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イチイ(水松)の毒性

木曜日, 8月 16th, 2007
対象物 イチイ(一位・ 櫟)。別名:アララギ・オンコ・マオウノキ。
成分 アルカロイドのタキシン(taxine)、タキソール(taxol)
一般的性状 イチイ科イチイ属。学名:Taxus baccata。英名:Yew。和名:一位、櫟、水松。イチイの学名であるタクスス(Taxus)は、ギリシャ語の弓を意味するタキソン(taxon)に由来し、英語の毒(toxin)の語源であるといわれる。赤く熟した生の実の部分(果肉)は毒を持っていない。
国内では北海道から九州の深山に生息する。高さ20mにもなる高木で、幹は直 立し、樹皮は赤褐色で、縦に浅く避ける。葉は1.5-3cmの線形、雌雄異株である。赤い果実はへそのある特殊な形をしている。
毒性 イ チイの毒成分は葉(落葉)、枝、種に含まれている。致死量は家畜の種類によって異なるが、牛の場合、生の葉は1-10g/kg体重、馬では約0.5-2g/kg体重、他の動物の感受性は更に低いとされている。
taxineのマウスに対するLD50は硫酸塩として19.7mg/kg(経口)とする報告がされ ている。
taxineは心臓毒、イチイの揮発性油は強烈な刺激性がある。
症状 taxineは急速に胃腸管より吸収される。特に絶食中に経口摂取した場合、吸収が速い。イチイの揮 発性油は、それと認められるほど吸収されないが、消化器壁に局所刺激を及ぼす。消化器から吸収された毒成分は、心臓に作用するが、中毒症状は家畜種だけではなく、個体差が大きい。嘔吐、下痢、酷い腹痛、筋肉衰弱。末梢神経性循環障害、低体温・湿潤した青ざ めた皮膚を伴う。譫妄と痙攣、昏睡と呼吸又は循環障害により死に至る。ただし、死んだように見えた牛が5分後に起きあがり、その後何事もなく過ごした例があるとされる。
処置 * 基本的措置 [催吐は行わない。活性炭/胃洗浄]。
*対症療法 [特に呼吸循環管理]、保存的療法。強い嘔吐の後に輸液、呼吸困難には酸素と補助呼吸。
活性炭・緩下剤の投与(参照):活性炭の投与は薬毒物の摂取後1時間以内が有 効であるが、以下の特徴を持つ薬物では、24-48時間にわたり2-6時間毎に繰り返し投与する方法が推奨されている。
活性炭を繰り返し投与の適応は、分布容量(Vd)が小さく、蛋白結合率の低い物質で、脂溶性、血中でイオン化していない、腸肝循環する、若しくは腸溶剤(徐放剤)である物質(例:テオフィリン、三環系抗うつ薬、フェノバール、オピオイドなど)。
処方例活性炭  50gを微温湯300-500mL(小児では1g/kgの活性炭を生理食塩水10-20mL)に溶解し、服用させる。
その後、半量を3時間毎に24時間まで繰り返し投与。
下剤としてD-ソルビトール液(75%)2mL/kgを投与し、6時間後に排便がなければ半量を繰り替えし使用(保険適用外)。
事例 「ただしこれは、あくまで私の私的な意見だから、そのつもりで聞いてくれたまえ」
「ええ、ええ。心得てますよ。で、やはり毒殺ですか?」
「むろん毒殺にきまっとる。それに、これもやはり私の私的意見だから、きみとわたしのあいだだけのことにしておいてもらわにゃならんが………わしには、その毒の性質もわかっておる」
「え? それはほんとうですか」「タキシンという毒だよ。いいかね、タキシンだ」
「タキシン?聞いたことのない毒ですね」
「そうだろう。めずらしい毒だ!。わたしだって、偶然、三、四週間前に同じような患者を扱ったばかりだから、すぐに気がつきはしたが、ほんとうにめずらしい毒なんだ。そのときは、子供達がままごとをやっていて、水松(イチイ)の木の実を採ってお茶の代用にしたのだ。それが恐ろしい中毒作用を起こしおってね」
「水松の実が?」
「実も葉も、両方ともに有毒なんだ。しかも非常な劇毒でね。もちろん、タキシンというのは植物毒(アルカロイド)だが、まだわたしは、それを毒殺に使用した例を聞いたことがない。したがって、この事件は異常であるとともに、興味深いというものだ………なにからどうやって採ったのかわからんが、使用された毒がタキシンであるのは断言できる。むろん、だれにだって間違いはあるものだから、わたしの言葉をそのまま鵜呑みにしてもらっては困るが、まずわたしの眼に狂いはないと信じるね。きみとしてもおもしろい事件だろう。すぐにその手配に移りたまえ!」 [アガサ・クリスティー(宇野利泰・訳):ポケットにライ麦を;早川書房,2003]
備考 我 が国では生薬としても使用され、神社や庭の植木あるいは生垣にも使用されているということからすると、毒草であるという意識はあまり強くないのではないかと思われるが、英国では毒草としての認識は高いようである。ただし、学名はTaxus baccataと同じであるが、Yew:ヨーロッパイチイされており、英国産のイチイはその生活環境から我が国で生育するイチイと比較して、あるいは毒性が強いのかもしれない。
更に、植物を用いたのではなく、イチイから抽出したtaxineそのものが使用されたのであれば、極く少量でも毒性を発揮するということになるのだろうが、今度は誰がtaxineの純品を抽出したのかということが問題になる。しかし、小説としては、その辺の細事はどうでもいいということかもしれない。
文献 1) 植松 黎:毒草を食べてみた;文藝春秋,2000
2)海老原昭夫:知っておきたい身近な薬草と毒草;薬事日報社,2003
3)小川賢一・他監修:危険・有毒生物;(株)学習研究社,2003
4)鵜飼  卓・監修:第三版急性中毒処置の手引き;薬業時報社,1999
5)白川  充・他共訳:薬物中毒必携 第2版;医歯薬出版株式会社,1989
6) 写真で見る家畜の有毒植物と中毒;http://ss.niah.affrc.go.jp/2005.7.2.
7)奥本裕昭・訳:イギリス植物民俗事典;八坂書房,2001
調査者 古泉秀夫 記入日 2005.7.2.

石見銀山鼠取りの毒性(石見銀山ねずみ取り)

木曜日, 8月 16th, 2007
対象物 石見銀山鼠取り
成分 三酸化砒素(arsenic trioxide)、亜砒酸。As2O3=197.82。『毒薬』。
いわゆる白砒石として天然に産する。700年代に硫化砒素を大気中で熱して製したといわれているが、1000年代になって初めて確実に知られた。医薬品としては15世紀に使われ始め、当初本品を癌の腐食薬として使用し、16世紀には梅毒に、17世紀には再帰熱に、19世紀には癌に対して内用された。
一般的性状 本品を乾燥したものは定量するとき三酸化砒素99.5%を含む。本品は白色の粉末で、臭いはない。本品1gは水60mL又は熱湯15mLに溶け、グリセリンに溶け易くエタノール又はエーテルに殆ど溶けない。本品は塩酸、水酸化ナトリウム試液又は炭酸ナトリウム試液にやや溶け易い(新鮮なときは無晶形で白色の多少透明ガラス様の塊であるが、湿った空気中で乳白色不透明となり、結晶性に変化して比重は小さくなる。無晶形のものは熱するとき、一旦融解して揮散するが、結晶性のものは融解しないで揮散する)。
三酸化砒素には、非晶系、等軸晶系、単斜晶系の結晶又は無色粉末の3種類の態種がある。これらは還元され易く、また酸化されやすい。
[1]非晶系(砒石ガラス:vitreous arsenic):無色、無定型、ガラス状物質。不安定であって徐々に等軸晶系に変形する。As2O3。溶解性:結晶系のものより水に溶け易い。[2]砒華(arsenolite):白色、等軸八面体の小結晶(粉末)。常温において最も安定である。135℃で昇華し、221℃で単斜晶系に転移する。
As2O3。溶解性:水(2.0g/100g水、20℃)に可溶。塩酸、 アルカリ、エタノールに可溶(両性酸化物)。
[3]単斜砒華(claudetite):無色、単斜晶系に属する針状結晶。221℃以上の温度において安定である。As2O3。溶解性:水、酸、アルカリ、エタノールに可溶。
毒性 致死量・中毒量経口(ヒト)LD50: 1.43mg/kg。吸入(ヒト)TCL0: 0.11mg(As)/m3。
経口(マウス)LD50:45mg/kg。皮下(マウ ス)LD:11-13mg/kg。
砒素化合物は無機性あるいは有機性のものでも、SH酵素系に対する代謝障害作用によって微生物の生活過程に干渉する性質のあることが知られている。
常用量:1日1-5mg・極量:1回5mg 1日15mg
慢性骨髄性白血病に対して内服。各種慢性疾患に対して変質剤として用いられた。
鉛、シアン化物と並んで本品は昔から中毒の多い物質である。大量を一度に摂取した場合にみられる急性中毒については、大人に対する中毒量は5-50mg、致死量は100-300mgといわれ、大量しかも吸収が甚だ速い場合には、著しく急激な経過をたどり(電撃型)、血圧低下、頻脈、浅脈など虚脱症状を示す循環障害と、痙攣、麻痺、昏睡など中枢神経障害を起こして、速いものでは24時間以内に死亡する。急性中毒の定型的なものは胃腸型と呼ばれるもので、摂取後速いものでは2-3時間、遅い場合には数日後から発症するが、頑固な嘔吐、下痢が現れ、この嘔吐、下痢は甚だ激しくてコレラに類似するのでコレラ型とも称される。頻回の下痢によって体内水分の消失を来たし、蛋白尿が現れて腎障害を思わせ、また横断などの肝障害の徴候を現す

少量の砒素を長期連用して起こる慢性砒素中毒では、発熱、消化管の慢性炎症による嘔吐、下痢、腹痛などを訴え、特異な皮膚の変化すなわち黒皮症、発疹、角化などがみられ、骨髄が障害されて貧血、無顆粒細胞症(agranulocytosis)を起こす。また神経が侵されて多発性神経炎の起こることもある。
肝臓、腎臓、心臓など重要臓器の変性を起こす。

症状 急 性及び亜急性中毒の症状として、刺激作用及び腐食作用があり、呼吸器系症状として咳嗽、呼吸困難、胸痛の他、眩暈、頭痛、四肢脱力感、その後、嘔気、嘔吐、腹部疝痛、下痢、全身疼痛、麻痺などがある。三酸化砒素を含む粉塵、フュームに曝露することによりしばしば皮膚及び粘膜の刺激症状が伴い、“亜砒まけ”、“砒素まけ”と俗称される接触性及びアレルギー性皮膚炎、鼻炎、喉咽頭炎、気管炎、気管支炎及び結膜炎を示す。
一般に成人で70-180mgの三酸化砒素が致死量と考えられている。
主症状
ニンニク臭、嚥下困難、頸部絞扼感、咽頭・食道・胃の灼熱感は、服毒直後から出現。嘔吐、激しい下痢、眩暈、不穏、昏睡、脱水による循環障害。痙攣、末梢
神経麻痺。
全身性金属味、口腔・咽頭の乾燥感。
嚥下困難、嘔気、嘔吐、腹部疝痛、下痢、腹鳴、数時間-1日後にコレラ様便、 脱水、黄疸、乏尿。
咳嗽、呼吸困難、胸痛。
眩暈、頭痛、四肢脱力感、四肢疼痛、痙攣、昏睡、精神異常。
循環不全。
局所性

接触性・アレルギー性皮膚炎。
鼻炎、喉咽頭炎、気管炎、気管支炎。
結膜炎。

処置 胃 洗浄の後、塩類下剤投与。腹痛にモルヒネ筋注。BAL 5mg/kg/4時間を時間続ける。輸液、呼吸管理、腎機能障害高度なら人工透析。
全身管理低血圧が伴っていることが多く、まず酸素吸入、大量輸液とともに必要に応じてカテコラミンを投与して血圧の維持を図る(意識清明で重症感がないことがあり注意を要する)。
砒素体内からの排泄
経口摂取の場合、一般の薬物中毒に準じて胃洗浄、活性炭及び下剤の投与を行うが、悪心・嘔吐が強く胃洗浄が必要ないこともある。砒素は尿中への排泄が良好であり、腎不全の徴候が見られない限り血液透析は必要ない。
薬物療法
BAL(British anti-Lewisite dimercaprol バル注)を用いたキレート療法を行う。症状がある場合は、砒素の測定結果を待つことなく可能な限り早期から使用する。
バル注 :1回2.5-5mg/kg  4時間毎に筋注、2日目からは1回2.5mg/kg4時間毎に1-2日間投与、以降は、症状と尿中への砒素排出量をみながら減量していく。キレート療法は尿中の砒素排出量が50μg/日以下になるまで継続する。
バル注の副作用として、悪心・嘔吐、高血圧、頻脈、頭痛、発汗などがあり、中毒症状との鑑別に注意。
事例 「死 因は、なんだった」
「石見銀山のねずみ取りだろうと………」
人形を扱う店で、なによりも恐れるのは、ねずみにかじられることであった。
「十軒店町の店では、どこも石見銀山のねずみ取りを使っているそうで………」
肩を並べて大通りを歩き出した。
「源さん、まず、翁屋から行ってみたいが………」
[平岩弓枝:御宿かわせみ(16)吉野家の女房;文藝春秋,1997]
備考 岩 見銀山とは、1533年代に現在の島根県太田市で開山された銀山の名称で、銀や鉛を採掘する際に黒灰食の土塊状の鉱石が産出するが、この鉱物は大量の砒素化合物を含み、砒石と呼ばれていた。この砒石を細かに砕いて殺鼠剤としたものが「岩見銀山」と呼ばれて販売されていた。
別名:砒石、白砒、砒霜(ひそう)、亜砒酸。
文献 1) 新明解国語辞典 第5版;三省堂,1997
2)第7改正日本薬局方解説書;広川書店,1961
3)後藤 稠・他編:産業中毒便覧(増補版);医歯薬出版株式会社,19924)西 勝英・監:薬・毒物中毒救急マニュアル改訂第6版;医薬ジャーナル社,2001
5)山口 徹・総編集:今日の治療指針;医学書院,2004
調査者 古泉秀夫 記入日 2004.3. 10.

一般用医薬品(眼科用薬)の催奇形性について

木曜日, 8月 16th, 2007

KW:催奇形性・催奇性・奇形児・眼科用薬・一般用医薬品・OTC・妊婦・ 絶対過敏期・相対過敏期

「眼科用薬の製造(輸入)承認基準」(昭和61年7月29日)において、眼 科用薬の範囲・基準が規定されている。使用上の注意については、「昭和61年7月29日付文書が報告されているが、「妊婦への投与」については、特に医 師・薬剤師への相談事項としての記載はされていない。但し、点眼された薬剤が涙腺を経由し、口腔内に排出され、全身性の副作用を惹起することがあるとの報 告が見られるため、使用者からの質問があった場合、回答の根拠となるデータが必要であると考え、調査したので以下に報告する。

  • 妊娠1カ月:最終月経の開始日を0週0日とし、4週間が1カ月、0週0日-3週6日まで
  • 妊娠2カ月:4週0日?7週6日まで
  • 安 全 期 :月経周期28日型の場合、月経初日から33日目(3週末まで)→残留性のない薬剤の場合、催奇形性の可能性はない。
  • 絶対過敏期:最終月経開始日から28日-50日目(妊娠4週-7週末まで)→胎児の中枢神経、心臓、消化 器、四肢などの重要臓器が発生・分化し、催奇形に対し最も敏感な時期。
  • 相対過敏期:51日-84日目
[分類]・薬剤名 評価 概要
[239]allantoin

アラントイン

[適]消炎・収斂剤。抗刺激剤・抗

アレルギー剤

別名:

5-ureidohydantoin

5-carbamidohydantoin

glyxyldiureide

cordianine

data未詳

推定無影響

■19世紀のはじめ、ウシの羊膜(Allantois)の分泌液中にアラントインを発見し、この名 が付けられた。アラントインの治療的性質は、それ以前から知られており、昔農夫らが湿地に生える多年生植物の地下茎を傷や潰瘍の治療に用いており「仲直り させる性質を持っている」のギリシャ語から転化したSymphtumという名称 を付した。これがComfrey(和名: ヒレハリソウ)である。この植物の根を砕いて得た汁を、吐血患者に服用させると出血が止まり、痛風で痛む部分の全面に塗布すると 疼痛を緩和させる作用があることも知られていた。Saint-Quentinの戦争で蛆のわ いている戦傷は、そうでない傷よりも速やかに治癒することが認められ、一時は”ウジ療法”という名前まで付いてもてはやされた時代もあった。アラントイン は、細胞の増殖が盛んに行われている場合に、しばしば見受けられる。本品は壊死組織又は鱗屑を除去(剥離)する作用があると同時に、新しい正常な皮膚組織 を助長するので、酷い病状の部分に対すると同様に正常皮膚にも使用できる。

■本品は創傷、潰瘍、火傷等の手当、湿疹等の皮膚疾患に用いられ、速やかな経過を取り、膿汁集積を 敏にし最後に膿汁が全体として消失し、多くの場合切開の必要がないので治癒も速い。アラントインの癒傷の特徴として瘢痕組織が柔軟で、ケロイド形成がない ことである。また刺激性あるいはアレルギー性のものを使用しても、抗刺激作用を示すので刺激性やアレルギー作用を抑制する。化粧品原料として口紅の刺激 性・アレルギー性軽減目的に0.075-0.1%のアラントインが配合されるとする報告がされている(13。

■上記の報告からアラントイン配合の口紅を使用している女性から、特に奇形児出生の増加が見られた とする報告は知られていない。

[261]alkylpolyaminoethylglycine

アルキルポリアミノエチルグリシ ン

[適]殺菌消毒剤

data未詳 ■本薬の塩酸塩を配合するハイパールNo.3・No.20(大日本)の添付文書(1995.9.改 訂)中に妊婦への投与に関する注意事項は何等記載されていない。本薬は経口摂取を目的としない消毒剤であり、催奇形性に関する資料の入手はできなかった。
[332]ε-aminocaproic acid

イプシロン-アミノカプロン酸

[適]抗プラスミン剤

data未詳 ■動物において催奇形性のあることが報告されているが、ヒトにおける先天性奇形の報告はない。原発 的な繊維素溶解によって惹起されたと証明されうる凝血症が発生していないならば、妊娠中に使用されるべきではない(7。

■「妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には 投与しないことが望ましい」[イプシロンG(第一)添付文書,1996.3.改訂]

[221]aminoethylsulfonic acid

アミノエチルスルホン酸

[適]肝・循環機能改善剤

data未詳

原則無影響

■本薬を主薬とするタウリン散(大正製薬)の添付文書(1995.11.改訂)中に妊婦への投与に 関する使用上の注意は何等記載されていない。本薬は含硫アミノ酸であり、ヒトを含め各種動物の体内に存在することが認められると報告されている。その意味 では本剤の使用が直ちに胎児に障害をもたらすとは考えられない。
[239]azlene sulfonate

アズレンスルホン酸ナトリウム

[適]消炎剤

推定無影響 ■キク科植物カミツレ(Matricaria Chsodium amomilla L.)の有効成分である。本薬を主薬とするアズノールST(日本新薬)の添付文書(1996.5.改訂)中に、妊婦への投与に関する使用上の注意は何等記 載されていない。ラット、ウサギの妊娠前、妊娠初期及び胎仔の器官形成期に10-100mg/kg/日を経口投与して、母体と胎仔ならびに新生仔の発育に 対する影響を検討した試験では、本剤はいずれの項目においても特記すべ き異常所見を示さず、催奇形作用も認められていない(3。
[231]berberine chloride

塩化ベルベリン

[適]止瀉剤

推定無影響 ■塩化ベルベリンの製剤であるフェロベリン散(カネボウ薬品)の添付文書(1997.6. 改訂)中に妊婦への投与に関する使用上の注意事項は何等記載されていない。

■(ベルベリンとして)OTC薬の消化管用剤を、奇形発生危険度が高い絶対過敏期に服用した4例 で、いずれも奇形などない健常児を出産(3。

[231]berberine sulfate

硫酸ベルベリン

[適]止瀉剤

[131]boric acid

ホウ酸

[適]殺菌・防腐剤

data未詳 妊婦への投与については「規定した資料に、該当する記載がない」とされている(5。
[321]calcium chloride

塩化カルシウム

[適]電解質補正用剤

原則無影響 ■カルシウムは体内構成成分の一つであり、豆腐製造の際の凝固剤として食品添加物として承認されて いる(12。

■炭酸カルシウムとして:妊娠中期・後期における炭酸カルシウムの使用は、慢性的大量投与が行われ ない限り安全である。胎児の低マグネシウム血症、深部腱反射の更新および筋トーヌスの更新が報告されている(7

[313]calcium pantothenate

パントテン酸カルシウム

[適]パントテン酸欠乏症

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

[441]chlorpheniramine maleate

マレイン酸クロルフェニラミン

[適]抗ヒスタミン薬

C →

A→

推定無影響

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(5。

■ラットとウサギでヒト常用量の数十倍に当たる量を投与した試験で、催奇形性は認めなかった(3。

■妊婦の使用に関して、催奇形性あるいは胎児毒性を示唆する症例報告あるいは疫学調査はない(3。

■chlorpheniramineに体内で曝露された児に、先天性の奇形がみられる頻度は増加し ないとするレトロスペクティブな調査が報告(3。

■奇形発生の高い絶対過敏期あるいは相対的過敏期に、本剤配合薬を服用した4例で健常児出産(3。

[131]cyanocobalamin

シアノコバラミン

[適]ビタミンB12欠乏症

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

[441]diphenhydramine hydrochloride

塩酸ジフェンヒドラミン

[適]抗ヒスタミン薬

C →

A→

ジフェンヒドラミンとして

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投 与しないことが望ましい(5。

■diphenhydramine の服用により兎唇の発生が高まる可能性を無視できないとの疫学調査結果が報告されている(5。

■50,282組の母子に関する調査で第1三半期に595組が本剤に曝露された。また、妊娠中何ら かの時期に本剤に曝露された母子が、2,948組あった。いずれの群においても奇形との関連性を示唆する証拠は認められなかった。また数種の奇形と関連し ている可能性はあるが、統計的な有意さは明らかでない(3。

■599例の口蓋裂を有する児の群と590例の口蓋裂のない児の群を比較した調査では、第1三半期 に子宮内でdiphenhydramineに曝露されたのは 前者で20例、後者では6例と有意差がみられた。母親のdiphenhydramine服用と口蓋裂の発生に統計的に有意な関連が認められたの報告(3。

■1971年の奇形を有する児の調査では、第1三半期に抗ヒスタミン剤に曝露された児に、奇形のみ られる頻度は対照群と比較してむしろ少なかったとの報告。本調査でdiphenhydramineは2番目に繁用されていた(3。

■6,509人の母親の調査で、第1三半期に本剤を使用した270例では、薬剤の使用と催奇形に、 関連性は認められなかった(3。

■妊娠中にジフェンヒドラミンを毎日150mg/kg服していた母親から産まれた子供に、離脱症状として全身のふるえと下痢が発生したとの報告がある。フェノバルビタールに よる治療で症状は改善した(3。

[221]ephedrin hydrochloride

塩酸エフェドリン

[適]気管支拡張薬・喘息治療薬

C →

A→

推定無影響

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

■(OTC鎮咳去痰剤として)第1三半期に本剤を使用した373例と妊娠の時期に関係なく使用した 873例では、大小の奇形や個々の欠損との関連は示されなかった。しかし、第1三半期に交感神経刺激剤を使用した場合は、小奇形(生命には別状のない奇 形、皮膚欠損)、鼠径ヘルニア、内反足との関係が見られた(3。

