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アトピーに有効とされるお茶について

木曜日, 12月 27th, 2007

KW:健康食品・機能性食品・生薬・アトピー・お茶・茶・黄杞茶・コウキチャ・フラボノイド・明日葉パーセント・あしたば・栄養補助食品・アトピー性皮膚炎・カルコン誘導体・入浴用シジュウム・シジュウム茶・甘茶

 

Q:お茶がアトピーに有効であるとする報道がされたと聞くが、その作用等について

 

A:現在までに収集した情報として、次のような製品がある。

■「黄杞茶(コウキ)」
[マンナンフーズ株式会社 東京都中央区日本橋人形町2-17-10](30g×30袋)
黄杞は、中国の広東、広西、福建省等に分布するクルミ科の常緑高木植物である。この葉は、加熱乾燥すると甘くなることから、中国では「甘茶」と称し、夏負けしないとか、解熱、解毒、鎮痛、健胃、減肥満(ダイエット)などに効果のある健康茶として、飲み次がれてきた。黄杞の葉の甘味には、天然の特殊成分フラボノイドの一種「ジヒドロフラボノール配糖体」が、他の植物に比較して豊富に含まれている。この成分は万病の原因とも言われる不要な活性酸素や過酸化脂質の生成を抑制する働きがあることが、動物実験により判明している。また、日本人に不足がちなカルシウムを始め、亜鉛、鉄分などの必須ミネラルが豊富で、栄養補助食品としても活用できる。黄杞茶は美容、癌、アレルギーに効果があるとしている。尚、本品の原植物について調査したが、検索できなかった。
 
■「明日葉パーセント(あしたば)」
[株式会社ダイケン 明日葉パーセント 〒100-15 東京都八丈島八丈町三根567 八丈島指定あしたば加工工場](粒(150g)・粉末(150g)
八丈島に自生する明日葉は、古くは天然痘の予防薬として用いられ、現在でも民間薬として重宝がられている。ほうれん草よりも栄養学的に優れていることでも注目されているが、それ以上に世界でも2?3の植物にしか含まれていない「カルコン誘導体」が豊富に含まれていることで、注目されている。癌の予防、アトピー性皮膚炎に効果を発揮するほか、抗HIV活性があるという結果も報告されている。これを大阪薬科大学の馬場教授の指導のもと、多彩な成分を損なわないように粉末と粒状にしたものが「明日葉パーセント」である。八丈島で栽培された原葉の新芽を使用し、独自の特許製法により純度100%の無添加・無着色の製品化に成功。粉末は水や牛乳に溶かしたり料理に使うなど手軽に食べられる。

明日葉100g中(含有%)

ビタミンA効力 人参約4本分
ビタミンB2 にんにく約28個分
ビタミンC レモン約4個分
蛋白質 牛乳180g 7本分
鉄分 ほうれん草約3束分
植物繊維 セロリ約56本分
■「入浴用シジュウム・シジュウム茶」
[OS工業株式会社 東京都荒川区東尾久5-22-2]
(入浴剤:15g×30包・茶:0.5g×100包)
シジュウム:ブラジルなどの熱帯アメリカ原産の植物で、繁殖力が強い。かつてインカ人(南米ベール高原を中心に繁栄したインデオの一種族)によって広く栽培され、果実(ゴルフボール大)が常食されていた。葉は人間の手のひら大。
 
–シジュウム葉の構成–
 
シジュウム葉は、大きく分けて次の8成分より構成されている。クエン酸・蓚酸・乳酸・リンゴ酸・ギ酸・ビタミンA・ビタミンC・タンニンこれらの成分はシジュウム葉の主要成分であるが、これ以外に次の18種以上の成分が含有されている。caryopyylene,α-pinine,aromadendren,limonene,β-bisobolene, caryophyllene,oxide,
arcurcumene,1,8-cineole,y-muurolene,calamenene,camphne,β-pinene,myrcene,
α-terpineol,hex-3-en-l-ylacetate,cis-β-ocimene,N-hexyl,α-copanen,α-humulene, α-cadinener
これらは全て芳香族化合物と呼ばれる成分で、それぞれ種々の特質を持っている。例えばα-humulene(抗バクテリア物質)、1,8- cineole(肺感染症の治療、去痰)、α-terpineol(去痰、利尿)。これ以外にもシジュウムの葉には、人間に不可欠な各種ミネラル成分が多量に含まれている。日本食品分析センターにおけるシジュウム葉の分析結果は次の通りである。

