『妊娠中・妊娠可能婦人への投与を回避すべき薬剤』
妊娠中の薬物投与について、次の報告がされている。
妊娠した女性の90%が48種類もの医療用医薬品とOTC薬物を使用していた。最も一般的に服用される薬剤は制吐薬、制酸薬、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、抗菌薬、精神安定薬、催眠薬、利尿薬、社会的薬物・違法薬物などである。
それでも薬物が惹起する奇形は、全ての胎児の先天異常の僅か2-3%に過ぎない。多くの奇形は、遺伝的、環境的、又は未知の原因の結果として起こる。
胎児への薬物効果は、大部分は胎齢、薬効、用量によって決まる。
受胎後20日以内:受胎後20日より前に投与された薬物は、『全てか無かの効果』、胚を殺すか全く影響しないかの、どちらの効果も示し得る。この段階では催奇形性はあまり起こらない。
器官形成期(3-8週の間):催奇形について危険な時期である。この段階で胎児に到達する薬物は、測定しうる効果を示さないか、又は流産、亜致死的な解剖学的欠損(真の催奇形性)、後になって現れる永久的な微細な代謝又は機能的不全(潜在的な胎児障害)等を惹起する。
妊娠中期・後期:器官形成期の後に投与された薬物は、催奇形は起こしにくいが、正常に形成された胎児の器官や組織の機能と成長を変化させることがある。
通常、先天異常の発生頻度は約3%あるいは約4%等とする報告がされている。報告されている発生率に基づき計算すると、薬物が原因と考えられる奇形発生は約0.06-0.12%と計算できる。従って、薬物の曝露に由来する催奇形性の発現率は、極く僅かであるといえる。
下記の一覧表は、文献2及び文献3[Federal Register 1980;44:37434-67]に収載されている危険度分類基準[D]・[X]に属する薬剤をまとめたものである。日本・米国・オーストラリアの各国における使用医薬品の相違、原著資料の作成時期の相違等もあって、全ての薬剤についての情報は入手出来なかった。また、国内の資料はその性格上添付文書の記載内容に止めた。3種類の情報を比較参照し、催奇形性等について相談された際の参照資料とされたい。なお、添付文書については、最新の添付文書を参照すること。
薬品名 | 添付文書 | オーストラリア医薬品評価委員会基準 | FDA薬剤胎児危険度分類基準 |
[311]alfacalcidol アルファロール(中外) |
■[1]妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性[ヒト妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で大量投与の場合、胎仔化骨遅延等[添付文書, 19 98.6.改訂] |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*:生命が危険にさらされるとき、重篤な疾病で安全な薬剤が使用できないとき、効果がないとき、その薬剤をどうしても使用する必要がある場合) | |
Aminoglycoside antibiotics [613]gentamycin ゲンタシン注(シエリング・プラウ) [613]amikacin アミカマイシン注(明治製菓) [613]isepamycin イセパシン注(シエリング・プラウ) [613]tobramycin トブラシン注(塩野義) [613]astromicin フォーチミシン注(協和) [613]dibekacin パニマイシン注(明治製菓) [613]sisomycin シセプチン注(アステラス) [613]bekanamycin カネンドマイシン注(明治製菓) [613]ribostamycin ビスタマイシン注(明治製菓) [613]micronomicin サガミシン注(協和) [613]spectinomycin トロビシン注(大日本住友) [613]paromomycin アミノサイジン錠(協和) [613]fradiomycin フラジオ腸溶錠(日本化薬) [613]streotomycin 硫酸ストレプトマイシン注(明治製菓) [613]kanamycin 硫酸カナマイシン注(明治製菓) [613]arbekacin ハベカシン注 (明治製菓) |
■妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性[新生児に第8脳神経障害が現れるおそれがある。また、動物実験(モルモット)で新生仔に外有毛細胞の消失が見られたとの報告][ゲンタシン注添付文書,1998. 4.改訂]。 ■妊婦・妊娠可能性婦人-治療上の有益性[新生児に第8脳神経障害が現れるおそれがある。][硫酸カナマイシン注射液添付文書,1998 .3.改訂]。 |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める・高めたことが推定・高めることが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。 gentamycin及び他のアミノグリコシド系薬剤は胎盤を通過する。gentamycinは胎児の腎に選択的に取り込まれ、未熟なネフロン細胞に障害を与えることが証明されている。一部のamino-lycosideに関しては、体内で曝露を受けることにより聴神経の障害が起こるという報告。化学的構造の類似性から考えて、全てのamino-ycoideは胎児に対して腎毒性、聴神経毒性を持っていると考えなければならない。母体の血中濃度が治療域にあることが、胎児への安全性を保証するものでないことを留意 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[112]amobarbital |
■[1]妊娠中投与-新生児の出血傾向、呼吸抑制等惹起-慎重投与。[2]分娩前連用-出産後新生児に禁断症状(多動、振戦、反射亢進、過緊張)発現の可能性[添付文書,1999.3.改訂] |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) | |
