Archive for 12月 23rd, 2007

トップページ»

マジックマッシュルームについて

日曜日, 12月 23rd, 2007

KW:薬名検索・マジックマッシュルーム・magicmushroom・脱法ドラッグ・麻薬原料植物・幻覚作用・脱法ドラッグ・サイロシビン・psilocybin・シロシビン・サイロシン・psilocin・シロシン

 

Q:マジックマッシュルームを摂取したことを理由として、麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されたという記事を見たが、キノコが、何時から麻薬に指定されたのか

A:幻覚作用を惹起するキノコ「マジックマッシュルーム (magicmushroom)」を摂食したとして、麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で逮捕されたとの報道がされたのは2004年1月30日である。

従来脱法ドラッグの一種として市販されていたマジックマッシュルームは、平成14年5月7日に公布された政令改正により、麻薬原料植物に指定され、平成14 年6月6日以降これらの植物は麻薬として取り扱われるので、輸入、輸出、栽培、譲り受け、譲り渡し、所持、施用、広告という行為のすべてが法違反として扱われる。

■麻薬原料植物として指定された植物

  • (1) 3-[(2-ジメチルアミノ)エチル]-インドール-4-イルリン酸エステル(別名サイロシビン)及びその塩類を含有するきのこ類
  • (2) 3-[2-(ジメチルアミノ)エチル〕-インドール-4-オール(別名サイロシン)及びその塩類を含有するきのこ類

マジックマッシュルームとは、幻覚作用を惹起するキノコの俗称で、毒キノコの一種である。乱用されているのは、主にキノコを乾燥させたものである。乱用されるマジックマッシュルームは、主として次のキノコと考えられている。

  • Psilocybe cubensis(シロシベ・クベンシス、和名:ミナミシビレタケ)
  • Copelandia cyanescens(コーポランディア・キアネンシス、和名:アオゾメヒカゲタケ) ただし、これ以外の名前で呼ばれているものもあるので、注意が必要である。マジックマッシュルームには、サイロシビン(psilocybin:シロシビン)やサイロシン(psilocin:シロシン)という麻薬成分が含まれている。
  • psilocybin:メキシコ産茸の一種であるpsilocybe mexicanaに含まれるアルカロイドである。健常人に経口投与すると不安が著しくなり、知覚障害、思考力減退、幻視、多幸感、リジン現象などが見られる。
  • psilocin:メキシコ産茸の一種であるpsilocybe mexicanaに含まれるアルカロイドで、サイロシビンと同様に幻覚薬である。

マジックマッシュルームに含まれる麻薬成分のpsilocybinや psilocinは、中枢神経系に作用し、中枢神経の興奮や麻痺、幻覚を起こす。

主な症状は幻覚、酩酊状態、狂乱、発熱などで、摂食してから15-60分後に発現する。摂食後2週間から4カ月後、飲酒やストレス、睡眠不足、他の薬物の服用等によって、幻覚などの精神症状が再び現れる『フラッシュバック現象(再燃現象)』が起こることがある。

[011.1.PSI:2004.3.2.古泉秀夫]


  1. マジックマッシュルーム食べた疑い-打楽器奏者逮捕;読売新聞,第 45924号,2004.1.30.
  2. http://www.kenkou.metro.tokyo.jp/yakumu/m- sitei/mm.html,2004.2.1.
  3. 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1993

ミルラチンキについて

日曜日, 12月 23rd, 2007

KW:薬名検索・myrrh・ミルラ・ミルラチンキ・ミルラDAB9・没薬・モツヤク・ゴム樹脂・薫香料・殺菌・脱臭

 