■交感神経作動剤の妊娠中の使用は一般に安全であるが、本態性高血圧あるいは妊娠中毒症の患者にお いては、全身血圧を上昇させる可能性があるので、これらでは避けられるべきである。また、胎児予備能が低い状態においては、避けられるべきである(子宮内 のジストレスが促進される)。妊娠に特有な母体の副作用はない。これらの物質は胎盤関門と脳血液関門を通過し、胎児の中枢神経効果として、母体への投与後 に活動亢進やや興奮性が現れることがある。胎児はまた頻脈を発生することがある。OTC製剤中の交感神経作動薬の使用と関連した先天性奇形は報告されてい ない(7。

[131]epinephrine

エピネフリン

[適]血管収縮剤

C→ C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。
[131]epinephrine hydrochloride

塩酸エピネフリン

[適]血管収縮剤

 
[131]flavin adenine dinucleotide sodium

フラビンアデニンヌクレオチドナトリウム

[適]ビタミンB2欠乏症治療剤

A→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

■中程度の欠乏により、囓歯類の胎仔奇形が発生しているが、ヒトにおいては、その欠乏と奇形の間の 関連性は認められていない(7。

[323]glucose

ブドウ糖

[適]糖質用剤

原則無影響 ■栄養源として、飲食物等からの摂取がされるものであり、ブドウ糖の使用により奇形児の発生が増加 したとする報告は知られていない。
[131]glycyrrhizinate dipotassium

グリチルリチン酸二カリウム

[適]抗アレルギー薬

原則無影響 ■グリチルレチン酸として:妊娠中に使用した場合の有害作用、及び安全性を示唆する疫学調査の報告 はない(3。

■グリチルリチン酸二ナトリウムは、食品添加物として承認されている。本剤は甘草中の成分であり、 味噌及び醤油の甘味料として添加されている(12。従って、妊娠初期又は妊娠期間中、グリチルリチン酸に全く曝露しないとは考えられず、そのことにより奇 形発生率が増加したとする報告も知られていない。

[799 ]hydroxy ethylcellulose

ヒドロキシエチルセルロース

[適]安定化剤・乳化剤

推定無影響 ■容積増量剤の妊娠中の使用は安全である。妊娠に特有な母体への作用はない(7。
[799 ]hydroxy propyl methylcelluloseヒドロキシプロピルメチルセルロ ース

[適]安定化剤・乳化剤

[131]lysozyme chloride

塩化リゾチーム

原則無影響 ■医療用医薬品の添付文書中に、妊婦に対する注意事項の記載無し。ラットの妊娠前・初期、器官形成 期、周産・授乳期に50-4000mg/kg/日をそれぞれ経口投与したところ、催奇形性は認められず、新生児の発育も順調であった(6。

■リゾチームは涙液・鼻汁・白血球等生体内に広く分布するものであり、また本剤は卵白から生成した 製剤であるため、曝露による催奇形性の可能性は殆どないと考えられる。

[321]magnesium L-asparate

L-アスパラギン酸マグネシウム

[適]マグネシウム補給剤

原則無影響 ■本薬を主剤とするアスパラ-CA錠(田辺製薬)の添付文書(1996.7.改訂)中に、妊婦への 投与に関する注意事項は何等記載されていない。妊娠中特別に配慮する事項はない(7。

■マグネシウムは飲食物を経由して生体内に取り込まれる物質であり、そのことを理由にして催奇形性 発現の可能性を示唆する報告は知られていない。

[124]magnesium sulfate

硫酸マグネシウム

[適]緩下剤

原則無影響 ■天然には海水、鉱泉中に含まれる。醸造用添加物として、醸造用水のマグネシウム補給用の硬化剤と して使用する。醗酵助成剤、醗酵時の微生物無機栄養源(12。

■鉱泉中に含まれるとされており、その意味では、妊娠中の女性が本薬に全く曝露されなかったという ことは考えられない。またその結果奇形児の発生が増加したとする報告も知られていない。

[799]methycellulose

メチルセルロース

[適]安定化剤・乳化剤

推定無影響 ■容積増量剤の妊娠中の使用は安全である。妊娠に特有な母体への作用はない(7。
[222]dl-methylephedrine hydrochlor ide

dl-塩酸メチルエフェドリン

[適]局所血管収縮剤

C→

A →

推定無影響

C:塩酸エフェドリンとして→動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があ ることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在 的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接的・間 接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠ている可能性のある婦人には、療 上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(5。

■生薬エキス製剤については、生殖試験の報告はされていない(3。

[132]naphazoline hydrochloride

塩酸ナファゾリン

[適]局所血管収縮剤

data未詳 ■妊娠中の投与に関する安全性未確立治療上の有益性(5。

■ヒトについての問題は実証されていない。本剤は全身性に吸収されるので、治療上の有益性が危険性 を上回ると判断される場合のみ投与すること(8。

[132]naphazoline nitrate

硝酸ナファゾリン

[適]局所血管収縮剤

[131]neostigmine methylsulfate

メチル硫酸ネオスチグミン

[適]抗コリンエステラーゼ剤

B2 → B2:ネオスチグミンとして→妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られている が、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する直接的・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸 念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
[313]panthenol

パンテノール

[適]パントテン酸欠乏症治療剤

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

■水溶性ビタミン剤。食事からの摂取が行われる物質であり、催奇形性の原因となり得る証拠はない。

[131]phenylephrine hydrochloride

塩酸フェニレフリン

[適]昇圧剤・血管収縮剤

B2 → B2:フェニレフリンとして→妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られている が、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する直接・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念 はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。

■外用で使用した場合の催奇形性に関する報告はないが、幼児の両眼に点眼したところ、顔面蒼白とな り血圧が上昇したという報告がある。3)

[711]polyvidone→povidone

ポリビニルピロリドン→ポビドン

[適]粘結剤・皮膜形成剤・分散剤・懸濁剤(製剤原料)

data未詳

原則無影響

■ポリビニルピロリドンは、1930年にイツで合成され、第二次世界大戦中、代用血漿として広く使 用されていたビニルピロリドンの重合体で、分子量約25000、約40000及び約120000のものが局方で用いられる。現在医療用には錠剤の粘結剤・ 皮膜形成剤等として使用(14されており、仮に本品が奇形発生の原因物質とすれば、既に多くの報告がされているはずであるが、現在までにそのような報告は 知られていない。
[711]polyvinyl alcohol

ポリビニルアルコール

[適]製剤原料

[321]potassium L-asparate

L-アスパラギン酸カリウム

[適]カリウム補給剤

原則無影響 ■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治 療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[アスパラK散・錠添付文書,1996.9.改訂]

■世界的にはシーズニングの添加剤、ゼリーなどに用いられるカラギーナンのゲル化剤として以前から 広く使用されているが、最近、高血圧の予防、肥満の予防を目的として家庭用塩味料とされている。他にパン類、サラダドレッシング類、ソース、ケチャップ、 ドライミート、チーズ、ソーセイジ、粉末調味料、ポテトチップス等加工食品に用いられた例も報告されている。また、人体には170-180gのカリウムが 存在する(12とする報告から、広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したとする報告は知られていない。

[322]potassium chloride

塩化カリウム

[適]カリウム補給剤

[321]potassium・magnesiumL-asparate

L-アスパラギン酸マグネシウム・ カリウム

[適]マグネシウム・カリウム補給剤

data未詳 ■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治 療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[アスパラ注射液添付文書,1995.9.改訂]
[321]potassium phosphate monobasic

リン酸二水素カリウム

[適]カリウム補給剤

原則無影響 ■醸造用、食品製造用、調味料、強化剤として用いられる。清酒醸造の際、洗米、浸漬などによって失 われるカリウムの強化に用いられる。カリウム10ppmの強化には水100Lに3.5g、リン酸10ppmの強化には1gが加えられる。カリウムの不足は 麹菌、酵母の増殖を妨げる。合成清酒の味覚調整の目的に0.005-0.01%使用される。乳製品、肉製品にも用いられる(12とする報告から、広範な摂 取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したとする報告は知られていない。
[313]pyridoxine hydrochloride

塩酸ピリドキシン

[適]ビタミンB6製剤

□推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも危 険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒ トでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危 険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

■食物から摂取されるビタミン剤であるため、広範な摂取が考えられるがその結果、奇形発生が増加し たとする報告は知られていない。

[311]retinol acetate

酢酸レチノール

[適]ビタミンA製剤

A→X

X→

D →

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

X:動物又はヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危 険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性の大きいもの。ここに分類される薬剤 は、妊婦又は妊娠する可能性のある婦人には禁忌である。

D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは可逆的障害の発現頻度を高める薬、あるいは、高めたことが推定 される薬、あるいは高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うことがある。過量のビタミンA摂取は、先天障害を引き起こす ことがある。飲む前に、ビタミンAを補う必要があるのかどうかを考えてみること。通常、オーストラリア人の食事は、ビタミンAの1日標準必要量 2500I.U.を十分に含んでいる[ADEC](4。

■FDAリスクファクターでは、1日10000I.U.以上で[X]、8000I.U.では[A] に分類。疫学調査及び症例報告で、実際に奇形が報告されている用量は、1日25000I.U.以上で、潜在的催奇形性を示す用量は1日25000I.U. 以上とする見解も見られる(3。

[311]retinol palmitate

パルミチン酸レチノール

[適]ビタミンA製剤

□ビタミンA主薬製剤の場合1日最大分量はビタミンAとして4000I.U.。1日最少分量は 2000I.U.

□主薬製剤以外のビタミンA配合の場合、1日最大分量はビタミンAとして2000I.U.。1日最 少分量は500I.U.。

[234]sodium bicarbonate

炭酸水素ナトリウム

[適]制酸剤

原則無影響 ■ヒトにおける報告はないが、慢性的な使用は、全身性アルカローシスになる恐れがある。また、ナト リウム貯留により浮腫や体重増加の恐れがあるので、治療の有用性が有益性を上回るか否かを考慮する(5。

■妊娠初期3カ月-制酸剤は薬物監視予測研究薬の中には含まれていない。しかしながら、ある症例で は妊娠56日間の制酸剤の服用と、重度あるいは軽度の先天異常児の発生との間には相関があるとする回顧的な比較症例がある。しかし、先天異常児の発生の増 加と特定の制酸剤との間には個々の関係はない。

■重質炭酸イオンは全身的に吸収されるので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断さる場合のみ投 与すること。長期使用により全身性アルカローシスが生じることがある。吸収されたナトリウムは浮腫や体重増加の原因になることがある。非経口用剤、動物あ るいはヒトにおいての研究はなされていないので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること(8。

■膨張剤として単独又は配合して使用される。単独で用いる場合には、炭酸ナトリウムが残って食品を アルカリ性にする。ベーキングパウダーには殆ど本品が主剤として使用されている(12。

[321]sodium carbonate

炭酸ナトリウム

[適]無機塩類

原則無影響 ■アミノ酸醤油-醤油製造時に中和剤として大量に用いられる。また「かんすい」の主要原料として炭 酸カリウム、リン酸類のカリウム若しくはナトリウム塩などと共に用いられる。特に「固形かんすい」は、大部分炭酸ナトリウムが主成分(12と報告されてい る。その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したとする報告は知られていない。
[321]sodium chloride

塩化ナトリウム

[適]無機塩類

原則無影響 ■塩化ナトリウムは、通常食品から摂取される。その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、 奇形発生が増加したとする報告は知られていない。
[234]sodium chondroitin sulfate

コンドロイチン硫酸ナトリウム

[適]コンドロイチン硫酸欠乏症の予防・治療

原則無影響 ■コンドロイチン硫酸は、軟骨、骨、血管壁その他の結合組織に含まれ、動物体内に広く分布してい る。本品は魚肉ソーセージ、マヨネーズ、ドレッシングに対してのみ使用が認められ乳化安定剤、保水剤として添加(12.

■日常的に摂食する食品に添加、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加 したとする報告は知られていない。

[313]sodium pantothenate

パントテン酸ナトリウム

[適]パントテン酸欠乏症の予防 ・治療

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

□主薬製剤以外の配合の場合、1日最大分量はパンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸 ナトリウムとして30mg、1日最少分量は5mg。

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

■パントテン酸は、水溶性ビタミンでCoenzyme Aの構成成分の一つである。パントテン酸カルシウムは、使用基準が定められており、食品の製造又は加工上必要不可欠な場合、又は栄養の目的に使用する以外は使用してはならない。その量は Caとして1%以下である(12。

■食品に添加されており、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したと する報告は知られていない。

[321]sodium phosphate dibasic

リン酸水素ナトリウム

[適]無機塩類

原則無影響 ■「リン酸二水素ナトリウム」は醸造用、食品製造用として緩衝剤、中和剤に用いられる。その他チー ズ等の乳製品、ハム、ソーセージなどの食肉・魚肉製品に安定剤、結着剤として使用され、コンビーフには0.4%くらい用いられる(12。

■食品に添加されており、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したと する報告は知られていない。

[321]sodium phosphate monobasic

リン酸二水素ナトリウム

[適]無機塩類

[621]sodium sulfisomidine

スルフィソミジンナトリウム

[適]サルファ剤

B → B:サルファ剤として、動物生殖試験での胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験 は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期 3カ月の対照試験では実証されていない。またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はなもの[FDA](3。
[621]sulfamethoxazole

スルファメトキサゾール

[適]サルファ剤

C→ C:サルファ剤は血漿アルブミンに結合したビリルビンを置換してしまうため、生後の最初の1カ月間 は新生児核黄疸を引き起こす場合がある。従って、できるなら妊娠最終月にはサルファ剤の投与を控えるべきである[ADEC] (4。
[621]sulfamethoxazole sodium

スルファメトキサゾールナトリウ ム

[適]サルファ剤

[612]sulfisoxazole

スルフィソキサゾール

[適]サルファ剤

B → B:サルファ剤として、動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験 は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期 3カ月の対照試験では実証されていない。またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はなもの[FDA](3。
[139]tetrahydrozoline hydrochloride 塩酸テトラヒドロゾリン

[適]局所血管収縮薬

data未詳 ■妊娠中に使用することの安全性を確立するための、ヒトでの資料は不十分である(15。
[315]tocopherol acetate

酢酸トコフェロール

[適]ビタミンE剤

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日の推奨許容量の範囲内であれば、原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

■米国・国立アカデミーの食品栄養協議会が勧告した妊婦における1日推奨許容量は16mgであり、 これ以下の量を服用した場合[A]。この用量を超えて服用した場合の危険度について、危険性を示唆した報告も安全性を示唆した報告もない(3。

■dl-α-トコフェロール:油脂、バター若しくはこれらを使用した食品の酸化防止剤として使用 (12。食品に添加されており、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果奇形発生が増加したとする報告は知られていない。

[322]zinc lactate

乳酸亜鉛

[適]消炎・収斂剤

原則無影響 ■「硫酸亜鉛」を妊娠マウスに0、0.3、1.4、6.5及び30mg/kgを妊娠第6-15日間 与えても、胎仔の奇形発生を認めず、ハムスターでは妊娠第6-10日に0、0.9、4.1、19及び88mg/kg投与により同様に着床、胎仔生存率器官 や骨の異常を認めなかった。またウサギの妊娠第6-18日にわたり0.6、2.8、13及び60mg/kg/日経口投与で催奇形性を認めていない(12。

■亜鉛も銅も自然界に広く分布しており、日本人の場合、食事からの亜鉛の1日摂取量は8-14mg といわれている(12。

■食品中に含有される亜鉛を摂取しており、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形 発生が増加したとする報告は知られていない。また、乳酸については雑菌の繁殖を防止する作用を有する 酸味料として、清酒及び合成清酒の醸造、清涼飲料水の酸味料、製菓、佃煮、ソース、製パン、漬物等に添加されている。

[322]zinc sulfate

硫酸亜鉛

[適]消炎・収斂剤

[015.11.TER.1998.8.27. 古泉秀夫・2004.1.17.改訂]


  1. 高久 史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院, 1998
  2. 薬名検索辞典;薬業時報社, 1991
  3. 佐藤 孝道・他編:実践 妊婦と薬;薬業時報社, 1992
  4. JPDI;薬業時報社, 1996
  5. ノイチーム錠・細粒・顆粒添付文書, 1996.12.改訂
  6. 柳沼

一般用医薬品(滋養強壮保健薬)の催奇 形性について

木曜日, 8月 16th, 2007

KW:催奇形性・催奇性・奇形児・滋養強壮保健薬・ビタミン主薬製剤・ビタ ミン剤・一般用医薬品・OTC ・妊婦・絶対過敏期・相対過敏期

「ビタミン主薬製剤の製造(輸入)承認基準」(昭和63年2月1日改正)に おいて、ビタミン主薬製剤の範囲・基準等が規定されている。使用上の注意については、昭和63年2月1日付文書が報告されているが、妊婦への投与について は、何ら注意事項の記載はされていない。ただし、ビタミン剤の中には大量摂取による危険の可能性を指摘する報告もあり、注意が必要である。

相談された医師・薬剤師が、何に依拠して回答するのか、根拠の一助とすべく 報告されている資料の整理を行った。

  • 妊娠1カ月:最終月経の開始日を0週0日とし、4週間が1カ月、0週0日-3週6日まで
  • 妊娠2カ月:4週0日-7週6日まで
  • 安 全 期:月経周期28日型の場合、月経初日から33日目(3週末まで)→残留性のない薬剤の場合、催奇 形性の可能性はない。
  • 絶対過敏期:最終月経開始日から28日-50日目(妊娠4週?7週末まで→胎児の中枢神経、心臓、消化器、 四肢などの重要臓器が発生・分化し、催奇形に対し最も敏感な時期。)
  • 相対過敏期:51日-84日目
[分類]・薬剤名 評価 概要
[314]ascorbic acid

アスコルビン酸

[適]ビタミンC欠乏症の予防・治療

A → C

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

C→

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は潜在的な利益が胎児への潜在的危 険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

■本品は必須ビタミンの一つであり、食品添加物としてビタミン強化、酸化防止剤として、果実類の ジュース、果実缶詰、ジャム、ドロップ等に添加されており、酸化防止剤として食肉等に添加されている(6。従って、許容範囲内であれば、本品による奇形児 出生率の増加はないと考えられる。

[314]ascorbate calcium

アスコルビン酸カルシウム

[適]ビタミンC欠乏症の予防・治療

[314]ascorbate sodium

アスコルビン酸ナトリウム

[適]ビタミンC欠乏症の予防・治療

■ビタミンC主薬製剤の場合:1日最大分量はアスコルビン酸として2000mg、1日最少分量は 50mg。

■主薬製剤以外のビタミンC配合の場合:1日最大分量はアスコルビン酸として500mg、1日最少 分量は50mg。

[312]benfotiamine

ベンフォチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量は、塩酸チアミンとして100mg、1日最少分量は 5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量は、塩酸チアミンとして25mg、1日最少 分量は1mg。

A → C

ビタミンB1として

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA] (3。

[319]biotin

ビオチン

[適]ビタミンH欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のビオチン配合の場合:1日最大分量は500μg、1日最少分量は10μg。

data未詳 ■通常、腸内細菌によって合成され、分泌されるため欠乏症はない。動物の肝臓、肉、乳、卵、酵母に 含まれる。妊娠初期又は妊娠期間中の女性が、これらの食品を経由して本薬に全く曝露しなかったとは考えられず、また、その結果、催奇形性発現の頻度が増加 したとする報告も知られていない。
[312]bisbenthiamine

ビスベンチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大塩酸チアミンとして100mg、1日最少分量は5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量は塩酸チアミンとして25mg、1日最少分 量は1mg。

   
[312]bisibuthiamine

ビスイブチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量は100mg、1日最少分量は5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量は25mg、1日最少分量は1mg。

   
[312]bisthiamin nitrate

硝酸ビスチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量はチアミンジスルフィドとして30(10)mg、1日 最少分量は1(1)mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量はチアミンジスルフィドとして25(10) mg、1日最少分量は1mg。

A → C

ビタミンB1として

C→

1日推奨許

容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA] (3。

[321]calcium gluconate

グルコン酸カルシウム

[適]カルシウム欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のカルシウム配合の場合:1日最大分量はカルシウムとして300mg、1日最少分量 は30mg。

data未詳 ■味噌、豆腐、コンニャク等、食品にカルシウム強化剤として使用(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全 く曝露しなかったとは考えられない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[321]calcium glycerophosphate

グリセロリン酸カルシウム

[適]カルシウム欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のカルシウム配合の場合:1日最大分量はカルシウムとして300mg、1日最少分量 は30mg。

data未詳 ■パン、小麦、麺類、味噌等にカルシウム強化剤として使用(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[321]calcium lactate

乳酸カルシウム

[適]カルシウム欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のカルシウム配合の場合:1日最大分量はカルシウムとして300mg、1日最少分量 は30mg。

data未詳 ■主として栄養強化カルシウム剤として使用。その他、パン、菓子等に緩衝剤、膨張剤として使用 (6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[311]cholecalciferol

コレカルシフェロール

[適]ビタミンD欠乏症の予防・治療

■ビタミンD主薬製剤の場合:1日最大分量はビタミンDとして400I.U.、1日最少分量は 200I.U.。

■主薬製剤以外のビタミンD配合の場合:1日最大分量はビタミンDとし て200I.U.、1日最少分量は50I.U.。

A → D

D→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって →D[FDA](3。

D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても妊婦への使用による利益が 容認されるもの(例えば生命が危険にさらされているとき、又は重篤な疾病で安全な薬剤が使用できないときあるいは効果がないとき、その薬剤をどうしても使 用する必要がある場合)[FDA](3。

■米・国立科学アカデミーの食品栄養協議会が勧告した妊婦におけるビタミンDの1日推奨許容量は 400-600IU(アルファカルシドールとして2.0-3.0μg、カルシトリオールとして1.0-1.5μgに相当)であり、これ以下の量を服用した 場合[A] 。妊婦に高用量のビタミンDを投与しても奇形が発生するとする確実な証拠はない。但し、妊娠中の高用量投与は、新生児の特発性高カルシウム血症を惹起とす る症例報告(3。

■食品としては調製粉乳、乳飲料若しくは栄養剤に広く使用。

[311]cod liver oil

肝油・強肝油

[適]ビタミンA欠乏症の予防・治療

■ビタミンA主薬製剤の場合:1日最大分量は、ビタミンAとして4000I.U.、1日最少分量は 2000I.U.。

■主薬製剤以外のビタミンA配合の場合:1日最大分量はビタミンAと して2000I.U.、1日最少分量は500I. U.。

data未詳

(ビタミンAとして1日推奨許容量の範囲内で)

■本品はマダラ又はスケトウダラの新鮮な肝臓及び幽門垂から得た脂肪油であると局方中に規定されて いる。両魚の肝臓等は食物としても摂食され、その意味では妊娠初期又は妊娠期間中の女性が全く曝露される機会がないとは考えられない。また、タラ肝臓の摂 食により奇形児の発生がみられたとする報告も知られていない。
[313]cyanocobalamin

シアノコバラミン

[適]ビタミンB12欠乏症の予防・治療

■ビタミンB12主薬製剤の場合:1日最大分量はシアノコバラミンとして1500μg、1日最少分 量は60μg。

■主薬製剤以外のビタミンB12配合の場合:1日最大分量はシアノコバラミンとして60μg、1日 最少分量は1μg。

A → C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

[312]cycotiamine

シコチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量はシコチアミンとして100mg、1日最少分量は 5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量はシコチアミンとして25mg、1日最少分 量は1mg。