Angiotensin convert-ing enzyme inhibitor [214]captopril カプトリル錠(第一三共) [214]enalapril レニベース錠 (萬有) [214]alacepril セタプリル錠(大日本住友) [214]delapril アデカット錠(武田) [214]cilazapril インヒベース錠(エーザイ) [214]lisinopril ゼストリル錠(ゼネカ) [214]benazepril チバセン錠(ノバルティス) [214]imidapril ナトリル錠(田辺三菱) [214]temocapril エースコール錠(第一三共) [214]quinapril コナン錠(田辺三菱) [214]trandolapril オドリック錠(アベンティス) |
■禁忌:妊婦・妊娠可能婦人。[1]妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された高血圧症の患者で、羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形等が現れたとの報告。[2]妊娠中に本剤を投与された重症高血圧症の患者で、羊水過少症、また、その新生児に低血圧・腎不全等が現れたとの報告[カプトプリル錠,1999.12.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。-ACE阻害剤は胎児の子宮内での死亡を来すことがあり、妊娠中は使用すべきでない(captopril・enalapril ) | |
Antidepressant drugs [117]amitriptylinel トリプタノール錠・注(萬有) [117]clomipramine アナフラニール錠・注(ノバルティス) [117]nortriptyline ノリトレン錠(大日本住友) [117]imipramine トフラニール錠・注(ノバルティス) |
■妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性[三環系抗うつ剤(イミプラミン)では、動物実験(ウサギ)で催奇形性(外形異常)が報告][ノリトレン錠添付文書,199 8.11.改訂]。 |
C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすことが疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
Antityroid drugs [243]propylthiouracil |
■[1]妊娠中投与-安全性未確立。胎児に甲状腺腫、甲状腺機能抑制惹起の報告。[2]妊婦・妊娠可能婦人-投与時、定期的に甲状腺機能検査実施、甲状腺機能を適切に維持-投与量調整。[3]新生児に出生後しばらくは、甲状腺機能抑制が、また、その後甲状腺機能亢進発現の可能性[チウラジール錠添付文書,199 9.11.改訂]。 |
C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすことが疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある(propylthiou-racil)。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[112]bromvalerylurea [ブロム化合物として] |
■胎児障害の可能性-妊婦・妊娠可能婦人-投与回避[添付文書,199 9.9.改訂] |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
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[113]carbamazepine |
■妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性-本剤を投与する場合、可能な限り単独投与[妊娠中に投与された患者の中に、奇形児( 二分脊椎を含む)や発育障害児を出産した例が多いの疫学調査報告、また本剤を単独投与された患者群に比較し、他の抗てんかん剤(特にバルブロ酸ナトリウム)と併用して投与された患者群に奇形児を出産した例が多いとの疫学調査報告]。[2]分娩前に本剤又は他の抗てんかん剤と併用した場合、出産後新生児に禁断症状(痙攣、呼吸困難、嘔吐、下痢、摂食障害等)発現の報告。[3]妊娠中の投与により、新生児に出血傾向。[4]妊娠中の投与により、葉酸低下が生じるとの報告[添付文書,2000.5.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。-本剤単独使用の場合約1%の二分脊椎が生じるものと考えられる。他の抗てんかん薬を併用した場合、更にリスクが増大するということを示唆するヒトでの証拠も得られている。 | |
[117]chlorpromazine |
■妊婦・妊娠可能婦人-投与回避[動物試験(齧歯類)で、大量で胎仔死亡、流産等の胎仔毒性が報告。また、妊婦に投与した場合、新生児に振戦等が発現][添付文書,2000.3.改訂] |
C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすことが疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[641] chloroquine・hydroxychloroquine 国内市販無 |
D:chloroquine及びその関連物質は胎児に神経障害を引き起こすことがあり、聴覚、平衡、視覚障害を惹起。マラリア予防に用いる場合は用量も少なく、投与することによってもたらされる母児への利益の方がリスクを上回るため使用可。 |
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[249]clomifene -排卵誘発剤- |
■禁忌:妊婦。*動物実験で胎児毒性・催奇形作用が認められており、またヒト妊卵に対する安全性未確立。従って妊娠初期の不注意な投与を避けるため、次の点に注意。1)投与前少なくとも1カ月間及び治療期間中は基礎体温を必ず記録させ、排卵誘発の有無を観察する。2)無月経患者においては投与前にGestagen testを行い、消退性出血開始日を第1日として5日目に、また投与前に自然出血(無排卵周期症)があった場合、その5日目に投与を開始する。3)投与後基礎体温が高温相に移行-投与中止。必ず妊娠成立の有無を確認。[添付文書,1998.4.改訂]。 |
