プラセンタエキスについて
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Q:プラセンタエキスについて
A:プラセンタ(placenta)は、胎盤のことであり、胎児の発育成長のためには必要不可欠な組織である。プラセンタエキス(placentaextract)は胎盤の持つ生理活性を失活させることなく有効成分を抽出したものである。プラセンタエキスは身体が本来保持している生理活性を高めることにより、新陳代謝の促進、自律神経・ホルモンのバランス調整、免疫力、抵抗力の強化等の作用を持つと報告されている。
また、シミ、シワ、肌荒れ等の皮膚の老化を解消し、メラニン色素の形成・定着を防止する等の作用も報告されている。プラセンタは中国でも古くから強壮・強精・不老長寿の薬として「紫河車」・「胞衣」の名称で利用されてきた等の報告が見られる。また、加賀の三大秘薬の一つである「昆元丹」中にも配合されているとする報告もされている。
なお、胎盤抽出物を原料とする薬物として、次の製剤が報告されている。
商品名(会社名) |
ラエンネック [(株)日本生物製剤] |
メルスモン [メルスモン製薬(株)] |
日本標準商品分類番号 | 873259 | 873259 |
来歴 |
1933年Filatovらは、冷蔵ヒト胎盤を初めて臨床に使用した。我が国では1951年稗田らがヒト胎盤を肝硬変患者に埋没療法を施したのが最初であった。 |
ソ連の医学者フィラートフ(1933年)は、「生体組織(細胞)は、その生活を脅かすような外的因子が作用するとき、組織の中には、生物学的過程を刺激する物質-生物原刺激素?が産生される」という仮説を立て、これを「組織療法」として応用した。本剤はこの「組織療法」製剤の一つである。 |
組成 | 本剤は、ヒト胎盤の水解物で主として諸種のアミノ酸を含有し、1管2mL中に112mgの水溶性物質を含有する。 |
新生胎盤を冷蔵し、独特な方法で抽出したアミノ酸、核酸関連物質、無機物質を成分とする胎盤抽出物で、1管2mL中に100mgを含有する製剤である。無痛化剤としてベンジルアルコール0.03mLを含有。 |
効能・効果 | 慢性肝疾患における肝機能の改善 | 更年期障害、乳汁分泌不全 |
用法及び用量 | 通常、成人1日1回2mLを皮下又は筋肉内に注射する。症状により1日2?3回注射することができる。 | 通常、1日1回2mLを毎日又は隔日に皮下注射する。 |
薬効・薬理 |
*抗脂肝作用:本剤は抗脂肝作用を有し、脂肪沈着の減少、肝細胞の脂肪変性の改善が認められる(ラット)。 *組織呼吸賦活作用:本剤は肝のコハク酸脱水素酵素の活性を高め、組織呼吸を促進して、新陳代謝を活発にする(ラット)。*肝の部分欠損再生促進作用:本剤は、肝の部分的切除部を新生細胞で修復し、肝実質の再生を促進する(家兎・ラット)。 *間質結合織の呼吸促進作用:本剤はCCL4連続12週間投与によるラット肝障害の繊維増殖を抑制し、かつ一旦増殖した間質結合織をも吸収することが、組織学的に確認されている。 |
*組織呼吸促進作用:ラット肝臓の組織呼吸に及ぼす本剤の作用をワールブルグ法により測定した結果、本剤は生理食塩液の約5.7倍の呼吸促進作用を認めた。 *創傷治癒促進作用:ラットを用いた実験的火傷において、本剤は対照に比較し、創傷治癒促進作用を示した。*抗疲労作用:マウスによる水中遊泳疲労試験において、本剤は抗疲労性を認めた。 *硝子体及び結膜下出血の吸収促進作用:ウサギ眼球の硝子体及び球結膜下に対し実験的出血を起こし、その吸収促進作用を観察した結果、本剤は対照に比較して出血吸収促進作用を示した。 |
なお、胎盤製剤の各種成分について、現在までに確認されたものとして、次の報告がされている。
- 核酸関連物質:ウラシル、アデニン、グアニン、チミン、シトシン。
- アミノ酸:リジン、アラニン、アスパラギン酸、ロイシン、グルタミン酸、グリシン、バリン、セリン、チロシン、フェニルアラニン、スレオニン、アルギニン、プロリン、シスチン、イソロイシン、メチオニン、ヒスチジン。
- ミネラル:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等。
- その他:キサンチン等。
なお、使用されている胎盤には、ヒト胎盤及び牛胎盤があるとされている。
[011.1.PLA:2000.3.14.古泉秀夫]
- http://www.tsm.gr.jp/million/placentainfo.htm,2000.3.14.
- http://www.nava21.ne.jp/,2000.3.14.
- ラエンネック添付文書,1993.3.改訂
- メルスモン添付文書,1993.3.改訂