分析試験項目

結果

分析試験項目

結果
水分 10.7% リン 147mg/100g
蛋白質 9.8% 31.3mg/100g
脂質 4.6% カルシウム 1.3%
繊維 15.2% ナトリウム 9.48mg/100g
灰分 6.9% カリウム 973mg/100g
糖質 42.7% マグネシウム 350mg/100g
タンニン 10.1% 総アスコルビン酸 19mg/100g

シジュウム葉は、アトピー性皮膚炎に対する治療効果が著しい。その効果は、エキスについて、肥満細胞を用いたヒスタミン遊離抑制試験によって、抗ヒスタミン活性が確認されたことから、抗ヒスタミン作用に基づいて発揮されるものと考えられる。従って、アトピー性皮膚炎に限らず、ヒスタミンの関与する気管支喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎等のアレルギー性疾患にも適用されると考えられているの報告がされている。

[015.9.SIZ:2007.12.27.古泉秀夫]


  1. 黄杞茶(マンナンフーズ):薬局新聞,1995.12.6.
  2. マンナンフーズ株式会社・私信,1996.2.16.
  3. Medical Science Report「がん・アトピー・花粉症・エイズに効く」「4代新薬」は人類を救うか:週刊現代,1996.1.27.
  4. アトピー性皮膚炎抑制性分発見-野生植物「シジュウム」の葉:東京新聞,1995.12.24.
  5. OS工業株式会社・私信,1996.2.12.
  6. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.1237,1996.2.22.

アガリクスについて

木曜日, 12月 27th, 2007

KW:健康食品・機能性食品・茸類・アガリクス・アガリクスブラゼイムリル・Agaricus blazei Marrill・カワリハラタケ・ヒメマツタケ・姫マツタケ

 

Q:アガリクスについて

A:学名アガリクス・ブラゼイ・ムリル(Agaricus blazei Marrill)と呼称される茸(キノコ)は、南米ブラジルを原産とするハラタケ属の茸である。

本品は担子菌類、同担子菌亜網-ハラタケ目-ハラタケ科- ハラタケ族-ハラタケ属に分類される茸で、分類学上の和名:カワリハラタケ、実用名:ヒメマツタケとして日本菌学会誌に掲載されているとされる。

『姫マツタケ(岩出101株)』には、免疫力を高めることで癌を抑制し、副作用を軽減する効果のあることが証明されている。

茸の抗癌作用は、茸の多糖体構 造にあることが解っている。多糖体とは、糖の集合した複合体であり、糖は炭水化物の最も単純化した形態である単糖である。

1980年に行われた第39回日本癌学会で三重大学医学部の研究グループが、『姫マツタケ(岩出101株)』の多糖体が、他の茸のよりも抗癌作用が優れていることを発表している。また姫マツタケの免疫力については、FDAにおいても認められ、1999年「免疫力の向上という性質を持った栄養補助食品」のカテゴリーに登録されているとされる。

アガリクス・ブラゼイ・ムリル(ヒメマツタケ)の抗癌作用は、その多糖体の構造にあるとされる。多糖体は茸の種類によっても異なり、採集地によっても多糖体の構造が異なるとされている。従って高い抗癌作用を持つのは『姫マツタケ(岩出101株)』であるとの報告もされている。

アガリクス・ブラゼイ・ムリルの抗癌作用は多糖体のβ-グルカン蛋白複合体などの成分が、マクロファージ等の免疫細胞を活性化して免疫力を高め、癌細胞を抑制する。姫マツタケの多糖体は1種類ではなく、抗癌作用を示す多糖体が複数あるとされる。

