一般的性状 |
■物理・化学的性状:微黄色の粘稠な液体。急熱、振動、衝撃などにより爆発する。ラビル型とスタビル型 の2種の結晶形がある。火災危険:大。発火点:270℃(爆発)。分子量:227.1。融点:2.8℃(ラビル型)、13.5℃(スタビル型)。沸点:
160℃(15mmHg)。溶解性:水に難溶、メタノール、二硫化炭素に僅かに溶ける。エーテル、アセトン、ベンゼンに可溶。その他、常温では無色澄明の
粘稠性の液体で、味は甘く灼熱感があり、衝撃により爆発するの報告もある。 [毒薬]。1錠中0.3mg以下を含有するものは劇薬。
■別名:ニトログリセロール(nitroglycerol)、NG、グロノイン (glonoin)。トリニトリン(trinitrin)。nitroglycerin tablets[USP]、glyceryl trinitrate tablets[BP]、propane、1,2,3-triol、trinitrate、CAS-55-63-0(nitroglycerin)。化学名:glyceryl trinitrate又は1,2,3-propanetriol trinitrate。
■ニトログリセリンは1847年Sobreroによって発見され、 pyroglycerinと呼ばれた。その後、1866年A.Nobelがその爆発力を利用し、ダイナマイトを製造した。最初にニトログリセリンが医薬品として用いられたのは何時のことか不明であるが、亜硝酸アミルなどの亜硝酸エステルと同じ効力を持つことが、1951年W
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金曜日, 8月 17th, 2007
水の味や質を知る上で重要な基準として水の硬度がある。代表的なミネラル成分であるカルシウムとマグネシウムの濃度から計算する米国式による計算が一般的である。
硬度100前後で分別し、100以下を軟水、100以上を硬水とする。硬度が低いとスッキリして飲みやすく、硬度が高いと重く舌に残る味になる。1985年厚生相の諮問機関が出した『美味しい水』の条件では、10-100の軟水が理想とされた。
硬度(mg/L)=カルシウム(mg/L)×2.5+マグネシウム(mg/L)×4.1
*軟水(soft water):硬水に対応する用語。カルシウムイオン、マグネシウムイオンの含有量の少ない水。石鹸の使用性がよく、湯垢も付かない。日本の地下水は、一般にヨーロッパの地下水に比べて硬度が低い。
*硬水(hard water):炭酸カルシウムによる硬度約100ppmを境として硬水と軟水に区別する。硬度が高いと飲用時に下痢をし、石鹸の泡立ちの減少、工業用水に缶石を発生させる。適度の硬度は飲料水の美味、醸造用水として要求される。
*水の硬度(hardness):水に含有するカルシウム、マグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン量を、これに対応するCaCO3のppmに換算して表したもの。硬度には総硬度、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、永久硬度及び一時硬度がある。
商品名(会社名) |
硬度
|
pH |
エネルギー・蛋白質・脂質・糖質(g) |
Na
|
Ca |
Mg |
K |
朝日岳の天然水
(採水地:新潟県南魚沼郡塩沢町)
(株式会社加ト吉) |
24mg/1000mL
(軟水) |
|
0 |
0.4 |
0.66 |
0.22 |
0.07 |
朝日岳の名水 (採水地:新潟県南魚沼郡塩沢町)
(株ドン・キホーテ) |
24mg/1000mL
(軟水) |
|
0 |
0.4 |
0.66 |
0.22 |
0.07 |
あずみ野の水
(採水地:長野県南安曇郡堀金村)
(ゴールドバック[株]) |
25mg/1000mL
(硬度25度) |
|
0 |
0.15 |
0.58 |
0.26 |
0.05 |
アルカリイオンの水
(採水地:群馬県利根郡月夜野町)
(キリンビバレッジ株) |
62mg/1000mL |
8.5-
9.3 |
0
[アルカリ性] |
1.2 |
1.8 |
0.4 |
0.12 |
越後の名水
(採水地:新潟県南魚沼郡塩沢町)
(株式会社加ト吉) |
24mg/1000mL
(軟水)(硬度24度) |
|
0 |
0.4 |
0.66 |
0.22 |
0.07 |
KANNON hot spring
飲める観音温泉
(採水地:静岡県下田市横川観音温泉)
(観音温泉株式会社) |
0.2mg/100mL以下炭酸イオン:4.6mg・炭酸水素イオン:1.5mg/100mL |
9.2 |
0
[アルカリ源泉] |
5.9 |
0.04 |
|
|
月山の水
(採水地:山形県東田川郡羽黒町)
(日本生活協同組合) |
硬度約51度 |
|
0 |
1.5 |
1.2 |
0.51 |
0.05 |
月山の水音 (採水地:山形県東田川郡羽黒町)
(日本生活協同組合) |
約52度
(軟水) |
|
0 |
1.5 |
1.2 |
0.53 |
0.06 |
唐津屋の水
(採水地:鹿児島県姶良群霧島町)
(株式会社唐津屋) |
|
|
0 |
1.4 |
4.49 |
1.42 |
0.5 |
木曽御嶽自然水
(採水地:長野県木曽郡開田村御獄山麗水源)
(オレンジライフ[株]) |
約9.7mg/L(軟水)
(硬度9.7度) |
6.8 |
0 |
0.18 |
0.3 |
0.054 |
0.094 |
北アルプス穂高の水(採水地:長野県南安曇郡穂高町)(株式会社あづみ野) |
36mg/1000mL |
|
0 |
0.47 |
1.2 |
0.11 |
0.18 |
商品名(会社名) |
硬度
|
pH |
エネルギー・蛋白質・脂質・糖質(g) |
Na
|
Ca
|
Mg |
K |
水彩の森(スイサイ)(採水地:北海道寿群黒松内町字豊幌)(黒松内銘水[株]) |
106.54mg/L
(硬水) |
7.9 |
0[天然アルカリ水] |
1.78 |
2.72 |
0.94 |
0.49 |
天然名水-出羽三山の水
(採水地:山形県東田川郡羽黒町)([株]ブルボンH) |
46mg/L |
|
0 |
1.50 |
1.10 |
0.47 |
0.06 |
天然水-大地の雫
(採水地:岐阜県養老郡養老町)
([株]サーフビバレッジ) |
120mg/L |
|
0 |
0.36 |
4.0 |
0.58 |
0.06 |
日本名山の天然水 (採水地:群馬県利根郡月夜野町)
(サッポロビール[株]) |
62mg/L |
7.1 |
0 |
1.2 |
1.8 |
0.43 |
0.12 |
富士山の水
(採水地:富士吉田市新屋)
(富士山仙水[株]) |
約30mg/L
(硬度約30度) |
|
0 |
0.44 |
0.76 |
0.26 |
0.08 |
富士北麓の水
(採水地:山梨県南都留郡西桂町下暮地)
([株]角屋物産) |
71mg/1000mL
(軟水) |
7.2 |
0 |
1.00 |
1.79 |
0.65 |
0.14 |
南アルプスの天然水
(採水地:山梨県北杜市白州町)
(サントリー[株]) |
約30mg/1000mL
(軟水)
(硬度30度) |
|
0 |
0.49 |
0.97 |
0.14 |
0.28 |
天然水南アルプス (採水地:山梨県北杜市白州町) |
約30mg/L
(軟水) |
|
0 |
0.65 |
0.97 |
0.15 |
0.28 |
三隅の潤水
(採水地:島根県那賀郡三隅町大字井野)
(名古屋製酪株式会社) |
24mg/L
(軟水) |
8.3 |
0
[天然アルカリイオン水] |
3.6 |
0.76 |
0.12 |
0.02 |
森の水だより
(採水地:山梨県北杜市白州町)
(コカ・コーラナショナルビバレッジ) |
26.2mg/1000mL
(軟水)
(硬度27.9度) |
7.1 |
0 |
2.02 |
0.67 |
0.27 |
0.16 |
森のゆらね(水音)
(採水地:新潟県南魚沼郡塩沢町)
(株加ト吉) |
24mg/1000mL(軟水) |
|
0 |
0.4 |
0.66 |
0.22 |
0.07 |
六甲のおいしい水
(採水地:神戸市灘区)
(ハウス食品) |
約84mg/1000mL
(軟水) |
7.4 |
0 |
1.69 |
2.51 |
0.52 |
0.04 |
商品名(会社名) |
硬度
|
pH |
エネルギー・蛋白質・脂質・糖質(g) |
Na |
Ca
|
Mg |
K |
[015.11.WET:2003.7.27.古泉秀夫・2005.12.31.改訂]
- 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1993
- 行方史郎:元気-水を調べてみました;朝日新聞,2003.6.16.
