するフラボノイドである。グレープフルーツジュース中に 300?800mg/L存在し、腸内で加水分解されアグリコンのナリンゲニンに変換される。ナリンジンやナリンゲニンがciclosporinとの相互作用に影響するのではないかとする報告も見られる。

一方、ciclosporinとグレープフルーツジュースの相互作用については、臨床的重要性は不明であるとする報告もされており、両者の相互作用について、必ずしも確定した情報とはなっていないようである。

なお、上記の実験はグレープフルーツジュース250mLの飲用の結果であり、果実としてのグレープフルーツを喫食した際の報告例ではない。

病院給食で付けられるグレープフルーツはおおよそ1/3カットあるいは1/4カットの果実であり、この程度の果肉の喫食が直ちに上記の試験結果を反映するとは考え難い面もある。但し、今回の事例は、医師が食事箋に「禁」の記載をしているのであって、文献情報から一方的に無視することはできないと考えるので、給食に付けられる果実の量を示し相談することが必要である。

なお、本剤経口投与時の吸収は一定しておらず、患者により個人差があるので、血中濃度の高い場合の副作用並びに血中濃度が低い場合の拒否反応の発現等を防ぐため、患者の状況に応じて血中濃度を測定し、トラフレベル(troughlevel)の血中濃度を参考にして投与量を調節すること。特に移植直後は頻回に血中濃度測定を行うことが望ましいとする重要な基本的事項が添付文書に記載されており、厳密な管理下に投与されているとすれば、QOLの観点からも「禁食」扱いにするのは実際の体内動態の変化を見てからでもよいのではないかと考える。

[015.2.CIC:2000.3.13.古泉秀夫]


  1. サンディミュンカプセル添付文書,2000.1.改訂
  2. 澤田尚之・他:阻害剤としてのグレープフルーツジュース;月刊薬事,38(3):579-592(1996)(2月臨時増刊号)
  3. DTSS;ファーストデータバンク,2000

腎障害時のamlodipine投与について

金曜日, 12月 28th, 2007

KW:臨床薬理・腎障害時・腎障害患者・amlodipine・ベシル酸アムロジピン・amlodipine besilate・体内動態・Ca拮抗薬・ACE阻害薬

Q:現在amlodipine投与中の患者のCr値が2mg/dLを示している。本剤の継続投与は可能か

A:amlodipine besilate(ベシル酸アムロジピン)[ノルバスク錠(ファイザー)]の体内動態は、次の通り報告されている。

投与量 Tmax Cmax t1/2 ACU0-∞ 蛋白結合率 尿中排泄率
2.5mg 7.3hr 1.64ng/mL 33.3hr

68.1ng・hr/mL

97.1%(ヒト血漿) 約8%(投与後6日間累積)
5.0mg 7.7hr 3.39ng/mL 39.4hr 178.2ng・hr/mL    

なお、本剤2.5mgを1日1回14日間連続投与した場合の尿中排泄率は、投与開始6日目まででほぼ定常状態に達し、6日目以降の1日当たりの未変化体の尿中排泄率は6.3-7.4%であったと報告されている。

また本剤は主として肝臓で代謝されるため、重篤な肝機能障害患者では、血中濃度半減期の延長及び血中濃度時間曲線下面積が増大することがあるとされているが、『重篤な腎機能障害のある患者では、降圧に伴い腎機能が低下する』ことがあるの報告がされているのみである。

以上の報告から腎機能の状態によって、本剤の投与量を調整する必要はないと考えられるので、本剤使用に特に問題はないといえる。

ただし、『重篤な腎機能障害のある患者では、降圧に伴い腎機能が低下する』とする報告には注意が必要である。

腎障害を伴う高血圧治療において、JNC-VIの指針では、降圧目標は130/85mmHg以下、更に蛋白尿が1g/日以上を示す場合には125/75mmHgとすることが推奨されている。しかし実際上は、治療抵抗性を示し、降圧が難しい場合も少なくない。

腎障害を伴う高血圧症例では、他の降圧薬に比較してCa拮抗薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が降圧効果に優れ、腎障害の進展を抑制することが臨床的に報告されており、Ca拮抗薬とACE阻害薬が治療の中心となるが、体液貯留傾向のある場合には少量の利尿薬も併用を検討することになる。