中性多糖 β-(1-6)Dグルカン、キシログルカン
酸性ヘテロ多糖 ガラクトグルカンのウロナイド
蛋白多糖 ペプチドグルカン
核酸成分 リボヌクレオチド・蛋白

姫マツタケから抽出したこれらの多糖体を、ザルコーマ180固形癌を移植したマウスに投与した比較試験の結果、癌抑制率が99%と最も高かったのはβ- (1-6)Dグルカンで、次いでβ-ガラクトグルカンが97%、核酸(RNA)が95%、β-グルカンFA-1-a-α が93%と4種類の多糖体が90%以上と高率であった。

対象 投与量 腫瘍完全消失 腫瘍阻止率
姫マツタケ(岩出101株) 10mg/kg/日×10日 28匹/32匹 93.6%
ツガサルノコシカケ(培養) 10mg/kg/日×10日 5匹/10匹 73.4%
クロサルノコシカケ 10mg/kg/日×10日

0匹/9匹

64.8%
ラッコタケ 10mg/kg/日×10日 3匹/10匹 76.9%
カワラタケ(培養) 10mg/kg/日×10日 6匹/8匹 88.7%

[伊藤均・他:抗腫瘍多糖;感染症,75(1984)より一部引用]

 

姫マツタケの多糖体中で最も優れた抗癌作用を示したβ-(1-6)Dグルカンの特徴として

  1. 分子量が小さい。現在抗癌剤として使用されている茸の多糖体として椎茸のレンチナン、スエヒロタケのシゾフィラン等は、いずれもβ-(1-3)D グルカンであるが、平均分子量が10万?50万と大きいため、消化管からの吸収が困難であり、注射剤としての投与が必要である。しかし、β-(1-6)D グルカンは平均分子量が5万以下と比較的小さい分子量である。
  2. 蛋白質と結合している蛋白質複合体であり、消化管からの吸収がしやすい。

以上の特徴からβ-(1-6)Dグルカンは、経口投与が可能であり、喫食あるいは浸煎剤としても抗癌作用を発揮する。その他、アガリクス・ブラゼイ・ムリル(ヒメマツタケ)の成分を栄養成分面から見ると、

  • ミネラル類:カリウム・マグネシウムが豊富
  • ビタミン類:ビタミンB2、エルゴステロール。
  • 不飽和脂肪酸:リノール酸を主体とする不飽和脂肪酸の含有量が高い

等の特徴を有しているとされ、不飽和脂肪酸はコレステロールを減らし、血栓防止効果があると報告されている。なお現在、『姫マツタケ(岩出101株)』は、各種癌に対する効果の他、高血圧、糖尿病、肝臓病、アレルギー疾患、エイズ等に対する効果に対する検討がされている。ただし、『アガリクス』は医薬品として取り扱われているわけではなく、あくまで健康食品としての取扱いである。従って、『アガリクス』の摂取は補助的なものとして考えるべきである。また、植物中の成分は、栽培地等により含有量が異なることが考えられるため、単に『アガリクス』というだけで全てに同一の食効が期待できるとは限らないため注意が必要である。更に現に治療中の者では、『アガリクス』摂取の可否について主治医に前もって相談することが必要である。

[015.9.AGA:2007.12.27.一部修正.古泉秀夫]


  1. 古泉秀夫・他編:改訂3版飲食物・嗜好品と医薬品の相互作用;薬業時報社,1998
  2. 伊藤 均・監修:だからガンは治る-最強のアガリクスは「姫マツタケ(岩出101株)」だった;現代書林,2001

イクラ中のEPAについて

木曜日, 12月 27th, 2007

KW:健康食品・機能性食品・魚介類・飲食物・食物成分・イクラ・エイコサペンタエン酸・EPA・DHA・魚油・魚類

 