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金曜日, 8月 17th, 2007
対 象物 |
ドクアジロガサタケ(Galerina fasciculata)。和名:毒網代傘茸。別名:コレラタケ(虎列刺茸) |
成 分 |
◆毒網代傘茸の有毒成分は、ファロトキシン類 (phallotoxin)、ファロイジン(phalloidin)、アマトキシン類(amatoxin)、アマニチン類(α・β-amanitin)である。 |
一般的性状 |
◆毒網代傘茸は、アマニタトキシン群(amanitatoxin)に分類される。卵天狗茸による中毒と同様な中毒症状を呈する。◆ハラタケ目(Agaricales)フウセンタケ 科(Cortinariaceae)ケコガサタケ属(Galerina)。
◆秋やや遅く、杉などの朽ち木や古いおが屑の上、ご み捨て場などに単生-群生する。傘は小型-中型、まんじゅう型からほぼ平らに開き、中央が盛り上がることがある。表面は平滑、湿っているとき暗ニッケイ色で周辺にやや条線を表すが、乾けば中央部から明るい淡黄色となる。ひだは初めクリーム色後にニッケイ色、縁は微粉状、やや密で柄に直生する。柄は細長く、中空、表面は淡黄土色-汚褐色、白色の菌糸で覆われることがあり、上部に不完全な鍔がある。
◆非常に似た茸が複数あり、鑑別には顕微鏡で胞子表 面の微い疣などを確認する必要がある。致命的な猛毒菌なので、類似の茸の摂食は回避する。 |
毒 性 |
phallotoxinは経口摂取では分解されやすいため、中 毒の本体はamanitatoxin類であるとされている。amanitinは加水分解されず、比較的安定で加熱しても分解しない。従って、加熱調理しても毒性はなくならない。amanitinは“腸肝循環”するという特性を有しており、長時間体外に排泄されない。amanitatoxin群
α-amanitin:マウス腹腔内(LD50): 0.3mg/kg。
β-amanitin:マウス腹腔内(LD50):0.5mg/kg
γ-amanitin:マウス腹腔内(LD50):0.2mg/kg
ε-amanitin:マウス腹腔内(LD50):0.3mg/kg
amanullin・amanullinic acid・proamanullin・amanin
amanitinの致死量:0.1mg/kg。
毒成分には硫黄を含み、成熟した白卵天狗茸を1本以上の摂食で致死的。 |
症 状 |
amanitinには粘膜刺激作用がないため、毒茸を摂取して も直後に症状が見られることはない。摂食後6-24時間経過後、嘔吐、腹痛、下痢が発現する。卵天狗茸による下痢は、大量の水性便で、コレラ様の水性便を呈する。その後、黄疸、腎機能障害、肝機能障害が発現する。amanitinはRNAポリメラーゼと結合し、RNAの合成、更には蛋白合成を阻害して肝障害をもたらす。劇症肝炎に似た症状で死亡する者が多く、死亡率50%以上とされる。*潜伏期を経て突然激しい嘔吐、下痢、腹痛で発症。 粘液便、血便を排泄するコレラ様症状。 脱水・脱塩(低カリウム血症)
*筋肉硬直、痙攣、頭痛、低血糖、嚥下困難、傾眠、 精神錯乱、抑うつ状態。
*溶血、黄疸、肝機能障害、出血、尿閉、血尿、中毒 性腎炎、内臓浮腫と疼痛。
*衰弱、血圧低下、チアノーゼ、中枢神経障害、心筋 障害、血管運動中枢障害、肺水腫、循環不全
*遅延性肝炎・腎不全(48-72時間後に起こる)
*意識不明・昏睡・死亡。 |
処置 |
[1]胃洗浄摂食後6時間以内であれば催吐し、胃洗浄を行う。
[2]活性炭・下剤投与(下痢がない場合)
摂食後6時間以上経過している場合、活性炭と下剤投与。肝及び腎機能の検査を数日間は行う。
活性炭投与は4時間毎に2日間にわたって投与する。
その他、十二指腸チューブによる胆汁の除去も有効。
*処方例
活性炭 50gを微温湯300-500mL(小児では1g/kgの活性炭を生理食塩水10-20mL)に溶解し、服用させる。
その後、半量を3時間毎に24時間まで繰り返し投与。
下剤としてD-ソルビトール液(75%)2mL/kgを投与し、6時間後に排便がなければ半量を繰り替えし使用(保険適用外)。
[3]強制利尿
amanitinは48時間以内に大部分が尿中に排泄される。従って強制利尿が有効。
[4]血液吸着
活性炭カラムによる血液吸着によるamanitin除去。肝障害予防のため実施。血液透析は、amanitinが膜を通過し難いので、無効とされているが、腎障害のある場合は適用となるの報告。
◆対症療法
[5]輸液:脱水・電解質異常・低血糖の改善。肝保護剤の同時投与を行う。
[6]呼吸管理:酸素吸入、人工呼吸等
[7]循環管理 |
事 例 |
甲比丹エルセラックの容態は二日経っても思わしくなかった。その話を伝えてきたのは杵屋半右衛門である。彼もエルセラックが毒を盛られたことに衝撃を受けてきた。「出島では初音が残って看病しているが、容態は一進一退ということですたい」
毒はきのこから採ったことが判明した。だが、それを抹茶に混ぜるため細かい細工を施したというのが医者の見解だった。
「もうもたないかも知れないと、初音は伝えてきた。あの文面からすると、そうとうひどいらしい」
十次郎は眉間に深い皺を刻んだ。もしエルセラックがこのまま死んでしまえば、風説書の謎は永遠に失われてしまうかも知れない。暗殺はそれを狙って仕掛けられたと考えてよい。 [庄司圭太:紅毛-十次郎江戸陰働き;集英社文庫,2006.2.25.] |
備 考 |
茸とだけ書かれており、茸そのものを特定することはできない。 更に被害者が外国人であり、外国の茸である可能性もあるが、事件の根っこは江戸にあるため、甚だ乱暴ではあるが、国産の茸であると勝手に決めさせていただいた。茸を粉末化した上で抹茶を加えて味を誤魔化したものと思われるが、お茶を飲み慣れた日本人であれば、おかしな味がするとして、飲まなかったかも知れない。いずれにしろどの様な処置がされたのか知らないが、最終的には死亡しており、相当毒性の強い茸だったと思われる。 |
文献 |
1) 古泉秀夫:毒キノコ中毒時の中毒症状・処置;DID-0037,1998.10.19.2)舟山信次:図解雑学 毒の科学;ナツメ社,2004
3)長沢英史・監修:日本の毒きのこ;株式会社学習研究社,2003
4)成田傳蔵・編集協力:Field Selection-きのこ;北隆館,1997
5)海老原昭夫・編著:知っておきたい毒の知識;薬事日報社,2001
6)(財)日本中毒情報センター・編:改訂版 症例で学ぶ中毒事故とその対策;じほう,2000
7)吉村正一郎・他編著:急性中毒情報ファイル第3版;廣川書店,1996
8)鵜飼 卓・監修:第三版 急性中毒処置の手引き;薬業時報社,1999 |
調 査者 |
古泉秀夫 |
記入日 |
2006. 3.8. |
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金曜日, 8月 17th, 2007
対象物 |
シロタマゴテングタケ(学名:Amanita verna (Bull.:Fr.) Roques.)、和名:白卵天狗茸。別名:イチコロ・ドクシロコ・ブスキノコ。 |
成分 |
白卵天狗茸の有毒成分は、卵天狗茸の毒成分と同様ファロイジン(phalloidin)及びファロイン(phalloine)というアミノ酸7個からなるペプチド系(あるいはalkaloid系)やアミノ酸8個からなるペプチド系(あるいはalkaloid系)であるアマニチン(amanitin)類である。 |
一般的性状 |
◆白卵天狗茸は、ハラタケ目、テングタケ科、テングタケ属(amanita)に分類される毒茸で、アマ ニタトキシン群(amanitatoxin)に分類される。
◆白卵天狗 茸は夏から秋(8-11月)に、針葉樹林、広葉樹林の地上に発生する。中型茸で、傘は白色、平滑、縁に条線はない。傘の直径は5-8cmほどで、初め丸山型を示すが、後平らに開き、白色ではあるが中央が黄色くなるものもある。柄も白色、平滑で、上部には白色で膜質の鍔、基部には膜質で袋状の鍔がある。柄の長さは7-10cmほどの円柱状ですらりとして見える。白卵天狗茸のひだは柄に離生し、密に並ぶ。