Q:OTC薬のうがい薬に配合されているミルラチンキとは何か

A:ミルラはCommiphora属の諸植物の皮層からから分泌され、空気中で乾燥したゴム樹脂である。

  • [英]myrrh(ミルラ)、Arabian myrrh。[独]Myrrhe、[ラ]myrrha。
  • 和名:没薬(モツヤク)。
  • 原植物:ゴム樹脂の化学組成がミルラDAB9に該当する全てのCommiphora属植物。特にCommiphora molmol Engler、カンラン科(Burseraceae)。その他、北東アフリカ、アラビア等に産するCommiphora abyssinica Engl.(カンラン科)等から得たゴム樹脂を含む固形樹脂とする報告も見られる。
    本品は不規則な円形をした粒子又は多孔性の塊で、大きさは不揃い。褐色ないし黒褐色、淡橙褐色ないし暗橙褐色を呈し、黄色、無色ないし淡黄色の部分もある。表面は普通灰色ないし黄褐色の粉をふいたようである。臭いは酸っぱく、芳香性、味は苦く、芳香性、渋みがあり、噛むと歯に粘り着く。
  • 含有成分:組成は非常に複雑で、一部しか知られていない。40-60%のエタノール可溶部の精油は専らセスキテルペン類から成っており、主成分はゲルマクラン、エレマン、ユーデスマン及びグアヤン型のフラノセスキテルペン炭水化物である。その他精油中にセスキテルペン炭化水素類(例えばβ及びδ -elemene、β-bourbonene、β-caryophyllene、humulene)やセスキテルペンアルコール類(例えばelemol) が存在する。おそらくフラノセスキテルペン類のいくつかは、局方ミルラに特徴的なものである。50-60%-のエタノール不溶部(粗ゴム質、又は粗粘液質)は約20%の蛋白質と約65%の炭水化物(galactose、4-O-methylglucuronic acid、arabinoseから成る)を含んでいる。
  • 適応:多くはミラルチンキDAB9として殺菌、脱臭及び顆粒化促進作用があるため、風邪による口腔や咽頭部の炎症の際に塗布剤、含嗽剤や洗浄剤として用いられる。但し、本品に収斂作用はない。

その他、古来、薫香料として珍重され、チンキ剤を刺激、防腐薬とする。古代エジプトでは、死体を保存するのに、摘出した内臓の空洞に防腐の目的で本品を詰め込んでミイラを作った。ミイラの語源は本生薬を原義とする等の報告も見られる。

[011.1.MYR:2006.1.31.古泉秀夫]


  1. 薬科学大辞典 第3版;広川書店,2001
  2. 井上博之・監訳:カラーグラフィック西洋生薬;廣川書店, 1999

緑内障患者に使用可能な抗アレルギー薬

日曜日, 12月 23rd, 2007

KW:薬物療法・抗アレルギー薬・緑内障患者・気管支喘息・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎・蕁麻疹・湿疹・皮膚炎・皮膚掻痒症・痒疹・酸 性抗アレルギー薬・塩基性抗アレルギー薬

Q:緑内障患者に使用可能な抗アレルギー薬について

A:抗アレルギー薬とは、I型アレルギー反応とそれに続発するアレルギー性炎症を抑制する薬剤である。ことにマスト(肥満)細胞からのメディ エーターの生成・遊離を抑制する薬剤、あるいはその作用に拮抗する薬剤の総称である。

なお、緑内障患者に投与可能な薬剤ということであれば、作用として『抗アセチルコリン作用』の報告されていない薬剤を選択する。

一般名・商品名(会 社名)

承認適応

抗コリン作用
amlexanox
ソルファ錠(武田)
気管支喘息、アレル ギー性鼻炎 報告無
pemirolast potassium
アレギサール錠(田辺三菱)
気管支喘息、アレル ギー性鼻炎 報告無
repirinastロメット錠

(田辺三菱)

気管支喘息 報告無
sodium cromoglicate
インタール吸入カプセル
(アステラス)
気管支喘息、アレル ギー性鼻炎 報告無
インタール内服用
(アステラス)
食物アレルギーに基づくアトピー性皮膚炎 報告無
tazanolast
タザノールカプセル(鳥居)
気管支喘息 報告無
tranilast
リザベンカプセル(キッセイ)
気管支喘息、アレル ギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎 直接拮抗作用無
一般名・商品名(会 社名) 承認適応 抗コリン作用
azelastine hydrochlorideアゼプチン錠(エーザイ) 気管支喘息、アレル ギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、アトピー性皮膚炎、皮膚掻痒症、痒疹 報告無
bepotastine besilate
タリオン錠(田辺三菱)
アレルギー性鼻炎。蕁 麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚掻痒症) 報告無
cetirizine hydrochlorideジルテック錠(第一三共) アレルギー性鼻炎。蕁 麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚掻痒症。 報告無
ebastine
エバステル錠(大日本住友)
蕁麻疹。湿疹・皮膚 炎、痒疹、皮膚掻痒症。アレルギー性鼻炎。 抗コリン作用弱
emedastine difumarate
ダレンカプセル(オルガノン)
アレルギー性鼻炎、蕁 麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒感、痒疹 報告無
epinastine hydrochlorideアレジオン錠(ベーリンガー) 気管支喘息。アレル ギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症、痒疹、掻痒を伴う尋常性乾癬 報告無
fexofenadine hydrochloride
アレグラ錠(アベンティス)
アレルギー性鼻炎、蕁 麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚掻痒症、アトピー性皮膚炎)に伴う掻痒 報告無
ketotifen fumarate
ザジテンカプセル(ノバルティス)