A → C

ビタミンB1として

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

[399]L-cysteine

L-システイン

[適]システイン欠乏症の予防・治療

data未詳 ■L-塩酸システインは生体内で合成される含硫アミノ酸の一種で、L-システインとの間に還元-酸 化の相互転換をする。パン製造における成熟促進と天然果汁に限定使用(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[399]L-cysteine hydrochloride

L-塩酸システイン

[適]システイン欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のシステイン配合の場合:1日最大分量は160mg、1日最少分量は30mg。

[321]dibasic calcium phosphate

リン酸水素カルシウム

[適]カルシウム欠乏症の予防・治療

data未詳 ■主にカルシウム強化の目的で使用。米、麦、パン、味噌、漬物、菓子等(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。そのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[321] (anhydrous)dibasic calcium phosphate

(無水)リン酸水素カルシウム

[適]カルシウム欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のカルシウム配合の場合:1日最大分量はカルシウムとして300mg、1日最少分量 は30mg。

[312]dicethiamine hydrochloride

(cetotiamine hydrochloride)

塩酸ジセチアミン (塩酸セトチアミン)

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量塩酸チアミンとして100mg、1日最少分量は 5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量は塩酸チアミンとして25mg、1日最少分 量は1mg。

A → C

ビタミンB1として

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも危 険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

[311]ergocalciferol

エルゴカルシフェロール

[適]ビタミンD欠乏症の予防・治療

■ビタミンD主薬製剤の場合:1日最大分量はビタミンDとして400I.U.、1日最少分量は 200I.U.。

■主薬製剤以外のビタミンD配合の場合:1日最大分量はビタミンDとして200I.U.、1日最少 分量は50I.U.。

A → D

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

D→

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって →D[FDA](3。

D:ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても妊婦への使用による利益が 容認されるもの(例えば生命が危険にさらされているとき、又は重篤な疾病で安全な薬剤が使用できないときあるいは効果がないとき、その薬剤をどうしても使 用する必要がある場合)[FDA](3

■米・国立科学アカデミーの食品栄養協議会が勧告した妊婦におけるビタミンDの1日推奨許容量は、 400-600IU(アルファカルシドールとして2.0-3.0μg、カルシトリオールとして1.0-1.5μgに相当)であり、これ以下の量を服用した 場合[A] 。妊婦に高用量のビタミンDを投与しても、奇形が発生するとする確実な証拠はない。但し、妊娠中の高用量投与は新生児の特発性高カルシウム血症を惹起とす る症例報告(3。

■食品としては調製粉乳、乳飲料若しくは栄養剤に広く使用。

[313]flavin adenine dinucleotide

sodium

フラビンアデニンジ

ヌクレオチドナトリウム

[適]ビタミンB2欠乏症の予防・治療

■ビタミンB2主薬製剤の場合:1日最大分量はフラビンアデニンジヌクレオチド45mg、1日最少 分量は5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB2配合 の場合:1日最大分量はフラビンアデニンジヌクレオチド として12mg、1日最少分量は2mg。

A

原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの[FDA](3 。

■強化剤として小麦粉、味噌、乳製品、醤油などに使用。1日摂取基準量は成人1.2mg(6。日常 的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えられない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとす る報告も知られていない。

[312]fursultiamine

フルスルチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

A → C

ビタミンB1として

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3 。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

[312]fursultiamine hydrochloride

塩酸フルスルチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量はフルスルチアミンとして100mg、1日最少分量は 5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量はフルスルチアミンとして25mg、1日最 少分量は1mg

[391]glucuronamide

グルクロン酸アミド

[適]グルクロン酸欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のグルクロン酸アミド配合の場合:1日最大分量は1000mg、1日最少分量は 200mg。

推定無影響 ■グルクロン酸に関する動物実験の結果では、催奇形性について何ら報告されていない(7。また、本 品の発売以降妊娠初期又は妊娠期間中の女性が、全く本剤に曝露しなかったとは考えられないが、ヒトにおける催奇形の原因物質として指摘された報告は見られ ない。
[391]glucuronolactone

グルクロノラクトン

[適]グルクロン酸欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のグルクロノラクトン配合の場合1日最大分量は1000mg、1日最少分量は 200mg。

[313]hydroxocobalamin(hydrochloride)

ヒドロキソコバラミン(塩酸)

[適]ビタミンB12欠乏症の治療剤

■ビタミンB12主薬製剤の場合:1日最大分量は1500μg、1日最少分量は60μg。

■主薬製剤以外のビタミンB12配合

の場合、1日最大分量は60μg、1日最少分量 は1μg。

A → C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

[313]hydroxocobalamin acetate

酢酸ヒドロキソコバラミン

[適]ビタミンB12欠乏症の治療剤

■ビタミンB12主薬製剤の場合:1日最大分量はヒドロキソコバラミンとして1500μg、1日最 少分量は60μg。

■主薬製剤以外のビタミンB12配合の場合:1日最大分量はヒドロキソコバラミンとして60μg、 1日最少分量は1μg。

[217]inositol hexanicotinate

イノシトールヘキサニコチネート

[適]ニコチン酸・イノシトール欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のイノシトールヘキサニコチネート配合の場合:1日最大分量は400mg、1日最少 分量は80mg。

data未詳 ■血中でイノシトールとニコチン酸に分解。ニコチン酸については、1日推奨許容量の範囲内であれ ば、特に問題ないものと考えられている。またイノシトールは生体細胞内で生合成されるとしており、体外からの摂取により催奇性の発現頻度が増大するとは考 え難い。
[313]nicotinic acid

ニコチン酸(ナイアシン)

[適]ニコチン酸欠乏症の予防・治療

A → C

C→

B2 →

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加は なく、ヒト胎児に対する他の直接・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手し うるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大させるという証拠は得られていない[ADEC](4。

■ビタミン強化用として、食品や清涼飲料などに添加。また、ニコチン酸は腸内細菌によって合成 (6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えられない。またそのことにより奇形 児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[313]nicotinamide

ニコチン酸アミド

[適]ニコチン酸欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のニコチン酸又はニコチン酸アミド配合の場合:1日最大分量は60mg、1日最少分 量は12mg。

[322]magnesium and potassium L-asparate

アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物

[適]K・Mg欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のアスパラギン酸カリウム・マグネシウム配合の場合:1日最大分量は400mg、1 日最少分量は200mg。

data未詳 ■アスパラギン酸は蛋白質中に含まれており、ナトリウム塩として果汁飲料、炭酸飲料、蒲鉾、化学調 味料等に使用。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[312]octotiamine

オクトチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量はオクトチアミンとして100mg、1日最少分量は 5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量はオクトチアミ ンとして25mg、1日最少分量は1mg。

A → C

ビタミンB1として

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

[236]orotic acid

オロチン酸

[適]オロチン酸欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外の配合の場合:1日最大分量はオロチン酸として200mg、1日最少分量は 60mg。

data未詳 ■オロチン酸(オロト酸):ビタミンB13。牛乳中の核酸の大部分を示す。ヒトは体内で生合成でき るので真のビタミンではなく、ビタミン様作用物質である。中毒性の肝疾患の治療に用いられるが、多量に投与するとプリンヌクレオチドとのバランスが崩れ肝 障害を起こすといわれる。食品成分として存在するため、妊娠初期又は妊娠期間中の女性が、全く本品に曝露しなかったとは考えられないが、ヒトにおける催奇 毒性を指摘する報告は見られない。
[218]γ-oryzanol

ガンマーオリザノール

[適]ガンマーオリザノール欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外の配合の場合:1日最大分量はオロチン酸として10mg、1日最少分量は5mg。

data未詳 ■本薬に関する動物実験の結果では、催奇形性について何ら報告されていない(7。

■本品の発売以降、妊娠初期又は妊娠期間中の女性が、全く本薬に曝露しなかったとは考えられない が、ヒトにおける催奇形の原因物質として指摘する報告は見られない。

[313]panthenol

パンテノール

[適]パントテン酸欠乏症の予防・治療

A → C

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

C→

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる。

■パントテン酸は、水溶性ビタミンで、Coenzyme Aの構成成分の一つである。パントテン酸カルシウムは、使用基準が決められており、食品の製造又は加工上必要不可欠な場合、又は栄養の目的に使用する以外 は使用してならない。その量はCaとして1%以下である(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[313]pantothnate calcium

パントテン酸カルシウム

[適]パントテン酸欠乏症の予防・治療

[313]pantothnate sodium

パントテン酸ナトリウム

[適]パントテン酸欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外の配合の場合:1日最大分量はパンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸 ナトリウムとして30mg、1 日最少分量は5mg。

[234]precipitated calcium carbonate

沈降炭酸カルシウム

[適]カルシウム欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外のカルシウム配合の場合:1日最大分量はカルシウムとして300mg、1日最少分量 は30mg。

data未詳 ■パン、味噌、菓子、納豆などにカルシウム強化剤として使用。その他、醸造用水の硬度剤、酒の脱酸 剤、アメの中和剤、野菜類漬物などに食塩と混ぜて使用。使用基準が定められており、カルシウムとして食品の1%以下。チューインガムに限り2%以下(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより、奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[312]prosultiamine

プロスルチアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量はプロスルチアミンとして100mg、1日最少分量は 5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量はプロスルチア ミンとして25mg、1日最少分量は1mg。

A → C

ビタミンB1として

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

[313]pyridoxine hydrochloride

塩酸ピリドキシン

[適]ビタミンB6欠乏症の予防・治療

■ビタミンB6主薬製剤の場合:1日最大分量は塩酸ピリドキシンとして100mg、1日最少分量は 10mg。

■主薬製剤以外のビタミンB6配合の場合:1日最大分量は塩酸ピリドキシンとして50mg、1日最 少分量は5mg。

   
[313]pyridoxine hydrochloride

塩酸ピリドキシン

[適]ビタミンB6欠乏症の予防・治療

■ビタミンB6主薬製剤の場合:1日最大分量は塩酸ピリドキシンとして100mg、1日最少分量は 10mg。

■主薬製剤以外のビタミンB6配合の場合:1日最大分量は塩酸ピリドキシンとして50mg、1日最 少分量は5mg。

A → C

ビタミンB6として

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

■強化剤として調製粉乳100g中に0.1mg規定度添加(6。

[313]pyridoxal phosphate

リン酸ピリドキサール

[適]ビタミンB6欠乏症の予防・治療

■ビタミンB6主薬製剤の場合:1日最大分量はリン酸ピリドキサールとして60mg、1日最少分量 は10mg。

■主薬製剤以外のビタミンB6配合 の場合:1日最大分量はリン酸ピリドキサールとして60mg、1日最少分量は5 mg。

[311]retinol acetate

酢酸レチノール

[適]ビタミンA欠乏症の予防・治療

A → X

X→

D →

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→X[FDA](3。

X:動物又はヒトでの試験で、胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上、胎児へ の危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性の方が大きいもの。ここに分類さ れる薬剤は、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には禁忌である[FDA](3。

D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、あるいは高めたことが推定 される薬、あるいは高めるであろうことが強く疑われる薬、これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。→過量のビタミンA摂取は、先天障害を引き起こ すことがある。服用前にビタミンAを補う必要があるかどうかを考えること。通常、オーストラリア人の食事はビタミンAの1日標準必要量2500IUを充分 に含んでいる[ADEC](4。

■FDAリスクファクターでは、1日10000IU以上で[X]、8000IUでは[A]に分類。 疫学調査及び症例報告で実際に奇形が報告されている用量は1日25000IU以上であり、潜在的催奇形性を示す用量は1日25000IU以上という見解も みられる(3 。

[311]retinol palmitate

パルミチン酸レチノール

[適]ビタミンA欠乏症の予防・治療

■ビタミンA主薬製剤の場合:1日最大分量はビタミンAとして4000I.U.、1日最少分量は 2000I.U.。

■主薬製剤以外のビタミンA配合の場合:1日最大分量はビタミンAと して2000I.U.、1日最少分量は500I.U.。

[313]riboflavin

リボフラビン

[適]ビタミンB2欠乏症の予防・治療

A→

ビタミンB2として

原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの[FDA](3。

■強化剤として小麦粉、味噌、乳製品、醤油等に添加。1日摂取基準量は成人で1.2mg。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[313]riboflavin sodium phosphate

リン酸リボフラビンナトリウム

[適]ビタミンB2欠乏症の予防・治療

■ビタミンB2主薬製剤の場合:1日最大分量はリボフラビンとして 30mg、1日最少分量は2mg。

■主薬製剤以外のビタミンB2配合の場合:1日最大分量はリボフラビンとして12mg、1日最少分 量は2mg。

[313]riboflavin tetrabutyrate

酪酸リボフラビン

[適]ビタミンB2欠乏症の予防・治療

■ビタミンB2主薬製剤の場合:1日最大分量は酪酸リボフラビンとして20mg、1日最少分量は 5mg。

■主薬製剤以外のビタミンB2配合の場合:1日最大分量は酪酸リボフラビンとして12mg、1日最 少分量は2mg。

[234]sodium chondroitin sulfate

コンドロイチン硫酸ナトリウム

[適]コンドロイチン硫酸欠乏症の予防・治療

■主薬製剤以外の配合の場合:1日最大分量はコンドロイチン硫酸ナトリウムとして900mg、1日 最少分量は180mg。

data未詳 ■コンドロイチン硫酸は、軟骨、骨、血管壁その他の結合組織に含まれ、動物体内に広く分布してい る。本品は魚肉ソーセージ、マヨネーズ、ドレッシングに対してのみ使用が認められ、乳化安定剤、保水剤として添加(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[312]thiamin disulfide

チアミンジスルフィド

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量はチアミンジスルフィドとして30(10)mg、1日 最少分量は1(1) mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量はチアミンジスルフィドとして25(10) mg、1日最少分量は1mg。

A → C

ビタミンB1として

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間につ いても、危険であるという証拠がないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は潜在的な利益が胎児への潜在的危 険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

*塩酸チアミン:白米、押麦、小麦粉、パン、ゆで麺、醤油、味噌、乾麺、菓子、清涼飲料水等に強化剤として使用(6。

*硝酸チアミン:同上(6。

*チアミンセチル硫酸塩:押麦、麺、小麦粉、マーガリン、カレールウ、マヨネーズ等に強化剤として 使用(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が、全く曝露しなかったとは考え られない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[312]thiamin dicetylsulfate

(チアミンセチル硫酸塩)

チアミンジセチル硫酸エステル塩

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量は硝酸又は塩酸チアミンとして30(10)mg、1日 最少分量は1(1)mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合

の場合1日最大分量は硝酸又は塩酸チアミンとして25(10)mg、1日 最少

分量は1mg。

[312]thiamin hydrochloride

塩酸チアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

[312]thiamin nitrate

硝酸チアミン

[適]ビタミンB1欠乏症の予防・治療

■ビタミンB1主薬製剤の場合:1日最大分量は硝酸又は塩酸チアミンとして30(10)mg、1日 最少分量は1(1)mg。

■主薬製剤以外のビタミンB1配合の場合:1日最大分量は硝酸又は塩酸チアミンとして25(10) mg、1日最少分量は1mg。

[315]d-α-tocopherol

d-α-トコフェロール

[適]ビタミンE欠乏症の予防・治療

A → C

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA](3。

■米国・国立科学アカデミーの食品栄養協議会が勧告した妊婦における1日推奨許容量は16mgであ り、これ以下の量を服用した場合[A]。この用量を超えて服用した場合の危険度について、危険性を示唆した報告も安全性を示唆した報告もない(3。

■dl-α-トコフェロール:油脂、バター若しくはこれらを使用した食品の酸化防止剤として使用。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[315]dl-α-tocopherol

dl-α-トコフェロール

[適]ビタミンE欠乏症の予防・治療

[315]d-α-tocopherol acetate

酢酸d-α-トコフェロール

[適]ビタミンE欠乏症の予防・治療

[315]dl-α-tocopherol acetate

酢酸dl-α-トコフェロール

[適]ビタミンE欠乏症の予防・治療

[315]d-α-tocopherol succinate

コハク酸d-α-トコフェロール

[適]ビタミンE欠乏症の予防・治療

[315]dl-α-tocopherol succinate

コハク酸dl-α-トコフェロール

[適]ビタミンE欠乏症の予防・治療

[315]dl-α-tocopherol calcium succinate

コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム

[適]ビタミンE欠乏症の予防・治療

■ビタミンE主薬製剤の場合:1日最大分量はトコフェロール又は酢酸トコフェロールとして300 (100)mg、1日最少分量は100(50) mg。

■主薬製剤以外のビタミンE配合 の場合:1日最大分量はトコフェロール又は酢酸トコフェロールとして100mg、1日最少分量は10mg。

[236]ursodesoxycholic acide

ウルソデスオキシコール酸

[適]利胆作用・チアミン、リボフラビンの吸収増大、アスコルビン酸の肝 腎内への蓄積増加

■主薬製剤以外の配合の場合:1日最大分量はウルソデスオキシコール酸として60mg、1日最少分 量は10mg

data未詳 ■動物試験の結果、本薬に催奇毒性は認められなかったが、胎仔毒性(吸収胚増加・胎仔吸収)が報告 されている。従って妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましいの報告(7。

■本品は日本産ツキノワ熊の胆嚢(熊の胆)の薬効成分を化学的に合成したもので、胆汁酸の一種。

■本薬の発売以降、妊娠初期又は妊娠中の女性が全く曝露されたことがないとは考えられない。また、催奇形性との因果関係を証明する報告も知られていない。

[311]vitamin A oil

ビタミンA油

[適]ビタミンA欠乏症の予防・治療

■ビタミンA主薬製剤の場合:1日最大分量はビタミンAとして4000I.U.、1日最少分量は 2000I.U.。

■主薬製剤以外のビタミンA配合の場合:1日最大分量はビタミンAと して2000I.U.、1日最少分量は500I.U.。

A → X

X →

D →

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって →X[FDA](3。

X:動物又はヒトでの試験で、胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上、胎児へ の危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性の方が大きいもの。ここに分類さ れる薬剤は、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には禁忌である[FDA](3。

D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める 薬、あるいは高めたことが推定される薬、あるいは高めるであろうことが強く疑われる薬、これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。→過量のビタミン A摂取は、先天障害を引き起こすことがある。服用前にビタミンAを補う必要があるかどうかを考えること。通常、オーストラリア人の食事はビタミンAの1日 標準必要量2500IUを充分に含んでいる[ADEC](4。

■FDAリスクファクターでは、1日10000IU以上で[X]、8000IUでは[A]に分類。 疫学調査及び症例報告で実際に奇形が報告されている用量は1日25000IU以上であり、潜在的催奇形性を示す用量は1日25000IU以上という見解も みられる(3。

■強化剤として使用。味噌、マーガリン、魚肉ハム・ソーセージに使用。その他、強化乳等の乳製品、 スープの素、カレールウー、ハヤシルー、チョコレートなどの菓子類に添加。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えら れない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[510]加工大蒜(ダイサン)

[適]強壮薬

■主薬製剤以外の配合 の場合:1日最大分量は加工大蒜として200mg、1日最少分量は20mg。

data未詳 ■大蒜(ニンニク)は、食品又は香辛料として摂食されており、現在までに妊娠初期又は妊娠中の女性 が全く曝露される機会がなかったとは考えられない。そのことにより奇形児の発生頻度が増加したとする報告も知られていない。
[510]ニンジン(人参)

[適]健胃強壮薬

■主薬製剤以外の配合の場合:1日最大分量はエキスの場合(原生薬換算量)として3g、1日最少分 量は0.6g。粉末の場合1日最大分量1.5g、1日最少分量0.3g。

data未詳 ■人参は各種漢方薬に配合されており、また、健康増進目的で料理等に加えて摂食されている。現在ま でに妊娠初期又は妊娠中の女性が全く曝露される機会がなかったとは考えられない。また、そのことにより奇形児の発生頻度が増加したとする報告も知られてい ない。

[015.11.TER: 1998.4.17.古泉秀夫・2003.12.25.改訂]


  1. JAPIC・編:一般薬日本医薬品集;薬業時報社,1998-99
  2. 高久 史麿・他編:治療薬マニュアル;医学書院,1998
  3. 佐藤 孝道・他編:妊娠と薬;薬業時報社,1992
  4. 雨森 良彦・監修:妊娠中の投薬とそのリスク;医薬品・治療研究会, 1993
  5. 第十二改正日本薬局方解説書;廣川書店,1991
  6. 石館 守三・他監修:第5版 食品添加物公定書解説書;廣川書店, 1987
  7. 西村 秀雄・監:催奇形性等発生毒性に関する薬品情報 第2版;東洋書 店,1986

一般用医薬品(鼻炎用内服薬)の催奇形性について

木曜日, 8月 16th, 2007

KW:催奇形性・催奇性・奇形児・耳鼻科用薬・鼻炎用内服薬・一般用医薬 品・OTC ・妊婦・絶対過敏期・相対過敏期

「鼻炎用内服薬製造(輸入)承認基準」(平成5年1月29日改正)におい て、鼻炎用内服薬の有効成分・配合量等が規定されている。使用上の注意については、平成8年10月改訂文書が報告されているが、妊婦への投与については、

「1.次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること。-(10)妊婦又は 妊娠していると思われる婦人」と記載されている。

相談された医師・薬剤師が、何に依拠して回答するのか、根拠の一助とすべく 報告されている資料の整理を行った。

  • 妊娠1カ月:最終月経の開始日を0週0日とし、4週間が1カ月、0週0日-3週6日まで
  • 妊娠2カ月:4週0日?7週6日まで
  • 安 全 期:月経周期28日型の場合、月経初日から33日目(3週末まで)→残留性のない薬剤の場合、催奇 形性の可能性はない。
  • 絶対過敏期:最終月経開始日から28日-50日目(妊娠4週-7週末まで→胎児の中枢神経、心臓、消化器、 四肢などの重要臓器が発生・分化し、催奇形に対し最も敏感な時期。)
  • 相対過敏期:51日-84日目
[分類]・薬剤名  評 価 概要
[441]alimemazine tartrate
酒石酸アリメマジン
[適]抗ヒスタミン剤
推定無影響 trimeprazineの動物での生殖実験とヒトでの臨床経験で、今日までのところどのような
催奇形性作用も発現していない[PDR]。

本薬の妊娠中の使用の安全性は、胎児の発生に関する予測される副作用の点で確立されていない。従って妊娠能力のある婦人に使用してはならない。妊娠期間中にフェノチアジン系薬物の投与を受けていた母親から生まれた乳児に黄疸と持続性の体外路症状が生じたとする報告(10。
妊婦への使用について、安全性を示唆する疫学調査は行われていない(3。
パリの12大学病院で1963-1969年の間に行われた調査では、妊娠第1三半期にフェノチア
ジン系薬剤を服用した315人の妊婦の出産結果は、11例(3.5%)に奇形があり、対照群の1.6%より有意に多かったという報告がある。この報告では
薬剤の構造による層別解析を行い、本剤を含めてα位に炭素数3の側鎖を有するフェノチアジン類にのみ奇形発生の有意な増加がみられたと報告。しかし、同様
な構造を有するフェノチアジン系薬剤クロルプロマジンに関する多くの報告では、明らかな催奇形性はみられないの示唆(3。
奇形発生の危険度が最も高い絶対過敏期に、本剤を3日間服用した1例と、相対過敏期に11日間服
用した1例は何れも健常児出産(3
[124]belladonna alkaloide
ベラドンナ(総)アルカロイド
[適]自律神経系作用薬 
B2  B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加は
なく、ヒト胎児に対する他の直接的 ・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有
害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
   [124]belladonna extract
ベラドンナエキス
[適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
[395]bromrlain
ブロメライン [適]消炎酵素剤
推定無影響 マウス妊娠7日から第12日に、本剤10mg/kg/日、100mg/kg/日の2用量を経口投 与した生殖試験では、母動物及び胎仔に異常は認められず、新生仔の発育も良好の報告(3
奇形発生の危険度が高い絶対過敏期に、本剤含有配合剤を服用した2例は何れも健常児出産(3。
[211]caffeine
カフェイン
[適]強心薬(キサンチン系)
B → B:動物生殖試験では、胎児への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験は実施されていないもの。あるいは動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期3カ月の対照試験は実施されていない。またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの[FDA](3。
[211]caffeine anhydrous
無水カフェイン [適]強心薬(キサンチン系)
[441]carbinoxamine diphenlsulfoneat
ジフェニルジスルホン酸
カルビノキサミン
[適]抗ヒスタミン薬
[441]d-chlorpheniramine maleate
d-マレイン酸クロルフェニラミン
[適]抗ヒスタミン薬
C →
C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験が実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。 A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加
したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

