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『ハンセン病療養所』

木曜日, 10月 18th, 2007

? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 魍魎亭主人

 8月21日(火曜日)豊島公会堂で『ハンセン病療養所のあしたをひらく市民の集い』なるものがあって参加してきた。

 2001年ハンセン病国賠償訴訟熊本地裁判決における和解合意に基づき、第三者機関として設置された『ハンセン病問題検証会議』が、2年半に渡り検証事業を行い、2005年3月厚生労働大臣に報告書を提出した。このような流れを見ると我が国のハンセン病対策は、着々と進行しているように見えるが、この会に参加して報告を聞いていると、何も終わっていないということに改めて気付かされる。

 現在、全国のハンセン病療養所の入所者は2,890人(2007年5月1日現在)に減少しており、入所者の平均年齢も79歳に達したとされる。10年後には3分の1以下に激減することが推定されるとされており、療養所の存立そのものが危うくなる状況にあるとされている。

 現にハンセン病療養所では、退職後の医師の採用が困難で、国の医療機関でありながら内科医がいない療養所も出てきているとされる。つまり入所者の減少と共に、近い将来医療機関として維持できなくなるのではないかという心配が入所者の中に出てきている。このような入所者の不安を解消するため、将来の療養所の在り方を明確にし、国の政策に反映させるための十分な対策を早急に立てることが求められるとされている。

 しかし、この問題を解決する際の最大の問題点は、『らい予防法の廃止に関する法律(平成8年法律第28号/平成8年4月1日施行)』が制定されていることにある。

 (国立ハンセン病療養所における療養)

第二条 国は国立ハンセン病療養所において、この法律の施行の際、現に国立ハンセン病療養所に入所している者であって、引き続き入所するもの(第四条において「入所者」という。)に対して、必要な療養を行うものとする

 つまりハンセン病療養所は、国立の療養所でありながら、この法改正が行われた当時ハンセン病療養所に入所している者で、引き続き入所する者に対して必要な療養をする場所であって、一般の国民は相手にしていないということである。逆にいえば、入所者の高齢化が進み、入所者の減少が限りなく続いたとしても、入所者は増加することなく、ハンセン病療養所は、立ち枯れを迎えるということである。

 今回行われた『ハンセン病療養所のあしたをひらく市民の集い』は、『らい予防法の廃止に関する法律』に替わる新しい法律として『ハンセン病問題基本法(仮称)』を制定する運動を展開することを目的としたもので、隔離された療養所ではなく、地域社会に開かれた施設への転換を求めようというものである。

 ただ、この際難しい問題がある。

 従来、我が国では、ハンセン病を発症したというだけで、患者は社会で生活をすることが許されず、官民一体となって推進された『無癩県運動』等によって、村や町から徹底的に排除され、辺鄙なところに建てられた国立の療養所に隔離されてきたという歴史がある。

 そのためハンセン病療養所は、現在でも多くの施設がいわゆる僻地にあり、もし開放されたとしても、一般の人々が気軽に診察を受けるために出かけられるという診療施設にはならないということである。また、老人専用の福祉施設にしたとしても、家族が簡単に見舞いに行けないというようなところでは、新たに姥捨て山を作るみたいなことになってしまう。

 更に問題なのは、僻地にある療養所には医師の行き手がないということである。特に若い医師は、自分の将来を考えた場合、最新の医学に触れる機会を失うことが明らかであり、勤務を指示したとしても、その指示に従うということは考えられない。更に家族の学校等のことを考えれば、家族ぐるみ施設の近隣に居住するということは難しく、単身赴任ということになるとすれば、生活の二重構造に耐えてまで、勤務しようとする医師はいない。つまり医師の確保が困難だということである。

 限りなく入所者の数が減少すれば、療養所内の生活環境を維持するために、施設の統合を考えざるを得ない。また効率的な人材の活用という意味からも、職員を集約するために施設統合は避けて通れない。果たして現在の入所者は施設統合を容認するのか。強制的に隔離され、現在住むところが終の棲家、第二の故郷であるという意識と、再度、故郷を捨てることを強要する統合が馴染むのかどうか。