気管支喘息、アレル ギー性鼻炎、湿疹・皮膚炎、蕁麻疹、皮膚掻痒症

報告無
olopatadine hydrochlorideアレロック錠(協和醗酵)

アレルギー性鼻炎、蕁 麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚掻痒症、尋常性乾癬、多形滲出性紅斑)

報告無
oxatomide
セルテクト錠(協和醗酵)

成人:アレルギー性鼻 炎、蕁麻疹、皮膚掻痒症、湿疹・皮膚炎、痒疹。

小児:気管支喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、痒疹。

報告無
一般名・商品名(会 社名) 承認適応 抗コリン作用
ozagrel hydrochloride
ベガ錠(小野)
気管支喘息 報告無
ramatroban
バイナス錠(バイエル)
アレルギー性鼻炎 報告無

seratrodast

ブロニカ錠(武田)

気管支喘息 報告無
montelukast sodium
シングレア錠(万有)
気管支喘息 報告無
pranlukast hydrate
オノンカプセル(小野)
気管支喘息。アレル ギー性鼻炎 報告無
zafirlukast
アコレート錠(アストラゼネカ)
気管支喘息 報告無
一般名・商品名(会 社名) 承認適応 抗コリン作用
suplatast tosilate
アイピーディ(大鵬)
気管支喘息、アトピー 性皮膚炎、アレルギー性鼻炎 報告無

[035.1.ANT:2003.10.27.古泉秀夫]


  1. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2003

「ルチンについて」

日曜日, 12月 23rd, 2007

KW:機能性成分・健康食品・ルチン・rutin・エンジュ・槐花・カイカ・ビタミンp・vitamin P・vitamin様物質・ビタミン様物質・血管補強薬

Q:ルチンを含有する生薬及びルチンの作用

A:ルチン(rutin)は、植物界に広く分布するクエルセチンの誘導体。淡黄色-淡緑黄色の結晶。水に難溶。C27H30O16=610.53。融点:192℃。フラボノール配糖体。血管補強薬。毛細血管の強化、血管の補強作用がある。脳出血、高血圧の予防、肺出血、紫斑病、網膜出血などに経口投与する。

[独]Rutin、[仏]rutine、[ラ]rutinum。

香料植物として有名なミカン科のヘンルーダ(Ruta graveolens)から最初に得られたが、後にマメ科のエンジュ(Sophora japonica)の花蕾(生薬名:槐花:カイカ)、タデ科のソバ(Fagopyrum esculentum)等からも単離され、天然に広く分布している。槐花のルチン含量は10-28%に達する。加水分解するとクエルセチン、L-ラムノース、D-グルコース各1分子を生じる。ラムノース(1-6)グルコースをルチノース(rutinose)という。主な生理活性は毛細血管収縮作用であり、古来より止血薬として用いられてきたが、その作用はそれほど強くなく一過性である。また毛細血管の抵抗力を高め、透過性の増大を抑制する作用(ビタミンP)を示す代表的化合物である。

ルチンはvitamin Cの研究中に発見されたビタミン様物質で、vitamin Pの一種である。ジャガイモの花、中国産の豆であるエンジュの葉・蕾・未熟果などに含まれ、食品中ではソバに特徴的な成分であるとされている。

1日摂取量として30mgとする報告がされており、ソバ一食分で十分摂取可能であるとされている。またルチンはvitamin Cの吸収を助け、vitamin Cの酸化を防御するとされている。

1)薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990

2)今堀和友・他監修:生化学辞典 第3版;東京化学同人,1998

3)中村丁次・監修:最新版からだに効く-栄養成分バイブル;主婦と生活社,2001

[015.9.RUT:2005.5.14.古泉秀夫]