B3:妊婦及び妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られている薬だが、奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察されていない。動物を用いた研究では、胎仔への障害の発生が増えるという証拠が得られている。しかし、このことがヒトに関してどの様な意義を持つかは不明である。 |
X:動物又はヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦・妊娠可能性婦人禁忌。 |
[113]clonazepam |
■妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性(母体のてんかん発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)が危険性を上回ると判断時のみ投与。*分娩前に連用した場合、出産後新生児に禁断症状(神経過敏、振戦、過緊張等)発現、他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告されている[添付文書,1999.7.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める・高めたことが推定される・高めるであろうことが強く疑われる薬-薬理学的な副作用を伴うこともある。-本剤はベンゾジアゼピン系薬剤の一つで、胎盤を通過して胎児へも移行し、新生児の低血圧、呼吸機能低下、低体温を見る場合がある。この系統の薬剤では新生児の離脱症候群も報告。 | |
[245]cortisone |
■妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性[動物実験(マウス)で催奇形作用報告、また、新生児に副腎不全を惹起]。[cortisone 10mgをマウスの妊娠8日から14日迄の各日に単回投与試験、及び2.5mgを、妊娠9日から14日の各日を投与初日として4日間連続投与した試験において、口蓋裂の発生][コートン錠添付文書,2000.3.改訂] |
A:多数の妊婦及び妊娠可能年齢の女性に使用されてきた薬だが、それによって奇形の頻度や胎児に対する直接・間接の有害作用の頻度が増大するといういかなる証拠も観察されていない。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
Cytotoxic drug(細胞毒製剤) [421]cyclopospha-mide エンドキサンP錠・注(塩野義) [421]dacarbazine ダカルバジン注(協和醗酵) [422]methotrexate メソトレキセート錠(ワイス) [422]fluorouracil 5-FU錠(協和醗酵)procarbazine ナツラン(中外) [その他の細胞毒製剤] [以下FDA基準] [399]azathioprine イムラン錠(GSK) [421]thiotepa テスパミン注(大日本住友) [421]busulfan マブリン散(ワイス)[422]ercaptopurine ロイケリン散(ワイス) [422]cytarabine キロサイド注(日本新薬) [424]vincristine オンコビン注(塩野義) [424]vinblastine sulfate エクザール注(塩野義) [423]doxorubicin アドリアシン注 (協和) [423]daunorubicin ダウノマイシン注(明治製菓) [423]bleomycin ブレオ注(日本化薬) [429]cisplatin ランダ注(日本化薬) |
■妊婦・妊娠可能婦人投与回避[催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物試験(ラット)で催奇形性作用が報告されている。][エンドキサン添付文書,2 000.3. 改訂]。 |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの(*) |
[249]danazol |
■禁忌[女性胎児の男性化惹起の報告][ボンゾール錠添付文書,199 9.10.改訂] ■禁忌:女性胎児の男性化を起こすことがある][エナルモン錠添付文書,1998.10.改訂]。 |
D:ヒト胎児に奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める・高めたことが推定・高めるであろうことが強く疑われる薬-薬理学的な副作用を伴うこともある。-蛋白同化ステロイド、男性ホルモン及び他のアンドロゲン作用を持つ薬剤には、胎児の男性化作用があり、妊娠中は回避。 | |
Diabetes drugs [396]acetohexamide |
■妊娠・妊娠可能婦人-投与回避[スルホニルウレア系薬剤は胎盤を通過-新生児の低血糖、巨大児が認められている。また、動物試験(ラット)で催奇形作用が報告][ジメリン錠添付文書,1 999.3.改訂] |
C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用の惹起が疑われる薬、効果は可逆的なこともある(tolbutamide)。 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[112]diazepam |
■[1]妊娠(3カ月以内)・妊娠可能婦人-治療上の有益性[妊娠中の本剤投与を受けた患者の中に奇形児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告]。[2]妊娠後期の婦人-治療上の有益性[新生児に哺乳困難、筋緊張低下、嗜眠、黄疸の増強等惹起]。[3] 分娩前連用で、出産後新生児に禁断症状(神経過敏、振戦、過緊張等)発現[添付文書,1999.10.改訂] |