妊婦の使用に関して催奇形性・胎児毒性を示唆した症例報告あるいは疫学調査はない(3。
[124]datura extract
ダツラエキス(マンダラエキス)
[適]鎮痛・鎮痙薬ダツラエキスはダツラアルカロイド(ヒヨスチアミンとして 0.95?1.15%を含む)。本品はロートエキスに代用したものである。
B2 → B2:ヒヨスチアミン→妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験は、まだ限られているが、奇
形発現頻度の増加はな く、ヒト胎児に対する他の直接的 ・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデー
タでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。

ダツラ(Datura)、マンダラ葉は、ヨウシュチョウセンアサガオ(Datura TatulaLinne)又はシロバナヨウシュチョウセンアサガオの花期の葉を乾燥したものである。喘息煙草(燻煙剤)
:ダツラ100・硝酸カリウム30を混和茶剤とする。1茶匙にマッチで点火しその煙を吸入。
[441]difeterol hydrochloride
塩酸ジフェテロール [適]抗ヒスタミン薬
data未詳 妊娠中の投与に関する安全性は確立されていないので、妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい(10。
[441]diphenylpyraline hydrochloride
塩酸ジフェニールピラリン[適]抗ヒスタミン薬
B2 → B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加は
なく、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手
しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
[441]diphenhydramine hydrochloride
塩酸ジフェンヒドラミン [適]抗ヒスタミン薬
  C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的
危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。
A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使によって奇形発現の頻度が増加したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接 的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。
[131]glycyrorrhizinate dipotassium
グリチルリチン酸及びその塩類
[適]抗ヒスタミン薬
推定無影響 グリチルリチン酸二ナトリウムは、食品添加物として承認されている。本剤は甘草中の成分であり、味噌及び醤油の甘味料として添加されている。従って、妊娠初期又は妊娠期間中、グリチルリチン酸に全く曝露しないとは考えられず、そのことにより奇形発生率が増加したとする報告も知られていない。
[441]iproheptine hydrochloride
塩酸イプロヘプチン [適]抗ヒスタミン薬
data未詳 妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投
与しないことが望ましい(10。  
[124]isopropamide iodide ヨウ化イソプロパミド
[適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
data未詳 妊婦への使用について、催奇形を示唆する症例及び疫学調査報告はない。50,282組の母子に関
する調査では、妊娠第1三半期にヨウ化イソプロパミドに曝露された1,071例について催奇形性との関連を示唆する証拠はみられなかった(3
[441]isothipendyl hydrochloride
塩酸イソチペンジル
[適]抗ヒスタミン薬
data未詳 妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい(10。
[395]lysozyme chloride
塩化リゾチーム
[適]消炎酵素剤
原則無影響 鶏卵白を原料とする蛋白質であり、生体防御の目的でヒト生体内にも存在する。従って、本剤に由来
する催奇形性の発生は予測しがたい。また、卵白自体、食物あるいは嗜好品として摂取されており、鶏卵の摂取量により奇形発生率の増加がみられたとする報告もみられない。
[441]methdilazine hydrochloride 塩酸メトジラジン
[適]抗ヒスタミン薬
B2 → B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデー タでは、胎児に対する有害作用の 頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。    
[225]methoxyphenamine  hydrochloride
塩酸メトキシフェナミン
[適]気管支拡張薬・喘息治療薬
data未詳 催奇形性に関する資料の入手はできなかった。
[222]l-methylephedrine hydrochloride
l-塩酸メチルエフェドリン [適]気管支拡張薬・喘息治療薬
C → C:塩酸エフェドリンとして、動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があ
ることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在
的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。
[132]phenylephrine hydrochloride
塩酸フェニレフリン
[適]局所血管収縮薬
(局所麻酔時の作用延長)
B2 →C → B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する他の直接・間接的有害作用は観察されていない?まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
C:動物による生殖試験は行われていない。本薬を妊婦に投与するとき、胎児障害を惹起するか否かは 未知である。本薬の妊婦への投与は、必要性が明確である場合にのみ限定すべきである[PDR](10。
[124]phenylpropanolamine
        hydrochloride
塩酸フェニルプロパノールアミン
(DL-塩酸ノルエフェドリン)
[適]自律神経系用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)*2002年7月PPAによる脳出血・ クモ膜下出血の報告。pseudoephedrine(PSE)への切 換え指示。
C → C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていな いもの。あるいはヒト、動物とも に試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的
な利益が胎児への潜在的危険性よ りも大きい場合にのみ使用するこ と[FDA](3。

本薬は、妊娠中あるいは授乳中の母親に使用してはならない[PDR]。8歳以下の小児には推奨で
きない[AMA-DE](10。
[441]promethazine hydrochloride 塩酸プロメタジン
[適]抗ヒスタミン薬
C → C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。
C:催奇形性はないが、その薬理作用によってヒト胎児又は新生児に有害な作用を及ぼす。又は及ぼす可能性が疑われる薬剤。妊娠後期にフェノチアジン系薬を大量に投与すると、新生児に持続性の錐体外路障害を来すことがある[ADEC](4。
[132]pseudoephedrine hydrochloride
塩酸プソイドエフェドリン[適]血管収縮剤・充血除去剤
B2→ B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する他の直接・間接的有害作用は観察されていない?まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しう
るデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4
[132]pseudoephedrine sulfate(PSE)
硫酸プソイドエフェドリン[適]血管収縮剤・充血除去剤
[124]scopolia extract
ロートエキス[適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
C → B2 → C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的
危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。 

B2
:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られて いるが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する他の直接・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
[441]thonzylamine hydrochloride 塩酸トンジルアミン[適]抗ヒスタミン薬 data未詳 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、慎重に投与すること[アナヒスト錠・散・注(小野薬品)添付文書,1978.11.改訂]
[441]tripelennamine hydrochloride
塩酸トリペレナミン
[適]抗ヒスタミン薬
C → C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的
危険性よりも大きい場合にのみ使用するこ と[FDA](3。 
[441]triprolidine hydrochloride
塩酸トリプロリジン
[適]抗ヒスタミン薬
C →A →

推定無影響

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていな いもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用するこ と[FDA](3。
A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性 多数例に使用されてきたが、使用 によって奇形発現の頻度が増加し
たという証拠は得られておらず、 ヒト胎児に対する他の直接・間接 的な有害作用も証明されていない
[ADEC](4。
[510]甘草
[適]鎮咳・去痰・鎮痙薬
原則無影響 奇形発生の危険度が高い絶対過敏期に服用した2例、絶対過敏期と相対過敏期にわたって服用した2
例及び相対過敏期に服用した1例において、健常児出産(2。
鎮痛・鎮痙薬、胃腸薬、去痰薬。種々の漢方製剤に配合されている。その意味では、現在までに妊婦が全く服用しなかったとする根拠はない。その結果、奇形児の出産が増加したとする報告もされていない。また、甘草は植物本体を摂取する事例があるが、その
結果、奇形児の出生が増加したとの報告もされていない。また、本品を食品として摂取する地方もあり、奇形発生が地域に偏在して発現したの報告もされていない。
[510]荊芥(けいがい)
[適]消炎・排膿薬
data未詳 荊芥連翹盪に配合。配合剤の添付文書中に「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には慎重投与」の記載がされている。
本剤の適応症である「蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび」から判断して、現在までに妊娠初期
又は妊娠期間中に本薬を服用した症例が全くないとは考えられず、たその結果、奇形発生が増加したとする報告も知られていない。
[510]細辛
[適]鎮咳・去痰・鎮痛薬
data未詳 小青竜盪に配合されており、配合剤の添付文書中に「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には慎重投与」の記載がされている。
本剤の「気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、感冒」等の適応症から、現在までに妊娠初期又は妊娠期間中に本薬を服用した症例が全くないとは考えられず、またその結果、奇形発生がみられたとする報告も知られていない。
[510] 生姜[適]健胃薬 原則無影響 ■本草綱目に妊婦禁忌の記載(2 。 奇形発生の危険度が高い絶対過敏期に服用した17例、相対過敏期に服用した1例において、いずれも健常児出産(2。
健胃薬。健胃薬の配合成分。その意味では、現在までに妊婦が全く服用しなかったとする根拠はない。その結果奇形児の出産が増加したとする報告もされていない。なお、ショウガは、食物として摂取されるが、本品の摂食により奇形児の出生が増加したとする報告もされていない。
[510]辛夷
[適]鎮静・鎮痛薬
data未詳 辛夷清肺湯に配合されており、配合剤の添付文書中に「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には
慎重投与」の記載がされている。

本剤の「鼻づまり、慢性鼻炎」等の適応症から、現在までに妊娠初期又は妊娠期間中に本薬を服用し
た症例が全くないとは考えられず、またその結果、奇形発生がみられたとする報告も知られていない。
[510]前胡[適]解熱・鎮痛・鎮咳・去痰薬 data未詳 参蘇飲(ジンソイン)に配合。配合剤の添付文書中に「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には慎重投与」の記載がされている。 本剤の適応症である「感冒、せき」から判断して、現在までに妊娠初期又は妊娠期間中に本薬を服用
した症例が全くないとは考えられず、またその結果、奇形発生が増加したとする報告も知られていない。
[510]びゃくし[適]鎮痛薬 data未詳 荊芥連翹盪に配合。配合剤の添付文書中に「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には慎重投与」の記載がされている。     
本剤の適応症である「蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび」から判断して、現在までに妊娠初期又は妊娠期間中に本薬を服用した症例が全くないとは考えられず、またその結果、奇形発生が増加したとする報告も知られていない。

[015.11.TER: 1998.4.10.古泉秀夫・2003.12.25.改訂]


  1. JAPIC・編:一般薬日本医薬品集;薬業時報社,1998-99
  2. 高久 史麿・他編:治療薬マニュアル;医学書院,1998
  3. 佐藤 孝道・他編:妊娠と薬;薬業時報社,1992
  4. 雨森 良彦・監修:妊娠中の投薬とそのリスク;医薬品・治療研究会, 1993
  5. 第十二改正日本薬局方解説書;廣川書店,1991
  6. 石館 守三・他監修:第5版 食品添加物公定書解説書;廣川書店, 1987
  7. 厚生省薬務局研究開発振興課・編:JPDI;薬業時報社,1996
  8. 堀岡 正義・他:薬剤投与情報;同朋舎,1985
  9. 西村 秀雄・監:催奇形性等発生毒性に関する薬品情報 第2版;東洋 書店,1986
  10. 第六改正日本薬局方注解;南山堂,1945
  11. 辛夷清肺湯エキス顆粒添付文書,1993.11.改訂
  12. 荊芥連翹盪エキス顆粒添付文書,1995.9.改訂
  13. 小青竜盪エキス顆粒添付文書,1996.3.改訂
  14. 参蘇飲エキス顆粒添付文書,1995.12.改訂

一般用 医薬品(鎮暈剤)の催奇形性について

木曜日, 8月 16th, 2007

KW:催奇形性・催奇性・奇形児・鎮暈剤・乗物酔防止薬・つわり用薬・一般 用医薬品・OTC ・妊婦・絶対過敏期・相対過敏期

「鎮暈剤の製造(輸入)承認基準」(昭和59年6月1日)において、鎮暈剤 (乗物酔防止薬、つわり用薬含む)の有効成分・配合量等が規定されている。使用上の注意については、「日薬連申し合わせ(平成9年2月20日付)」が報告 されているが、妊婦への投与については、

「2.次の人は服用前に医師又は薬剤師に相談すること。-(2)妊婦又は妊 娠していると思われる婦人」と記載されている。

相談された医師・薬剤師が、何に依拠して回答するのか、根拠の一助とすべ く、報告されている資料の整理を行った。

  • 妊娠1カ月:最終月経の開始日を0週0日とし、4週間が1カ月、0週0日-3週6日まで
  • 妊娠2カ月:4週0日-7週6日まで
  • 安 全 期:月経周期28日型の場合、月経初日から33日目(3週末まで)→残留性のない薬剤の場合、催奇 形性の可能性はない。
  • 絶対過敏期:最終月経開始日から28日-50日目(妊娠4週-7週末まで→胎児の中枢神経、心臓、消化器、 四肢などの重要臓器が発生・分化し、催奇形に対し最も敏感な時期。)
  • 相対過敏期:51日-84日目
[分類]・薬剤名  評 価 概要
[112]allylisopropylacetylurea
アリルイソプロピルアセチル尿素
[適]催眠・鎮静薬
D → D:ブロム化合物。ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、危険であっても妊婦への使
用による利益が容認されているもの(例えば、生命が危険にさらされているとき、又は重篤な疾病で安全な薬剤が使用できないとき、あるいは効果がないとき、
その薬剤をどうしても使用する必要がある場合)[FDA薬剤胎児危険度分類基準](3。

奇形発生の危険度が高い絶対過敏期に、本剤を服用した6例は、いずれも健常児を出産(3。
鶏胚を用いた尿素系催眠剤の実験では、催奇形作用は認められなかった(3。
[211]aminophylline アミノフィリン
[適]強心薬(キサンチン系)
C →
推定無影響
C:動物生殖試験では、胎児に催奇形性、胎児毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的
危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA薬剤胎児危険度分類基準](3。

第1三半期にテオフィリンあるいはアミノフィリンを服用した193例に関する調査では、催奇形と の相関はみられなかった。 喘息治療の妊婦に継続使用されてきたが、奇形の危険性を増大させるとの報告はない。このためテオフィリンは、妊婦の喘息治療に使用する第一次選択薬剤であるとされている(3。
[124]anisotropin methylbromide(methyloctatropine bromide)
臭化メチルアニソトロピン(臭化メチルオクタトロピン)
[適]自律神経系作用薬 (鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
C → C:動物生殖試験では、胎児に催奇形性、胎児毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA薬剤胎児危険度分類基準](3。      
[124]belladonna extract ベラドンナエキス
[適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
B2 → B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
[112]bromvalerylurea
ブロムワレリル尿素
[適]催眠・鎮静薬
D → D:allylisopropylacetylureaの項参照。 鶏胚を用いた尿素系催眠剤の実験では、催奇形作用は認められなかった(3。

妊婦への使用について、催奇形性を示唆する症例も疫学調査も報告されていない。また、本剤と催奇形の因果関係を否定する疫学調査も報告されていない(3。
胎児障害の可能性があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい(5。
妊娠ラット・マウスへの投与で、奇形発生数等で対照群と比較し差異は認められていない(5。
[211]caffeine
カフェイン
[適]強心薬(キサンチン系)
B → A →

推定無影響

B:動物生殖試験では、胎児への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験は実施されていないもの。あるいは動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期3カ月の対照試験は実施されていない。またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの[FDA薬剤胎児危険度分類基準](3。
A:妊娠又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加
したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する直接的・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

   妊婦への使用について、催奇形性を示唆する症例も疫学調査も報告されていない。また、本剤と催奇
形の因果関係を否定する疫学調査も報告されていない。一方、コーヒー摂取と催奇形の因果関係を否定する疫学調査が報告(3。

1日量1,100?1,770mgの本薬を摂取した妊婦3名が出産した児に、両側欠指趾症、両側
又は一側性の指趾末節骨の欠損、顎前骨の低形成、鼻孔狭小、口蓋閉鎖不全等の奇形がみられた(3。

12,205名の妊婦を対象とした、コーヒーの摂取と子供の異常に関する調査がある。妊娠第1三 半期に1日4杯以上のコーヒー摂取と、低出生体重、早産、奇形との間に何ら関係は認められなかった(3。
動物とヒトの妊娠結果に及ぼすカフェインの影響について、120の文献を再評価した研究
(1988年)の結果、少量のカフェイン摂取が胎児に明らかな危険をもたらすことはないが、1日300mg以下の摂取に限定すれば、発育遅延の可能性も減
少と結論づけている(3。
[211]caffeine citrate
クエン酸カフェイン
[適]強心薬(キサンチン系)
[313]calcium pantothenate
パントテン酸カルシウム [適]ビタミン剤
A → C

原則無影響

A:ヒトの妊娠3カ月の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも危険で
あるという証拠はないもの。ただし、推奨されている1日投与量以上又は服用期間によっては→Cの可能性[FDA薬剤胎児危険度分類基準](3。

原則的には食品からも摂取されるが、パントテン酸カルシウム含有量の多い食品を摂取したことにより奇形発生率が増加したとする報告は知られていない。
[121]cerium oxalate
シュウ酸セリウム
[適]鎮静・鎮吐
data未詳 鎮吐薬として悪阻に使用されるが、水に不溶性で、内服後吸収されないで局所に作用して嘔吐反射を抑えるものと考えられる。確実な作用機序は不明(7。
[441]d-chlorpheniramine maleate d-マレイン酸クロルフェニラミン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
C →
A →
推定無影響
C:aminophyllineの項参照。
A:caffeineの項参照[ADEC](4。
妊婦の使用に関して催奇形性・胎児毒性を示唆した症例報告あるいは疫学調査はない(3。
クロルフェニラミンに、体内で曝露された児に、先天性の奇形がみられる頻度は、増加しないとのレ
トロスペクティブな調査報告がある(3

50,282組の母子に関する調査で、第1三半期に1,070例が本剤に曝露されていた。また、
妊娠中のいずれかの時期に本剤に曝露された母子は3,931組あった。何れの群も催奇形との関連を示唆する証拠は認められなかった。数種の奇形と関連して
いる可能性がみられたが、統計的に有意であるかどうか明らかでない(3。
[441]dl-chlorpheniramine maleate
dl-マレイン酸クロルフェニラミン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
[123]dicyclomine hydrochloride(dicycloverine hydrochloride)
塩酸ジサイクロミン(塩酸ジシクロベリン)
[適]自律神経系作用薬・抗痙攣剤
鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
data未詳 奇形児におけるいくつかの問題が予想されてきたが、過去の研究では胎児に影響を与えるという証拠
はない(7。
[133]difenidol hydrochloride
塩酸ジフェニドール
[適]抗めまい薬(脳血管拡張薬)
data未詳 規定した資料に、該当する記載はない(5。
妊娠マウス・ラット及び胎児に30?200mg/kgを6日間連続投与した結果、大量投与群で母
体に散瞳がみられたが、妊娠期間中の母体体重、摂餌量及び主要臓器に異常を認めず、胎児、新生児に対する影響も対照群との間で有意の差はみられなかった
(5。
[133]dimenhydrinate ジメンヒドリナート
[適]抗めまい薬(抗ヒスタミン薬)
・鎮吐薬
B →

A → 推定無影響

B:caffeineの項参照。
A:caffeineの項参照[ADEC](4。
50,282組の母子の調査では、第1三半期に319組の母子が本薬に曝露されていた。股、妊娠
中のいずれかの時期に本薬に曝露された母子が697組あった。何れの群も催奇形との関連性を示唆する証拠は認められなかった。鼠径ヘルニア、血管系の奇形
と関連する可能性はみられたが、統計的な有意差は不明(3。
[441]diphenhydramine fumarate
フマル酸ジフェンヒドラミン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
C →
A →
推定無影響
C:aminophyllineの項参照。
A:caffeineの項参照[ADEC](4。
50,282組の母子に関する調査では、第1三半期に595組が本薬に曝露されていた。また、妊
娠中の何らかの時期に本薬に曝露された母子が2,948組あったが、何れの群も奇形と関連性を示唆する証拠は認められなかった。数種の奇形と関連している
可能性はあるが、統計的に有意かどうかは不明(3。

599例の口蓋裂を有する子供群と590例の口蓋裂のない子供群を比較した調査では、第1三半期に子宮内でジフェンヒドラミンに曝露されたのは、前者20例、後者6例と有意差がみられた。母親のジフェンヒドラミン服用と口蓋裂の発生に統計的に有意な関連が認められたの報告(3。
1971年に行われた奇形を有する児に関する調査では、第1三半期に抗ヒスタミン剤に曝露された児に奇形のみられる頻度は対照群と比較してむしろ少なかったと報告されている。この調査ではジフェンヒドラミンは2番目に繁用されていた(3。
6,509人の母親の調査で、第1三半期に本剤を服用した270例では、薬剤の使用と催奇形に関
連性は認められなかった(3。

妊娠中にジフェンヒドラミンを毎日150mg/kg服用していた母親から産まれた子供に、離脱症
状として、全身の震えと下痢が発生したとの報告がある。フェノバルビタールによる治療で症状は改善(3。
[441]diphenhydramine hydrochloride
塩酸ジフェンヒドラミン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
[441]diphenhydramine salicylate
サリチル酸ジフェンヒドラミン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
[441]diphenhydramine tannaate
タンニン酸ジフェンヒドラミン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
[124]diphenylpiperidinomethyldioxolan iodide
ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン [適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
data未詳 妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(9。
[441]diphenylpyraline hydrochloride
塩酸ジフェニールピラリン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
B2 → B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加は
なく、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的有害作用は観察されていない-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
妊婦への使用について、催奇形性を示唆する症例報告も疫学調査もない。50,282組の母子に関
する調査で、使用例の少ないその他の抗ヒスタミン剤として本剤を含む12種の薬剤を服用した 113例の調査結果があげられている。これらの薬剤に妊娠初期4カ月間に曝露されたことにより奇形の発生頻度は増加しないと報告。113例中本薬に曝露さ
れた母子は1組(3。 

奇形発生の頻度が高い妊娠初期に、本剤を服用した4例は、何れも健常児を出産(3。
[441]diphenylpyraline teoclate
テオクル酸ジフェニールピラリン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
[211]diprophylline
ジプロフィリン [適]強心薬(キサンチン系)
A → A:妊娠又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する直接的・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。
本薬と構造及び作用の近似したテオフィリンでは、奇形発生の危険度の高い妊娠初期に服用した193例についての調査報告があるが、奇形との相関はみられていない(3。
[121]ethyl aminobenzoate
アミノ安息香酸エチル
[慣用名:アネステジン、ベンゾカイン]
[適]健胃消化薬(局所麻酔薬)
data未詳 benzocaine(パラアミノ安息香酸(PABA)誘導体エステル型局所麻酔剤)については、妊婦への投与に関する問題は実証されていない。大抵の局所適用する麻酔剤の試験は、動物、ヒトについて行われていない(7。 妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性がある婦人には、 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する(5。
[121]ethyliperidinoacetyl-
      aminobenzoate
ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル [適]健胃消化薬(局所麻酔薬)
data未詳
[441]fenethazine tannate
タンニン酸フェネタジン
[適]抗アレルギー薬 (抗ヒスタミン薬)
data未詳 ?
[124]hyoscyaminum l-methylbromide
臭化メチル-l-ヒヨスチアミン [適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
B2 → B2:belladonna extractの項参照(4。
妊娠中の本剤服用によって、催奇形性は認められなかったとの疫学調査がある。一方、妊婦が非経口
的にスコポラミンを使用した場合、胎児及び新生児に頻脈などの影響がみられたの報告がある(3。