横紋筋融解症について

日曜日, 12月 23rd, 2007

KW:語彙解釈・副作用・横紋筋融解症・rhabdomyolysis・横紋筋・骨格筋・striated muscle・ミオパシー・myopathy・筋症・ミオグロビン・myoglobin・statin系・HMG-CoA還元酵素阻害薬

Q:横紋筋融解症について

A:横紋筋=骨格筋(striated muscle)。

横紋筋融解症(rhabdomyolysis)は、骨格筋細胞の融解、壊死により筋体成分が血中へ流出した病態である。その際、流出した大量のmyoglobin(ミオグロビン)により尿細管に負荷がかかる結果、急性腎不全を併発することが多い。また稀ではあるが呼吸筋が障害され、呼吸困難になる場合もある。

従って血液透析などの適切な措置が必要となる。

骨格筋の崩壊は、外傷、熱射病、痙攣発作、低カリウム血症、動脈[性]不全、圧挫症候群、インフルエンザ、毒物中毒など多くの原因による。

服用薬剤の副作用の場合、初期症状に気付いた場合には、直ちに服用を中止し、主治医を受診するよう注意する。

  • 症状:発症時の自覚症状として、四肢の脱力、腫脹、痺れ、痛み、赤褐色尿(myoglobin尿)等があり、これに腎不全症状として無尿、乏尿が加わる場合もある。発症は急性、亜急性、緩徐発症を示し、筋痛、筋力低下は下肢・大腿部に局限することが多いが、全身性のこともあり、呼吸筋、嚥下筋が障害されることもある。従って歩行障害、運動障害、呼吸障害、意識障害など様々な症状を来す場合がある。
  • 検査所見myoglobinCPK(クレアチニンホスホキナーゼ)などの筋逸脱酵素の急激な上昇が認められる。
newquinolone系薬剤 1-6日間と短期間の服用で急激に発症。
bezafibrate 1日-2年の間で発症が報告されている。2週間以内が50%以上。
HMG-CoA還元酵素阻害薬 1年以内が殆どであり、4ヵ月以内が50%と報告。
  • 前駆症状:『手足の痺れ、手足の脱力感、手足・肩・腰・全身の筋肉が痛んだり、こわばったりする。全身倦怠感、尿色調が赤褐色』。

以上の症状が見られたら直ちに服薬を中止し、主治医に受診する。

横紋筋融解症

HMG-CoA還元酵素阻害薬(pravastatin、 simvastatin、fluvastatin)、fibrate系(clofibrate、bezafibrate)で起こるので、筋痛、筋力低下、 CPK上昇が見られ血中、尿のmyoglobinが上昇し、尿細管壊死による急性腎不全を伴う。横紋筋融解症は腎障害があるとき起こりやすいため重篤な腎障害(クレアチニン2.5mg/dL以上)には用いてはならない。

横紋筋融解症の発症機序
  1. コレステロールの減少が原因で筋膜の流動性が亢進。細胞膜障害の発現。Clコンダクタンスがブロックされることにより発症。
  2. コレステロール生合成系の中間代謝物産生系が抑制され、イソペンテニルアデニンピロリン酸の減少によるtRNA合成阻害、Rasのゲラニルゲラニン化の抑制等。
  3. 細胞内Caの増加による細胞死による

等の機序が報告されているが、未だ定説はない。

総評

statin系の薬剤は、副作用は非常に少ない薬とされている。

しかし、脂溶性のcerivastatin sodium(セリバスタチンナトリウム)は、高頻度の筋炎並びに横紋筋融解症を発症し、更にそれに起因する死亡例が世界中で200例に及んだことから 2001年cerivastatinは世界市場からの撤退を余儀なくされた。

最近10年間のstatinを用いた大規模臨床試験から換算すると、 statin投与による救命症例と死亡症例の比率を見ると、救命が1万-10万例に対し死亡は1例といわれている。

myopathy(ミオパシー)の発現頻度は、我が国では5%未満といわれているが、諸外国では10倍以上にCPKが増加した場合、myopathy発症を考えるとされているが、発症頻度については7万例に1例と算定されている。

myopathyは単に筋肉痛、易疲労感を感じるだけのもの、更に血中のCPKのみが上昇する。また重症例では横紋筋融解症のため急性腎不全により死亡する等の症例も存在する。