◆白卵天狗茸は、日本全国に分布する。白卵天狗茸は、卵天狗茸の一変種ではない かとする研究者の意見もある。 |
毒性 |
phallotoxin は経口摂取では分解されやすいため、中毒の本体はamanitatoxin類であるとされている。amanitinは加水分解されず、比較的安定で加熱しても分解しない。従って、加熱調理しても毒性はなくならない。amanitinは“腸肝循環”するという特性を有しており、長時間体外に排泄されない。
amanitatoxin群
α-amanitin:マウス腹腔内(LD50):0.3mg/kgβ-amanitin:マウス腹腔内(LD50):0.5mg/kg
γ-amanitin:マウス腹腔内(LD50):0.2mg/kg
ε-amanitin:マウス腹腔内(LD50):0.3mg/kg
amanullin・amanullinic acid・proamanullin・amanin
amanitinの致死量:0.1mg/kg。
毒成分には硫黄を含み、成熟した白卵天狗茸を1本以上の摂食で致死的。 |
症状 |
amanitin には粘膜刺激作用がないため、毒茸を摂取しても直後に症状が見られることはない。摂食後6-24時間経過後、嘔吐、腹痛、下痢が発現する。卵天狗茸による
下痢は、大量の水性便で、コレラ様の水性便を呈する。その後、黄疸、腎機能障害、肝機能障害が発現する。amanitinはRNAポリメラーゼと結合し、RNAの合成、更には蛋白合成を阻害して肝障害をもたらす。劇症肝炎に似た症状で死亡する者が多く、死亡率50%以上とされる *潜伏期を経て突然激しい嘔吐、下痢、腹痛で発症。粘液便、血便を排泄するコレ ラ様症状。 脱水・脱塩(低カリウム血症)
*筋肉硬直、痙攣、頭痛、低血糖、嚥下困難、傾眠、精神錯乱、抑うつ状態。
*溶血、黄疸、肝機能障害、出血、尿閉、血尿、中毒性腎炎、内臓浮腫と疼痛。*衰弱、血圧低下、チアノーゼ、中枢神経障害、心筋障害、血管運動中枢障害、肺 水腫、循環不全
*遅延性肝炎・腎不全(48-72時間後に起こる)
*意識不明・昏睡・死亡。 |
処置 |
[1] 胃洗浄摂食後6時間以内であれば催吐し、胃洗浄を行う。
[2]活性炭・下剤投与(下痢がない場合)
摂食後6時間以上経過している場合、活性炭と下剤投与。肝及び腎機能の検査を数日間は行う。
活性炭投与は4時間毎に2日間にわたって投与する。
その他、十二指腸チューブによる胆汁の除去も有効。
*処方例
活性炭 50gを微温湯300-500mL(小児では1g/kgの活性炭を生理食塩水10-20mL)に溶解し、服用させる。
その後、半量を3時間毎に24時間まで繰り返し投与。下剤としてD-ソルビトール液(75%)2mL/kgを投与し、6時間後に排便がなければ半量を繰り替えし使用(保険適用外)。
[3]強制利尿
amanitinは48時間以内に大部分が尿中に排泄される。従って強制利尿が有効。
[4]血液吸着
活性炭カラムによる血液吸着によるamanitin除去。肝障害予防のため実施。血液透析は、amanitinが膜を通過し難いので、無効とされている
が、腎障害のある場合は適用となるの報告。
◆対症療法
[5]輸液:脱水・電解質異常・低血糖の改善。肝保護剤の同時投与を行う。
[6]呼吸管理:酸素吸入、人工呼吸等[7]循環管理 |
事例 |
およしには医薬の知識なんぞこれっぽっちもない。杢治郎の命がそれでもちっとは延びるならと、とっくり考えた上で遊齊の申し出に応じることにした。
遊齊は心得たりとおよしの下半身を二つ割りにし、鼻息を荒くしてのしかかってきた。
それがはじまりであったという。
理屈と膏薬はどこへでも付くというが、文蔵は遊齊の悪賢さに一驚した。とんでもねえやつがいたもんである。
杢治郎の死はそれから1カ月後に来た。「遊齊が一服盛った。そうは思わねえかい」
文蔵がいうと、およしは、
「それはわかりません。でも、旦那様が亡くなってしばらくした頃、先生がなにかのはずみに人の命なんかはかないもの。毒茸と鳥兜の根さえあればあっけなく
この世からあの世に送ることができる、医者にはその力があるといったことがあるんです。ですから、もしかしたらとあたし、ずっとそのことを思っていたんで
す」
と、そういった。
もしかしたらどころではなかろう。遊齊は薬を使って杢治郎の死を早めたのだ。それに間違いはない。間違いないことは「幽霊」が出ると、柳原町界隈でささや
かれていることでもわかろうというもの。誰知るまいと遊齊はやったのかもしれないが、どっこい天知る地知るだったのだ。 [西村 望:連作時代小説 莨屋文蔵御用帳 蜥蜴市;株式会社光文社,2001] |
備考 |
◆単に毒茸ということで、具体的な名前は書かれていない。しかし、摂食することで、死亡者が出るほど毒 性の強い茸としては、毒茸の御三家に数えられる“卵天狗茸・シロタマゴテングタケ・毒鶴茸”のうち今回は“シロタマゴテングタケ”を取り上げる。 |
文献 |
1) 古泉秀夫:毒キノコ中毒時の中毒症状・処置;DID-0037,1998.10.19.
2)舟山信次:図解雑学 毒の科学;ナツメ社,2004
3)長沢英史・監修:日本の毒きのこ;株式会社学習研究社,2003
4)成田傳蔵・編集協力:Field Selection-きのこ;北隆館,1997
5)海老原昭夫・編著:知っておきたい毒の知識;薬事日報社,2001
6)(財)日本中毒情報センター・編:改訂版 症例で学ぶ中毒事故とその対策;じほう,20007)吉村正一郎・他編著:急性中毒情報ファイル第3版;廣川書店,1996
8)鵜飼 卓・監修:第三版 急性中毒処置の手引き;薬業時報社,1999
9)http://nd.sakura.ne.jp/~shinji-t/Nissi200307- 09/0720sirotamagotengutake1.htm,2005.7.31. |
調査者 |
古泉秀夫 |
記入日 |
2005. 7.31. |
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金曜日, 8月 17th, 2007
対象物 |
ドクニンジン、毒人参 |
成分 |
コ ニイン(coniine)、γ-コニシイン(γ-coniceine)、N-メチルコニイン(N-methylconiine)。coniineの別名としてd-alpha-propylpiperidine。 |
一般的性状 |
■ヨーロッパ原産のセリ科ドクニンジン属の植物で、ヨーロッパ各地の乾燥地に自生している2年生草本。 学名:Conium maculatum L,、英名:Poison
Hemlock or Snakeweed。北アフリカ、アメリカ、中央アジア、カナリー島、中国などに広く帰化している。日本にはドクニンジンの野生はない。古くはこの草のエキスを破傷風の治療薬に用いたが、現在では医薬品としての利用はない。日本では医薬品の研究に使用する目的で栽培されることがあり、種子が外部に飛散し、時に野生化することもある。茎は太く中空、高さ3mに達し、大きく枝分かれする。葉は対生し数回羽状に全裂する複葉、葉は長さ30cmになり無毛。花は白色の小花で、複散形花序につく。花弁は5枚。
■ドクニンジンは全草にconiineという神経毒を有するアルカロイドが含ま れる。花・実(特に乾燥した種子)・葉・根など全てに含まれているが、花・実・葉では含有量が不安定で、天候に左右されやすい。更に乾燥すると毒性は次第に減弱する。常に安定しているのは気温の影響を受け難い土中の根だけであるが、根の絞り汁も長く空気中に放置すると不安定になるとする報告が見られる。しかし、特に根、種子にかなりの毒が存在するとされている。
■古代ギリシャでは陰干しにしたものを粉末化し、水か温湯でエキスにして使用さ れたと伝えられるが、粉末を水に混ぜて飲ませたともいわれる。ソクラテスを毒殺した毒として知られている。中が中空で太いので、ロンドン郊外の子供達がこれで笛を作り、吹きながら遊んでいるうちに、数人の中毒者を出したという記録がある。 |
毒性 |
coniine の致死量75mg又は500mgとする報告。