C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすことが疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある。 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) 参照(文献6) |
Diuretic [213]ethacrynic acid エデクレル錠(萬有) [213]pironolactone アルダクトンA錠・細粒(モンサント) [213]triamterene トリテレン(大日本住友) [213]chlortalidone ハイグロトン錠(ノバルティス) [チアジド類] [213]trichlormethiazide フルイトラン錠(塩野義) [213]hydrochlorothiazide ダイクロトライド錠(萬有) [213]penflutiazide ブリサイド錠(旭化成) [213]methclothiazide エンデュロン錠(大日本住友) [213]cyclopenthiazide ナビドレックス錠(ノバルティス) [213]benzylhydrochloro-thiazide ベハイド錠(杏林) |
■妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性[妊娠中の投与に関する安全性未確立][エデクリル錠添付文書, 1999.1.改訂]。 ■妊娠後期には治療上の有益性が危険性を上回ると判断時のみ投与[チアジド系薬剤では新生児又は乳児に高ビリルビン血症、血小板減少等を起こすことがある。また、利尿効果に基づく血漿量減少、血液濃縮、子宮・胎盤血流量減少が現れることがある][ダイクロトライド錠,1998.3.改訂]。 |
B3:妊婦・妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られている薬だが、奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察されていない。動物を用いた研究では、胎仔への障害の発生が増えるという証拠が得られている。しかし、このことがヒトに関してどの様な意義を持つか不明(spironolactone) C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすことが疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある(triamterene)。 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの(*) |
[113]ethotoin |
■妊娠中に本剤を単独、又は併用投与された患者に、奇形児(口唇裂、口蓋裂等)を出産した例が多いとの疫学的調査報告。妊婦・妊娠可能性ある婦人-治療上の有益性(母体のてんかん発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)が危険性を上回ると判断時投与[添付文,1999.5.改訂] | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの(*) | |
[311]etretinate |
■催奇形性の症例報告。妊婦・妊娠可能婦人-投与回避[本剤投与中又は投与中止後2年以内に妊娠した患者で、胎児、新生児の頭蓋顔面欠損、脊椎欠損、四肢欠損、骨格異常等が発現の報告][添付文書,1999.9.改訂]。 |
X:胎児に対して永続的な障害をもたらす危険性が高く、妊娠中や妊娠可能期には使用すべきでない薬-本剤は治療量の範囲内で使用しても催奇形性がある。使用中止後も4-5カ月は体内に蓄積している。本剤治療中あるいは治療中止後2年以内の患者が妊娠した場合、胎児に奇形を生ずるリスクは高い。 | X:動物・ヒトでの試験で胎児異常証明、ヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠-薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性が大きいもの。区分される薬剤は、妊婦・妊娠可能婦人-禁忌 |
[112]flunitrazepam |
■[1]動物実験で催奇形作用が報告。妊婦・妊娠可能婦人-投与回避。*妊娠動物(ラット)に投与した実験で、50mg/kgの用量で催奇形作用発現。*分娩前に連用した場合、出産後新生児に禁断症状(神経過敏、新鮮、過緊張等)発現が、他のベンゾジアゼピン化合物(ジアゼパム)で報告[添付文書,1998.7.改訂] |
C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすことが疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
Folicular hormone drugs[卵胞ホルモン剤] [247]estradiol エストラダームTTS(ノバルティス) [247]estradiol benzoate オバホルモン水懸注(あすか製薬) [247]estradiol dipropionate オバホルモンデポー注(あすか製薬) [247]estradiol valerate プロギノンデポー注(シエーリング) [247]ethinylestradiol プロセキソール錠(あすか製薬) [247]mestranol デボシン錠(塩野義) [247]estriol エストリール錠・水懸注(持田) [247]estriol propio-nate エストリールデポー注(持田) [247]estriol acetate benzoate ホーリンデポー注(あすか製薬) [247]estrogens conjugated プレマリン錠・注(旭化成) |