 更に最大の問題は、ハンセン病療養所を開放し、一般の患者と共生することが、療養所入所者側に抵抗なく受け入れられるのかということである。昔年の怨念がそう簡単に拭い去れるとは思えないが、その怨念は棚上げにするということなのだろうか。

 嘗て群馬県の吾妻地区にあった200床規模の結核療養所“長寿園”の国立療養所西群馬病院との統廃合反対闘争に係わったことがあるが、大きな運動の展開を見ることは出来たものの、結局は“長寿園”は更地にされてしまった。ハンセン病の場合は、その成立からして国家に瑕疵があり、行政に瑕疵ある場合、行政の責任において修正すべきは当然である。従って結核の療養所とは異なった対応になるものと思うが、見守っていれば自然消滅も期待できるハンセン病療養所の場合、行政に具体的な手当をさせるためには、相当の圧力が必要だといえる。

ところで、以下にライに関係する法律を部分的に引用しておく。

癩予防法[昭和六年四月二日法律第五八号]

明治四十年法律第十一號中左ノ通改正ス

本法ニ左ノ題名ヲ附ス 癩豫防法

第二條ノ二 行政官廳ハ癩豫防上必要ト認ムルトキハ左ノ事項ヲ行フコトヲ得

 一 癩患者ニ對シ業務上病毒傳播ノ虞アル職業ニ從事スルヲ禁止スルコト

 二 古着、古蒲團、古本、紙屑、襤褸、飲食物其ノ他ノ物件ニシテ病毒ニ汚染シ又ハ其ノ疑アルモノノ賈買若ハ授受ヲ制限シ若ハ禁止シ、其ノ物件ノ消毒若ハ廃棄ヲ爲サシメ又ハ其ノ物件ノ消毒若ハ廃棄ヲ爲スコト

第 三條 行政官廳ハ癩豫防上必要ト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ癩患者ニシテ病毒傳播ノ虞アルモノヲ國立癩療養所又ハ第四條ノ規定ニ依リ設置スル療養所 ニ入所セシムベシ 必要ノ場合ニ於テハ行政官廳ハ命令ノ定ムル所二從ヒ前項患者ノ同伴者又ハ同居者二對シテモ一時相當ノ救護ヲ爲スベシ

前二項ノ場合ニ於テ行政官廳ハ必要ト認ムルトキハ市町村長又ハ之ニ準ズベキ者ヲシテ癩患者及其ノ同伴者又ハ同居者ヲ一時救護セシムルコトヲ得

前項ノ規定ニ依リ市町村長又ハ之ニ 準ズベキ者ニ於テ一時救護ヲ爲ス場合ニ要スル費用ハ必要アルトキハ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ繰替支辮スヘシ

らい予防法[昭和二十八年八月十五日法律二百十四号]

法律第二百十四号 らい予防法

第一章 総則

(この法律の目的)

第一条 この法律は、らいを予防するとともに、らい患者の医療を行い、あわせてその福祉を図り、もって公共の福祉の増進を図ることを目的とする。

(国及び地方公共団体の義務)

第二条 国及び地方公共団体は、つねに、らいの予防及びらい患者(以下「患者」という。)の医療につとめ、患者の福祉を図るとともに、らいに関する正しい知識の普及を図らなければならない。

差別的取扱の禁止

第三条 何人も、患者又は患者と親族関係にある者に対して、そのゆえをもって不当な差別的取扱をしてはならない。

第二章 予防

(医師の届出等)

第四条 医師は、診察の結果受診者が患者(患者の疑のある者を含む。この条において以下同じ。)であると診断し、又は死亡の診断若しくは死体の検案をした場合において、死亡者が患者であったことを知ったときは、厚生省令に定めるところにより、患者、その保護者(親権を行う者又は後見人を言う。以下同じ。)若しくは患者と同居している者又は死体のある場所若しくはあった場所を管理する者若しくはその代表をする者 に、消毒その他の予防方法を指示し、且つ、七日以内に、厚生省令で定める事項を、患者の居住地。(居住地がないか、又は明らかでないときは、現在地。以下 同じ。)又は死体のある場所の都道府県知事に届け出なけれなならない。