Q:イクラ中にエイコサペンタエン酸は含有しているのか

A:エイコサペンタエン酸(EPA)は、魚油中では大部分が脂肪(トリグリセライド)の形で、しかもC 2位のみにエステル結合して存在することから、どの様に精製を進めても、脂肪酸としての純度はたかだか33%、重量比にして30%止まりにしかならない。これに対して医薬品としてトリグリセリドを加水分解し、遊離型のEPAやエステル型のEPAにした場合、理論上は100%のものが得られるはずであるとされている。

質問のイクラについて、EPAを測定した資料はないとされるが、他の魚類中に含まれるEPA量について、次の報告がされている。

可食部100g当たり 脂質量(g) EPA(g) DHA(g)

可食部100g当たり EPA含有率(%)

真鰯(春) 13.8 1.12 0.37 1.12
16.5 0.99 0.70 0.99
秋刀魚 16.2 0.97 0.70 0.97
鰺(春) 6.9 0.31 0.29 0.31
鱸(スズキ) 2.5 0.23 0.00 0.23
2.0 0.10 0.36 0.10
2.2 0.05 0.02 0.05
0.4 0.05 0.05 0.05
黒鯛 1.7 0.04 0.17 0.04

以上の測定値を基に固体100g中に含有するEPAの比率を算定すると、1.12-0.04%の比率となる。この数値からイクラ中のEPAを推定することは困難であるが、イクラ中のEPA含有量が0ではないと考えた場合、可食部100g中のEPA含有量についても、1.12-0.04%の範囲を越えることはないものと推定される。

 

[015.9:EPA:2007.12.27.一部改訂.古泉秀夫]


  1. 熊谷 朗:エイコサペンタエン酸(EPA)とイクラ・すじこ;質疑応答 第12集;日本医事新報社,1985
  2. 室田 誠逸・他:エイコサペンタエン酸;医学のあゆみ,130(12):787-798(1984)
  3. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:FAX.DI-News,No.555,1993.4.30.

納豆菌について

木曜日, 12月 27th, 2007

KW:相互作用・納豆菌・OTC薬・ワーファリン・ワルファリン・warfarin potassium・糖化菌・納豆菌・消化酵素剤・整腸剤・Bacillus subtilis・Bacillus natto・Bacillus mesentericus ・メセンテリカス菌

 

Q:納豆菌を含むOTC薬が市販されているが、ワーファリンとの相互作用は問題にならないか

A:整腸剤として市販されているOTC薬中に納豆菌が配合されているものがあるが、その添付文書中に特にwarfarin potassium に対する相互作用の記載はみられない。ただし、「次の人は服用前に医師又は薬剤師にご相談下さい。」の記載がされており、(1)として「医師の治療を受けている人」の記載がされている。

有効成分 配合量(3錠中)
ラクトミン(アシドフィルス菌) 45mg
ビフィズス菌 30mg
ラクトミン(フェカリス菌) 45mg
糖化菌(納豆菌) 180mg
アミロリシン-5(澱粉消化酵素) 72mg
サンプローゼF(蛋白・繊維消化酵素) 90mg
セルロシンA.P.(繊維素消化酵素) 30mg

医療用医薬品として、納豆菌の配合されている製剤は、『納豆菌配合消化酵素剤 新ドライアーゼ(メルク)』及び『コンクチームN(共和薬品)』の2製品である。

組成 新ドライアーゼ(1g中) コンクチームN(0.3g中)

納豆菌末
(Bacillus natto powde)

60mg 60mg
アミロリクィファーゼX 120mg ?
サンブローゼF(酸性プロテアーゼ) 30mg 30mg
アミロリシン-5(アミラーゼ) ? 24mg

セルロシンA.P. (セルラーゼ)

? 10mg

なお、上記2製品の添付文書中に『相互作用-併用注意』として、次の注意事項が見られる。

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ワルファリン 納豆で抗凝血作用を減弱するとの報告があるので、併用する場合には慎重に投与すること。 腸内で納豆菌により産生されるvitamin Kが血液凝固因子の生合成を促進するので、ワルファリンの抗凝血作用と拮抗する。

その他、添付文書中の組成欄に『糖化菌』の記載がされている『ビオスリー散・錠(東亜薬品-鳥居)』が医療用医薬品として市販されているが、本品の『糖化菌』は『Bacillus mesentericus(Bacillus mesentericus TO-A);メセンテリカス菌』とされており、納豆菌には該当しない。

納豆菌

英名:Hay bacillus(Glycine max (L.) MERR.

