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「ラウレス硫酸ナトリウムについて」

水曜日, 9月 12th, 2007

KW:薬名検索・ラウレス硫酸ナトリウム・sodium laureth sulfate・SLES・ラウリルエーテル硫酸ナトリウム・sodium laurylether sulfate・ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム・sodium polyxyethylene laurylether sulfate

Q:ラウレス硫酸ナトリウムについて

A:ラウレス硫酸ナトリウム(sodium laureth sulfate:SLES)は、別名としてラウリルエーテル硫酸ナトリウム(sodium laurylether sulfate)。化学名としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(sodium polyxyethylene laurylether sulfate:SPLES)等が報告されているが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムのINCI名が『sodium laureth sulfate(ラウレス硫酸ナトリウム)』である。

本品は定量するとき、表示量の90-110%に対応するポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム[C12H25NaO4・(C2H4O)n]を含む。本品は無色-淡黄色の液又はワセリン様の物質で、僅かに特異な臭いがある。

1933年にUlrich、Saurweinによる報告が最初である。ポリオキシエチレン基を持つ非イオン界面活性剤の末端水酸基を硫酸化して得られ、疎水基の種類、オキシエチレン鎖長、対イオンの種類により数多くの化学構造が考えられるが、この型のものが液体シャンプー用原料を中心に洗浄剤、起泡剤として1950年代中頃から市販品が登場し広く普及するに至っている。

ラウリルアルコールに酸化エチレンを付加重合して得られるポリオキシエチレンラウリルエーテルをクロルスルホン酸、又は無水硫酸で硫酸化し、水酸化ナトリウム液で中和して製造する。硫酸化はラウリル硫酸ナトリウムの製法に準じる。

性状:市販品は主として23-30%水溶液、若しくは60-70%ワセリン様で無色-淡黄色である。pH:7.5(1%水溶液)。水に溶解する。エタノールに溶ける。キシレンには不溶。一般性状は酸化エチレンの付加モル数により異なり、モル数が増大すれば水溶性が上昇し、溶液粘度は減少する。未反応のラウリルエーテルや無機塩の存在は粘度を上昇させる。酸化エチレンの付加モル数が2-4の硫酸塩が刺激性、溶解性、粘度、泡立ちの点から適当とされ、広く用いられている。本品は硫酸エステル塩であるため、酸性では分解する。

付加モル数 SPLES分子量
1 332.44
2 376.49
3 420.54

作用:本品はラウリル硫酸Naよりも皮膚に対する作用が温和で刺激が少なく、シャンプーとして使用した場合、比較的しなやかな感触を髪に残す。

応用:本品の高濃度水溶液は、粘稠なゲルとなり、また曇り点が低いために透明な高粘度のシャンプーの配合に適している。

有害性:皮膚を刺激する。眼に重大な障害を及ぼす危険性がある。

環境影響:調査した範囲では、環境への悪影響を示す情報はない。

廃棄:産業廃棄物取扱業者に委託する。

物理的・化学的危険性:通常の取扱いでは危険性は低い。

応急措置

1]吸入した場合:被災者を新鮮な空気の場所に移動させ、必要に応じて医師の受診を受ける。

2]皮膚に付着した場合:多量の水及び石鹸を用いて洗い流し、症状が出た場合等、必要に応じて医師の診断を受ける。

眼に入った場合:即座に目蓋を開いて流水で15分間以上洗浄し、直ちに医師の処置を受ける。

3]飲み込んだ場合:水で口の中を洗浄し、コップ1-2杯の水又は牛乳又は生卵を飲ませ、医師の処置受ける。被災者の意識がない場合は、上記の経口摂取は禁忌である。

ラウレス硫酸Naの毒性

急性毒性:ラット経口(LD50):>2000mg/kg

眼刺激性:強い刺激性が認められた(ウサギ,OECD405法)

皮膚腐蝕性:non data

皮膚刺激性:non data

変異原性:陰性(Ames試験(サルモネラ菌 TA98、TA100)

癌原性:non data

水棲生物毒性:コイ稚魚LC50範囲:107-143mg/L(48時間)

1)湯浅正治・他編著:化粧品成分ガイド第3版;フレグランスジャーナル社,2005

2)日本化粧品工業連合会・編:日本汎用化粧品原料集夢第4版;株式会社薬事日報社,1997

3)化粧品原料基準 新訂版;株式会社薬事日報社,1999

4)日本公定書協会・編:化粧品原料基準 第二版註解[I];株式会社薬事日報社,1984

5)花王株式会社-製品安全データシート;http://chemical.kao.co.jp,2007.1.29.

[011.1.SLE:2007.1.29.古泉秀夫]