トップページ»

ネオ・マキスについて

木曜日, 12月 27th, 2007

KW:薬名検索・ネオマキス・有機ヨード剤・無機質ヨウ素・有機質ヨウ素

 

Q:医薬品の無許可販売による薬事法違反で逮捕された事件で無許可販売されていた有機ヨード剤『ネオマキス』とは、どの様な内容のものか

A:警視庁生活環境課は22日、アラブイスラーム文化協会のジャミーラ高橋代表らが無許可薬品の販売-厚生労働大臣の許可がないのに、有機ヨード剤「ネオマキス」を、「がんや白血病に効く」などとして知人らに販売した疑いで逮捕状を用意、同日中にも逮捕する方針 [読売新聞,第46190号,2004.10.22.]

とする報道がされていた。

ここでいう有機ヨード剤が、具体的にどの様な化合物を示すか不明であるが、関連する情報として

『大正7-8年頃、薬学の大家、牧野民蔵、千代蔵兄弟(医師)がヨウ素(ヨード)が人体構造上、絶対必要なる成分である事に着眼し、「ヨード」の薬効の解明と製造に成功したのが、この有機「ヨード」剤の始まりである』。

『当初、大量のワカメ・コンブを焼却し、その灰から「ヨード」を分離抽出していたが、少量の「ヨード」しか生産されず、採算ペースにならなかった。然し、当時としては、この方法以外「ヨード」を採取することは不可能であった。その後、ヨウ素が、日本の沿岸地域の地下に含有されていることが分かったが無機質ヨウ素である。そこで無機質ヨウ素を飲める有機質ヨウ素に、変換する研究に取組、完成したのが、この有機「ヨード」剤と「注射」液である。』

『大正12年、肺結核症・腸結核症・脳神経衰弱症・貧血症等の効能薬品として、内務省(厚生省の前身)から製造許可され発売した。

  • 許可日:昭和 44年6月15日。
  • 製造者:マキス本舗(代表取締役:巨海六一)。
  • 現在の 状況:工場閉鎖中につき、医学博士飯島登教授の処方により製造し、飯島教授の指示により使用する、いわゆる試薬である。
  • 厚生省認可効能:高血圧 動脈硬化 強壮(薬事法に基ずく認可)。

ネオ・マキスの原料ヨード:天然ガスが地下よりパイプを通して地上に出る時にパイプに付着する滓(おり、スケールとも云う)から生成抽出したもの。滓は他の様々な金属なども含む。』

以上が、インターネットのホームページから検索した内容であるが、ネオ・マキスの原料である有機ヨード剤に該当する物質は不明である。なお、従前、医薬品としての承認を得ていたとしても、現在は未承認の物であり、適応症を標榜して販売していたとすれば、未承認医薬品の販売で逮捕されてもやむを得ない。また、標榜している適応症についても、ヨウ素剤の適応症とする根拠は確認できない。

■ ヨウ素(iodine):ヨードともいう

元素記号:I

原子番号:53

原子量:126.9045。

周期表、典型元素VII族に属する非金属。ハロゲン元素の一つ。天然には遊離して存在せず、海草、海産物中に主に有機化合物として存在する。また脊椎動物では甲状腺ホルモン中に含まれ、不可欠な元素である。無機のヨウ素は血漿中にもあるが、量は少なく甲状腺の1/700である。

海草灰やチリ硝石中に NaIO(ヨウ素酸塩)として含まれ、還元して製する。油田、ガス田の鹹水中にも存在。灰紫色、揮発性、刺激臭の固体。多数の放射性同位体のうち医学分野で重要な核種もあり、多くの放射性医薬品が用いられる。

また医薬品としても化合物とともに重要なものが多い。[局]収載。水に難溶であるので、そのままでは製剤化が難しいが、ヨウ化カリウムを加えると KI3となって溶ける。消毒、殺菌剤であるヨードチンキ、ルゴール液、複方ヨード・グリセリン等の製剤にヨウ化カリウム(KI)とともに用いる。

[分類]一般名・商品名(会 社名)

[322]iodolecithine
ヨーレチン錠・末(第一薬品)錠:50・100μg・末:200μg/g

[322]potassium iodideヨウ化カリウム(各社)
適応症 1)ヨウ素不足による甲状腺 腫、甲状腺機能低下症。2)中心性網膜炎、網膜出血、硝子体出血・混濁、網膜中心静脈閉塞症。3)小児気管支喘息、喘息様気管支炎 1)甲状腺腫(ヨウ素欠乏に よるもの及び甲状腺機能亢進症を伴うもの)。2)以下の疾患に伴う喀痰喀出困難:慢性気管支炎、喘息。3)第3期梅毒

 

放射線学的予防投与:放射線汚染の一つである放射性ヨードに対する予防投与は可能である。核爆発の副産物である放射性ヨードは、食物の中に入って甲状腺に蓄積する。この蓄積と放射性物質の崩壊により甲状腺組織が傷害を受け、癌発生の可能性が高くなる。非放射性ヨードの投与は、甲状腺器官を飽和し、放射線の蓄積を減少させ、甲状腺癌の可能性を減少させる。放射性ヨードの危険は数週間続くので、継続して投与する。しかし、ヨードの投与は他の多くの放射線障害の防護には効果がない。

[011.1.IOD:2004.10.23.古泉秀夫]


  1. 「人間の盾」代表を逮捕へ 医薬品の無許可販売容疑 警視庁;読売新聞,第46190号,2004.10.22.
  2. http://www.irukaweb.com/masaki/the_i_003.html,2004.10.22.
  3. http://mypage.naver.co.jp/dna/the_i_007.html
  4. 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
  5. 今堀和友・他監修:生化学辞典第3版;東京化学同人,2002
  6. 志田正二・代表編:化学辞典;森北出版,1999
  7. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2004
  8. 徳野慎一・他翻訳:大量破壊兵器事案における救急処置;じほう,2004