?2 医師は、患者が治ゆし、又は死亡したと診断したときは、すみやかに、その旨をその者の居住地の都道府県知事届けでなければならない。

(指定医の診察)

第五条 都道府県知事は、必要があると認めるときは、その指定する医師をして、患者又は患者と疑うに足りる相当な理由がある者を診察させることができる。

?2 前項の医師の指定は、らいの診療に関し、三年以上の経験を有する者のうちから、その同意を得て行うものとする。

?3 第一項の医師は、同項の職務の執行に関しては、法令により公務に従事する職員とみなす。

(国立療養所への入所)

第六条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者について、らい予防上必要があると認めるときは、当該患者又はその保護者に対し、国が設置するらい療養所(以下「国立療養所」という。)に入所し、又は入所させるように勧奨することができる。

?2 都道県府知事は、前項の勧奨を受けた者がその勧奨に応じないときは、患者又はその保護者に対し、期限を定めて、国立療養所に入所し、又は入所させることを命ずることができる

?3 都道府県知事は、前項の命令を受けた者がその命令に従わないとき、又は公衆衛生上らい療養所に入所させることが必要であると認めた患者について、前二項の手続きをとるいとまがないときは、その患者を国立療養所に入所させることができる。

?4 第一項の勧奨は、前条に規定する医師が当該患者を診察した結果、その者がらいを伝染させるおそれがあると診断した場合でなければ、行うことができない

(従業禁止)

第七条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者に対して、その者がらい療養所に入所するまでの間、接客業その他公衆にらいを伝染させるおそれがある業務であって、厚生省令で定めるものに従事することを禁止することができる。

?2 前条第四項の規定は、前項の従業禁止の処分について準用する。

(汚染場所の消毒)

第八条 都道府県知事は、らいを伝染させるおそれがある患者又はその死体があった場所を管理する者又はその代理をする者に対して、消毒材料を交付してその場所を消毒すべきことを命ずることができる。

?2 都道府県知事は、前項の命令を受けた者がその命令に従わないときは、当該職員にその場所を消毒させることができる。

(物件の消毒廃棄等)

第九条 都道府県知事は、らい予防上必要があると認めたときは、らいを伝染させるおそれがある患者が使用し、又は接触した物件について、その所持者に対し、授与を制限し、若しくは禁止し、消毒材料を交付して消毒を命じ、又は消毒によりがたい場合に廃棄を命ず ることができる。

?2 都道府県知事は、前項の消毒又は廃棄の命令を受けた者がその命令に従わないときは、当該職員にその物件を消毒し、又は廃棄させることができる。

?3 都道府県は、前二項の規定による廃棄によって通常生ずべき損失を補償しなければならない。

?4 前項の規定による補償を受けようとする者は、厚生省令の定める手続きに従い、都道府県知事にこれを請求しなければならない。

?5 都道府県知事は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。

?6 前項の決定に不服のある者は、その通知を受けた日から六十日以内に、裁判所に訴をもってその金額の増額を請求することができる。

(質問及び調査)

第十条 都道府県知事は、前二条の規定を実施するため必要があるときは当該職員をして、患者若しくはその死体がある場所若しくはあった場所又は患者が使用し、患者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

?2 前項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

?3 第一項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第三章 国立療養所

(国立療養所)

第十一条 国は、らい療養所を設置し、患者に対して、必要な療養を行う。

(福利増進)

第十二条 国は、国立療養所に入所している患者(以下「入所者」という。)の教養を高め、その福利を増進するようにつとめるものとする。

(厚生指導)

第十三条 国は、必要があると認めるときは、入所患者に対して、その社会的更正に資するために必要な知識及び技能を与えるための措置を講ずることができる。

(入所患者の教育)

第十四条 国立療養所の長(以下「所長」という。)は、学校教育法(昭和二十二年法律二六号)第七十五条第 二項の規定により、小学校又は中学校が、入所患者のため、教員を派遣して教育を行う場合には、政令の定めるところにより、入所患者がその教育を受けるため に必要な措置を講じなければならない。

