イソジン洗眼液について
水曜日, 12月 19th, 2007KW:適応外使用・特殊用例・イソジン液・povidone- Iodine・イソジン洗眼液・イソジン点眼液・承認適応外・院内製剤・療養担当規則
Q:院外処方せんで「16倍イソジン液・ 洗眼用」の処方が出されたが、調剤薬局としての対応はどうすればよいか。なお、設備がないため無菌調製はできない。
A:現在、市販されているイソジン液(明治製菓)の承認適応として『洗眼』 の適応はないため、『承認適応外』使用に該当する。
保険医療機関に勤務する保険医は、『保険医療機関及び保健医療養担当規則(療養担当規則)』の遵守を義務付けられているが、『療養担当規則』の第19条において『保険医は、厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し、又は処方してはならない』の規定が定められており、上記処方せんは療養担当規則に違反する。
保険薬局に勤務する保険薬剤師は、医師同様、療養担当規則の遵守が義務付け られており、『厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を調剤してはならない』ことが定められている。
従って、薬剤師は処方医に疑義照会することが必要であ り、ヨウ素を成分とする洗眼殺菌剤として市販されている『PA・ヨード液-0.2%[ポリビニルアルコール・ヨウ素包接化合物](日本点眼薬研究所)』へ の処方変更を依頼すべきである。
商品名(会社名) |
イソジン液(明治製菓) |
PA・ヨード液 (日本点眼薬研究所) |
組成 |
povidone-Iodine 100mg/mL(有効ヨウ素として10mg) 添加物:濃グリセリン・ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル |
polyvinylalcohol・potassium iodide(有効ヨウ素として2mg) 添加物:パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル |
承認適応 | 手術部位(手術野)の皮膚の消毒、手術部位(手術野)の粘膜の消毒、皮膚・粘膜の創傷部位の消 毒、熱傷皮膚面の消毒、感染皮膚面の消毒 | 角膜ヘルペス、洗眼殺菌 |
取扱い上の注意 | 本剤は外用消毒剤であるので、経口投与、吸入、注射、眼及び体腔内(腹腔内、胸腔内等)に使用し ないこと。 | (有効塩素濃度0.2%の原液を通常、添付希釈液で4-8倍に希釈して用いる) |
なお、処方医があくまで原処方である『16倍イソジン液・洗眼用』に拘るの であれば、院内処方に変更し、医師の属する医療機関内で処理すべきである。
8倍 | 16倍 | |
イソジン液 | 125mL | 62.5mL |
蒸留水 | 全量1000mL | 全量1000mL |
- 調製法:イソジン液を蒸留水で8倍に希釈する。0.22μmメンブランフィ ルターで濾過し、滅菌済み褐色ガラス瓶(500mL)に分注する。
以上の操作は無菌操作法で行う。121℃-20分間、高圧蒸気滅菌を行う。 - 適応:眼科手術時の結膜嚢の消毒。
- 使用期限:1週間。冷暗所保存。
1% | 5% | |
10%-イソジン液 | 10mL | 2.5mL |
注射用水 | 全量100mL | 5mL |
- 調製法:10%-イソジン液に注射用水を加え、混和した後、0.22μmメ ンブランフィルターで濾過後、5mL遮光点眼容器に分注する。以上の操作は無菌操作法で行う。
- 適応:結膜嚢の消毒
- 使用期限:1カ月、遮光・冷所保存
[035.4.POV:2003.8.25. 古泉秀夫]
- 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2003
- 基本医療六法;中央法規,2002
- 日本病院薬剤師会・編集:病院薬局製剤第4版;薬事日報社,1997
- 国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:医薬品情報,26 (4):333-334(1999)
- イソジン液添付文書,2001.6.
- PA・ヨード液添付文書,1999.12.改訂