50,282組の母子の調査では、妊娠第1三半期にスコポラミン、アトロピン、ヒヨスチアミンをそれぞれ309例、401例、322例の妊婦が使用。何れの群でも薬剤使用と催奇形との関連は認められなかった(3。
スコポラミンは速やかに胎盤を通過。満期妊婦への投与により胎児に頻脈、心拍細変動の低下、心拍
数減少の抑制を起こした(3。
[124]isopropamide iodide
ヨウ化イソプロパミド
[適]自律神経系作用薬 (鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
data未詳
推定無影響
妊婦への使用について、催奇形を示唆する症例及び疫学調査報告はない。50,282組の母子に関
する調査では、妊娠第1三半期にヨウ化イソプロパミドに曝露された1,071例について催奇形性との関連を示唆する証拠はみられなかった(3
[133]meclizine hydrochloride
塩酸メクリジン
[適]抗めまい薬(抗ヒスタミン薬)
・鎮吐剤
B →

A →

B:caffeineの項参照。
B:caffeineの項参照[ADEC](4。
A:meclizine及びその他の関連化合物は、動物で催奇形性があることが知られている。ヒト
での臨床試験では、常用量の範囲内では妊婦に投与しても奇形の発現率は統計的に有意の増加を示していない[ADEC](4。

妊娠中の本剤投与と口唇裂、口蓋裂などの奇形の発生の関連性を示唆したいくつかの報告があった。 しかし、その後の大規模調査では、何れも本剤のヒトにおける催奇形性は認められなかった(3。 50,282組の母子調査で、第1三半期に1,014組の母子が本薬に曝露されていた。また妊娠
中のいずれかの時期に本薬に曝露された母子が1,463組あった。何れの群も催奇性との関連を示唆する証拠は認められなかった。いくつかの催奇形性と関連する可能性がみられたが、統計的な有意性は確認できなかった(3。

妊娠中の本剤使用に関する疫学調査の再評価に基づき、FDAは本薬の妊娠中の使用制限を支持する情報はないと結論づけている(3。
[233]mentha oil
ハッカ油 [適]芳香性健胃薬
data未詳
原則無影響
本薬は芳香健胃薬の配合剤として用いられており、現在までに妊娠初期あるいは妊娠期間中に全く服用した事例がないとは考えられない。また、その結果、特に奇形児の発生率が上昇したとする疫学調査結果も報告されていない。食品あるいは嗜好品中にも添加
されているものがあり、それを理由として奇形児発生の増加は報告されていない。
[233]dl-menthol
dl-メントール
[適]芳香性健胃薬
[233]l-menthol l-メントール
[適]芳香性健胃薬
[124]methylbenactyzium bromide
臭化メチルベナクチジウム
[適]自律神経系作用薬 (鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
data未詳 妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性がある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与 する(5。  
[124]methylscopolamine bromide 臭化メチルスコポラミン
[適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
C →
B2 →
C:aminophyllineの項参照。 B2:belladonna extractの項参照(4。
妊娠中の本剤服用によって、催奇形性は認められなかったとの疫学調査がある。一方、妊婦が非経口
的にスコポラミンを使用した場合、胎児及び新生児に頻脈などの影響がみられたの報告がある(3。

50,282組の母子の調査では、妊娠第1三半期にスコポラミン、アトロピン、ヒヨスチアミンを
それぞれ309例、401例、322例の妊婦が使用。何れの群でも薬剤使用と催奇形との関連は認められなかった(3。

スコポラミンは速やかに胎盤を通過。満期妊婦への投与により胎児に頻脈、心拍細変動の低下、心拍数減少の抑制を起こした(3。
[124]metixene hydrochloride
塩酸メチキセン
[適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
data未詳 動物での繁殖試験では、陰性であるとはいえ、妊娠期間中の安全性の臨床的確認が行われるまでは、本剤の妊娠可能な婦人への使用は、医師が使用の利益性と危険性とを比較した結果、服用の可否を判断した場合を除き使用すべきでない(9。
[313]nicotinamide
ニコチン酸アミド
[適]ビタミン剤
A → C
B2 → 
原則無影響
A:calcium pantothenateの項参照。
B2:belladonna extractの項参照(4。 原則的には食品からも摂取されるが、ニコチン酸アミド含有量の多い食品を摂取したことにより奇形発生率が増加したとする報告は知られていない。 
[124]oxyphencyclimine
       hydrochloride
塩酸オキシフェンサイクリミン [適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
B2 → B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的有害作用は観察されていない-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデー タでは、胎児に対する有害作用の 頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
[124]papaverine hydrochloride
塩酸パパベリン
[適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
A → A:妊娠又は妊娠可能な年齢層の女性 多数例に使用されてきたが、使用 によって奇形発現の頻度が増加したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する直接的・間接的
な有害作用も証明されていない[ADEC](4。
[441]pheniramine maleate
マレイン酸フェニラミン
[適]抗アレルギー薬 (抗ヒスタミン薬)
A → A:妊娠又は妊娠可能な年齢層の女性 多数例に使用されてきたが、使用 によって奇形発現の頻度が増加したという証拠は得られておらず、 ヒト胎児に対する直接的・間接的 な有害作用も証明されていない[ADEC](4。
[441]promethazine hydrochloride
塩酸プロメタジン
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
C →

C →

C:aminophyllineの項参照。
C:催奇形性はないが、その薬理作用によって、胎児や新生児に有害作用を及ぼす。又は及ぼす可能性が疑われる薬剤。
妊娠後期にフェノチアジン系薬を大量に投与すると、新生児に持続性の錐体外路障害を来すことがあ
る[ADEC](4。

妊婦の使用について、催奇形性を示唆する症例報告も疫学調査もない(3。
先天性奇形を有する836人の乳児に関する調査で、妊娠第1三半期に母親が本薬を使用した群と使
用しなかった836人の対照群との間に有意差は認められなかった(3。
50,282組の母子に関する調査で、妊娠第1三半期に本剤に曝露され14人の新生児に奇形発生の危険度の増加はみられなかった(3
*妊娠第1三半期に本薬に曝露された165例に関する調査では、奇形発生 との相関は認められなかった(3。
陣痛期にプロメタジン及びペチジンが投与された母親から産まれた新生児に、血小板凝集能の障害が
起きた(3。
[441]promethazine methylendisalicylate
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
[適]抗アレルギー薬
(抗ヒスタミン薬)
[124]scopolamine hydrobromide 臭化水素酸スコポラミン
[適]自律神経系作用薬
(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
C →
B2 →
C:aminophylline の項参照。
B2:belladonna extractの項参照(4。
妊娠中の本剤服用によって、催奇形性は認められなかったとの疫学調査がある。一方、妊婦が非経口的にスコポラミンを使用した場合、胎児及び新生児に頻脈などの影響がみられたの報告がある(3。

50,282組の母子の調査では、妊娠第1三半期にスコポラミン、アトロピン、ヒヨスチアミンをそれぞれ309例、401例、322例の妊婦が使用。何れの群でも薬剤使用と催奇形との関連は認められなかった(3。 スコポラミンは速やかに胎盤を通過。満期妊婦への投与により胎児に頻脈、心拍細変動の低下、心拍数減少の抑制を起こした(3。
[124]scopolia extract
ロートエキス
[適]自律神経系作用薬 (鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)
C →
B2 →
C:aminophyllineの項参照。
B2:belladonna extractの項参照(4。
[234]sodium bicarbonate
炭酸水素ナトリウム
[適]制酸剤
data未詳 ヒトにおける報告はないが、慢性的な使用は全身性アルカローシスになるおそれがある。また、ナトリウム貯留により浮腫や体重増加のおそれがあるので、治療の有益性が危険性を上回るか否かを考慮する(5。
[211]theophylline
テオフィリン [適]強心薬(キサンチン系)
C →

A →
推定無影響

C:aminophyllineの項参照。 A:caffeineの項参照[ADEC](4。
喘息治療の妊婦に継続使用されてきたが、奇形の危険性を増大させるとの報告はない。このためテオフィリンは妊婦の喘息治療に使用する第一次選択薬剤であるとされる(3。 
[312]vitamin B1
ビタミンB1及びその誘導体 [適]ビタミン剤
A → C
原則無影響
A:calcium pantothenateの項参照。
原則的には食品からも摂取されるが、ビタミンB1・B2・B6含有量の多い食品を摂取したことにより奇形発生率が増加したとする報告は知られていない。 
[312]vitamin B2
ビタミンB2 [適]ビタミン剤
A →
原則無影響
[312]vitamin B6
ビタミンB6 [適]ビタミン剤
A → C
原則無影響

[015.11.TER:1998.4.3. 古泉秀夫・2003.12.14.改訂]


  1. JAPIC・編:一般薬日本医薬品集;薬業時報社,1998-99
  2. 高久 史麿・他編:治療薬マニュアル;医学書院,1998
  3. 佐藤 孝道・他編:妊娠と薬;薬業時報社,1992
  4. 雨森 良彦・監修:妊娠中の投薬とそのリスク;医薬品・治療研究会, 1993
  5. 厚生省薬務局研究開発振興課・監:JPDI;薬業時報社,1996
  6. 高木 敬次郎・他:薬物学;南山堂,1987
  7. 堀岡 正義・他監訳:薬剤投与情報;同朋舎,1985
  8. 第十二改正日本薬局方解説書;廣川書店,1991
  9. 西村 秀雄・監:催奇形性等発生毒性に関する薬品情報 第2版;東洋書 店,1986

一般用医薬品(外用痔疾用薬)の催奇形 性について

木曜日, 8月 16th, 2007

KW:催奇形性・催奇性・奇形児・外用痔疾用薬・一般用医薬品・OTC ・妊婦・絶対過敏期・相対過敏期

「外用痔疾用薬製造(輸入)承認基準」(平成7年3月22日改正)におい て、外用痔疾用薬の有効成分・配合量等が規定されている。使用上の注意については、平成7年3月22日付文書が報告されているが、妊婦への投与については、「2.次の人は使用前に医師又は薬剤師に相談すること。-(3)妊婦又は妊 娠していると思われる婦人[坐剤(軟カプセル剤を含む。以下同じ)及び注入の用法をもつ軟膏剤]」と記載されている。

相談された医師・薬剤師が、何に依拠して回答するのか、根拠の一助とすべく 報告されている資料の整理を行った。

  • 妊娠1カ月:最終月経の開始日を0週0日とし、4週間が1カ月、0週0日-3週6日まで
  • 妊娠2カ月:4週0日-7週6日まで
  • 安 全 期:月経周期28日型の場合、月経初日から33日目(3週末まで)→残留性のない薬剤の場合、催奇 形性の可能性はない。
  • 絶対過敏期:最終月経開始日から28日-50日目(妊娠4週-7週末まで→胎児の中枢神経、心臓、消化器、 四肢などの重要臓器が発生・分化し、催奇形に対し最も敏感な時期。)
  • 相対過敏期:51日-84日目
[分類]・薬剤名 評価 概要
[261]acrinol(ethacridin lactate)

アクリノール(乳酸エタクリジン)

[適]殺菌消毒薬

data未詳 規定した資料に、該当する記載がない(8。消化管 からの吸収は極めて悪い。200mg経口投与時、投与6?12時間後に最高血漿中濃度40?50ng/mL(5。
[261]alkylpolyaminoetilglycine

(Tego-51)

アルキルポリアミノエチルグリシン

[適]殺菌消毒薬

data未詳 ■本薬は陰・陽両イオンが共存する両性界面活性剤で優れた洗浄力・殺菌力を有する。

■本薬を主成分とする洗眼剤の添付文書中に、妊婦への使用に関する注意事項は記載されていない。ま た消毒剤の添付文書中に、妊婦への使用に関する注意事項は記載されていない。

[262]allantoin

アラントイン

[適]組織修復剤

data未詳 ■アラントイン=グリオキシルジウレイド、5-ウレイドヒダントイン。尿素。プリン体の代謝産物。 生体内では尿酸のウリカーゼによる酸化によって作られる。ヒトや霊長類を除く哺乳動物では、この酵素が肝臓にあるので、プリン代謝の最終産物である。

■生体内で、生成されるとすれば、原則的には、奇形発現の原因物質とはなり得ないのではと推定され る。

[262]aluminum chlorhydroxy allantoinate(alcloxa)

アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート(アルクロキサ)

[適]組織修復剤

data未詳 ■アルクロキサの褥瘡・皮膚潰瘍治療剤の添付文書中に、妊婦への投与に関する注意事項は記載されて いない。また、本薬はアラントインの形で経皮吸収されるの報告。

■本薬の組織修復作用を期待して散布剤の市販がされている。現在までに本剤が妊娠初期又は妊娠期間 中の女性に全く使用された経験がないとは考えられず、その結果として奇形児出生率の増加が見られたとする報告も知られていない。

[264]dried aluminumpotassium sulfate乾燥硫酸アルミニウムカリウム(明礬)

[適]局所収斂・分泌抑制作用

原則無影響 ■漬物類、煮物類の保色剤として使用。浄水剤(6。

■漬物類の保色剤・浄水剤として使用等から、妊娠初期又は妊娠中の女性が過去に全く曝露された経験 がないとは考えられない。またその結果奇形児の出生率が増加したとする報告も知られていない。

[261]benzalkonium chloride

塩化ベンザルコニウム

[適]殺菌消毒薬

data未詳 ■妊婦・授乳婦への投与:規定した資料に、該当する記載がない(8。
[261]berberine chloride

塩化ベルベリン

[適]殺菌消毒薬

data未詳 ■妊婦・授乳婦への投与:規定した資料に、該当する記載がない(8
[121]p-butylaminobenzoyl diethylaminoethyl hydrochloride

塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル

[適]局所麻酔薬

data未詳 ■催奇形性に関する資料は不明。
[264]d-camphor

d-カンフル

[適]消炎・鎮痛・鎮痒薬

data未詳 ■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治 療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する。
[264]dl-camphor

dl-カンフル

[適]消炎・鎮痛・鎮痒薬

[261]cetrimide

セトリミド

[適]殺菌消毒薬

data未詳 催奇形性に関する資料は不明。
[261]cetylpyridinium chloride

塩化セチルピリジニウム

[適]殺菌消毒薬

A →

推定無影響

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したいう証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC]。

■本薬のトローチ剤の添付文書中に、妊婦への投与に関する注意事項は記載されていない。

■本薬の抗菌作用を期待して、トローチ剤の市販がされている。現在までに本剤が妊娠初期又は妊娠期 間中の女性に全く使用された経験がないとは考えられず、その結果として奇形児出生率の増加が見られたとする報告も知られていない。

[261]chlorhexidine gluconate

グルコン酸クロルヘキシジン

[適]殺菌消毒薬

A →

推定無影響

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC]。

■塩酸クロルヘキシジンを成分とするトローチ剤の添付文書中に、妊婦への投与に関する注意事項は記 載されていない。

■本薬の抗菌作用を期待してトローチ剤の市販がされている。現在までに本剤が妊娠初期又は妊娠期間 中の女性に全く使用された経験がないとは考えられず、その結果として奇形児出生率の増加が見られたとする報告も知られていない。

[261]chlorhexidine hydrochloride

塩酸クロルヘキシジン

[適]殺菌消毒薬

[441]chlorpheniramine maleate

マレイン酸クロルフェニラミン

[適]抗ヒスタミン薬

C →

A→

推定無影響

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA]。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC]。

■妊婦の使用に関して催奇形性・胎児毒性を示唆した症例報告あるいは疫学調査は ない(3。

■クロルフェニラミンに体内で曝露された児に、先天性の奇形がみられる頻度は増 加しないとのレトロスペクティブな調査報告がある(3

■50,282組の母子に関する調査で、第1三半期に1,070例が本剤に曝露されていた。また、 妊娠中のいずれかの時期に本剤に曝露された母子は3,931組あった。何れの群も催奇形との関連を示唆する証拠は認められなかった。数種の奇形と関連している可能性がみられたが、統計的に有意であるかどうか明らかでない(3。

[311]cod liver oil

肝油・強肝油

[適]ビタミンA欠乏症治療剤

data未詳

ビタミンAとして1日推奨許容量の範囲内であれば、原則無影響

■本品はマダラ又はスケトウダラの新鮮な肝臓及び幽門垂から得た脂肪油であると局方中に規定。両魚 の肝臓等は食物としても摂食されており、その意味では妊娠初期又は妊娠期間中の女性が全く曝露される機会がないとは考えられない。また、タラ肝臓の摂食により奇形児の発生がみられたとする報告も知られていない。
[264]crotamiton

クロタミトン

[適]消炎・鎮痛・鎮痒薬

C → C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用[FDA]。

■本薬に関する動物での生殖試験は行われていない。本薬を妊婦に投与するとき、胎児障害を起こすか 否か、あるいは受胎能力に影響を及ぼすか否かは未知である。本薬を妊婦に投与する場合は、明確に必要である場合に限るべきである[PDR]。

[261]dequalinium chloride

塩化デカリニウム

[適]殺菌消毒薬

推定無影響 ■本薬はグラム陽性菌、真菌などに抗菌作用を示す。本薬のトローチ剤の添付文書中に妊婦への投与に 関する注意事項は記載されていない。

■本薬の抗菌作用を期待してトローチ剤の市販がされている。現在までに、本剤が妊娠初期又は妊娠期 間中の女性に全く使用された経験がないとは考えられず、その結果として奇形児出生率の増加が見られたとする報告も知られていない。

[121]dibucaine

ジブカイン

[適]局所麻酔薬

  ■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(8。
[121]dibucaine hydrochloride

塩酸ジブカイン

[適]局所麻酔薬

[264]dimethyl isopropylazulene

(guaiazulene)

ジメチルイソプロピルアズレン

(グアイアズレン)

[適]消炎・鎮痛・鎮痒薬

推定無影響 ■カミツレ(Matricaria chamomilla L.)は、菊科植物で古くより民間薬として諸種の疾患に使用されている。カミツレの有効成分アズレン(azulene)は、特有の七員環構造を持つ化合物で、炎症組織に対する直接作用と各種の起炎物質に対する抑制作用を示す。グアイアズレンはアズレンの一種である(19・20。

■古くから外国において民間薬として使用されてきたということであり、この間に 妊娠初期又は妊娠期間中の女性が本薬に全く汚染される機会がなかったとは考え難い。また、そのことを理由として、奇形児出生率の増加が見られたとする報告は知られていない。

■本薬軟膏剤の添付文書中に、催奇形性に関する記載はされていない。

[441]diphenhydramine

ジフェンヒドラミン

[適]抗ヒスタミン薬

C →

A →

推定無影響

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA]。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない [ADEC]。

■50,282組の母子に関する調査では、第1三半期に595組が本薬に曝露されていた。また、妊 娠中の何らかの時期に、本薬に曝露された母子が2,948組あったが、何れの群も奇形と関連性を示唆する証拠は認められなかった。数種の奇形と関連している可能性はあるが、統計的に有意かどうかは不明(3。

■599例の口蓋裂を有する子供群と590例の口蓋裂のない子供群を比較した調 査では、第1三半期に子宮内でジフェンヒドラミンに曝露されたのは、前者20例、後者6例と有意差がみられた。母親のジフェンヒドラミン服用と口蓋裂の発生に統計的に有意な関連が認められたとの報告(3。

■1971年に行われた奇形を有する児に関する調査では、第1三半期に抗ヒスタ ミン剤に曝露された児に奇形のみられる頻度は対照群と比較してむしろ少なかったと報告されている。この調査ではジフェンヒドラミンは2番目に繁用されていた(3。

■6,509人の母親の調査で、第1三半期に本剤を服用した270例では、薬剤の使用と催奇形に関 連性は認められなかった(3。

■妊娠中にジフェンヒドラミンを毎日150mg/kg服用していた母親から産まれた子供に、離脱症 状として、全身の震えと下痢が発生したとの報告がある。フェノバルビタールによる治療で症状は改善(3。

[441]diphenhydramine hydrochloride

塩酸ジフェンヒドラミン

[適]抗ヒスタミン薬

[441]diphenylpyraline hydrochloride

塩酸ジフェニールピラリン

[適]抗ヒスタミン薬

B2 → B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加は なく、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC]。

■妊婦への使用について、催奇形性を示唆する症例報告も疫学調査もない。50,282組の母子に関 する調査で、使用例の少ないその他の抗ヒスタミン剤として本剤を含む12種の薬剤を服用した 113例の調査結果があげられている。これらの薬剤に妊娠初期4カ月間に曝露されたことにより奇形の発生頻度は増加しないと報告。113例中本薬に曝露された母子は1組(3。

■奇形発生の頻度が高い妊娠初期に本剤を服用した4例は、何れも健常児を出産(3。

[222]ephedrin hydrochloride

塩酸エフェドリン

[適]局所血管収縮薬

C →

A →

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA]。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない [ADEC]。

[245]epinephrine

エピネフリン液

[適]局所血管収縮薬

C → C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA]。
[121]ethyl aminobenzoate

アミノ安息香酸エチル

[適]局所麻酔薬

data未詳 ■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(8。
[264]eucalyptus oil

ユーカリ油

[適]消炎・鎮痛・鎮痒薬[賦香料]

data未詳 ■本薬はEucalyptus globulus Labillardiere又はその近縁植物(Myrtaceae)の葉を水蒸気蒸留して得た精油である。主成分はcineole (eucalyptol)約70%以上であり、その他p-cymene、terpineol 、cuminal、pineneなどであるが、品種によりcineole以外の含有成分に大差がある。少量成分として、低級脂肪族アルデヒド、 phellandrene、phellandral及びセスキテルペンなどが含まれる。
[264]glycyrrhetic acid

グリチルリチン酸

[適]消炎・鎮痛・鎮痒薬

原則無影響 ■食品添加物としてのグリチルリチン酸は、甘草又は同属植物を原料として作る。現在はナトリウム塩 として精製したものを使用することは稀で、甘草エキス又はエキスを粉末にしたものが使用される。本剤は甘草中の成分であり、味噌及び醤油の甘味料として添加されている。従って、妊娠初期又は妊娠期間中に、グリチルリチン酸に全く曝露する機会がなかったとは考えられず、またそのことにより奇形児発生率が加したとする報告も知られていない。
[263]homosulfamine

ホモスルファミン

[適]サルファ剤

B → B:サルファ剤として。動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験 は実施されていないもの。あるいは動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期3カ月の対照試験では実証されていない。又はその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの[FDA]。
[245]hydrocortisone

ヒドロコルチゾン

[適]副腎皮質ホルモン剤

C → C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA]。

■催奇形性はないが、その薬理作用によってヒト胎児又は新生児に有害な作用を及ぼす、又は及ぼす可 能性が疑われる薬剤。この作用は可逆的な場合もある。

C:動物実験で は、副腎皮質ステロイドが口蓋裂、骨格奇形など種々先天奇形を来すことはよく知られているが、ヒトに関しては当たらないようである。しかし、長期の投与では、ヒト・動物何れも胎盤重量や生体体重の減少を来すという報告がある。長期投与で新生児の副腎皮質機能が抑制される危険性を考慮すれば、その投与は母体への必要性と児に対するリスクを比較して、十分に慎重でなければならない。呼吸速迫症候群の予防のため出産前に短期間の副腎皮質ステロイドを投与することは、胎児や新生児に対しリスクを負荷することにはならないようである。また産褥期や体液負荷に伴って、本剤が母体に肺水腫を来したという報告がある [ADEC]。

■第1三半期におけるコルチゾンを服用した34組の母子の調査で、先天性奇形発生の証拠は確認でき なかった。強力ポステリザン軟膏を妊娠初期(最終月経から17?31日に4日間服用)使用した1例で、健常児出産(3。