■coniineは中枢神経に作用するアルカロイドで、四肢の末端から次第に毒 が回り、意識はそのままに肉体だけが硬直していく。呼吸に必要な横隔膜の筋肉も麻痺するから心臓は動いていても呼吸困難になり、最後は窒息死する。 |
症状 |
■一般的な初期症状:口中のネバネバ感と口渇、嘔気、流涎。腹痛、下痢、頭痛、発汗、眩暈、瞳孔散大。
■症状は急速に起こる。流涎、悪心と嘔吐及び咽頭刺激。後に口の渇き、喉の乾 き、嚥下困難。下肢の衰弱と骨格筋の麻痺。痙攣。呼吸筋は最後に傷害される。瞳孔は通常散大。複視、弱視、聴覚障害。体温降下。呼吸障害。意識障害は終期
を除いて通常はない。 |
処置 |
■0.05%-過マンガン酸カリウムで早期に胃洗浄、活性炭20gを水とともにslurry(懸濁液) にし胃内に入れておくとよい。塩類下剤(硫酸ナトリウム30gを250mLの水に入れる)。利尿剤による治療(フロセミド20mgを静注)。人工呼吸が数時間のあいだ必要となる。もし痙攣が起こればジアゼパム5-10mgを緩徐に静注。又は深く筋肉内注射する。■早期に現れる筋の硬直やそれに続くミオグロビン尿、急性腎不全を予防するため には、呼吸抑制や気道閉塞に注意しつつ、大量のジアゼパムを予防的に投与するのがよい。経口投与した後、必要なら静注で追加する。 |
事例 |
カ ロリン・クレイルはそれに耐えられなかった。彼女は夫に、もしその小娘をあきらめなければ殺すといって脅かしたが、それを二人の人が聞いていた。それにまた、あの事件が起こる前日、夫妻は隣の人と一緒に茶を飲んでいる。その人が道楽半分に薬草をつくって薬の自家醸造をやっていた。そこで、コニインと呼ばれるドクニンジンから作られる薬の話が出て、その恐ろしい効力が話題となったのだった。
ところが翌日、その隣人が薬を入れていた瓶が半分からになっているのに気がついて、大騒ぎとなった。探したところ、その薬を入れたとおぼしき瓶が、ほとんどからになってクレイル夫人の部屋の引き出しの底から発見されたんだ。」
ポアロは落ち着かない様子で身じろぎした。
「だれかほかの人がそこへ入れたということはなかったんですか?」「ああ、それは、警察できかれたときに、夫人自身が認めている。もちろん賢明なことではないんだが、まだその頃には弁護人がついていなかったので入れ知恵をしてやる人がいなかったわけだ。それで、そのことについてただされたときに、自分が盗ったことを率直に認めてしまったわけだ」
「盗った理由は?」
[アガサ・クリスティー(桑原千恵子・訳):五匹の子豚;早川書房,2003]。 |
備考 |
16 年前に決着を見た殺人事件を、娘の依頼を受けたポアロが検証するという物語である。16年前の事件の当事者が、どの程度事件の内容を記憶していることができるのか、甚だ問題ではあるが、この事件の関係者諸氏は、昨日のことのように鮮明な記憶を持ち合わせていたようである。更に重要人物の一人は、既に死亡しており、益々真実の追究は困難になるのではないかと思われたが、名探偵ポアロは事件を再構築し、事件の謎を解明する。恐るべき名探偵というのか、それとも作者のアガサ・クリスティーの物語の構築のすばらしさといおうか。
また、使用された毒物も“ドクニンジン”ということで、クリスティーの小説で今までに使用されたことのない物が導入されている。ただ、我が国には帰化して
いないといわれる“ドクニンジン”だけに、毒成分であるconiine、γ-coniceineの含有部位について、種々の文献報告がされているが、いずれにしろ全草に有毒成分が含まれているようで、“ドクニンジン”の太い茎を笛にして遊んだ子供が中毒を起こしたとする報告もされている。 |
文献 |
1) 植松 黎:毒草を食べてみた;文藝春秋,2000
2)大木幸介:毒物雑学事典-ヘビ毒から発ガン物質まで-;講談社ブルーバックス,1999
3)船山信次:図解雑学 毒の科学;ナツメ社,2004
4)海老原昭夫・編著:知っておきたい毒の知識;薬事日報社,2001
5)学研の大図鑑-危険・有毒生物;学習研究社.2003
6)伊澤一男:薬草カラー大事典;主婦の友社,19987)白川 充・他訳:薬物中毒必携 第2版;医歯薬出版株式会社,1989
8)内藤裕史:中毒百科-事例・病態・治療;南江堂,2001
9)海老塚豊・監訳:医薬品天然物化学 原書第2版;南江堂,2004 |
調査者 |
古泉秀夫 |
記入日 |
2005. 3.23. |
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金曜日, 8月 17th, 2007
対象物 |
毒 芹(water-hemlok) |
成分 |
全草に猛毒成分シクトキシン(cicutoxin)、シクチン(cicutin)を含む。シクトキシンの詳細な作用機序は不明であるが、ピクロトキシンに類似の作用を有し、脳幹部より上位の中枢神経を刺激する。 |
一般的性状 |
毒芹、セリ科(Umbelliferae)ドクゼリ属の多年草で、日本全国の湿地帯に自生する。地下茎は緑色。節間は短縮して竹節状に肥厚。茎は中空、葉は2-3回羽状複葉、枝先に複散形花序を付ける。学名:Cicuta virosa。有毒部:全草、特に地下茎。地下茎が最も有毒。
■ドクウツギ、トリカブトともに日本の三大毒草に数えられている。
別名:オオゼリ。野芹菜花(漢名)。
■葉は食用のセリと間違いやすい。しかし、実際の中毒事故は根茎をワサビ等と間 違えて食べて起こすことが多い。春には全草に毒成分が含まれるが、夏になると根茎に多くなる。 |
毒性 |
ヒトにおける致死率:30-50%。
ヒト致死量:50mg/kg。
5g以上の摂取で致死的中毒の可能性。
■根茎から出る汁は、経皮的に吸収され中毒を起こす。かゆみ止めに使用して死亡 した例も報告されている。 |
症状 |
■中枢神経系の延髄及び中脳を刺激し、強直性の痙攣を起こす。消化管から急速に吸収される。■中毒症状:痙攣、頻脈、呼吸困難。
■90-120分で発症し、24時間以内に死亡。悪心、嘔吐、灼熱感、腹痛、下 痢、耳鳴、眩暈、動悸、意識障害、てんかん様痙攣、チアノーゼ、散瞳、徐脈、呼吸困難で死に至る。
■大きな毒芹の根茎を2本を摂食した者は約1時間後から1時間35分の間に6回 強直性間代性痙攣を繰り返し、心停止で死亡した。1本を摂食した者は45分後から強直性間代性痙攣が始まり、約30分おきに5回発作を繰り返し、その後、2日間にわたって嗜眠状態が続いた後、回復した。 |
処置 |
■気道確保と痙攣対策が出来れば、致死率は一気に改善される。
痙攣を止めるためには、ジアゼパムを静注する。20-30mg静注して痙攣が止まらなければ、直ちにペントバルビタールに切り替える。これらの薬物は、痙攣を止める作用があるだけではなく、ピクロトキシンの作用点(GABA受容体)に対する特異的拮抗薬でもある。従ってピクロトキシン又はピクロトキシン類似の痙攣毒に対しては、対症療法がそのまま特異的治療となる。重症中毒には、気管内挿管して機械的人工呼吸をしなければならないことがある。*早期に胃洗浄(痙攣発作時は危険)
*酸素吸入、人工呼吸
*痙攣にはpentobarbital sodium(ネンブタール注)、thiopental sodium(ラボナール注)の静注。
*強制利尿。
*血液透析、血液吸着。 |
事例 |
◆庄兵衛もおまきも、それで命をとりとめたのだが、五日ほど過ぎて二人の回復を待って畝源三郎が取調べ てみると、奇妙な事実が浮かび上がった。てっきり、おまきが無理心中をはかったと思っていたものだったが、
「たしかに、毒芹を手に入れてきたのもおまきなら、それを団子に作ったのもおまきなのですが、庄兵衛は毒と承知していて、一緒に食ったと申すのです」
一緒に死にたいとおまきがいった時に、庄兵衛が同意し、二人して毒団子を口にしたという。
「おまきがそういっているのか」
「いや、庄兵衛自身がそう申すのです」 [平岩弓枝:御宿かわせみ8-白萩屋敷の月-水戸の梅-;文藝春秋,1989]
◆赤い薬包が二服入っている。調べてみると、意外にも、それは猛毒を有する鳳凰 角(毒芹の根)の粉末であった。これで話しが大きくなった。
昨年の十月十日に湯島天神境内のとよという茶汲女が何者かに毒殺され、それから三日おいて、両国の矢場のおさめという数取女が同じような怪死を遂げた[久生十蘭:顎十郎捕物帖-稲荷の使い;朝日文芸文庫,1998] |