但し、statinによる横紋筋融解症は100万処方に1例と算定されている。myopathyの初期症状は、筋肉痛よりも筋肉がだるい等の訴えがあることに注意が必要である。

その他

statinの副作用について、『一般に忍溶性がよい。筋肉及び肝臓での副作用は、用量関連性の傾向がある。

治療を開始する前にクレアチンキナーゼ(CK)及びアミノトランスフェラーゼ(ATs)濃度を測定すること。筋肉症状が現れた場合には、CKの測定を繰り返し行う。

aminotransferases濃度は定期的に測定した方がよい。多くの薬剤(主にフィブラート、シクロスポリン、抗真菌薬、マクロライド系抗菌薬及び抗レトロウイルス薬)が、statinとの併用によりmyopathy及び/又は肝毒性のリスクを高めることがある。

statinは動物で発癌性を示すが、殆どの研究でstatin服用患者の発癌率が増加したという証拠は示されていない』とする報告も見られる。

HMG-CoA還元酵素阻害薬による筋痛症及び関節痛の両者は、本薬投与中止後2-3週間で回復するの報告が見られる。

尚、statin系薬剤の体内消失予測時間は下表の通りである。

一般名・商品名(会社名)

半減期 体内消失時間
atorvastatine calcium hydrate
リピトール錠(アステラス)
約9.44hr. 約47hr.
fluvastatin sodium
ローコール錠(ノバルティス)
約1.32hr. 約6.6hr.
pitavastatin calcium
リバロ錠(興和)
約11.6hr. 約58hr.
pravastatin sodium
メバロチン錠(第一三共)
約1.5hr. 約7.5hr.
rosuvastatin
クレストール錠(アストラゼネカ)
約20.2hr. 約101hr.
simvastatin
リポバス錠(万有)
約2-12hr. 約10-60hr.

HMG-CoA還元酵素阻害薬は、コレステロール生合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害する。その作用はコレステロール合成の主要臓器である肝臓、小腸に選択的であるとされているが、薬物が体内から消退した後も、何等かの影響が持続するものと考えられる。

myopathy(筋症)

筋肉自体が侵されて生じる疾患の総称。筋症は筋肉に病変が起こっている場合で、筋肉は種々の原因で侵されるが、外因による筋障害も多く、ステロイドミオパシー、クロロキンミオパシー、ビンクリスチンミオパシーなどがある。こうしたミオパシーの際には、一般的には四肢近位筋である肩、腰などの筋の脱力が目立ち、立ち上がり動作、階段の昇降などに困難を自覚することが多い。

筋症では、広範な筋肉痛、筋肉圧痛、脱力感や著明なCK(CPK)*の上昇がみられる。

*CK(CPK):creatine kinase(CK:クレアチンキナーゼ)・creatine phosphokinase(CPK:クレアチンホスホキナーゼ)。基準値:57-197 IU/L(男性)、32-180 IU/L。

[615.8.HMG:2006.4.17.古泉秀夫]


  1. 医学大辞典;南山堂,2001
  2. 日本病院薬剤師会・編:重大な副作用回避のための服薬指導情報[1];薬業時報社,1997
  3. 名尾良憲・他編著:臨床医薬品副作用ハンドブック;南山堂,1999
  4. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2006
  5. 和田 攻・総監修:医学生物学大辞典;朝倉書店,2001
  6. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2001
  7. 多田紀夫:HMG-CoA還元酵素阻害薬の副作用;ドクターサロン,50(4):246-252(2006)
  8. ローコール錠添付文書,2005.5.
  9. 高久史麿・監修:臨床検査データブック;医学書院,2003-2004
  10. 心疾患又は高コレステロール血症のない抗リスク患者へのスタチンの使用;The Medical Letter<日本語版>,22(1):1-3(2006.1.2.)
  11. 中村誓志・他:シンバスタチンによるミオパチーが発症した1例;医療薬学,32(4):342-345(2006)
  12. 二見高弘・他:連載・HMG-CoA還元酵素阻害剤(3)-有用性から有害事象まで-横紋筋融解症について;医薬ジャーナル,42(3):1062-1069(2006)
  13. リポバス錠インタビューフォーム,2003.2.