[245]hydrocortisone acetate

酢酸ヒドロコルチゾン

[適]副腎皮質ホルモン剤

[264]ichthammol

イクタモール

[適]消炎・鎮痒薬

data未詳 ■本薬はアンモニア(2.5%以上)、硫酸アンモニウム(8.0%以下)及び総イオウ10.0%以 上を含む。

■イヒチオール(イクタモール)は、ギリシャ語の魚からきた語で、前生期の魚類と海獣の残骸を含む 石塊(歴青質頁岩)を乾留して得られるイヒチオール油である。

[261]isopropylmethylphenol

イソプロピルメチルフェノール

[適]殺菌消毒薬

data未詳 ■催奇形性に関する資料は不明。
[212]lidocaine

リドカイン

[適]局所麻酔薬

A →

推定無影響

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC]。
[212]lidocaine hydrochloride

塩酸リドカイン

[適]局所麻酔薬

[395]lysozyme chloride

塩化リゾチーム

[適]消炎酵素剤

原則無影響 ■鶏卵白を原料とする蛋白質。生体防御の目的でヒト生体内にも存在する。従って、本剤に由来する催 奇形性の発生は考え難い。また、卵白自体、食物あるいは菓子類等の嗜好品として摂取されており、鶏卵の摂取量により奇形発生率の増加がみられたとする報告もみられない。
[233]mentha oil

ハッカ油

[適]芳香性健胃薬

原則無影響 ■本薬は芳香健胃薬の配合剤として用いられており、現在までに妊娠初期あるいは妊娠期間中に全く服 用した事例がないとは考えられない。また、その結果、特に奇形児の発生率が上昇したとする疫学調査結果も報告されていない。食品あるいは嗜好品中にも添加されているものがあり、それを理由として奇形児発生の増加は報告されていない。
[233]dl-menthol

dl-メントール

[適]芳香性健胃薬

[233]l-menthol

l-メントール

[適]芳香性健胃薬

[121]mepivacaine

メピバカイン

[適]局所麻酔薬

A → A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC]。
[121]meprylcaine hydrochloride

塩酸メプリルカイン

[適]局所麻酔薬

data未詳 ■催奇形性に関する資料は不明。
[222]dl-methylephedrine hydrochloride

dl-塩酸メチルエフェドリン

[適]局所血管収縮薬

C →

A →

推定無影響

C:塩酸エフェドリンとして→動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があ ることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA]。

A:塩酸エフェドリンとして→妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用に よって奇形発現の頻度が増加したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC]。

■妊娠中の投与に関する安全性未確立-治療上の有益性(8。

[132]naphazoline hydrochloride

塩酸ナファゾリン

[適]局所血管収縮薬

  ■妊娠中の投与に関する安全性未確立-治療上の有益性(8。

■ヒトについての問題は実証されていない。本剤は全身性に吸収されるので、治療上の有益性が危険性 を上回ると判断される場合にのみ投与すること(9。

[121]oxipolyethoxydodecan

オキシポリエトキシドデカン

[適]局所麻酔薬

data未詳 ■催奇形性に関する資料は不明。
[132]phenylephrine hydrochloride

塩酸フェニレフリン

[適]局所血管収縮薬

B2 → 2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加は なく、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC]。
[245]prednisolone

プレドニゾロン

[適]副腎皮質ホルモン剤

B  →

C →

B:動物生殖試験では、胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験は実施されていな いもの。あるいは動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期3カ月の対照試験では実証されていない。又はその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの[FDA]。

C:催奇形性はないが、その薬理作用によってヒト胎児又は新生児に有害な作用を及ぼす、又は及ぼす 可能性が疑われる薬剤。この作用は可逆的な場合もある。

■動物実験では、副腎皮質ステロイドが口蓋裂、骨格奇形など種々先天奇形を来す ことはよく知られているが、ヒトに関しては当たらないようである。しかし、長期の投与では、ヒト・動物何れも胎盤重量や生体体重の減少を来すという報告がある。長期投与で新生児の副腎皮質機能が抑制される危険性を考慮すれば、その投与は母体への必要性と児に対するリスクを比較して、十分に慎重でなければならない。呼吸速迫症候群の予防のため出産前に短期間の副腎皮質ステロイドを投与することは、胎児や新生児に対しリスクを負荷することにはならないようである。また産褥期や体液負荷に伴って、本剤が母体に肺水腫を来したという報告がある[ADEC]。

■妊娠中プレドニゾロンを毎日2.5?30mg投与された喘息の母親から生まれ た小児に、奇形の発生頻度が増加したとの報告がある(3。

■妊娠中にプレドニゾロンあるいはプレドニゾンを投与された報告が多数ある。しかし、これらの薬剤 は胎児の発達にほとんど影響しない。これまでの知見から妊婦の種々の疾病をコントロールするのに、本剤を使用することが指示される(3。

[245]prednisolone acetate

酢酸プレドニゾロン

[適]副腎皮質ホルモン剤

[121]procaine hydrochloride

塩酸プロカイン

[適]局所麻酔薬

data未詳 ■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(8。

■正常分娩で、胎盤に異常のない絨毛上皮ホモジネートの遠沈渣を局麻剤と培養し、その残存量の定量 からプロカインは胎盤で分解されるとしている。また分娩時妊婦40例に1?10mg/kgを静注し、分娩後の臍帯静脈、母動脈中で測定した場合、4mg以下では胎盤血中にプロカインは見られないがPABAは2mg投与でも見られるとしている(8。

[264]purified yolk lecithin

精製卵黄レシチン

[適]消炎・鎮痛・鎮痒薬

原則無影響 ■天然物乳化剤としてマーガリン、チョコレート、キャラメル、パン、ビスケット、ケーキ、饂飩、マ カロニ、佃煮、アイスクリーム類、味噌、醤油等に使用(6。

■鶏の卵黄から精製したレシチンで、本来食品として摂取されるものであり、鶏卵の摂食により催奇形 性の発現率が増加したとする報告は知られていない。

[261]resorcin(resorcinol)

レゾルシン

[適]殺菌消毒薬

医薬品(皮膚疾患治療薬)

化粧品原料基準

殺菌、鎮痒、表皮剥離、角質溶解剤として次の疾患に:脂漏、脂漏性湿疹、 被髪部乾癬、尋常性ざ瘡、批糠性脱毛症。

data未詳 ■フェノールに類似する殺菌作用を持つが、フェノールより局所刺激性、腐食性及び毒性は弱い。二価 フェノールの殺菌作用は、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシンの順に弱くなるが毒性も低下する。濃厚液は強い疼痛を伴わずに腐食作用、角質溶解作用をもっている。本品は吸収されると解熱作用を現す。石炭酸計数:0.4。

■禁忌:過敏既往歴者、皮膚結核、真菌性皮膚疾患、単純疱疹、種痘疹、水痘、乳幼児、眼及び眼周 囲。

■副作用:長期連用・大量使用による経皮吸収により胃腸障害(悪心等)、中枢神 経障害(眩暈、痙攣等)、メトヘモグロビン血症、粘液水腫等の中毒症状。掻痒感、腫脹、水疱等の過敏症状(使用中止)。皮膚の真菌性及び細菌性感染症(使用中止)(19。

[311]retinol palmitate

パルミチン酸レチノール

[適]ビタミンA

A → X

X →

D →

1日推奨許容量の範囲内であれば推定無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨される1日投与量以上、又は服用時期によって→X。

X:動物又はヒトでの試験で、胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への 危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどん な利益よりも明らかに危険性の方が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には禁忌である[FDA]。

D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、あるい は高めたことが推定される薬、あるいは高めるであろうことが強く疑われる薬、これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。→過量のビタミンA摂取は、先天障害を引き起こすことがある。服用前にビタミンAを補う必要があるかどうかを考えること。通常、オーストラリア人の食事はビタミンAの1日標準必要量 2500 I.U.を充分に含んでいる[ADEC]。

■FDAリスクファクターでは、1日10000 I.U.以上で[X]、8000 I.U.では[A]に分類。疫学調査及び症例報告で実際に奇形が報告されている用量は、1日25000 I.U.以上、潜在的催奇形性を示す用量は1日25000I.U.以上という見解もみられる(3。

[124]scopolia extract

ロートエキス

[適]自律神経系作用薬

(鎮痙薬・粘膜分泌抑制薬)

C →

B2 →

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA]。

B2:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加は なく、ヒト胎児に対する他の直接・間接的有害作用は観察されていない- まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC]。

[263]sulfadiazine

スルファジアジン

[適]サルファ剤

B  →

C →

B:サルファ剤として。動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験 は実施されていないもの。あるいは動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期3カ月の対照試験では実証されていない。又はその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの[FDA]。

C:催奇形性はないが、その薬理作用によってひと胎児又は新生児に有害な作用を及ぼす、又は及ぼす 可能性が疑われる薬剤。この作用は可逆的な場合もある。サルファ剤は血漿アルブミンに結合したビリルビンを置換してしまうため、生後最初の1カ月間は新生児核黄疸を引き起こす場合がある。従って、できるならば妊娠最終月には、サルファ剤の投与は控えるべきである[ADEC]。

[263]sulfisomidine

スルフイソミジン

[適]サルファ剤

B  → B:サルファ剤として、動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験 は実施されていないもの。あるいは動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期3カ月の対照試験では実証されていない。又はその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はないもの[FDA]。
[263]sulfisomidine sodium

スルフイソミジンナトリウム

[適]サルファ剤

[264]tannic acid

タンニン酸

[適]局所収斂剤剤

原則無影響 ■規定した資料に、該当する記載はない(8。

■本品は通例、五倍子又は没食子から得たタンニンである。タンニン酸はゲンノショウコ、緑茶、コー ヒー等に含まれており、通常、飲料用として摂取されている。従って、妊娠初期又は妊娠中の女性が、タンニン酸に曝露される機会は多いが、そのことを理由として奇形児出生率の増加が見られたとする報告はされていない。

[139]tetrahydrozoline hydrochloride

塩酸テトラヒドロゾリン

[適]局所血管収縮薬

data未詳 ■妊娠中の使用の安全性を確立するためのヒトでの資料は不十分(10。
[315]tocopherol

トコフェロール

[適]ビタミンE

A → C

1日推奨許容量の範囲内であれば推定無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。ここに分類される薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ用いる[FDA]。

■米国・国立科学アカデミーの食品栄養協議会が勧告した、妊婦における1日推奨許容量は16mgで あり、これ以下の量を服用した場合[A]。この用量を超えて服用した場合の危険度について、危険性示唆した報告も安全性を示唆したを報告もない(3。

■トコフェロール:油脂、バター若しくはこれらを使用した食品の酸化防止剤とし て使用。日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露しなかったとは考えられない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[315]tocopherol acetate

酢酸トコフェロール

[適]ビタミンE

[311]vitamin A oil

ビタミンA油

[適]ビタミンA

A → X

D →

1日推奨許容量の範囲内であれば無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠もないもの。但し、推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって →X。

X:動物又はヒトでの試験で、胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への 危険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性の方が大きいもの。ここに分類される薬剤は、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には禁忌である[FDA]。

D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは非可逆的障害の発現頻度を高める薬、あるい は高めたことが推定される薬、あるいは高めるであろうことが強く疑われる薬、これらの薬は薬理学的な副作用を伴うこともある。→過量のビタミンA摂取は、先天障害を引き起こすことがある。服用前にビタミンAを補う必要があるかどうかを考えること。通常、オーストラリア人の食事は、ビタミンAの1日標準必要量2500I.U.を充分に含んでいる[ADEC]。

■FDAリスクファクターでは、1日10000 I.U. 以上で[X]、8000 I.U.以下では[A]に分類。疫学調査及び症例報告で実際に奇形が報告されている用量は1日25000 I.U.以上であり、潜在的催奇形性を示す用量は1日25000 I.U.以上の見解もみられる(3 。

■強化剤として使用。味噌、マーガリン、魚肉ハム・ソーセージに使用。その他、強化乳等の乳製品、 スープの素、カレールウー、ハヤシルー、チョコレートなどの菓子類に添加(6。

■日常的に摂食する食品であり、妊娠初期あるいは妊娠期間中の女性が全く曝露し なかったとは考えられない。またそのことにより奇形児出生率の増加がみられたとする報告も知られていない。

[264]yolk lecithin

卵黄油

[適]消炎・鎮痛・鎮痒薬

原則無影響 ■卵黄油は昔から家庭で作られており、健康食品として利用されてきた。大正14年発行の「家庭にお ける実際的看護の秘訣」にも心臓病、若白髪が卵黄油によって改善された例が報告されている。痔にも有効とされている。鶏卵の黄身10個から約50gの卵黄油が取れる。レシチン及びリノール酸の生理効果を期待(15。

■卵黄油は蛋白質の加熱生成物を油で抽出したものであり、健康食品として旧来使用されてきたことか ら、妊娠初期又は妊娠期間中の女性が全く曝露されたことがないとは考えられない。またそのことにより奇形児の出生率が上昇したとする報告も知られていない。

[264]zinc oxide

酸化亜鉛

[適]消炎・鎮痛・鎮痒剤

推定無影響 ■規定した資料に、該当する記載がない(8。

■グルコン酸亜鉛・硫酸亜鉛については、食品添加物として、母乳代替品に限定して強化剤としての使 用が認められている(6。

■亜鉛本体はヒトに必要な微量金属で、食物を経由して摂取されるものであり、原 則的に催奇形性は考えられない。

[510]紫根(シコン)

[適]消炎・鎮痛・鎮痒剤

推定無影響 ■本品はムラサキ(Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccarini(Boraginaceae)の根である。ナフトキノン系の色素acetylshikonin及びその同族体lithospermic acid 、青酸配糖体(lithospermoside)、allantoin 、多糖、フリルヒドロキノン誘導体などを含む。紫雲膏。

■神農本草経中品に収録、皮膚疾患用薬等に配合されてきた歴史的経過から見て、例えば経皮吸収した として、現在までに妊娠初期又は妊娠中の女性が全く曝露する機会がなかったとは考え難い。またその結果、本薬使用者に奇形児出生率の増加が見られたとする報告も知られてない。

[510]セイヨウトチノキ種子

[適]止血剤

セイヨウトチノキと呼ばれるマロニエ(ウマグリ)は、トチノキ (Aescalusturbinata Blume)と多少成分は異なるが、ドイツでは種子の水浸液を痔、子宮出血等の止血剤として使用。

推定無影響 ■動物による試験の結果、本薬を含む成分配合剤の投与により胎仔に何らの異常も認められなかった。

■セイヨウトチノキ種子乾燥エキス配合剤の添付文書中に、妊婦への投与に関する注意事項記載無し。

■本薬配合経口剤の適応として、月経障害に伴う下腹痛、腰痛があり、その意味では妊娠初期段階に気 付かずに服用した事例が皆無とは考えられない。また、本剤の服用により奇形児の出生率が増加したとする報告も知られていない。

[510]加工大蒜(ダイサン)

[適]強壮薬

原則無影響 ■大蒜(ニンニク)は、食品又は香辛料として摂食されており、現在までに妊娠初期又は妊娠中の女性 が全く曝露される機会がなかったとは考えられない。また、そのことにより奇形児の発生頻度が増加こしたとする報告も知られていない。
[510]ハマメリス

[適]消炎・鎮痛・鎮痒剤

hamamelis virginiana L.(マンサク科)の植物。アメリカマンサク。ハマメリスタンニン、フロバタンニン等を多量に含む(12%)。ハマメリスタンニンは結晶性酵素タナーゼによって没食子酸とハマメロースに分解される。この他サポニン、フラボノイド、微量の精油類を含む。ハマメリスタンニンは収斂性止瀉、収斂性消炎作用が認められる。

推定無影響 ■動物による試験の結果、本薬を含む成分配合剤の投与により、胎仔に何らの異常も認められなかっ た。

■ハマメリス皮乾燥エキス配合剤の添付文書中に、妊婦への投与に関する注意事項記載無し。

■本薬配合経口剤の適応として、月経障害に伴う下腹痛、腰痛があり、その意味では妊娠初期段階に気 付かずに服用した事例が皆無とは考えられない。また、本剤の服用により奇形児の出生率が増加したとする報告も知られていない。

[015.11.TER:1998.4.27.古泉秀夫・2003.12.28.改訂]


  1. JAPIC・編:一般薬日本医薬品集;薬業時報社,1998-99
  2. 高久 史麿・他編:治療薬マニュアル;医学書院,1998
  3. 佐藤 孝道・他編:妊娠と薬;薬業時報社,1992
  4. 雨森 良彦・監修:妊娠中の投薬とそのリスク;医薬品・治療研究会, 1993
  5. 第十二改正日本薬局方解説書;廣川書店,1991
  6. 石館 守三・他監修:第5版 食品添加物公定書解説書;廣川書店, 1987
  7. 厚生省薬務局研究開発振興課・編:JPDI;薬業時報社,1996
  8. 堀岡 正義・他:薬剤投与情報;同朋舎,1985
  9. 西村 秀雄・監:催奇形性等発生毒性に関する薬品情報 第2版;東洋 書店,1986
  10. 第六改正日本薬局方注解;南山堂,1945
  11. 薬科学大辞典;廣川書店,1990
  12. 厚生省薬務局審査第二課・監修:日本薬局方外医薬品成分規格;薬業時 報社,1989
  13. ベノプラント錠添付文書,1996.2.改訂
  14. 福山 忠男・編:健康食品便覧;食品と科学社,1995. p.126
  15. 三橋 博・監:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
  16. 第十改正日本薬局方解説書;廣川書店,1981
  17. 薬科学大辞典 第2版;廣川書店,1990
  18. 大阪府病院薬剤師会・編:医薬品要覧 第5版;薬業時報社,1992
  19. アズノール軟膏添付文書,1996.3.改訂
  20. SPトローチ明治添付文書,1996.8.改訂
  21. ダントローチ・ヒビテン添付文書,1995.6.改訂
  22. スプロールトローチ添付文書,1989.1.改訂
  23. イサロパン添付文書,1996.8.改訂
  24. イルリガール添付文書,1996.6.改訂
  25. ハイパールNo.3添付文書,1995.9.改訂

アロンアルファの毒性

木曜日, 8月 16th, 2007
対象物 『アロンアルファA(三共)』
成分 1管(0.5g)中にシアノアクリレート系のα-cyanoacrylatemonomer(α-シアノアクリレートモノマー)を含有する無色透明な液体である。溶媒は含有しない。
一般的性状 *瞬間接着剤の接着作用は、空気、圧力、また僅かな水分の存在により直ちに重合(アルキル-α-シアノアクリレートモノマー → アルキル-α-シアノアクリレートポリマー)し、硬化して接着する。
*通常使用されている『アロンアルファ』は、医療用『アロンアルファA』と同様、その成分はα-cyanoacrylate
monomer単体である。しかし、合成の過程で用いられる原料薬は、医療用『アロンアルファA』とは異なる規格のものが使用されているといわれているが、その詳細については不明である。
*接着速度:使用個所と使用量により異なるが、およそ20秒-6分程度で硬化する。*耐薬品性及び耐組織液性:接着面は、水及び有機溶媒によりほとんど影響を受けず、また体液(血清、胃液)によっても影響を受けない。
毒性 接着剤による中毒は、主として有機溶剤によると考えられる。α-cyanoacrylatemonomer単体である瞬間接着剤は、粘膜、皮膚、眼瞼等が付着する以外の毒性は殆ど無い。
その他、次の報告がされている。
シアノアクリル酸系の瞬間接着剤で、光沢のある線維等を爪に貼り付けるものが出回っているが、シアノアクリル酸によるアレルギー性の爪囲炎を起こし、爪の異栄養と脱落を起こす。シアノアクリル酸系の瞬間接着剤の成分はシアノアクリル酸メチル、-エチル、-ブチルである。接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息を起こすことがある。義歯の接着のため瞬間接着剤を使用していた39歳の男性が腸閉塞を起こし、開腹手術を行ったところ、小腸から白色粘着性の板状物が見つかり、瞬間接着剤による食餌性イレウスと診断された。
症状 経口:瞬間接着剤を服用した場合、直ちに口中や舌に付着して灰白色の斑点が生じる。咽頭や食道に到達し、付着することは殆ど無い(灰白色の斑点は自然に取れるので、そのまま様子を見る。)。
処置 経口の場合:通常、経口の場合、処置は不要。口内を水で濯ぐ。また、粘膜、皮膚、眼球、眼瞼等に付着した瞬間接着剤は、体組織を損傷することなく剥離する。
眼に入った場合:水で洗眼し、点眼液を点眼し、眼
帯をしておく。ほぼ24時間以内に眼球より剥離し、異物として取り除ける。眼を擦ることは避ける。その他直ちに流水を用いて洗眼する。洗浄後も疼痛、腫脹流涙、羞明などの症状があるときはFDA点眼液や炎症の防止に抗生物質の点眼をする。約1日程度で自然に眼球より剥離して異物(樹脂の塊)として排泄される。又は眼科を受診することでピンセット等で剥離してもらう。
事例 医療用の瞬間接着剤「アロンアルファA」を使用している時に、誤って眼に入ってしまった。この場合、どの様な処置を必要とするか。
備考 *適用上の注意-(1)使用時
2)本品は接着力が強く、組織を急速に接着するので、眼に入らないように注意すること。
3)本品が手術用具などに付着した場合は、アセトン(溶剤)で清拭すること。
文献 1)アロンアルファA添付文書,1998.10.改訂
2)鵜飼 卓・監修:第三版 急性中毒処置の手引き;薬業時報社,1999
3)国立国際医療センター薬剤部医薬品情報管理室・編:医薬品情報,26(1):42-43(1999)
4)内藤裕史:中毒百科-事例・病態・治療;南江堂,2001
調査者 古泉秀夫 記入日 2002.7.10.