?2 所長は、学校教育法第七十条第二項の規定により、高等学校が、入所患者のため、教員を派遣して教育を行う場合には、政令の定めるところにより、入所患者がその教育を受けるために必要な措置を講ずることができる。

(外出の制限)

第十五条 入所患者は、左の各号に掲げる場合を除いては、国立療養所から外出してはならない

? ?一 親族の危篤、死亡、り災その他特別の事情がある場合であって、所長が、らい予防上重大な支障を来たすおそれがないと認めて許可したとき。

? ?二 法令により国立療養所外に出頭を要する場合であって、所長が、らい予防上重大な支障を来たすおそれがないと認めたとき。

?2 所長は、前項第一号の許可をする場合には、外出の期間を定めなければならない。

?3 所長は、第一項各号に掲げる場合には、入所者の外出につき、らい予防上必要な措置を講じ、且つ、当該患者から求められたときは、厚生省令で定める証明書を交付しなければならない。

(秩序の維持)

第十六条 入所患者は、療養に専念し、所内の紀律に従わなければならない。

?2 所長は、入所患者が紀律に違反した場合において、所内の秩序を維持するために必要があると認めるときは、当該患者に対して、左の各号に掲げる処分を行うことができる。

? ?一 戒告を与えること。

? ?二 三十日をこえない期間を定めて、謹慎させること。

?3 前項第二号の処分を受けた者は、その処分の期間中、所長が指定した室で静居しなければならない。

?4 第二項第二号の処分は、同項第一号の処分によっては、効果がないと認められる場合に限って行うものとする。

?5 所長は、第二項第二号の処分を行う場合には、あらかじめ、当該患者に対して、弁明の機会を与えなければならない。

(親権の行使等)

第十七条 所長は、未成年の入所患者で親権を行う者又は後見人のないものに対し、親権を行う者又は後見人があるに至るまでの間、親権を行う。

?2 所長は、未成年の入所患者で親権を行う者又は後見人のあるものについても、監護、教育等その者の福祉のために必要な措置をとることができる。

(物件の移動の制限)

第十八条 入所患者が国立療養所の区域内において使用し、又は接触した物件は、消毒を経た後でなければ、当該国立療養所の区域外に出してはならない。

第四章 福祉

(一時保護)

第十九条 都道府県知事は、居住地を有しない患者その他救護を必要とする患者及びその同伴者に対して、当該患者が国立療養所に入所するまでの間、必要な救護を行わなければならない。

(一時救護所)

第二十条 都道府県は、前条の措置をとるため必要があると認めるときは、一時救護所を設置することができる。

(親族の福祉)

第二十一条 所長は、必要があると認めるときは、当該国立療養所の職員をして入所者が扶養しなければならな い親族を訪問させる等の方法により、当該親族が生活保護法(昭和二十五年法律第百四十号)による保護その他の福祉の措置を受けるために必要な援助を与えることができる。

(児童の福祉)

第二十二条 国は、入所患者が扶養しなければならない児童で、らいにかかっていない者に対して、必要があると認めるときは、国立療養所に付属する施設において養育、養護その他の福祉の措置を講ずることができる。

?2 第十七条第一項の規定は、前項の施設に入所中の児童について準用する。

第五章 費用

(都道府県の支弁)

第二三条 都道府県は、左の各号に掲げる費用を弁済しなければならない。

? ?一 第五条第一項の規定による診察に要する費用

? ?二 第六条の規定による措置に要する費用並びに同条第一項又は第二項の規定による勧奨又は命令による患者の入所に要する費用及びその入所に当り当該都道府県の職員が附き添った場合におけるその附添に要する費用

? ?三 第八条及び第九条の規定による消毒及び廃棄に要する費用

? ?四 第九条第三項の規定による損失の補償に要する費用

? ?五 第十九条の規定による一時保護に要する費用

? ?六 第二十条に規定する一時救護所の設置及び運営に関する費用

(国庫の負担)