■禁忌:妊婦・妊娠可能性ある婦人。[1] 妊婦・妊娠可能性ある婦人- 投与回避[妊娠中投与に関する安全性未確立]。[2]卵胞ホルモン剤を妊娠動物(マウス)に投与した場合、仔の成長後膣上皮及び子宮内膜の癌性変性を示唆する結果報告。また、新生仔に投与した場合、仔の成長後膣上皮の癌性変性を認めたとの報告[プレマリン錠添付文書,199 9.6.改訂] | B1:妊婦及び妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られているが、この薬による奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察されていない。動物を用いた研究は不十分又は欠如しているが、入手しうるデータは、胎仔への障害の発生が増加したという証拠は示されていない。 | X:動物又はヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦又は妊娠する可能性のある婦人には禁忌。 |
[247]fosfestrol 承認適応:前立腺癌 別名:リン酸ジエチルスチルベストロール(diethylstilbestrol phosphate) |
■その他の注意:女性に対する適用はないが、妊娠中ジエチルスチルベストロールを投与された母親から生まれた女児に、成長後膣癌が発生したとの報告[添付文書,1998.4.改訂]。 | X:胎児に対して永続的な障害をもたらす危険性が高く、妊娠中や妊娠の可能性のある時期には使用すべきでない薬 。 | X:動物・ヒトでの試験で胎児異常が証明、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性が大きい。ここに分類される薬剤は、妊婦・妊娠可能性ある婦人-禁忌 |
Iodine contrast media [721]iohexol |
■妊娠・妊娠可能婦人-診断上の有益性[妊娠中投与に関する安全性未確立。また、本剤投与の際にはX線照射をともなう][オムニパーク添付文書,1999.3.改訂]。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) | |
[117]lithium |
■禁忌:妊婦・妊娠可能婦人。[1]動物実験(ラット、マウス)で催奇形作用、またヒトで心臓奇形の発現頻度の増加報告、妊婦・妊娠可能性ある婦人-投与回避。[2]分娩直前に血清リチウム濃度の異常上昇を起こすことがあるので、妊娠末期の婦人-投与回避[添付文書,199 9.8.改訂]。 |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める・高めたことが推定される・高めるであろうことが強く疑われる薬-薬理学的な副作用を伴うこともある。-本剤は胎児の循環血液中に入る。新生児で甲状腺機能障害を起こしたという報告。また本剤を妊娠中に用いた場合、心血管系奇形を起こす可能性示唆するデータがある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[112]lorazepam |
■妊娠中の投与に関する安全性未確立、妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性。*妊娠中に他のベンゾジアゼピン系化合物の投与を受けた患者の中に奇形児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学調査報告。*分娩前に連用した場合、出産後新生児に禁断症状(神経過敏、振戦、過緊張等)の発現が、他のベンゾジアゼピン系化合物(ジアゼパム)で報告。*妊娠動物(マウス)にlorazepamを大量投与した実験で、胎仔に口蓋裂及び眼瞼裂を認めたとの報告[添付文書,1998.12.改訂] |
C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすことが疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
Corpus luteum hormone drugs[黄体ホルモン剤] [247]medroxyproge-sterone acetate |
■禁忌。*妊婦・妊娠可能婦人-投与回避[妊娠初期・中期に投与した場合、まれに新生女児の外性器の男性化惹起][ノアルテン錠添付文書,1998.12.改訂]。 ■その他の注意:黄体ホルモン剤の使用と先天異常児出産との因果関係は、未確立であるが、心臓・四肢等の先天異常児を出産した母親では、対照群と妊娠初期に黄体又は黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた群との間に、有意差があったの疫学的調査報告[ルトラール錠添付文書,1998.7.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。-受胎後8週以後に使用すると胎児の男性化を引き起こすことがある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの(*) |
[211]metaraminol bitartrate |
■妊婦・妊娠可能婦人への注意事項記載無[添付文書,199 8.8.改訂] | C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を惹起が疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある。 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[232]misoprostol |
■禁忌[本剤には子宮収縮作用があり、妊婦で完全又は不完全流産及び子宮出血が見られたとの報告][添付文書,1998.9.改訂] | X:胎児に対して永続的な障害をもたらす危険性が高く、妊娠中や妊娠の可能性のある時期には使用すべきでない薬- 本剤は妊婦に使用してはならない。流産を惹起し、危険な出血をもたらす可能性。 | |
Oral contraceptive [254]ethinylestradiol |
■禁忌。*妊娠が確認された場合には投与を中止。なお、2周期連続して消退出血が発来しなかった場合、妊娠している可能性があるため、妊娠の有無について確認[妊娠中の服用に関する安全性未確立][オーソM21添付文書,2000.5.作成] |
参照(文献6) |
X:動物・ヒトでの試験で胎児異常が証明、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性大。ここに分類される薬剤は禁忌 |