エゼリン(eserin)の毒性

木曜日, 8月 16th, 2007
対象物 エゼリン(eserin)=フィゾスチグミン(physostigmine)
成分 サ リチル酸フィゾスチグミン(physostigmine salicylate)は、(毒)サリチル酸エゼリン(eserin salicylate;局6)の別名である。physostigmine
salicylateの他に『硫酸フィゾスチグミン(physostigmine sulfate)』が報告されている。別名:硫酸エゼリン。
physostigmine sulfateはphysostigmine salicylateより水に溶け易い。
一般的性状 基 原:physostigmineは、1864年Jobst及びHesseが西部アフリカ産マメ科 Physostigma venenosum Balf.fil.の種子カラバル豆(Semen
Physostigmatis)中に発見した。翌年結晶として抽出され、eserineと命名した。カラバル豆の主なalkaloidである eserineの含量は0.08-0.1%で、その他にgeneserine、eseridine、eseramine、isophsostigmine、physovenine等を含む。
Physostigma venenosumの種子カラバル豆中に含まれるインドールアルカロイド。アセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害する(抗コリンエステラーゼ薬)。この酵素阻害の結果、臓器中のアセチルコリンが増加し、副交感神経を興奮させるので、アトロピンに拮抗する。種々のカルバメート系のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の創製の基礎となった薬物である。医薬としては瞳孔 収縮に用いられる。
サリチル酸エゼリンは、無色-微黄色の光沢ある結晶で、臭いはない。空気中に長く放置すると赤色を帯びる。本品1gは水75cc、アルコール16cc、クロロホルム6cc 又はエーテル約250ccに溶ける。本品の冷飽和水溶液は中性又は微酸性で、これを放置すると暗所において も1-2時間で赤色を帯びる。本品はエゼリン塩類中で最も結晶しやすく、殆ど引瀑せず、安定な化合物で、乾燥状態では永く放置して初めて着 色する程度であるが、その水溶液あるいはアルコール溶液は、暗所に置いても容易に変化し、ことに加熱するかあるいは容器からアルカリ分が溶出するときは、著しく迅速に赤変する。純粋な遊離塩基は無色であるが、淡赤色を帯びやすい。水に難溶、アルコール、エーテル、クロロホルム、ベンゼン、CS2に易溶、石油ベンジンに溶けない。塩基の水溶液は強アルカリ性 で、空気並びに日光によって赤色を経て、暗褐色を帯びるに至るが、それは赤色結晶性の色素rubreserineを生ずるようになる。本色素の生成は空気中のNH3を吸収し、またガラスから溶出されるアルカ リでも促進され、酸性で3PO2、H2SO3、H2S、Na2S2O3あるいは発生期の水素によって脱色される。C15H21N3O2=275.35。融点:105-106℃(ベンゼンより再結 晶)。
本品は主として眼科で使用し0.2-0.5%溶液を緑内障、調節麻痺、角膜 炎、角膜潰瘍等に点眼し、虹彩後癒着にアトロピンと交互に使用する。
その他本品は回復術後に起こる急性腸麻痺(手術後腸閉塞症)に0.25-0.5mgを皮下注射すれば腸の緊張を増加させられ、また予防の意味で手術前1-2日にわたって使用する。
本品の水溶液は赤変し易いので、3%のホウ酸を加えて多少安定にする方法もあ るが、使用に際して新製する。微紅色程度のものは使用して差し支えないが、暗赤色の場合は廃棄する。
注射液はチンダル法又は濾過法で殺菌し、容器には溶出のアルカリ分のないガラスを使用する。毒薬。
常用量:1回0.3mg、1日1mg;1回0.5mg(皮下注射)。極量:1回 1mg、1日3mg。
貯 法:遮光した気密容器に貯えなければならない。
毒性 eserinは副交感神経末端の興奮性を亢進し、中枢神経系の諸中枢、例えば脳皮質の運動中枢、呼吸 中枢等を興奮の後麻痺し、末梢運動神経の末端を刺激する。また瞳孔を縮小させ、調節機の痙攣を起こし、眼内血管を収縮させ、眼圧を沈降させることがある。
従って緑内障、ことにその急性のものには眼圧沈降の作用が顕著に現れる。その収瞳作用は、虹彩後癒着の場合に、虹彩に多動性運動を与えて剥離させるために、アトロピンと交互に用いる。その他、一般収瞳の目的に使用するが、本品はアトロピンで散瞳させた瞳孔にも作用して収瞳させ得ること(ピロカルピン及びムスカリンはその場合に用いられない)また薬効が久しく持続する特徴がある。
physostigmineとして、注射又は経口での成人致死量は6mgとす る報告が見られる。
症状 使用に際しての結膜から吸収される量は少ないが、涙管から鼻、咽頭腔に流下して嚥下し、嘔吐、下痢、 発汗、頭痛、流涎、呼吸困難を起こすことがある。
病理所見は脳、肺、胃腸管の充血である。肺水腫も起こることがある。本品によ る中毒の主症状は、呼吸困難である。急性中毒:(内服、注射、粘膜塗布による)振戦、著明な蠕動亢進と便、尿の失禁、縮瞳、嘔吐、四肢の冷汗、気管支収縮による呼吸困難と喘鳴、筋肉の単収縮、失神、徐脈、痙攣、窒息あるいは徐脈による死亡。本品使用後に生命に危険のある心室性不整脈が発生した例がある。
慢性中毒:少量の反復により、急性中毒と同様な症状を呈する。
処置 急性あるいは慢性中毒の治療
1.緊急措置:拮抗剤投与までは、人工呼吸を行う。
2.拮抗剤:アトロピン2mgを緩徐に静注する。必要ならば同量を2-4時間毎に筋注し、呼吸困難をやわらげる。
予  後:アトロピンの投与が可能であれば、直ちに回復する。
予防:physostigmineを投与するときは、直ちに使用できるように アトロピンを手許に用意しておく。
経口摂取の場合:過マンガン酸カリウム(0.2%まで)で直ちに胃洗浄。人工 呼吸、痙攣抑制にグルコン酸カルシウム、痙攣にはジアゼパム5-10mgを緩徐に静注又は筋肉深く投与する。心臓不整脈にはプロプラノロールの静注。アトロピン(2mgを2-4時間おきに)静脈注射し、その後皮下注射すると筋活動と呼吸困難の反作用。しかし激しい頻脈や心臓不整脈を惹起することがあるの報告。
事例 「薬 はなんですか?」と私はたずねた。「砒素?」
「いや。まだ解剖結果の報告は受けていませんが………医師の見解ではエゼリンだそうです」
「ちょっと変わっているな。それじゃ、買い手を捜すんだってわけないでしょう?」
「ところが、そうじゃないんです。老人の常用薬なんですよ。目薬なんです」
「レオニデスは糖尿病でね」と父が言った。「定期的にインシュリンの注射をしていた。インシュリンはゴムの蓋をした小瓶に入れてある。皮下注射器の針を、このゴムの蓋に通して注射液を吸い上げるわけだ」
そのつぎは私にも想像がついた。
「瓶の中にインシュリンじゃなくて、エゼリンが入っていたというわけですね?」
「そのとおりだ」「だれが注射したんです?」と私はたずねた。
「婦人さ」[アガサ・クリスティー(田村隆一・訳):ねじれた家;早川書房,2004]。
備考 そ の他、physostigmine salicylate注の製品として、米国では『Antilirium(Forest Pharma-ceuticals,Inc.)』が市販されているの報告が見られる。用法・用量等は以下の通りである。
[適応]三環系抗うつ薬、アトロピン、スコポラミン過剰投与に対する解毒。緑内障。
[用]成人:1回2mgを20分毎に静注又は筋注。小児:1回0.01-0.03mg/kgを15-30分毎に静注。総投与量2mgまで。その他、国内では院内製剤として、次の製剤処方が報告されている。0.1%-サリチル酸フィゾスチグミン注射剤(院内製剤)

サリチル酸フィゾスチグミン(6局-試薬)   0.1g
メタ重亜硫酸ナトリウム(試薬)         0.1g
クエン酸(試薬)                 0.01g

クロロクレゾール(試薬)            0.2g
塩化ナトリウム(局方)            0.9g
注射用水               全量  100mL
調製法:注射用水(局方)にサリチル酸フィゾスチグミン、メタ重亜硫酸ナトリウム、クエン酸、クロロクレゾール、塩化ナトリウムを溶解し、全量100mL
とする。次いでメンブランフィルター(0.45μm)を用いて濾過し、褐色アンプルに分注し、熔封する。100℃-30分間高圧蒸気滅菌を行う。
規格単位:1mg/mL/管

貯法:褐色アンプル(1-2mL)、冷暗所保存。
適応:健忘症候群に対する治療(記憶力増強作用)。術後の麻酔緩和。
用法・用量:皮下注射
使用期限:1年
特記事項:サリチル酸フィゾスチグミン1gは水90mLに溶ける。pHは4以下に保つ。赤く変色したものは、使用不可。副作用として悪心、嘔吐がある。

類似処方

[1]0.1%-フィゾスチグミン注射液

サリチル酸フィゾスチグミン    50mg
メタ重亜硫酸ナトリウム      50mg
塩化ナトリウム          450mg
クエン酸一水和物          6mg
注射用水              50mL
適応:麻酔の覚醒遅延、中枢性副作用の拮抗薬

[2]0.1%-サリチル酸フィゾスチグミン注射剤

サリチル酸フィゾスチグミン   0.1g
生理食塩水       全量  100mL

文献 1) 縮刷第六改正日本薬局方註解;南江堂,1954

2)飯野靖彦・監訳:スカット・モンキーハンドブック;MEDSi,2003
3)日本病院薬剤師会・編:病院薬局製剤 第5版;薬事日報社,2003
4)薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
5)今堀和友・他監修:生化学辞典 第3版;東京化学同人,1998
6)山村秀夫・監訳:中毒ハンドブック 第11版;廣川書店,1990
7)白川 充・他共訳:薬物中毒必携-医薬品・化学薬品・動植物による毒作用と治療指針 第2版;医歯薬出版株式会社,1989

調査者 古泉秀夫 記入日 2005.5.27.

アコニチン(aconitine)の毒性

木曜日, 8月 16th, 2007
対象物 アコニチン(aconitine)。
成分 アコニチン。[英]aconitine、[独]Aconitase、[仏]aconitine。
一般的性状 柱 状晶、C34H47NO11=645.75。クロロホルム、ベンゼンに可溶、エーテル、 乾燥エタノールに僅かに溶ける。水、石油エーテルに殆ど不溶。比較的不安定で、アルカリと加熱すると速やかに加水分解して脱アセチル化及び脱ベンゾイル化を起こし、無毒のアコニン(C25H41NO9)になる。aconitineはキンポウゲ科トリカブト属(Aconitum)植物に含まれるジテルペンアルカロイド。aconit-alkaloid中の代表的なエステル型アルカロイド。融点204℃。
毒性 猛 毒性で、激しい神経麻痺作用を示し、植物毒のうちで最も強力な物に属する。直接心臓に作用し、呼吸器を麻痺する。LD:0.4mg/kg(ネコ、皮下)。
LD50(経口)1mg/kg程度。
致死量は成人で3-5mg。LD50(マウス・静注) 0.166mg/kg、(マウス・腹腔)0.308mg/kg。
摂取により呼吸困難、心臓発作を惹起する。これは神経細胞のNaチャンネルの透過促進作用に関連する。電位依存性NaチャンネルのレセプターサイトIIに結合し、持続的興奮を引き起こすため脱分極が起こる。
症状 初 期は口腔・咽頭灼熱感、しびれ、血圧上昇、心拍動亢進、次いで嘔吐、流涎、刺激伝導障害性不整脈、拡張期心停止、肺浮腫、体温下降、局所麻酔作用、筋運動抑制が見られる。
重篤の場合は発症後6時間以内に死にいたる。
処置 * 催吐、
*胃洗浄(1000倍稀釈の過マンガン酸塩溶液)、
*吸着剤(活性炭、牛乳、タンニン酸液投与)、
*塩類下剤投与
排泄促進
*血液透析は無効。血液吸着は有効との報告あり。
対症療法
*カリウム値の補正*不整脈の治療
心室性期外収縮、心室性頻拍にリドカイン投与
迷走神経刺激による不整脈や房室ブロックにフェ?? ニトイン投与、ペー スメーカー挿入
*ステロイド投与
*抗けいれん剤、鎮痛剤投与
全身管理
*輸液
*酸素吸入と人工呼吸

*循環動態の安定化

事例 ドクター・ラムスンの犠牲者は、18歳になるびっこの甥なんだが、彼はその甥を、アコニチン入りの干しぶどうをダンデエ・ケーキに焼き込むという方法で殺したのだ。しかも、少年と少年の学校の校長がいる前で、ケーキを切り分けてさえいるんだから驚くよ。三人一緒に、茶卓を囲んで食べたので、少年だけが毒にやられたときも、彼は潔白を主張できたんだ。この手口は、わしもなにかの小説で読んだ覚えがあるな [宇野利泰・訳(ディクスン・カー:Dickson
Carr):緑のカプセルの謎;創元推理文庫,2002]
備考 本編中で実際に使用される毒薬はストリキニーネと青酸であるが、探偵役であるフェル博士が、実際に報告されている過去の毒殺犯についての蘊蓄を語る中で、『アコニチン』を使用した殺人者を紹介したのが上記の部分である。我が国における実際的な事件で、毒薬を使った事件は比較的少ないのではないかと思われるが、英・仏等の外国では、連続毒殺犯や大量毒殺犯の有名人がひしめいているようである。特に王政時代の貴族階級やその取り巻き連中は、毒使いに精通していたのではないかと思われる話が記述されている。
文献 1) 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
2)志田正二・代表編:化学辞典;森北出版,1999
3)今堀和友・他監修:生化学辞典第3版;東京化学同人,1998
4)Anthony T.Tu:毒物・中毒用語辞典;化学同人,2005
5)西 勝英・監修:薬・毒物中毒救急マニュアル 改訂6版;医薬ジャーナル,2001
調査者 古泉秀夫 記入日 2005.10.17.

悪夢等を惹起する薬剤

木曜日, 8月 16th, 2007

KW:悪夢・悪夢障害・nightmare disorder・夢不安障害・異夢・多夢・魔夢・浅眠多夢・REM睡眠・

悪夢:悪夢障害(nightmare disorder)[夢不安障害]。睡眠中に生命や安全を脅かす程の強い不安と恐怖を伴う、長く鮮やかで生々しい夢を見て覚醒する現象。常にレム睡眠(REM睡眠)から覚醒し、睡眠後半に多く、覚醒後は見当識も良好で、夢体験を詳細に述べることができる。

dreaming sleep(夢見る睡眠)→desynchronized sleep:非同期性睡眠。脳波は低電位で速く、急速眼球運動(REM)、不規則な心拍と呼吸、不随意運動、覚醒に対する高い閾値などを特徴とする睡眠期間。非同期性睡眠の持続時間は5-20分で、正常な夜間睡眠中には約90分間隔で出現する。この睡眠期間中にしばしば夢を見、学者によってはこの期間を最も爽快にする睡眠と考えている。

以上は睡眠時随伴症に属する一つの現象として報告されているが、薬原性に発生するものとして添付文書の精神神経系の項に『悪夢・異夢・多夢・魔 夢・夢不安障害・浅眠多夢』の記載がされている。

  • 魔夢:悪夢の同意語。
  • 多夢(浅眠多夢):入眠時のうとうとしたREM睡眠期に頻繁に発生する夢。
  • 異夢:多夢の同意語。

β-遮断薬による悪夢の発現機序

  1. 血液脳関門を通過したβ-遮断薬がセロトニンレセプターを遮断する。
  2. 血液脳関門を通過したβ-遮断薬の非特異的な膜安定化作用による。
  3. 血液脳関門を通過したβ-遮断薬の部分的β-レセプター刺激作用による。
  4. 末梢のβ-遮断作用が自律神経系を介する中枢への反射機構に影響する。

等の報告がされているが、真の作用機序は解明されていない。また、β-遮断薬による悪夢を含む中枢神経作用は脂溶性が高いものほど脳内薬物濃度が高くなり、発現頻度が高くなるとされているが、海外の臨床研究の結果では、脂溶性の高いものほど悪夢の発現頻度は高くなる傾向にあるが、有意差は見られないとされていることから脂溶性は一つの目安とする方がよい等の報告がされている。

[分類]一般名・商品名(会社名) 副作用 発現機序等
[116]amantadinehydrochloride
シンメトレル錠・顆粒(ノバルティス)
悪夢(頻度不明) amantadineの血漿中濃度が1-5μg/mLになると中枢神経毒性が発現する。本剤による悪夢の発現は、本剤の中枢神経毒性に由来すると推定される(4。
[625]amprenavir
プローゼカプセル(キッセイ)
異夢
(1.6%)
血液-脳関門通過性に関するデータはないとされるが、中枢神経毒性を類推する副作用が報告されている[IF,1999.10]。
[212]atenolol
テノーミン錠(アストラゼネカ)
悪夢
(0.1%未満)
atenololは 極め親水性で、極く限られた程度しか脳内に移行しない(4。中枢に移行したβ-遮断薬がアミン作動性ニューロンの活性を抑制するため、コリン作動性ニュー
ロンの脱抑制が生じ、NREM睡眠からREM睡眠への移行が誘発され易くなり、夢を見易くなると考えられる。
[214]benzylhydrochlorothiazide・ reserpine・carbazochromeベハイドRA錠(杏林) 悪夢
(頻度不明)
[大量・長期]
reserpine による副作用の大部分は中枢神経系に及ぼす作用によって惹起される(4。本剤による悪夢の発現も同様の作用によるものと類推される。
[214]betaxolol hydrochloride
ケルロング錠(田辺三菱)
悪夢(0.1%未満) 本剤はCNS (central-nervous-system:中枢神経系)作用を発現する(4。本剤による悪夢の発現は本剤のCNS作用によると類推される。
[214]bunitrolol hydrochloride
ベトリロール錠(ベーリンガー)
悪夢
(0.1%未満)
[114]buprenorphine hydrochlorideレペタン注・坐薬(大塚) 悪夢
(0.1%未満)
buprenorphine は脂溶性の高いアヘン類である。本剤はCNS(central-nervous-system:中枢神経系)作用を発現する(4。本剤による悪夢の発現は
本剤のCNS作用によると類推される。
[114]butorohanol tartrate
スタドール注(ブリストル)
悪夢
(0.1-5%未満)
本剤はCNS (central-nervous-system:中枢神経系)作用を発現する(4。本剤による悪夢の発現は本剤のCNS作用によると類推される。
[212]carteolol hydrochloride
ミケラン錠・細粒(大塚)
悪夢(0.1%未満) 中枢に移行したβ- 遮断薬がアミン作動性ニューロンの活性を抑制するため、コリン作動性ニューロンの脱抑制が生じ、NREM睡眠からREM睡眠への移行が誘発され易くなり、
夢を見易くなると考えられる。
[117]clomipramine hydrochloride
アナフラニール錠・注(ノバルティス)
悪夢
(頻度不明)
clomipramine は若干の中枢神経抑制作用を示す(1。本剤による悪夢の発現は、本剤のCNS作用によると類推される。
[625]delavirdine mesilate
レスクリプター錠(第一三共)
夢の変化、悪夢
[2%未満又は頻度不明]
delavirdine は血液脳関門を通過するとされており、本剤による悪夢等の発現は本剤のCNS作用によると類推される[医薬品概要,2000.4.]。
[116]droxidopa
ドプスカプセル・細粒(大日本住友)
悪夢
(0.1%未満)
droxidopa は血液脳関門を通過するとされている(1。本剤のCNS作用により悪夢等が発生すると類推される。
[625]efavirenzストックリンカプセル(万有) 異夢、悪夢
(1-10%未満)
efavirenz は血液脳関門を通過するとされており、本剤による異夢・悪夢の発現は本剤のCNS作用によるものと類推される[IF,1999.9.]。
[449]epinastine hydrochloride
アレジオン錠(ベーリンガー)
悪夢
(0.1%未満)
epinastine の血液脳関門通過に関する資料はないとされるが、血液脳関門を通過し難く、中枢神経系に対する作用が弱い化合物であることが推察されたの報告があり、
CNS作用により悪夢等が発生すると類推される[IF,1995.10.]。
[449]fexofenadine hydrochloride
アレグラ錠(アベンティス)
悪夢(0.06%未満) fexofenadine の血液脳関門通過に関する資料はないとされるが、脳へ移行し難く、中枢抑制作用の弱い薬剤であることが確かめられたとされているが、本剤のCNS作用によ
り悪夢等が発生すると類推される[IF,2000.9.]
[112]fludiazepam
エリスパン錠・細粒(大日本住友)
多夢
(0.1%未満)
benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。
[625]ganciclovir
デノシン注・カプセル(田辺三菱)
異夢
(頻度不明)
ganciclovir は血液脳関門を通過するとされており、本剤のCNS作用により異夢等が発生すると類推される。
[112]haloxazolam
ソメリン錠・細粒(第一三共)
多夢
(0.05%未満)
benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。
[214]hydrochlorothiazide・ reserpineエシドライ錠(ノバルティス) 悪夢
(頻度不明)
[大量・長期]
reserpine による副作用の大部分は中枢神経系に及ぼす作用によって惹起される(4。本剤による悪夢の発現も同様の作用によるものと類推される。
[625]lopinavir・ ritonavirカレトラソフトカプセル(大日本住友) 多夢
(2%未満)
ritonavir では血液脳関門通過性に関する資料はないとされているが、ラットでは脳内に分布するの報告[IF,1997.11.]。本剤のCNS作用により多夢等が発
生すると類推される。
[112]lormetazepam
ロラメット錠(ワイス)
多夢
(0.1%未満)
benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。
[117]maprotiline hydrochloride
ルジオミール錠(ノバルティス)
悪夢(0.02%) maprotiline は血液脳関門を通過すると報告[IF,1993.6.]されており、本剤のCNS作用により悪夢等が発生すると類推される。
[112]medazepam
レスミット錠(塩野義)
浅眠多夢
(0.1%未満)
benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。
[641]mefloquine hydrochloride
メファキン錠(エスエス)
魔夢、異夢
(頻度不明)
mefloquine の血液脳関門通過性に関する資料はないと報告されている。ただし、動物実験の結果として脳への移行が報告されている[IF,2001.10.]。本剤の
CNS作用により魔夢等が発生すると類推される。
[214]methyldopa
アルドメット錠(万有)
悪夢
(頻度不明)
methyldopa はCNSでメチルノルエピネフリンに代謝され、脳幹のα2-受容体を刺激することによりCNSから末梢への交感神経興奮発射を減少させると報告されている
(4。本剤による悪夢の発現はCNS作用によると類推される。
[214]metoprolol tartrate
セロケン錠(アストラゼネカ)
悪夢
(0.1%未満)
β-アドレナリン性 拮抗薬の中枢神経系に帰結する副作用は疲労、睡眠障害(不眠、悪夢含む)並びに抑うつである。様々なβ-遮断薬のCNS作用による副作用の原因として脂質
親和性との相関に興味が持たれてきたが、明確な相関関係は明らかでない(4。
[112]mexazolamメレックス錠・細粒(第一三共) 多夢(0.1%未 満) benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。
[112]midazolam
ドルミカム注(山之内)
悪夢(0.1-5%未満) benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。
[449]montelukast sodium
キプレス錠・チュアブル錠(杏林)
異夢(頻度不明) montelukast について、動物実験の結果血液脳関門通過性は低いと報告[IF,2001.6.]されているが、本剤のCNS作用により異夢等が発生すると類推される。
[625]nevirapine
ビラミューン錠(ベーリンガー)
異夢(0.2%)、 悪夢(0.1%) nevirapine は動物実験の結果として血液脳関門を通過すると報告されている[IF,1998.11.]。本剤のCNS作用により異夢等が発生すると類推される。
[799]nicotin
ニコチネルTTS(ノバルティス)
異夢、悪夢
(0.1-5%未満)
禁煙の目的で使用さ れるnicotinは、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用することによって中枢神経、自律神経、骨格筋などに作用する(7。本剤による異夢・悪夢の発
現は本剤の中枢神経作用によると類推される。
[212]oxprenolol hydrochlorideトラサコール錠(ノバルティス) 悪夢
(頻度不明)
β-アドレナリン性 拮抗薬の中枢神経系に帰結する副作用は疲労、睡眠障害(不眠、悪夢含む)並びに抑うつである。様々なβ-遮断薬のCNS作用による副作用の原因として脂質
親和性との相関に興味が持たれてきたが、明確な相関関係は明らかでない(4。
[811]oxycodone hydrochloride
オキシコンチン錠(塩野義)
異夢、悪夢
(5%未満)[添付文書,2003.4.]
oxycodone の作用部位は脳内であり、脳内における消失は、他の組織に比べて緩やかであったと報告されている[添付文書,2003.4.]。本剤による悪夢の発現は本
剤によるCNS作用によると類推される。
[214]penbutolol sulfate
ベータプレシン錠(アベンティス)
悪夢
(0.1%未満)
β-アドレナリン性 拮抗薬の中枢神経系に帰結する副作用は疲労、睡眠障害(不眠、悪夢含む)並びに抑うつである。様々なβ-遮断薬のCNS作用による副作用の原因として脂質
親和性との相関に興味が持たれてきたが、明確な相関関係は明らかでない(4。
[212]pindolol
カルビスケン錠(チバガイギー)
悪夢
(頻度不明)
[212]propranolol hydrochloride
インデラル錠・注(アストラゼネカ)
悪夢
(0.1-5%未満)
[112]quazepam
ドラール錠(田辺三菱)
夢魔(頻度不明) benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。
[117]quetiapine fumarate
セロクエル錠(アストラゼネカ)
魔夢
(0.2%)
quetiapine は血液脳関門を通過し、脳内ドパミンD2受容体及びセロトニン5HT2受容体を占有することが確認されているの報告[IF,2000.12.]。本剤によ
る魔夢の発現は本剤によるCNS作用によると類推される。
[214]rescinnamine
レシナミンD錠(イセイ)
悪夢
(0.1-5%未満)
reserpine による副作用の大部分は中枢神経系に及ぼす作用によって惹起される(4。本剤による悪夢の発現も同様の作用によるものと類推される。
[214]reserpine
アポプロン錠・注(第一三共)
悪夢
(5%以上又は頻度不明)
[625]ritonavir
ノービアソフトカプセル(大日本住友)
異夢(2%未満) ritonavir では血液脳関門通過性に関する資料はないとされているが、ラットでは脳内に分布するの報告[IF,1997.11.]。本剤のCNS作用により多夢等が発
生すると類推される。
[625]saquinavir
フォートベイスカプセル(中外)
多夢
(頻度不明)[添付文書,2002.10]
血液脳関門通過性に 関する資料はないとされる。しかし、低濃度であるが髄液への移行が報告されており、本剤は血液脳関門を通過すると考えられる[IF,2000.4.]。本
剤による多夢の発現は本剤のCNS作用によると類推される。
[625]saquinavir mesilate
インビラーゼカプセル(中外)
多夢
(頻度不明)
[116]selegilineエフピー錠(藤本) 多夢
(0.1-5%未満)
MAO阻害薬は REM睡眠に対し非常に有効な抑制薬であるとされており、本剤による多夢の発現は本剤によるCNS作用によると類推される。
[116]talipexole hydrochloride
ドミン錠(ベーリンガー)
悪夢
(0.1-5%未満)[添付文書,2003.3.]
talipexole の血液脳関門通過性に関する資料はないとされる。ただし、本剤は脳内の線条体シナプス後膜のドパミンD2受容体を選択的に刺激することで抗パーキンソン作
用を示すとされている[IF,1996.4.]。本剤による悪夢の発現は、本剤のCNS作用によるものと類推される。
[112]tandospirone citrate
セディール錠(大日本住友)
悪夢(0.1%未 満) 脳内セロトニン受容 体のサブタイプ5-HT1A 受容体に選択的に作用するとされている(1。本剤による悪夢の発現は本剤によるCNS作用によると類推される。
[131]timolol maleate
チモプトール点眼液(万有)
悪夢
(頻度不明)
β-アドレナリン性 拮抗薬の中枢神経系に帰結する副作用は疲労、睡眠障害(不眠、悪夢含む)並びに抑うつである。様々なβ-遮断薬のCNS作用による副作用の原因として脂質
親和性との相関に興味が持たれてきたが、明確な相関関係は明らかでない(4。
[112]triazolam
ハルシオン錠(ファイザー)
多夢、魔夢
(0.1%未満)
benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。
[117]trazodone hydrochloride
デジレル錠(ファイザー)
悪夢(頻度不明) trazodone の血液脳関門通過性に関する資料はないとされる。ただし、脳内でのセロトニン取込阻害作用はノルアドレナリンに比べて選択的であるとする報告がある
[IF,1993.11.]。本剤による悪夢の発現は本剤によるCNS作用によると類推される。
[112]zolpidem tartrateマイスリー錠(アステラス) 悪夢
(0.1-5%未満)
benzodiazepin 系薬剤は、中枢神経系のGABA 機能を促進することにより不安・緊張緩和、入眠状態を構成するとされている(7。本剤のCNS作用により多夢等が発生すると類推される。