第二四条 国庫は、政令の定めるところにより、都道府県が支弁する前条各号に掲げる費用について、その二分の一を負担する。

第六章 雑則

(訴願)

第二十五条 この法律又はこの法律に基づいて発する命令の規定により所長又は都道府県知事がした処分(第九条第五項の規定による補償金額の決定処分を除く。)に不服がある者は、厚生大臣に訴願することができる。

?2 厚生大臣は、前項の訴願がらいを伝染させるおそれがある患者であるとの診断に基づく処分に対してその 診断を受けた者が提起したものであって、且つ、その不服の理由が、その診断の結果を争うものであるときは、その訴願の裁決前、第五条第二項の規定に準じて 厚生大臣が指定する二人以上の医師をして、その者を診察させなければならない。この場合において、訴願人は、自己の指定する医師を、自己の費用により、そ の診察に立ち会わせることができる。

?3 第五条第三項の規定は、前項の医師について準用する。

(罰則)

第二十六条 医師、保健婦、看護婦若しくは准看護婦又はこれらの職にあったものが、正当な理由がなく、その業務上知得した左の各号に掲げる他人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

? ?一 患者若しくはその親族であること、又はあったこと。

? ?二 患者であった者の親族であること、又はあったこと。

?2 前項各号に掲げる他人の秘密を業務上知得した者が、正当な理由がなく、その秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

第二十七条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

? ?一 第四条第一項の規定による届出を怠った者

? ?二 第五条第一項の規定による医師の診察を拒み、妨げ、又は忌避した者

? ?三 第九条第一項の規定による物件の授与の制限又は禁止の処分に従わなかった者

? ?四 第八条第二項又は第九条第二項の規定による当該職員の職務の執行を拒み、妨げ、又は忌避した者

? ?五 第十条第一項の規定による当該職員の調査を拒み、妨げ、又は忌避した者

? ?六 第十条第一項の規定による当該職員の質問に対して虚偽の答弁をした者

? ?七 第十八条の規定に違反した者

第二十八条 左の各号の一に該当する者は、拘留又は科科に処する。

? ?一 第十五条の第一項の規定に違反して国立療養所から外出した者

? ?二 第十五条に第一項の規定により国立療養所から外出して、正当な理由がなく、許可の期間内に帰所しなかった者

? ?三 第十五条に第一項の規定により国立療養所から外出して、正当な理由がなく、通常帰所すべき時間内に帰所しなかった者

優生保護法[昭和23年7月13日 法律第156号]

昭和23年9月11日 施行 ?最終改正 平成2年 法律56 ?平成8年法律第105号で「母体保護法」に改題

(医師の認定による優生手術)

第三条 ?医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるとき はその同意を得て、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。

一 本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇形を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの

二 本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が、遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性畸形を有しているもの

本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが伝染する虞れのあるもの

四 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼす虞れのあるもの

五 現に数人の子を有し、且つ、分娩ごとに、母体の健康度を著しく低下する虞れのあるもの

2 前項第四号及び第五号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定による優生手術を行うことができる。

3 第一項の同意は、配偶者が知れないとき又はその意思を表示することができないときは本人の同意だけで足りる。

 昭和28年に制定された『らい予防法』は、第三条において『差別的取扱の禁止』を規定しながら法律自体は差別的視点が充ち満ちているという不思議なものに出来上がっている。更に昭和23年に制定された『優生保護法』では、その第三条において『本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが伝染する虞れのあるもの』については医師の認定による優生手術が出来るとしている。

 一般的には1943年(昭和18年)のプロミンに始まる化学療法の効果によって、確実に治癒するようになったとされており、優生保護法が制定された昭和23年(1948年)当時、既に治る病気であるという、認識はあったはずである。昭和28年(1953年)に制定されたらい予防法の制定の時には、もはやあれほどの法律を制定することの必要性はなくなっていたのではないか。

 それこそ誰が、らい予防法の制定に固執したのか、その当たりは明確に検証する必要があるのではないか。

? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? (2007.9.8.)