[392]penicilamine (D-penicilamine) |
■禁忌(慢性関節リウマチ)・原則禁忌(ウイルソン病 他)妊婦・妊娠可能性ある婦人。 *妊婦:催奇形性を疑う症例報告。妊婦・妊娠可能婦人-投与回避。但しウイルソン病(肝レンズ核変性症)には、治療上の有益性[添付文,1999.12.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。-本剤はヒト胎児で弛緩性皮膚を来す。 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[112]pentobarbital calcium *これらの薬剤は新生児に低血圧、呼吸抑制、低体温をきたすことがある。妊娠中の継続的使用や分娩最中の投与は避けるべきである。 |
■[1]妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性[類薬(フェノバルビタール)で催奇形作用報告。また、妊娠中の投与で、新生児の出血傾向、呼吸抑制等を惹起]。[2]分娩前に連用しない[出産後新生児に退薬症候(多動、振戦、反射亢進、過緊張等)が発現][添付文書,1998.4.改訂] |
C:催奇形性はないが、その薬理効果によって、胎児や新生児に有害作用を引き起こすことが疑われる薬、これらの効果は可逆的なこともある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認 |
[113]phenobarbital |
■[1]妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性(母体の癲癇発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)。本剤を投与された患者の中に、奇形児(口唇裂、口蓋裂等)を出産した例が多いとの疫学的調査]。[2]妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単独投与[妊娠中に他の抗てんかん剤(フェニトイン)と併用して投与された患者群に、奇形児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多いとの疫学的調査]。[3]妊娠中の投与により、新生児に出血傾向、呼吸抑制等惹起。[4]分娩前に連用で、出産後新生児に退薬症候群(多動、振戦、反射口唇、過緊張等)発現[マイソリン錠添付文書,1999.5.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。- 妊娠中primidone・phenobarbitalを単独又は他の抗てんかん薬と併用した場合、新生児に血液凝固障害を来すことがある。これは出産前に母体にビタミンKを予防的に投与することで防止できる。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの(*) |
[113]ethosucimide *これらの薬剤を服用することによって、新たなリスクが加わるかどうかについては、未だ不明である。 |
■[1]妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性(母体の癲癇発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)[妊娠中に本剤を投与された患者の中に、奇形児(口唇裂、口蓋裂等)を出産した例が多いとの疫学的調査]。[2]妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合、可能な限り単独投与する[妊娠中に他の抗てんかん剤(フェニトイン)と併用して投与された患者群に、奇形児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多いとの疫学的調査]。[3]妊娠中の投与により、新生児に出血傾向、呼吸抑制等惹起。[4]分娩前に連用した場合、出産後新生児に退薬症候群(多動、振戦、反射口唇、過緊張等)発現[マイソリン錠添付文書,1999.5.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。- 妊娠中primido ne・phenobar bitalを単独又は他の抗てんかん薬と併用した場合、新生児に血液凝固障害を来すことがある。これは出産前に母体にビタミンKを予防的に投与することで防止できる。 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの(*) |
[113]phenytoin 胎児ヒダントイン症候群の特徴的奇形パターン(子宮内胎児発育遅延、小頭症、精神発達の遅延、頭部・顔面の奇形、爪と指骨の低形成、鼠径ヘルニア等) |
■妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性(母体の癲癇発作頻発を防ぎ、胎児を低酸素状態から守る)[妊娠中に本剤を投与された患者の中に、奇形児(口唇裂、口蓋裂等)を出産した例が多いとの疫学的調査]。*妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単独投与する[妊娠中に他の抗てんかん剤(特にプリミドン)と併用して投与された患者群に、奇形児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多いとの疫学的調査]。*妊娠中の投与により、新生児に出血傾向、呼吸抑制等を起こすことがある。*分娩前連用-出産後新生児に退薬症候群(多動、振戦、反射亢進、過緊張等)が発現。*妊娠中の投与により、葉酸低下の報告[添付文書,1999.5.改訂]。 |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。-妊娠中の本剤使用は児の頭部顔面領域異常、精神・身体発育の障害を伴うことが多く、またこれより頻度は少ないが、口蓋裂や心臓奇形を伴う。これらの症状の組み合わせは「胎児ヒダントイン症候群」と呼ばれることもある。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの(*) |
