イクラ中のEPAについて
KW:健康食品・機能性食品・魚介類・飲食物・食物成分・イクラ・エイコサペンタエン酸・EPA・DHA・魚油・魚類
Q:イクラ中にエイコサペンタエン酸は含有しているのか
A:エイコサペンタエン酸(EPA)は、魚油中では大部分が脂肪(トリグリセライド)の形で、しかもC 2位のみにエステル結合して存在することから、どの様に精製を進めても、脂肪酸としての純度はたかだか33%、重量比にして30%止まりにしかならない。これに対して医薬品としてトリグリセリドを加水分解し、遊離型のEPAやエステル型のEPAにした場合、理論上は100%のものが得られるはずであるとされている。
質問のイクラについて、EPAを測定した資料はないとされるが、他の魚類中に含まれるEPA量について、次の報告がされている。
可食部100g当たり | 脂質量(g) | EPA(g) | DHA(g) |
可食部100g当たり EPA含有率(%) |
真鰯(春) | 13.8 | 1.12 | 0.37 | 1.12 |
鯖 | 16.5 | 0.99 | 0.70 | 0.99 |
秋刀魚 | 16.2 | 0.97 | 0.70 | 0.97 |
鰺(春) | 6.9 | 0.31 | 0.29 | 0.31 |
鱸(スズキ) | 2.5 | 0.23 | 0.00 | 0.23 |
鰹 | 2.0 | 0.10 | 0.36 | 0.10 |
鰈 | 2.2 | 0.05 | 0.02 | 0.05 |
鱈 | 0.4 | 0.05 | 0.05 | 0.05 |
黒鯛 | 1.7 | 0.04 | 0.17 | 0.04 |
以上の測定値を基に固体100g中に含有するEPAの比率を算定すると、1.12-0.04%の比率となる。この数値からイクラ中のEPAを推定することは困難であるが、イクラ中のEPA含有量が0ではないと考えた場合、可食部100g中のEPA含有量についても、1.12-0.04%の範囲を越えることはないものと推定される。
[015.9:EPA:2007.12.27.一部改訂.古泉秀夫]
- 熊谷 朗:エイコサペンタエン酸(EPA)とイクラ・すじこ;質疑応答 第12集;日本医事新報社,1985
- 室田 誠逸・他:エイコサペンタエン酸;医学のあゆみ,130(12):787-798(1984)
- 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.555,1993.4.30.