[015.11.DRE:2003.10.7.古泉秀夫・2003.12.5.修正]


  1. 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2003
  2. 伊藤正男・他編:医学大辞典;医学書院,2003
  3. 和田 攻・総監修:医学生物学大辞典[下];朝倉書店,2001
  4. 藤原元始・他監訳:グッドマン・ギルマン薬理書 第8版;廣川書店,1992
  5. http://square.umin.ac.jp~jin/text/bad-dream.html,2003.10.6.
  6. 菱川泰夫:日本における睡眠障害診療の現況;日本医事新報,No.3974:2-6(2000.6.24.)
  7. 峠哲雄:特集睡眠障害-薬剤による睡眠障害;医薬ジャーナル,37(8):2367-2372(2001)
  8. 石田悟・他:β-遮断剤・プロプラノロールによるCNS障害の事例;薬局,45(12):2369-2377(1994)

アレルギー既往歴患者の鎮痛・解熱剤選択

木曜日, 8月 16th, 2007

[但し、いわゆる風邪・急性上気道炎]

KW:解熱剤・鎮痛剤・風邪薬・急性上気道炎・アレルギー既往歴患者・過敏症・ピリン疹・アスピリン喘息・小児薬用量

ピリン系解熱鎮痛薬 [禁忌]ピリン疹既 往歴者(本剤又はピラゾロン系化合物)・アスピリン喘息。[慎重]食物アレルギー既往・近縁者薬物アレルギー既往。[警告]ショック等の重篤な副作用。*メチロン坐薬(100mg/個)-小児投与量

乳児:50-100mg

2?3歳:100mg

3歳以上:100-200mg

スルピリン (sulpyrine)[商]スルピリン(各社)[商]メチロン注(第一)[商]メチロン坐薬(第一)
ピリン系解熱鎮痛薬-合剤
アンチピリン・カフェイン・ クエン酸[商]ミグレニン(各社)スルピリン・アミノプロピリン・テオクル酸ジフェニールピラリン・(添加剤:ベンジルアルコール)[商]オベロン注(日本新薬)
非ピリン系解熱鎮痛薬  
アセトアミノフェン(acetaminophen)[商]ピリナジン(山之内)[商]ナパ(アストラ)

[商]ピレチノール(岩城)

 
非ピリン系解熱鎮痛薬-合剤  
シメトリド・無水カフェイン[商]キョーリンAP2(杏林)サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・メチレンジサリチル酸プロメタジン[商]PL顆粒(塩野義)

[商]ピーエイ錠(吉富)

[禁忌]本剤成分過敏症既往者・アスピリン喘息。*acetaminophenについて、添付文書中に「アスピリン喘息」は[禁忌]とされているが、アスピリン喘息既往者に対しても安全に投与可能とする 報告がされている。WHOの喘息ガイドラインでも使用可能な消炎・鎮痛剤にリストアップされている(但し、初期は半量から投与し、2?3時間症状観察)。*1包当たり150mg含有のPL顆粒はアスピリン喘息患者に使用可能の報告。しかし、負荷試験成績の結果、安全とされる報告は全て600mg以下。*喘息患者の場合、寛解期よりも有症状期の方が負荷閾値が低下することはよく知られている。従ってアスピリン喘息患者が、少しでも喘息症状を伴っていると きは、通常使用量のacetaminophenでも危険といえる。

*アスピリン喘息の患者に対し、高用量のacetaminophenは[禁忌]である。

*acetaminophen坐薬小児投与量

[商]アンヒバ(北陸)

[商]アルピニー坐薬(エスエス)

1歳未満:50mg・1-3歳未満:50-100mg・3-6歳

未満:100mg・6-12歳:100-200mg

*1歳未満:安全性未確立-慎重投与。

サリチル酸製剤 [禁忌]本剤成分又 はサリチル酸製剤過敏症既往者、アスピリン喘息。[重要な基本的注意]「サリチル酸系製剤とライ症候群との因果関係は明らかでないが、関連性を疑わせる疫学調査報告がある。15歳未満の水痘・インフルエ ンザの患者にやむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察する」*サリチル酸製剤:アスピリン(アセチルサリチル酸)・サリチル酸ナトリウム・サザピリン(サリチロサリチル酸)。*サリチルアミド・エテンザミドについては、他のサリチル酸系薬剤と異なり代謝によりサリチル酸を生じないが、一層の安全性の観点から同様の使用上の注意 記載。

*アスピリン喘息誘発の機序については未だ明確にされていないが、アラキドン酸カスケードにおけるサイクロオキシゲナーゼ(COX)抑制作用と関連がある とされている。しかし、化学構造上の類似性は必ずしも見られない。aspirinとインドール系酢酸のindometacinは強力な誘発作用を持つが、 構造は全く異なっている。

*同じサリチル酸系であっても、sodium salicylate(サリチル酸ナトリウム)はaspirinとは異なり殆ど誘発作用がない。

*消炎・鎮痛剤であっても、塩基性のものでは誘発作用はあっても弱いか殆どない。

アスピリン・アスコルビン酸[商]EAC錠(富山)アスピリン・ダイアルミネート・炭酸マグネシウム[商]バファリン錠(ライオン)

サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・マレイン酸クロルフェニラミン

[商]ペレックス顆粒(大鵬)

[商]エルエルシロップ(三共)

*サリチル酸 [禁忌]本剤成分過 敏症既往者・アスピリン喘息。*アスピリン喘息誘発作用の特に強力なものaspirin、indometacin、ibuprofen、aminopirin、diclofenac、naproxen、piroxicam等*アスピリン喘息誘発作用のかなり強いもの

mefenamic acid、flufenamic acid等

アスピリン (aspirin)[商]アスピリン(各社)
*フェナム酸
フルフェナム酸アルミニウム(alminum flufenamete)[商]オパイリン錠(大正)メフェナム酸(mefenamic acid)[商]ポンタール(三共)
*アリール酢酸
ジクロフェナックナトリウム(diclofenac sodium)[商]ボルタレン(ノバルティス)フェンブフェン(fenbufen)

[商]ナパノール

(ワイスレダリー)

インドメタシン(indometacin)

[商]インダシン(万有)

アセメタシン(acemetacin)

[商]ランツジール(興和)

*塩基性抗炎症薬
エピリゾール (epirizole)[商]アナロック(ファイザー)[商]メブロン(第一)塩酸チアラミド

(tiaramide hydrochloride )

[商]ソランタール(藤沢)

OTC-塩化リゾチーム配合剤 [禁忌]本剤成分過 敏症既往者・卵白アレルギー(本剤の成分は卵白由来の蛋白質で卵白アレルギーがある患者においてアナフィラキシーショックを含む過敏症状の報告)[慎重]アトピー性皮膚炎、気管支喘息、薬剤アレルギー、食物アレルギー等のアレルギー素因(アレルギー性素因のある患者は薬剤含む各種アレルゲンに対し て感作を受けやすくアナフィラキシー様反応を起こすおそれ)・近縁者アレルギー症状既往
カゼエッフル( 共栄製薬)3包中:60mgカゼチームカプセル(大協薬品)6ap.中:60mgカゼデスカL錠(テイカ製薬)6錠中:60mgカドリンカゼカプセル(共栄製薬)6 Cap.中: 60mg

コルゲンコーワエアライン(興和)6 Cap.中:90mg

コルゲンコーワエアライン顆粒(興和) 3包中: 90mg等

1.上記の報告からacetaminophenに過敏症の既往歴がなく、他の鎮痛・解熱剤に過敏症の既往歴のある場合、 acetaminophenの使用が可能である。但し、その場合投与量に注意する。また、アスピリン喘息患者が、少しでも喘息症状を伴っているときは、通 常使用量のacetaminophenでも危険といえるの報告がされているため、そのような事例では本剤の投与を回避する。

2.非ステロイド性抗炎症薬のうち「急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎)」の承認適応を有する薬剤があるが、これらの薬剤に対す る過敏症の既往歴者では、acetaminophen又は塩基性抗炎症薬の使用が可能である。acetaminophenの承認適応は「鎮痛及び急性上気 道炎の解熱・鎮痛」であり、塩基性抗炎症薬のうちepirizole、tiaramide hydrochlorideは「急性上気道炎の鎮痛」が適応症として承認されている。ただし「解熱」は含まれていない。

また、塩基性抗炎症薬のうちemorfazone[ペントフィル錠(HMR)]については、1994年当時再評価対象外であったため、[禁忌] 欄に「アスピリン喘息」の記載はされていない。しかし、適応症として「急性上気道炎の鎮痛」は承認されていない。

3.OTCの風邪薬の場合、上記1及び2を参照するほか、卵白アレルギー等の既往者では塩化リゾチーム配合剤に注意する。

上記の各薬剤に対し、いずれも過敏症の既往がある場合には、漢方製剤の使用も選択肢の一つである。

[015.11ALL:1999.3.18.古泉秀夫]

[2003.5.7.第二改訂.古泉秀夫]


  1. 高久史麿・他監:治療薬マニュアル;医学書院,1999
  2. 厚生省医薬安全局:医薬品等安全性情報 No.151:2(1998.12.)
  3. 権田秀雄・他:アスピリン喘息;医薬ジャーナル,24(5):999-1003(1988)
  4. 谷口正実・他:アスピリン喘息に対する解熱鎮痛薬の安全に使用法-質疑応答第25集;日本医事新報社,1998
  5. 栃木隆男:アスピリン喘息患者の感冒罹患時における麻黄附子細辛湯の使用経験;漢方診療,11(9):29-31(1992)

治験薬一覧:Z

木曜日, 8月 16th, 2007

治験記号:ZD-1033

<一般名:anastrozole>

概要

[商]アリミデックス(アストラゼネカ)。アロマターゼ阻害剤。閉経後乳癌。申請中。[剤型]錠剤。抗癌剤・ホルモン療法剤。オーファン指定。本薬はアロマターゼ阻害作用を有するtriazole誘導体で、アロマターゼを阻害することによりestrogen産生を抑制し、estrogen依存性乳癌を退縮させる。血栓症の副作用が少ないことが特徴とされる。閉経後の進行乳癌を適応とした経口タイプの1日1回投与が可能な抗癌剤として開発。

出典

明日の新薬CD-ROM,2000.12版

治験記号:ZD-1694

<一般名:raltitrexed>

概要

[治験薬]
注射剤。ラルチトレキセド。葉酸を基本骨格とするTS(thymidylate synthase)阻害剤で、TSの葉酸補酵素結合部位に結合し、直接的にTSを阻害することによりDNA合成を阻害する。RNA系に影響を及ぼさないため、毒性が少ないと考えられる。化学療法未治療の進行結腸・直腸癌に対する治験報告がされている。副作用として悪心・嘔吐、食欲不振、倦怠感。後期第II相臨床試験。ゼネカ。

出典

高杉益充:月刊ミクス,3:92-93(2000)

治験記号:ZD-4522

<一般名:meloxicam>

概要

HMG-CoA還元酵素阻害剤。本剤がLDL-コレステロールを65%以上低下させ、HDL-コレステロールを14%上昇させるなど、先行するスタチン剤を上回るプロファイルと共に高い認容性が確認されたとしている。英・アストラゼネカ社に導出。臨床第III相試験。海外で2001年第2四半期に申請予定。塩野義-アストラゼネカ社。

出典

月刊ミクス,9:113(2000)

治験記号:ZOL

<一般名:zolpidem tartrate>

概要

ゾルピデム(ZOL)は、仏・Synthelabo Recherche社が見出したimidazopyridine骨格を有する非ベンゾジアゼピン(非BZD)系睡眠薬である。海外では71カ国で既に上市されている。本薬はBZD系薬剤に共通する鎮静催眠、抗痙攣、筋弛緩及び抗不安作用のうち鎮静催眠作用に選択性が高く、抗痙攣作用、運動失調作用は鎮静催眠作用の1/8?1/16であることが示されている。本剤の鎮静催眠作用は速効性、短時間作用型という特徴を有する。抗不安作用が弱いために、反跳性不安が起こりにくいことも期待されている。

出典

医薬ジャーナル ,36(8):2186-2187(2000)

治験薬一覧:Y

木曜日, 8月 16th, 2007

治験記号:Y-128

<一般名:——–>

概要

糖尿病性神経障害治療薬。前臨床段階(ウェルファイド-武田)

出典

月刊ミクス,3:38(2001)

治験記号:Y-24180

<一般名:israpafant>

概要

[商]パフノール(ウェルファイド)。PAF拮抗薬、気管支喘息。申請中。[剤型]錠剤。チエノトリアゾロジアゼピン誘導体でPAFと競合してレセプターに競合し、PAFにより惹起される種々の反応を抑制する。気管支喘息への効果が期待されている。

出典

トライアルドラッグス2000;株式会社ミクス,2000

治験記号:Y-39983

<一般名:——–>

概要

ROCK(Rho-associated coiled-coil forming protein kinase inhibitor)阻害作用を有する緑内障治療薬。前臨床段階(ウェルファイド-千寿)。本品は低分子量蛋白(Rho)の標的蛋白の一つであるp-160ROCKを特異的に阻害することにより血管平滑筋を弛緩させ、血圧を低下させる作用を有し、緑内障治療薬として開発されている。本品は点眼時の刺激が少なく、眼圧を持続的に低下させ、網膜への血流を高めるとしている。[剤型]点眼剤。

出典

月刊ミクス,3:38(2001)・明日の新薬;CD-rom版,1988

治験記号:YM-087

<一般名:conivaptan hydrochloride>

概要

[治験薬]
「低ナトリウム血症」。電解質異常のうちで最も多いのは低ナトリウム血症であるが、大部分の低ナトリウム血症は水利尿不全に伴うものでarginine-vasopressinの分泌過剰が関与する。AVPによる分泌過剰に対する対症療法としてAVPの受容体結合を阻害するAVP受容体拮抗剤が開発されている。薬剤にはペプチド性と非ペプチド性がある。経口投与可能な非ペプチド性AVP受容体拮抗剤のうちV1及びV2受容体拮抗剤として開発されている。(山之内製薬)。

出典

医薬ジャーナル,36(4):1245(2000)・薬事新報,No.2306:18(2004

治験記号:YM-152

<一般名:finasteride>

概要

[商]プロデル(山之内)。5α-リダクターゼ阻害剤。申請中。[剤型]錠剤。前立腺肥大症治療剤。4-アザステロイド化合物で、5α-還元酵素(5α-reductase)を阻害することにより、前立腺肥大症の発症に密接な関連があると考えられている5α-DHTの合成を阻害する新しいタイプの前立腺肥大症治療薬である。

出典

トライアルドラッグス2000;株式会社ミクス,2000

治験記号:YM-177

<一般名:celecoxib>

概要

[治験薬]
消炎鎮痛剤。COX-2選択性。スーパーアスピリン。プロスタグランジン(PG)を産生する酵素シクロオキシゲナーゼには、COX-1、COX-2の2種類の酵素が存在し、COX-1は、血小板、胃、腸、腎など殆どの組織に常時存在し、生体の生理機能の調整に関与する。
一方、COX-2は比較的限られた単球、線維芽細胞、滑膜細胞、血管内皮細胞など特定の細胞に存在し、何らかの刺激により一過性に誘導され、炎症や発熱など病理学的作用にかかわるPGの産生に関与している。
従来の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)では、COX-1、COX-2の両方を阻害するため、 COX-1阻害による胃腸障害などの副作用が発現する。従って、選択的にCOX-2を阻害することで、 抗炎症作用が優位にあらわれ、COX-1阻害による副作用が軽減できる。[適]慢性関節リウマチ、変形性関節症。SC-58635。[商]celebrex(日本モンサント-山之内製薬)。phase II(2000.2.16.現在)。

出典

1)奥田隆彦.新薬展望1998.COX?2阻害薬.医薬ジャーナル.増刊号.34(S-1),1998,88-93.
2)今井史彦.新薬展望1999.COX?2阻害薬.医薬ジャーナル.増刊号.35(S-1),1999,136-140.

治験記号:YM-47141

<一般名:——–>

概要

セリンプロテアーゼの一つであるエラスターゼは生体の炎症反応に関与する酵素で、その阻害剤は、リューマチ性関節炎、肺気腫をはじめとする炎症患者の有効な治療剤が期待されるが、強力なエラスターゼ阻害活性を有する天然の本物質が検討されている。科研製薬。

出典

大原隆:エラスターゼ阻害剤YM-47141,YM-47142の全合成;ファルマシア,35(10):1060-1061(1999)

治験記号:YM-47142

<一般名:——–>

概要

セリンプロテアーゼの一つであるエラスターゼは生体の炎症反応に関与する酵素で、その阻害剤は、リューマチ性関節炎、肺気腫をはじめとする炎症患者の有効な治療剤が期待されるが、強力なエラスターゼ阻害活性を有する天然の本物質が検討されている。科研製薬。

出典

大原隆:エラスターゼ阻害剤YM-47141,YM-47142の全合成;ファルマシア,35(10):1060-1061(1999)

治験記号:YM-617TOCAS

<一般名:tamsulosin-OCAS>

概要

OCAS(経口持続吸収型徐放システム)技術を用いた排尿障害改善剤を山之内ヨーロッパ(オランダ)が欧州で承認申請した。OCAS技術は山之内製薬が開発したDDS(薬物送達システム)技術で、薬物の吸収を上部消化管のみならず、これまで吸収が困難とされていた下部消化管でも可能にした1日1回投与の経口持続吸収型徐放システムである。タムスロシンは前立腺・尿道平滑筋に選択性が高いα1-ブロッカーで、血圧に影響を与える血管平滑筋にはほとんど影響を与えず、尿道の緊張状態を緩和し、排尿障害を改善する。1993年日本で発売以来世界65カ国で販売されている

出典

薬事新報,No.2306:18(2004)

治験記号:YM-643

<一般名:interferon alfacon-1>

概要

[商]未定(山之内-アムジェン)。C型慢性活動性肝炎治療剤。申請中。[剤型]皮下注射。インターフェロンの活性を高めるために、α型インターフェロンのサブタイプ10数種のアミノ酸配列から人工的に合成した遺伝子から創製した新世代のインターフェロンである。C型慢性活動性肝炎への効果が期待される。

出典

トライアルドラッグス2000;株式会社ミクス,2000

治験記号:YM905

<一般名:——–>

概要

頻尿・尿失禁治療薬「Vesicare(山之内ファーマアメリカ)」。2002年12月にFDAに申請、FDAより追加の臨床データの提出を求められており、発売は2004年中になるみこみ。同剤は過活動膀胱に伴う頻尿・尿失禁治療薬で、同剤は欧州では2003年1月に承認申請されており、日本では現在第III相臨床試験が進行中。

出典

薬事新報,No.2291:19(2003)

治験記号:YM-905

<一般名:solifenacin succinate>

概要

頻尿・尿失禁治療薬「Vesicare(山之内ファーマアメリカ)」についてオランダで承認を取得した。同剤は過活動膀胱に伴う頻尿・尿失禁、尿意切迫感などの症状を改善し、排尿パターンを正常化する。同剤は欧州では2003年1月に承認申請されており、日本では現在第III相臨床試験が進行中。

出典

薬事新報,No.2304:19-18(2004)

治験記号:YP-14

<一般名:tazobactam・piperacillin>

概要

[商]タゾシン(大鵬薬品)・ペンモード静注用(富山化学)。β-ラクタム系抗生物質。申請中。[剤型]注射用凍結乾燥製剤。β-ラクタム剤のピペラシリンに、スルバクタム、クラブラン酸よりβ-ラクタマーゼ阻害能の強い新規化合物のタゾバクタムを配合した注射剤。

出典

トライアルドラッグス2000;株式会社ミクス,2000

治験薬一覧:W

木曜日, 8月 16th, 2007

 

治験記号:WQ-2743

<一般名:——–>

概要

前臨床-中断。AT-7836参照。ニューキノロン剤。MRSA、PRSP、既存のニューキノロン剤耐性菌などに抗菌力を示し、安全性も高い。杏林のガチフロキサシンの共同販売契約を締結したのに伴い、現在は開発を中断。湧永製薬。

出典

月刊ミクス,2:75(2001)