[641]quinine |
■禁忌。*妊婦・妊娠可能婦人-投与回避[胎盤を容易に通過することが知られており、流産・早産・死産・奇形等惹起][添付文書,200 0.2.改訂]。 |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める・高めたことが推定される・高めるであろうことが強く疑われる薬-薬理学的な副作用を伴うこともある。-ヒト、動物のいずれに対しても、本剤を大量に用いれば難聴、発育障害、四肢・頭部の奇形等の胎児障害を惹起。本剤は子宮収縮作用もあることから、流産の恐れ |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの |
[311]retinol palmitate |
■禁忌:妊娠3カ月以内・妊娠希望婦人へのビタミンA 5000/日以上の投与(ビタミンA欠乏症の婦人は除く)。*妊娠3カ月以内・妊娠希望婦人-ビタミンA欠乏症の治療に用いる場合を除き投与しない[外国において、妊娠3カ月から妊娠初期3カ月までにVA を10000IU/日以上摂取した女性から出生した児に頭蓋神経堤等を中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査]。[チョコラA錠添付文書,2000.2.改訂]。 |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。-過量の本剤摂取は先天障害を引き起こす。服用前にビタミンAを補う必要があるのかどうかを考えてみること。通常、オーストラリア人の食事は、ビタミンAの1日標準必要量2500IUを十分に含んでいる。 |
A→X:動物・ヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦・妊娠可能性ある婦人-禁忌。 |
[112]secobarbital |
■[1]妊婦に投与する場合慎重投与[妊娠中に投与すると、新生児の出血傾向、呼吸抑制等を惹起]。[2]分娩前連用-出産後新生児に禁断症状(多動、振戦、反射亢進、過緊張等)発現[添付文書,1999.4.改訂] |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) | |
[430]sodium chromate-51Cr injection 放射性クロム酸ナトリウム注射液(第一ラジオアイソトープ研究所) [430]sodium pertechnetate-99mTc injection テクネゾール(第一ラジオアイソトープ研究所) [430]gallium citrate-Ga67 injection クエン酸ガリウム-Ga67注射液(第一ラジオアイソトープ研究所) [430]iodinated human serum albumin-(131I) injection 放射性ヨウ化ヒト血清アルブミン注射液(第一ラジオアイソトープ研究所) |
■妊婦・妊娠可能婦人・授乳中婦人-原則投与回避-診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断[授乳中の婦人は投与後少なくとも3日間は授乳しないの報告][テクネゾール添付文書,1998.10.改訂] ■妊婦・妊娠可能婦人・授乳中婦人-原則として投与しない。診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断。また、クエン酸ガリウムは授乳している乳房に集積するため、授乳する場合には投与後少なくとも2週間の期間を取った方が望ましい[クエン酸ガリウム-Ga67注射液添付文書,1998.10.改訂] |
X:動物・ヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦又は妊娠する可能性のある婦人には禁忌。 | |
[113]valproate 胎児バルプロ酸症候群の特徴的奇形パターン(二分脊椎、扁平鼻橋、眼内角贅皮、小口症、短頭症、細く長い指や凸状の爪、尿道下裂、精神運動発達の遅延、低体重等) |
■原則禁忌。*妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性[二分脊椎児を出産した母親の中に、本剤の成分を妊娠初期に投与された例が対照群より多いとの疫学的調査、また、本剤の成分を投与された母親に、心室中隔欠損等の心奇形や多指症、口蓋裂等の外表奇形その他の奇形の報告。また、特有の顔貌(前頭部突出、両眼離開、鼻根扁平、浅く長い人中溝、薄い唇等)を有する児を出産したとする報告。*妊娠中にやむを得ず本剤を投与する場合には、可能な限り単剤投与する[他の抗てんかん剤(特にカルマバゼピン)と併用して投与された患者の中に、奇形児を出産した例が本剤単独投与群と比較して多いとの疫学的調査]。*妊娠中の投与により、新生児に肝障害、低フィブリノーゲン血症等が発現。*動物実験(マウス)で、本剤が葉酸代謝を阻害し、新生児の先天性奇形に関与する可能性があるの報告[添付文書,1999.9.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、高めたことが推定される薬、高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。-妊娠初期(first trimester)に本剤を使用すると胎児の神経管形成不全、特に二分脊椎の危険性が増大する可能性が疑われている。本剤服用中の女性が妊娠した場合、先天奇形を出生前に診断するため、超音波診断や羊水穿刺等の検査をルーチンに行うよう勧めるべきである。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの(*) |
tetracyclines antibiotics [615]tetracyclines アクロマイシンV(ワイス) [615]demethylchlortetra- cycline レダマイシンカプセル(ワイス) [615]minocycline ミノマイシン錠・注(ワイス) [615]doxycycline ビブラマイシン錠・注(ファイザー) |