備考 |
春 には全草に毒成分が含まれるが、それ以外の季節では葉の毒性は低く、年間を通して根茎が最も毒性が強いとされている。国内での誤食例では、ワサビと間違えてということで、1回の誤食量は限定されるが、米国では食用になるアメリカボウフウの根と間違えて摂食するということで死亡例も出ている。いずれにしろ我が国を代表する有毒植物であるということで、捕物帖の世界では繁用される毒物の一つである。 |
文献 |
1) 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
2)海老原昭夫:知っておきたい身近な薬草と毒草;薬事日報社,2003
3)西 勝英・監修:薬・毒物中毒救急マニュアル 改訂6版;医薬ジャーナル,2001
4)内藤裕史:中毒百科 改訂第2版;南江堂,2001
5)高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2004 |
調査者 |
古泉秀夫 |
記入日 |
2004.8.22. |
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金曜日, 8月 17th, 2007
対象物 |
毒人参(Spotted hemlock) |
成分 |
全草に有毒alkaloidのコニイン(coniine)を含み、その主成分はd-コニイン(d-co-niine)、l-コニイン(l-coniine)、N-メチルコニイン(N-methylconiine)、γ-コニセイン(γ-coniceine)、コンヒドリン、N-プソイドコンヒドリン等を含む。 |
一般的性状 |
■ドクニンジンはセリ科(Umbelliferae)、ドクニンジン属の越年草(2年生草本)である。
学名:Conium maculatum L.。和名:毒人参。英名:poison-hemlock、spo-tted-hemlock。別名:d-alpha-propylpiperidine、シキトウ、hemlock。ヨーロッパ原産で、中国、北アフリカ、北米に帰化し、日本では医薬品研究用に栽培され、希に野生化する。
[形態]草丈80-180cm。根は円錐形に肥厚する。茎は空中で大きく分枝して広がる。葉は2-3回羽状複葉で、夏日複散形花序に小白花を多数つける。
[有毒部分]全草、果実。全草に有毒alkaloid coniineを含む。筋弛緩作用がある。運動神経末端の麻痺。消化管より容易に吸収される。かなり速く体内で解毒される。
■古くは毒人参のエキスを破傷風の治療や筋弛緩薬、鎮痙、解熱薬として用いたが、毒性が高く実用性が低いため、現在は動物実験用毒物として僅かに用いられているにすぎない。古代ギリシャでは毒人参エキスを罪人を毒殺するために用いた。哲学者ソクラテスがこの毒によって最期を遂げたという話しはよく知られている。
■コニウム草(herba conii)。ドクニンジン(Conium maclatum L.)の全草を乾燥したもの。coniine、γ-coniceineなどのピリジン誘導体alkaloidを含み、かつては鎮静、鎮痙薬として用いられたが、その毒性のため今日では殆ど使われない。
■コニウム実(hemlock fruit)。ヨーロッパ原産でアメリカに帰化、野生化するドクニンジン(Coniummaclatum L.)の未熟果実。alkaloidのconiine、N-methylco-niine等を含み筋弛緩薬として痙攣性疾患に用いるが、呼吸麻痺の危険性がある。
■毒人参の若い植物ではγ-coniceineが多く、成熟すると coniineが多くなる。毒人参の汁は“ネズミ臭い”と形容される不快臭があるため、ヒトの中毒は希である。毒人参の芽や蕾を食べて、3月頃、ヒトの中毒が時々起こる。鳥は中毒を起こし難いが、ヒトでは吸収が速く中毒を起こす。coniineはアルコールに溶けやすい。coniineもγ-
coniceineも、家畜に奇形を起こす物質として有名である。妊娠50-75日のウシに毒人参やconiineを与えると、四肢関節や脊椎の彎曲奇形の仔牛が高率に生まれる。 |
毒性 |
■毒人参のalkaloidは毒性が非常に強く、中枢神経を初め興奮、後に麻痺させ、運動神経末梢を麻痺させる。coniineのヒトに対する致死量は、60-120mgで、コンヒドリンはやや 毒性が弱く、γ-coniceineは更に弱い。 |
症状 |
■毒人参の毒性発現の特徴は、手足の末端から体の中心に向かって麻痺が進むことである。初めに両足に麻痺が現れ、やがて手、顔面筋へと進む。声がかすれ、ついには意識が完全に保たれたまま呼吸筋が侵され、30分-1時間で死亡する。
■症状は急速に起こる。30分間、流涎、悪心と嘔吐及び咽頭刺激。後に口渇、喉の渇き、嚥下困難。
下肢の衰弱と骨格筋の麻痺。痙攣。呼吸筋は最後に障害される。瞳孔は通常散大。複視、弱視、聴覚障害。体温下降。呼吸障害。意識障害は終期を除いて通常ない。
■葉はパセリ又はセロリと思われ、また根はアメリカボウフウと思われて食べられ、中毒を起こす。中空の茎を子供が、火吹き豆鉄砲、あるいは望遠鏡として用いるのは危険である。 |
処置 |
[1]0.05% -過マンガン酸カリウムで早期に胃洗浄。
[2]活性炭20gに水を加えスラリー(slurry:懸濁化)状にして内服させる。
[3]塩類下剤(硫酸ナトリウム30gを250mLの水に溶解)。
[4]利尿剤による治療(フロセミド20mg静注)。
[5]人工呼吸が数時間の間必要となる。
[6]痙攣が見られる場合ジアゼパム5-10mgを緩徐に静注又は深く筋肉内注射することによって抑制できる。 |
事例 |
「密告者が七人の中にいたのか、別人なのか。気になるのは、彦之進が文殊の力三に対して借りがあるといっていたこと。そのために獄門になる筈の彼が遠島と罪が軽くなっていることだ。更に、この一味の中の二人が外からの差し入れによって牢内で死んでいる」
牢内で死んだものは当然のことながら、死体は牢外へ出される。
「この前、一番原で死んでいた猪之松と彦之進だが、検屍の医者が毒人参によるのではないかといっている」
毒人参は少量を用いると喘息や咳に効果があるので、薬種問屋では薬として売っているが、大量に服用すると体がしびれてきてやがて呼吸が止まる。
「小平次の報告によると、延志津の兄の勘吉は、最初浅草の薬種問屋に奉公していた。或いは毒人参についての知識があったのかもしれない」
毒人参をほどほどに飲むと仮死状態になる。
「これを牢抜けに用いるというのはどうだ」
小平次は舌を巻いた。
[平岩弓枝:五人女捕物くらべ(下)-雪の夜ばなし-七化けおさん;講談社文庫,1997] |
備考 |
毒人参を服用させ、仮死状態にして牢抜けをするという話しである。話しとしては面白いが、仮死状態からの蘇生は、自然回復は困難だと考えられることから、何か特別な解毒方法が用意されていないと難しいかもしれない。更に我が国には自生していないため、国外から持ち込むことになるが、相当高額な値段が付けられたと思われるので、何処の薬種問屋にも置いてあるというものではないと考えられる。
しかし、あくまで物語の世界のことであり、難しく考えることではない。毒人参が入手できたことから犯罪が構築されたと考えれば、それはそれで甚だ結構な物語であるということである。 |
文献 |
1) 薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
2)三橋 博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
3)大木幸介:毒物雑学事典-ヘビ毒から発ガン物質まで-;講談社ブルーバックスB-569,19844)内藤裕史:中毒百科 改訂第2版;南江堂,2001
5)白川 充・他共訳:薬物中毒必携 第2版;医歯薬出版株式会社,1989 |
調査者 |
古泉秀夫 |
記入日 |
2004.7.2. |
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金曜日, 8月 17th, 2007
対象物 |
