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薬局苦情拾遺[3]

木曜日, 9月 27th, 2007

? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 医薬品情報21

? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 古泉秀夫

5)プライバシーへの配慮

H18.2.27.プライバシーへの配慮を御願いします(電話)

狭い薬局で病名や病状を聞かれるのは苦痛です。私(女性)は泌尿器の病気ですが、出来ればプライバシーが守られるような配慮を薬局に考えてもらいたいと思います。

H18.3.17.薬局窓口で話されたため他人に話を聞かれた(電話)

睡眠障害の薬を調剤され渡される時、薬局の窓口で話を聞かれたため、薬局内にいた他の人に話を聞かれ、被害を受けた。当該薬局の薬剤師に、薬剤師会から注意してもらいたい。

[薬事新報,No.2452:1324,2006]

 薬の説明をする際に、患者のプライバシーに配慮するための設備は、殆どの場合、調剤薬局では見あたらない。

 最も病院薬局でも、患者を対象にした“薬相談室”なる独立した室を用意したのは極く最近のことで、院外処方せんの発行が本格化してからの話である。それまでは毎日700-800枚の処方せんを、入院調剤業務の始まる15時前迄に、完全に終了させるということで、残念ながら薬の説明などしている暇がなかったというのが実情である。従って、特に質問があるという意思表示をした人にだけ対応するということで処理してきたが、これは病院勤務薬剤師が特段不親切だった訳ではなく、処方せん枚数に対して薬剤師の配置人院が極端に少なく、油断していると夕方9時、10時まで仕事に引っ張られるという悲劇的な状況に陥ることになったからである。

 現在ある調剤薬局を、患者のプライバシーに配慮した説明が出来る窓口に改修することは当然のこととして、新しく薬局を作る場合には、患者のプライバシーに十分配慮した窓口を作ると共に、在宅・訪問医療のための注射薬調剤等のできる無菌調製室を設置することも必要である。何しろ今後の薬剤師教育では、調剤薬局も学生自習の受け入れ施設となることが決定している。不十分な設備の場所で教育したとしてもろくな人材は育てられない。教育現場として相応しいものであるためには、設備すべき最低の要件を決定し、教育環境を整えるべきである。その中には当然患者サービスの一環としてのプライバシー確保に重点を置いた設備とすることが求められる。

 現状で、直ちに改善することが困難だというのであれば、接遇の方法を工夫すべきである。調剤薬局の待合室に座っていると、周りに誰がいようとお構いなしに大声で喋っている薬剤師がいるが、知識があることをひけらかして戴く必要はない訳で、周りに人のいないことを確認した上で当人にのみ聞こえる程度の小声で話しかければいい訳である。

 何れにしろ薬局中に響き渡る様な声でお話しいただく必要はないわけである。

 2007年4月に改正された医療法で、保険薬局が『医療提供施設』として指定され、医療提供体制に組み入れられることになった。何時までも従来型の薬局でいる訳にはいかないはずである。

6)調剤薬への異物混入

H18.3.30.薬剤に虫が混入していたが(電話)

 処方せんを薬局に預けておいて、後日薬剤を取りに行ったところ、一包化された薬剤に虫が混入していた。指摘したところ、薬局の対応がよくなかった。謝らないうえに、作り直すからもう一度薬局に来てくれとのこと。何とか指導できないか[薬事新報,No.2452:1324(2006)]。

H.16.6.30.「○○薬局について」(患者の家族:メール)

 ××市の○○薬局で薬をもらい、子供が飲もうとしてら、赤い粒々が入っていると気付きました。すぐに薬局に持って行くと、前の人の抗生物質が混ざったということです。

こんなことはよくあることなのですか?。もうこの薬局は信用できません[薬事新報,No.2376:709(2005)。

 素人である患者が気付く程の物を見逃すということは、専門家としては恥ずべきことである。調剤の完了形は、最終的な鑑査を経て終了する訳で、処方せんと調剤薬を突合するという作業と同時に、出来上がった薬の中に異物が混入していないかどうか、薬袋の用法・用量は医師の処方通り転記されているか、患者の氏名は間違っていないか等について点検する。更に一包化した場合には、その一つ一つに異物の混入がされていないことを視認しなければならない。

 少なくとも分包した医薬品の中に昆虫が入っていたのに気付かず、そのまま渡してしまったなどというのは、素人同然といわなければならない。更に謝りもしなければ、作り直すから取りに来いというなどは、仕事で犯した失敗がその後にどう影響していくかを全く考えていないということである。少なくとも病院薬局での経験からいえば、先ず最初に誠に申し訳ないというお詫びがあり、作り直した薬はお届けするというのが通常の対応の仕方である。自分の失敗を棚に上げ、取りに来てくれ等という言い種は相手に対して失礼であり、調剤薬への異物混入も調剤過誤であるということの理解が足りていないのではないかと思われる。

 散剤分包器を用いる場合、最も注意しなければならないのは、分包器の機種によっては、直前に分封した散剤が器壁に付着した状態になっており、新しく分包した薬剤に異物として入り込むことがある点である。特に着色された細粒剤は、その後に行われる白色の散剤の中に入り込むことがあり、甚だ目立つ状況が到来する。

 このcontaminationを回避するための方法は、一つは強力な電気掃除機で、機械の操作が終わる度に吸引清掃することである。この工程を実施することで、相当の効果が得られるが、微粉末を吸引するために、工業用の相当高度な吸引力を持つ機種でなければ、直ぐに壊れてしまう。更にこの掃除機は、散剤調剤専用として使用し、他の清掃などに使用するのはもってのほかである。

 この機械的な操作でcontaminationが回避できないことが予測される場合、乳糖を器械上に撒いて一度分包器を稼働させ、乳糖で分包器を清拭する。勿論この乳糖は廃棄する。

 散剤調剤をするうえで怖いのは、このcontaminationは、薬物アレルギーの既往者に、過敏症を発現させる危険性を内在させているということである。もし、調剤した薬剤師が専門職として自負しているのであれば、このような危険があることを熟知していなければならないはずである。

? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? (2007.8.11.)