■妊婦・妊娠可能婦人-治療上の有益性[胎児に一過性の骨発育不全、歯牙の着色・エナメル質形成不全を起こすことがある。また、動物実験(ラット)で胎児毒性が認められている][アクロマイシン添付文書,1998.12.改訂] | D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める・高めたことが推定される・高めるであろうことが強く疑われる薬-薬理学的な副作用を伴う。-TC系薬剤は乳歯のmineralisa- tionの時期(妊娠中期、後記、新生児期及び8歳までの小児期)に、エナメル形成を抑制、歯の変色を来すことがある。TCはまた、成長期の骨格に蓄積。従って、妊娠中期・後期には使用回避。 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[113]trimetyadione |
■禁忌:妊婦・妊娠可能婦人。*妊娠中に本剤を単独又は併用投与されたてんかん患者の中に、奇形児を出産した例が非服用群と比較して有意に多いとの疫学調査、妊婦・妊娠可能婦人-投与回避[添付文書,199 9.10.改訂] |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) | |
Vaccine [631]yellow fever vaccine *一般に市販されていない。注射の必要があれば検疫所で受ける。 |
■例え妊婦にワクチンを使用しても、副作用として幼児、胎児への感染は報告されていない。 | B2:妊婦・妊娠可能年齢女性への使用経験は限定されている薬だが、奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察されていない。動物を用いた研究は不十分又は欠如-入手しうるデータでは、胎仔への障害の発生が増加したという証拠無。 | D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認(*) |
[631]Dried live attenuated rubella vaccine |
■禁忌(摂取不適当者):妊娠していることが明らかな者。*本剤は、妊娠可能婦人においては、あらかじめ約1カ月間避妊した後接種及びワクチン接種後約2カ月間は妊娠しないよう注意[乾燥弱毒性生風しんワクチン添付文書,2000.3.改訂]。 |
B2:妊婦・妊娠可能年齢女性-使用経験限定、奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察されていない。動物を用いた研究は不十分又は欠如-入手しうるデータでは、胎仔への障害の発生が増加したという証拠無。 ■妊娠可能年齢の女性は、妊娠前に風疹に対する抗体検査を実施。血清反応が陰性の女性-現在妊娠中でないことを確認した上で、全員に風疹ワクチンを接種。風疹ワクチンの接種は胎児の感染を惹起、接種する女性に対して、最低月経2周期の全期間、避妊を行うよう注意。しかし、これまでのところ血清反応陰性で妊娠中又は妊娠直前に風疹ワクチンの接種を受けた母親から生まれた生存児(約400人)のうち風疹様の先天性欠損をきたした例はない。この経験から、妊娠中風疹ワクチンを接種した場合-中絶を勧める必要はない。 |
X:動物又はヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦又は妊娠する可能性のある婦人には禁忌。 |
[333]warfarin 胎児ワーファリン症候群(骨形成障害、耳の奇形、低体重児、難聴、眼の異常、妊娠3カ月目服用のCNS欠損、背中及び腹部の奇形) |
■禁忌。*妊娠・妊娠可能婦人-投与回避[点状軟骨異栄養症等の奇形及び出血による胎児死亡の症例報告][添付文書, 1999.4.改訂] |
D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める・高めたことが推定される・、高めるであろうことが強く疑われる薬-薬理学的な副作用を伴うこともある。-本剤は胎児に対する特異的な障害を来す(胎児warfarin症候群)。胎児の血中に入るおそれがあり、出血や死亡を来したという報告。 |
D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても、妊婦への使用による利益が容認されるもの |
薬品名 | 添付文書 | オーストラリア医薬品評価委員会基準 | FDA薬剤胎児危険度分類基準 |
その他、文献6では「最初奇形があるとされていたが、その後安全性が認められた薬剤」として、次のことがいわれている。
Spermicides(殺精子剤):Intial Evidence of Risk(四肢欠損、ガン、ダウン症、尿道下裂症):メタアナリシス(meta-analysis:メタ分析)でリスクの増加なし。
Salicylates:Intial Evidence of Risk(口蓋裂、先天性心欠損):大々的なコホート研究でリスクの増加なし。
Bendectin (doxylamine plus pyridoxine):Intial Evidence of Risk(心臓・四肢欠損):2つのメタアナリシス(meta-analysis:メタ分析)でリスクの増加なし。
1)福島雅典・総監修:メルクマニュアル 第17版 日本語版;日経BP社,1999
2)雨森良彦・監修:妊娠中の投薬とそのリスク;医薬品・治療研究会,1993
3)佐藤孝道・他編:実践妊娠と薬;薬業時報社,1992
4)Martindale 32Ed.,1999
5 )林 昌洋・監修:服薬指導Q&Aシリーズ-妊婦・授乳婦編;医薬ジャーナル社,1996
6)Gideon Koren,M.D.,Anne Pastuszak,M.Sc.,Shinya Ito,M.D., Drugs in Pregnancy:The New England Journal of Medicine,Vol.338,No.16,1128-1137(1994)
7)雨森良彦・監修:妊娠中の投薬とそのリスク(第4次改訂版);医薬品・治療研究会,2001
[015.11.TER.2000.1.28.古泉秀夫・2000.7.14.一部修正・2004.1.18.改訂・2007.12.9.一部修正]