ツキヨタケ(月夜茸)。地方名:ヒカリキノコ、クマヒラ、ドクアガリ。和太利(ワタリ)、外打理(ワタリ)。権現茸。クマベラ、クマビラ。 |
成分 |
イルジンS(illudin S)、イルジンM(illudin M)。ネオイルジンA(neoilludin A)、ネオイルジンB(neoilludinB)(細胞毒)。ジヒドロイルジンS(dihydroilludin S)。デオキシイルジンM(deoxyilludine M)、ランプテロフラビン(発光物質)。レクチン(抗菌物質)。アトロメチン、テレホール酸、ジロシアニン(色素)。 |
一般的性状 |
■ハラタケ目キシメジ科ツキヨタケ属ツキヨタケ(Lampteromyces japonicus (Kawam.) Sing.)。初夏-秋にブナなどの広葉樹の倒木や枯れ木などに多数が重なり合って発生する。中型-大型で、傘は半円形-腎臓型、表面は初め黄橙褐色で、やや濃色の小鱗片があるが、後に成熟すると紫褐色-暗褐色となり、多少鑞状の光沢を帯びる。ひだは垂生し、淡黄色のち白色で幅広く、暗所で青白く発光するのが確認できる。
■柄は太短く、傘の殆ど側方、稀に中央に付き、隆起した不完全な鍔がある。縦に裂くと、柄の付け根の部 分には普通黒紫色、稀に淡褐色のシミ(但し、必ずしも明確な鑑別基準にはならないとされる)がある。肉は白で軟らかく、柄に近い部分は厚 い。
■本種は食 用のヒラタケ、ムキタケ、シイタケなどと間違って食べることによる中毒例が多い。
■マウスに対して致死性を示す。癌細胞に対して、細胞毒性を示すことから抗癌剤 として期待されたが、正常細胞に対する毒性も強いため、薬にはならなかった。 |
毒性 |
■ツキヨタケ毒素群。
■消化管出血性炎症惹起作用。
■中毒は徐々に発現し、経過が長いのが特徴。特に小児や老人では少量の誤食でも 危険である。
illudin M・S類illudin S(ランプテロール:Lampterol、ルナマイシン:Lunamycin)
月夜茸に含まれるセスキテルペンの一種。我が国では初めlunamycin又はlampterolと命名されていた。米国の発光茸(Clitocybeilludens)から得られたilludin Sと同一の化合物であったため、先名権によってイルジンと呼ばれている。
illudin Sの毒性:LD50:マウス(腹腔 内)50mg/kg。 |
症状 |
■消化器性障害中毒-亜急性型。
■摂食後数時間(摂食後30分-3時間)で発症。コレラ型。
■突然の嘔吐と下痢で始まる。腹痛に続き、コレラ様の白色水溶性の下痢便(血便 になることもある)。
脱水症状、体温下降、血圧低下、眩暈、色彩幻覚、知覚異常、循環不全。低カリウム血症、心筋障害、血管運動中枢障害。後に肝障害・肝性昏睡、腎障害。 |
処置 |
■激しい下痢症状のため下剤の投与は一般に行わない。特に嘔吐、水溶性下痢が極度の場合、体液喪失によ る脱水、電解質異常に対する補液に十分気をつける。[1]催吐・胃洗浄。
[2]吸着剤投与。
[3]対症療法:補液。
[4]重症例には血液灌流(DHP:direct hemoperfusion)が有効と思われる。
■治療法-参照-
a.催吐:中毒量以上の毒物を摂取して1時間以内の意識正常患者に実施する。家 庭内で発生する低毒性物質の少量誤飲例に催吐の対応はない。
b.胃洗浄:毒物を経口的に摂取して1時間以内で、大量服毒の疑いがあるか、毒 性の高い物質を摂取した症例に実施する。処方例
微温湯:1回200-300mL(小児では生理食塩水10mL/kg)を注入し、排液が透明になるまで繰り返す。
c.活性炭・下剤投与:活性炭投与も薬毒物の摂取後1時間以内が有効である。た だし、次の特徴を有する薬毒物では、24-48時間にわたり、2-6時間毎に繰返し投与する方法が推奨されている。
[1]分布容量(Vd)が小さい。
[2]蛋白結合率の低い物質。
[3]脂溶性。
[4]血中でイオン化していない。
[5]腸肝循環する(若しくは腸溶錠=徐放剤)
処方例
活性炭 50gを微温湯300-500mL(小児では1g/kgの活性炭を生理食塩水10-20mL)に溶解し、服用させる。その後半量を3時間毎に24時間まで繰り返して投与する。下剤としてD-ソルビトール液(75%) 2mL/kgを投与し、6時間後に排便がなければ、半量を繰返し使用。
d.強制利尿:全ての急性中毒症例で、その程度は様々であるが、何等かの強制利 尿が実施されている。しかし、適切な体液・循環管理がされている限り、強制利尿の適応となる物質は限られている。また最近では腎障害の増強が問題視され、酸性利尿は原則として推奨されていない。 |
事例 |
■毒キノコ直売 長野のJAミス
長野県諏訪保健所は23日、JA信州諏訪の農産物直売所(岡谷市)で購入したキノコを食べた4-68歳の男女3人の家族が、おう吐などの食中毒症状を起こ
したと発表した。3人は快方に向かっている。キノコは食用の「ヒラタケ」として販売されていたが、同保健所の調べで、毒キノコ「ツキヨタケ」と判明。同保
健所は直売所を4日間の野生キノコの販売停止処分にした。JA信州諏訪によると、キノコは組合員が山で採取したもので、「このようなことが二度とないよう
に何等かの対応を考えている」としている。
[読売新聞,第46556号,2005.10.24.] |
備考 |
殺人に使用される毒は、取扱が簡単で、確実性がなければ、犯人も使ってみようなどという気は起こさない。月夜茸は毒を持つ茸ではあるが、殺人に使用するに
は、確実性のある毒物ではなく、医学の発達した現代では、致命的な毒性を示すほど強いともいえない。更に該当者に気付かれずに摂取させるとすると、茸汁に
でもしなければならず、毒物としての使用性が高いとはいえない。
従って、月夜茸は物語の世界で殺人の道具として使用されることは無いと思われるが、実世界では最も誤食の多い茸の一つとされており、今回、その毒性と対処
法について調査した。 |
文献 |
1)長沢栄史・監修:フィールドベスト図鑑 日本の毒きのこ;学習研究社,2004
2)奥沢康正・他:毒きのこ今昔-中毒症例を中心にして-;思文閣出版,2004
3)西 勝英・監修:薬・毒物中毒救急マニュアル 改訂6版;医薬ジャーナル,2001
4)石倉俊治:食中毒-その2-;薬局,43(4):569-573(1992)
5)吉村正一郎・他編著:急性中毒情報ファイル 第3版;廣川書店,1996 |
調査者 |
古泉秀夫 |
記入日 |
2006. 1.1. |
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金曜日, 8月 17th, 2007
附:血管外漏出時の処置
■ 血管外漏出:薬物によっては静注部位からの血管外漏出のため、重大な局所組織損傷を惹起することがある。疼痛、紅斑などの初期症状は数時間以内にあらわれるが、遅延性の場合には1-2週間後となることもある。血管外漏出が起きた際には、以下の手順に従う。
1.化学療法薬注射中止:静脈カテーテルを抜去する前に血液5mL程度を吸引し、残存する薬物の除去に努める。
2.薬物に応じた湿布と中和:薬物の種類によっては冷湿布か温湿布が必要である。また静脈カテーテル抜去前のカテーテルへの注入、近傍組織への皮下注射を通じて、中和のための局所的薬物浸潤(必要とする部位の組織又はその周辺に注射する方法)を要することもある。
3.局所領域の監視:組織壊死の徴候に留意する。外科的にデブリードマン(debridement;創傷清拭;通常、無菌部分が露出して出血のみられるところまで切除する。)や皮膚移植術を要することがある。血管外漏出性損傷は通常、激痛をもたらすため、適切な鎮痛手段を講ずる。
[015.11.INJ:2001.4.24.古泉秀夫]
- 高久史麿・他監訳:ワシントン・マニュアル[第8版];メディカル・サイエンス・インターナショナル,2000
- 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2001
- 医学大辞典;南山堂,1992
- 森潔:注射薬ハンドブック;富士書院,1989
- 造影剤要覧 第21版;日本シエーリング株式会社,1999.12.