学名:Bacillus subtilis又はBacillus natto

納豆菌は整腸作用を示し、この作用は乳酸菌より強く、腸内の腐敗菌を抑制する時間も乳酸菌より長い。

更にある種の腸内有害細菌やウイルスに対し、相当の抵抗性ないし抑止効果を示す等の報告がされている。

納豆菌については国内ではBacillus nattoの名称が使用されているが、国際的には枯草菌(Bacillus subtilis)に分類されている。納豆菌は胞子を形成するが、適温環境と水分・栄養成分の存在する環境では発芽し増殖する。

環境が悪化すると、再度胞子を形成するが、胞子中にはnattokinaseもvitamin Kも含まれていない。納豆菌胞子は酸・アルカリに抵抗性で、pH:1.0-10.0の環境下では生存可能である。納豆菌胞子は120℃以下の高温下では生存可能で、?100℃の低温下でも生存可能であると報告されている。

納豆菌は腸内において1週間程度生存可能であり、腸内で他の善玉菌の活性を高めるため、腸内で活発な栄養補給活動をし、特に納豆菌はブドウ糖を費消するため、ダイエット効果があるとする理由に挙げられている。

腸内で活動する納豆菌は、腸内で大量のvitamin Kを生成するといわれており、次の報告がされている。

納豆菌醗酵中のvitamin Kとして主に植物由来であるフィロキノン(K1)あるいはメナキノン-4の濃度に変化はなかったが、納豆菌由来のメナキノン-7濃度が著しく高まること、特に我が国の市販納豆に最も使われている3種の納豆菌の中で、宮城野菌で醗酵したものが最も高濃度であり、その値は37℃-24時間で、1750μgMK -7/100g湿重量を示した。

納豆5-100g 摂取でヒト血中のメナキノン-7濃度の上昇はdose-dependentであり、最高値57.1μg/mL血漿)、またその効果は長く48時間後も摂取前の9倍以上のメナキノン-7濃度であった。一方、今回の摂取量で血中の凝固-線溶系に変化はみられなかった。

vitamin K2は、骨蛋白質の働きや骨形成を促進することからvitamin K2 を多く含む納豆が特定保健用食品として許可されている。

また豆鼓(トウチ:大豆の発酵物)の抽出物は、糖の吸収をおだやかにすることから、その抽出物を関与成分とした特定保健用食品が許可されている。

安全性については、納豆に含まれるビタミンK2が抗凝血薬(ワルファリン)の作用を弱めることから、併用摂取を避けるべきと報告されている。

ただし、これらの報告は大豆+納豆菌=納豆としての報告であり、納豆菌そのものの腸内における活性化で、どの程度のvitamin Kが生成されるかは不明であるが、warfarin potassium服用者では納豆菌配合の整腸薬の服用は避けることが無難であると考える。

[015.2.NAT:2006.5.16.古泉秀夫]


  1. 一般薬日本医薬品集:JAPIC,2004-5
  2. パンシロンN10整腸錠添付文書,400629701
  3. ビオスリー・錠添付文書(東亜薬品-鳥居薬品),2005.6.
  4. 新ドライアーゼ添付文書,2003.12.
  5. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2006
  6. 奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典 2002-2003改訂新版;東洋医学舎,2002
  7. 納豆菌の話;http://finedays.org/natto/nattodiet.html,2006.5.15.
  8. JAFRA-食品の機能性・学術報告;http://www.jafra.gr.jp/natto4.html,2006.5.15.
  9. コンクチームN添付文書,2005.6.改訂

ネオ・マキスについて

木曜日, 12月 27th, 2007

KW:薬名検索・ネオマキス・有機ヨード剤・無機質ヨウ素・有機質ヨウ素

 

Q:医薬品の無許可販売による薬事法違反で逮捕された事件で無許可販売されていた有機ヨード剤『ネオマキス』とは、どの様な内容のものか

A:警視庁生活環境課は22日、アラブイスラーム文化協会のジャミーラ高橋代表らが無許可薬品の販売-厚生労働大臣の許可がないのに、有機ヨード剤「ネオマキス」を、「がんや白血病に効く」などとして知人らに販売した疑いで逮捕状を用意、同日中にも逮捕する方針 [読売新聞,第46190号,2004.10.22.]