腎障害を伴う高血圧においては、全身性の降圧自体が腎障害進展抑制という点から重要であるが、腎の微小循環に及ぼす影響も重要と考えられている。 Ca拮抗薬は強力な降圧作用により腎保護作用を示すと考えられ、ACE阻害薬は全身性の降圧効果に加え、降圧とは独立した腎微小循環への作用により腎保護作用を示すと報告されている。

以上の調査結果を参照するとともに、具体的な処方内容については、文献を参照されたい。

[015.4.CAR:2004.4.13.古泉秀夫]


  1. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2004
  2. ノルバスク錠添付文書,2003.11.改訂
  3. 松岡博昭:腎障害を伴う高血圧患者における降圧薬治療;日本医事新報,No.3929:107-108(1999.8.14.)
  4. 伊藤貞嘉:リスクファクターを有する高血圧の治療-4.リスクファクターとしての腎障害と降圧治療;医薬ジャーナル,37(6):1840-1844(2001)
  5. 尾辺利英・他:腎機能障害時の薬物使用;治療,83(3):1421-1426(2001)

脊髄小脳変性症に有効な漢方薬

金曜日, 12月 28th, 2007

KW:薬名検索・漢方薬・脊髄小脳変性症・薬物療法・真武湯・烏薬順気散加羚羊角・苓桂朮甘湯・効能・効果

 

Q:週刊誌で読んだと言う事で脊髄小脳変性症に有効な漢方薬についての質問があったが、どの様な薬剤か

A:脊髄小脳変性症(SpinocerebellarDegeneration)に対する漢方薬投与の1例報告として、動揺感と下肢の脱力、平衡感覚不良、夜間排尿回数7-8回等を主訴とする症例に真武湯5.0gを投与。投与7日目頃より手足が暖かくなったということで、一時サフラン3.0gを追加投与したが、上気すると言うことで真武湯のみにした。

昭和58年6月から昭和59年4月まで連続服用中であり、昭和59年 6月より量を増やして真武湯7.5gに増量した。経過は良好で気分的な落ち込みも治まって復学の望みを持つようになったとする報告がされている。

真武湯(津村順天堂)の処方内容は、次の通りである

  • 本品7.5g中下記の割合の混合生薬の乾燥エキス2.0gを含有する。
  • 茯苓4.0g・芍薬3.0g・蒼朮3.0g・生姜1.5g・修治ブシ末0.5g
  • 本剤の適応症は消化器疾患のほか脊髄疾患による運動並びに知覚麻痺、神経衰弱、半身不随等である。

その他、脊髄小脳変性症に伴う小脳性失調と起立性低血圧に対し、烏薬順気散加羚羊角と苓桂朮甘湯の併用が有効であったと考えられる一例が報告されている。

烏薬順気散加羚羊角を服用することにより、歩行時ふらつき、下肢の脱力感が軽減し、重心動揺検査においても動揺が少なくなっていることが確認された。当初、真武湯を併用していたが、起立性低血圧に対する効果が乏しいため苓桂朮甘湯に変更したところ、立ち眩みも著名に軽減した。

烏薬順気散の処方例は、次の通りである。

  • 麻黄・烏薬・陳皮各2.5、川キュウ・白疆蚕・白シ・桔梗各2.0、乾姜・甘草・大棗・乾生姜各1.0

本剤の適応は頭痛、発熱、悪寒を伴う四肢麻痺、半身不随、顔面神経麻痺などに用いる。但し、本剤は医療用医薬品としての薬価収載はされておらず、原料薬品購入の上、処方箋に基づく調剤が必要である。羚羊角も原薬の購入が必要である。

苓桂朮甘湯(津村順天堂)の処方は、下記の通りである。

  • 本品7.5g中に下記の割合の混合生薬の乾燥エキス1.5gを含有する。
  • 茯苓6.0g・桂皮4.0g・蒼朮3.0g・甘草2.0g
  • 本剤の適応として動悸、息切れ、眩暈、頭痛等が見られる。

[510.FD15.011.1SPI][1991.4.25.・1999.3.29.一部修正.古泉秀夫]


  1. 日野原重明・他監修:今日の治療指針;医学書院,1989
  2. 古寺秀喜(博多区):脊髄小脳変性症の漢方治療の一例;鐘紡薬品株式会社学術課・私信,1991
  3. 山田光胤:漢方処方の応用と実際;南山堂,1973
  4. 萬谷直樹・他:脊髄小脳変性症に対する和漢薬治療の試み;株式会社津村順天堂学術課・私信,1991
  5. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.71,1991.4.30.より転載