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金曜日, 8月 17th, 2007
対 象物 |
ジャガイモ、馬鈴薯(バレイショ)。学名:Solanum tuberosum。別名:ジャガタライモ。 |
成 分 |
ソラニン(solanine)。C45H73NO15=868.04。solanineは alkaloidのソラニジン(solanidine)と糖(グルコース、ガラクトース、ラムノース)が結合した配糖体である。α-solanine、β -solanine、γ-solanine、α-chaconine、β-chaconine、γ-chaconineの6個に別けられる。ジャガイモの 新芽に含まれる毒物。他にイヌホオズキ、ヒヨドリジョウゴにも含まれる。solanineは水溶性なので、煮たり茹でたりすることによって、減少するが、 焼いたものや生ものは除去できないので、摂取量によっては危険性がある。 |
一 般的性状 |
ナス科ナス属。南米ペルー、ボリビア国境にあるチチカカ湖周辺地域が原産とされる多年草である。16世紀にスペイン人によりヨーロッパに伝えられ、普及し た。草丈50-100cmで、地下茎の先端が肥厚して塊茎(ジャガイモ)になる。
原形質毒であり、強力な溶血作用を示す。その他、solanineはジャガイモの全ての部分に含まれており、特に光に当たって緑色になった部分や芽の周辺に濃厚に存在するとする報告がされている。 |
毒 性 |
芽・ 日光に当たって緑色に変色した芋。ジャガイモの芽の緑になったところには毒成分のsolanineが濃厚に存在する。solanineは acetylcholineを分解する酵素のacetylcholinesteraseを阻害する酵素阻害物質である。大量のsolanineを摂取する と血中にacetylcholineが蓄積し、中毒症状を発現する。但し、大量摂取でない限り、致命的になることは稀であるの報告が見られる。LD50(マウス):42mg/kg。
LD50 (mg/kg) |
ラット経口 |
590 |
ウサギ経口 |
450 |
ウサギ静注 |
25 |
ウサギ(静注)最小致死量:0.5mg/kg。ウサギ(皮下)最小致死量:2mg/kg。 |
症 状 |
solanine 作用:12-24時間後に発現
嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、徐脈、溶血作用、中枢抑制、呼吸困難等。
atropine様作用:2-3時間後に発現。 口渇、興奮、幻覚、痙攣、頻脈、発熱。
実際にはatropine様作用である痙攣、幻覚、昏睡、不整脈が強く現れる。
循環器系:頻脈。
呼吸器系:呼吸困難、昏睡から呼吸停止。
神経系:極度の疲労感、傾眠、錯乱、昏睡、脳圧亢進の報告。
消化器系:食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢、時に出血性胃腸炎。
その他:重篤例では腎不全、高血糖、発熱、発汗、流涎。
□通常は7-19時間で下痢、嘔吐が発現するが、致 死例では症状発現に48時間経過した例もある。小児の誤食では、通常は嘔吐、頭痛、紅潮の報告。
□起立性低血圧があれば、少なくとも24時間の入院 観察が必要。
呼吸障害は後期に出現することがある。
□集団中毒患者で、78人中17人に胃腸症状がな く、発熱、傾眠、錯乱、興奮、頭痛、幻覚の為入院を要した。6-11日後に退院、数週間、視覚のぶれが残存したの報告。 |
処置 |
摂 取後4時間以内で、嘔吐や下痢がなければ胃洗浄、吸着剤と下剤の投与有効。
解毒剤・拮抗剤無。
電解質バランスのチェック。
対症療法。 |
事 例 |
授 業で育てたジャガイモ皮ごと……… 77人食中毒 江戸川の小学校 東京都は20日、江戸川区立鎌田小学校で、授業で栽培したジャガイモを食べた児童ら77人が食中毒を発症したと発表した。都健康安全 研究センターの検査で、ジャガイモの皮や芽に含まれる有毒物質ソラニン類*が原因と解った。いずれも症状は軽く、入院患者はいない。都福祉保健局による と、同校では18日昼、児童が収穫したジャガイモを調理員が皮付きのまま茹で、6年生の児童と教員計132人が食べた。このうち児童75人と教員2人が、 腹痛や吐き気、のどの痛みを訴えた。
このジャガイモは理科の授業で児童らが栽培し、今月13-14日に収穫。残っていた茹でジャガイモや生のジャガイモからソラニン類が検出された。ソラニン 類は皮の緑色の部分に多量に含まれ、同局では皮を取り除かないまま未成熟のジャガイモを食べたのが原因と断定した。
同局によるとソラニン類が原因の食中毒は1998年-昨年までに、全国で9件(幼稚園1件、小学校8件)発生。同局は、芽や皮をきちんと取り除き、調理す るよう呼びかけている[読売新聞,第46825号,2006.7.21.]。
*ソラニン類:ジャガイモ、トマトなどナス科植物の芽に多く含まれる。大人では0.2-0.4gを摂取すると吐き気や下痢、腹痛などの症状が現れ、子供は それ以下で発症する。 |
備 考 |
ソ ラニン(solanine)の結晶を精製しない限り、如何に小説といえど、人を殺すための毒物としてジャガイモの芽や太陽光によって緑化した部分を大量に 摂食させ、死に至らせるということは不可能である。
従って、今回は実際に食中毒として報告された事例に基づいて、solanineの毒性について検証した。ジャガイモの芽には毒があるので食べてはならない というのは、子供の頃、親からいわれて、ある意味常識的なことと思っていたが、今回の報告以外にも小学校の学習行事の中でジャガイモを摂食した事例が報告 されており、あまり知られていないことなのかと驚きを禁じ得なかった。
尚、文献によっては、乾燥したジャガイモの葉の煙により頭痛、悪心、嘔吐、直腸と結膜下の出血の症状発現が報告されているので、ジャガイモ収穫後の葉や茎 の処理には注意が必要である。 原形質毒:細胞が生きていくために細胞内に含まれる 物質を原形質という。その原形質の共通成分に変化を与える化学物質。その作用は選択的でなく、接触する全ての組織細胞に対して発現される。 |
文献 |
1) 海老原昭夫:知っておきたい身近な薬草と毒草;薬事日報,2003 2)海老原昭夫・編著:知っておきたい毒の知識;薬事日報社,2001
3)Anthony T.Tu・編著:毒物・中毒用語辞典;化学同人,2005
4)海老塚豊・監訳:医薬品天然物化学 原著第2版;南江堂,2004
5)西 勝英・監修:薬・毒物中毒救急マニュアル 改訂7版;医薬ジャーナル,2005
6)鵜飼 卓・監修:第三版 急性中毒処置の手引き;薬業時報社,1999
7)白川 充・他共訳:薬物中毒必携 第2版;医歯薬出版株式会社,1989
8)薬科学大事典 第2版;廣川書店,1990
9)南山堂医学大辞典 第19版;南山堂,2006 |
調 査者 |
古泉秀夫 |
記入日 |
2006.8.25. |
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金曜日, 8月 17th, 2007
対象物 |
青酸カリ(potassium cyanide) |
成分 |
シアン化カリウム(KCN) |
一般的性状 |
シアン化カリウムが正名で、青酸カリは俗称である。無色、潮解性の粉末。水によく溶け、水溶液 は強アルカリ性である。アルコールには僅かに 溶ける。酸と反応して猛毒シアン化水素(HCN)を発生する。 |
毒性 |
■シアン化水素(HCN):ヒト推定致死量:50mg-100mg、1L中シアンガス0.2- 0.3mgで即死。液状シアン化水素内服:60mg即死。シアン塩:経口致死量:200-300mg。
■シアン化カリウム(KCN):ラット(経口)LD50:10mg/kg、CN による細胞呼吸阻害による致死作用である。
最小中毒量(TDL0)14mg/kg、最小致死量 (LDL0)170mg(成人)、致死量200- 300mg(成人)。 |
症状 |
◆急性意識喪失、痙攣と5分以内の死亡。シアン化アルカリは幾分作用開始は遅い。その速度は胃の酸度による。シアン化アルカリは粘膜腐食性である。少用量は頭痛、眩暈と悪心、眠気、呼吸数増加、頻脈と意識障害を起こす。4時間以上保てば回復にいたる。◆局所症状
*皮膚の汗ばみ、眼球突出、瞳孔散大と無反応、顔面紅潮、チアノーゼは顕著ではない。
*吐物、呼気にアーモンド臭あり。
◆消化器症状:悪心、嘔吐。
◆中枢神経症状
*頭痛、脱力、眩暈、意識消失。
*運動失調、てんかん様あるいは強直性痙攣。
◆呼吸器症状
*呼吸促迫、過呼吸、呼吸困難(吸気相が極端に短縮し、呼気相が延長する)。