とする報道がされていた。

ここでいう有機ヨード剤が、具体的にどの様な化合物を示すか不明であるが、関連する情報として

『大正7-8年頃、薬学の大家、牧野民蔵、千代蔵兄弟(医師)がヨウ素(ヨード)が人体構造上、絶対必要なる成分である事に着眼し、「ヨード」の薬効の解明と製造に成功したのが、この有機「ヨード」剤の始まりである』。

『当初、大量のワカメ・コンブを焼却し、その灰から「ヨード」を分離抽出していたが、少量の「ヨード」しか生産されず、採算ペースにならなかった。然し、当時としては、この方法以外「ヨード」を採取することは不可能であった。その後、ヨウ素が、日本の沿岸地域の地下に含有されていることが分かったが無機質ヨウ素である。そこで無機質ヨウ素を飲める有機質ヨウ素に、変換する研究に取組、完成したのが、この有機「ヨード」剤と「注射」液である。』

『大正12年、肺結核症・腸結核症・脳神経衰弱症・貧血症等の効能薬品として、内務省(厚生省の前身)から製造許可され発売した。

  • 許可日:昭和 44年6月15日。
  • 製造者:マキス本舗(代表取締役:巨海六一)。
  • 現在の 状況:工場閉鎖中につき、医学博士飯島登教授の処方により製造し、飯島教授の指示により使用する、いわゆる試薬である。
  • 厚生省認可効能:高血圧 動脈硬化 強壮(薬事法に基ずく認可)。

ネオ・マキスの原料ヨード:天然ガスが地下よりパイプを通して地上に出る時にパイプに付着する滓(おり、スケールとも云う)から生成抽出したもの。滓は他の様々な金属なども含む。』

以上が、インターネットのホームページから検索した内容であるが、ネオ・マキスの原料である有機ヨード剤に該当する物質は不明である。なお、従前、医薬品としての承認を得ていたとしても、現在は未承認の物であり、適応症を標榜して販売していたとすれば、未承認医薬品の販売で逮捕されてもやむを得ない。また、標榜している適応症についても、ヨウ素剤の適応症とする根拠は確認できない。

■ ヨウ素(iodine):ヨードともいう

元素記号:I

原子番号:53

原子量:126.9045。

周期表、典型元素VII族に属する非金属。ハロゲン元素の一つ。天然には遊離して存在せず、海草、海産物中に主に有機化合物として存在する。また脊椎動物では甲状腺ホルモン中に含まれ、不可欠な元素である。無機のヨウ素は血漿中にもあるが、量は少なく甲状腺の1/700である。

海草灰やチリ硝石中に NaIO(ヨウ素酸塩)として含まれ、還元して製する。油田、ガス田の鹹水中にも存在。灰紫色、揮発性、刺激臭の固体。多数の放射性同位体のうち医学分野で重要な核種もあり、多くの放射性医薬品が用いられる。

また医薬品としても化合物とともに重要なものが多い。[局]収載。水に難溶であるので、そのままでは製剤化が難しいが、ヨウ化カリウムを加えると KI3となって溶ける。消毒、殺菌剤であるヨードチンキ、ルゴール液、複方ヨード・グリセリン等の製剤にヨウ化カリウム(KI)とともに用いる。

[分類]一般名・商品名(会 社名)

[322]iodolecithine
ヨーレチン錠・末(第一薬品)錠:50・100μg・末:200μg/g

[322]potassium iodideヨウ化カリウム(各社)
適応症 1)ヨウ素不足による甲状腺 腫、甲状腺機能低下症。2)中心性網膜炎、網膜出血、硝子体出血・混濁、網膜中心静脈閉塞症。3)小児気管支喘息、喘息様気管支炎 1)甲状腺腫(ヨウ素欠乏に よるもの及び甲状腺機能亢進症を伴うもの)。2)以下の疾患に伴う喀痰喀出困難:慢性気管支炎、喘息。3)第3期梅毒

 

放射線学的予防投与:放射線汚染の一つである放射性ヨードに対する予防投与は可能である。核爆発の副産物である放射性ヨードは、食物の中に入って甲状腺に蓄積する。この蓄積と放射性物質の崩壊により甲状腺組織が傷害を受け、癌発生の可能性が高くなる。非放射性ヨードの投与は、甲状腺器官を飽和し、放射線の蓄積を減少させ、甲状腺癌の可能性を減少させる。放射性ヨードの危険は数週間続くので、継続して投与する。しかし、ヨードの投与は他の多くの放射線障害の防護には効果がない。

[011.1.IOD:2004.10.23.古泉秀夫]


  1. 「人間の盾」代表を逮捕へ 医薬品の無許可販売容疑 警視庁;読売新聞,第46190号,2004.10.22.
  2. http://www.irukaweb.com/masaki/the_i_003.html,2004.10.22.
  3. http://mypage.naver.co.jp/dna/the_i_007.html
  4. 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
  5. 今堀和友・他監修:生化学辞典第3版;東京化学同人,2002
  6. 志田正二・代表編:化学辞典;森北出版,1999
  7. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2004
  8. 徳野慎一・他翻訳:大量破壊兵器事案における救急処置;じほう,2004

ばなば茶について

木曜日, 12月 27th, 2007

KW:健康食品・ばなば茶・banaba・糖尿病 ・天人花・オオバナサルスベリ

 

Q:糖尿病治療中の患者が「ばなば茶」を飲んでいるという。どのような成分のものか

A:ばなば(Banaba)とは、フィリピン語の愛称であり、学名を「LagerstroemiaSpeciosaPers」という。和名は「オオバナサルスベリ」といい、東南アジアに広く分布するミソハギ科の植物である。また、「天人花」とも呼ばれる。

フィリピンでは、この「ばなば樹」の葉を煎じて飲む民間伝承の健康茶として、古くから一般家庭で愛飲されてきた。

また「ばなば」には、利尿作用があることが判明し、フィリピン政府植物産業局では、医薬用植物に指定した。その他、本品には「血糖値の高い人の糖低減作用」、「脂肪分の降脂作用」、「循環器系の活性化」、「胃腸活性化・老化防止」等の効果があることも明らかになったとしている。

「ばなば茶」は、紅茶や緑茶のように口当たりが良く、飲料しやすいとのことであり、日本でも、成人病の予防、糖尿病、肥満、高血圧、便秘、胃腸病等に効くお茶として、愛飲者が増加しているとのことである。

ばなば」の葉の成分としては、日本食品分析センターでの分析結果として、以下の報告がある。

成分 含有量
水分 6.6%
蛋白質 8.9%
脂質 4.9%
繊維 25.7%
灰分 8.6%
糖質 45.3%
リン 114mg/100g
7.22mg/100g
ナトリウム 4.52mg/100g
マグネシウム 603mg/100g
カルシウム 1.01%
カリウム 1.27%
全ペクチン 0.8%
可溶性ペクチン 0.2%
不溶性ペクチン 0.6%
無水カフェイン 検出せず
タンニン 8.89%
亜鉛 53.3ppm

 

[015.04TH:1997.9.3.・1999.3.19.一部改訂.古泉秀夫]


  1. 橋本梧郎;ブラジル産薬用植物辞典,1996
  2. ばなば健康特報(1992);日本ばなば推進協会本部
  3. ばなば茶パンフレット
  4. 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:NHS.DI-News,No.1643.1997.10.15.より転載