*呼吸停止により死亡。
◆循環器症状:中毒初期に血管収縮により血圧上昇、心拍数減少、その後頻脈、微
弱脈、不整脈、胸部苦悶感、心悸亢進。 |
処置 |
■青酸として直ちに100%酸素を吸入させる。口対口人工呼吸は禁忌である。特異的治療としては亜硝酸アミルの吸入を行いつつ、メトヘモグロビン血症を作るために亜硝
酸ナトリウムを静注する。これで遊離したシアンと結合して腎から排泄させるため、チオ硫酸ナトリウムを投与する。
◆対症療法
[1]バッグアンドマスクで100%酸素投与。
[2]amyl nitrite 1回0.25mL吸入 血圧低下に注意。
亜硝酸アミル吸入液0.25mL/管(三共) (保険適用外)
[3]亜硝酸ナトリウム 成人:1回300mgを10mLに溶解したものを10分以上かけて緩徐に静注。小児:1回10mg/kg
10分以上かけて緩徐に静注(未発売・院内調製-緊急時→非滅菌製剤使用)。
[4]sodium thiosulfate 成人:12g/回 静注 小児:50mg/kg/回 静注
デトキソール注2g/20mL/管(万有)
以上で効果がなければ、亜硝酸ナトリウムとチオ硫酸ナトリウムを初回投与量の半量投与。過量投与で重篤なメトヘモグロビン血症発現時メチレンブルーの使用はシアン中毒を悪化させるので、血液透析実施。 |
事例 |
「知 りたいことがあるんだよ、先生。水中で誰かを毒殺しようと思ったら、どうやる?。」
「エディングスは水中で毒殺されたんじゃないかもしれないわよ」と、ルーシーが言う。
「ダイビングする前に青酸カリを飲んだのかも」
「いいえ、それはないわ。青酸カリは腐食性が強いから 、飲み込んだのなら胃が酷くただれているはず。食道と口の中もね」
「じゃあ何が起こったんだ?」と、マリーノが訊く。
「たぶん青酸カリの気体を吸ったのだと思う」マリーノはとまどったような顔をしている。「どうやって?、コンプレッサーを通じてか?」
「コンプレッサーはフィルターのついた吸い込み弁から空気を取り入れるの」と、説明した。「だから塩酸に青酸カリの錠剤を入れて、それを吸い込み弁に近づ
けて、発生したガスを吸い込ませればいいわけ」
「エディングスが水中で青酸カリのガスを吸い込むと、どうなるの?」
「体の機能が停止して死ぬわ。数秒で」
[P.コーンウェル・相原真理子・訳:死因;株式会社講談社,1996 |
備考 |
統計を取ったわけではないが、推理小説で使用される毒物として最も多く眼に触れるのが、砒素と青酸化合物である。本来、推理小説で使用される毒物は、実際に死ぬ必要はないわけで、『猛毒X』でもいいようなものだが、書く方からすれば、物語に少しでも現実感を持たせようとすると、架空の毒物ではなく、実際にあ
るものを使いたいということになるのだろう。しかし、本書はその青酸カリの使い方がガス体として使ったということで、若干の工夫がされているということである。更に服用したのでは腐食性が強くて口の中や食道、胃が酷くただれているというような描写もあり、青酸カリの性状を承知の上でお書きになっている様である。
■国内で市販されていない『亜硝酸ナトリウム』は、院内製剤としてアンプル等に前もって充填して用意しておかなければ、緊急時の対応はできない。また、使用期限のある医薬品の場合、使用の当てもなく購入し、保管しておくことは、医薬品費の無駄ということになるのかもしれないが、保管しておかなければ、緊急時の救命には役立たない。 |
文献 |
1) 三橋 博・監修:原色牧野和漢薬草大図鑑;北隆館,1988
2)糸川嘉則:最新ビタミン学-基礎知識と栄養実践の手引き;フットワーク出版,1998
3)田中 治・他編:天然物化学 改訂第6版;南江堂,2002
4)内藤裕史:中毒百科 改訂第2版;南江堂,2001
5)西 勝英・監修:薬・毒物中毒救急マニュアル改訂6版;医薬ジャーナル,2001
6)高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2004
7)白川 充・他共訳:薬物中毒必携;医歯薬出版株式会社,19898)山口 徹・総編集:今日の治療指針;医学書院,2004
9)薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990 |
記録年月日 |
2004.5.9. |
記録者 |
古泉秀夫 |
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金曜日, 8月 17th, 2007
一般的性状 |
グラム陰性通性嫌気性桿菌。Serratia属に属する菌で代表種はSerratia marcescensである。Serratia liquefaciens、Serratia rubi-
daea等も知られている。多剤耐性菌が多く、日和見感染の原因菌となり得る。
周毛性のグラム陰性桿菌で、莢膜のある菌種もある。DNase活性が強い点で他の腸内細菌と区別される。 Serratia marcescensとSerratia rubidaeaは赤?桃色の色素(pro-digiosin)を産生するが、色素非産生株もある。 |
棲息部位 |
空気中、塵埃中、水中等にしばしば存在し、食物に附着して増殖、これを赤変することがある。腸内常在菌。 |
感染部位 |
従来、非病原菌として扱われてきたが、近年創傷感染、肺炎、肺化膿症膿胸、髄膜炎、尿路感染症、敗血症、骨髄炎、腹膜炎等種々の感染症の原因となり得る。院内感染も見られ基礎疾患を有する患者に菌交代症として発現する可能性が考えられる。 |
感染経路 |
尿路カテーテル、静脈カテーテル、腹腔カテーテル、輸液。
[1]点滴静注用のボトルの注入口(ゴムキャップ)にSerratia marcescensを附着させ、注射針で注入口を通過させると、菌は瓶中に侵入することが確認されている。
[2]病院で使用する輸液-ブドウ糖注射液、総合電解質液、静注用脂肪乳剤、血漿増量・体外循環灌流液、糖・電解質・アミノ酸液20mL中に菌液10μLを添加、室温放置、6時間・24時間後の菌量を測定した。この結果、静注用脂肪乳剤中では24時間後で10万倍以上増加し、血漿増量・体外循環灌流液中では1万?10万倍、総合電解質液、糖・電解質・アミノ酸液、ブドウ糖注射液中では100?10万倍に増加した。
この結果、輸液ボトル調製中に菌が混入し、室温に10時間以上おかれた場合、輸液中では菌は相当数まで増殖し、大量の菌の曝露源となり得ることが示唆された。*病棟における輸液準備は、概ね準夜帯(16時?18時)の看護婦が処置室において混合準備し、室温に静置し(調製から点滴開始まで10時間以上)、翌日投与する方法が一般的である。調製時汚染された場合、感染原因となりうる。 |
治療 |
β-ラクタマーゼを産生するので、第三世代セフェム、カルバペネム、モノバクタムを選択する。
ceftriaxone sodium・cefozopram hydrochloride・cefepime dihydrrochloride・ceftizoxime
sodium等
1回1g 1日2回 点滴静注
panipenem・betamiprom1回0.5-1g 1日2回 点滴静注
carumonam sodium
1回1g 1日2回 点滴静注 |
感染防御 |
高圧蒸気滅菌、煮沸消毒。薬液消毒については、通常の栄養型細菌と同様と考えられるが、菌の持つポンプ機能により低濃度の消毒剤等では菌体外に排出するとの報告もあるため、濃度注意。エタノールについて、60%前後の稀アルコールでは、霊菌(Serratiamarcescens)は30分で死滅とする報告もされているが、バイアル瓶等の注入口ゴム栓の消毒には時間がかかりすぎる。
なお、同一細菌による試験結果ではないが、消毒用エタノールとの比較でイソプロパノールは作用時間が遅いとする報告もされているため、『疑わしきは実施せず』の基本原則からすれば、濃度及び適用部位には注意が必要であると考える。 |
消毒剤 |
10?20% |
60?90% |
90%以上 |
備考 |
消毒用エタノール-70% |
10分以上 |
約15秒 |
作用減弱 |
細菌芽胞に対する効力無。 |
イソプロパノール-70% |
|
1分以上(60%濃度-対象ブドウ球菌) |
|
細菌芽胞に対する効力無。多くのウイルスに効果期待できない。 |
[615.28. SER:2000.9.12.古泉秀夫]
- 森良一・他:戸田新細菌学;南山堂,1985
- 川名林治・他編:標準微生物学;医学書院,1982
- 水口康雄・他:ナースのための微生物学;南山堂,1987
- 武田美文・監修:院内感染防御マニュアル;薬業時報社,1996
- 遠藤美代子・他:セラチアの輸液中での増殖実験<抄録>;IASR,21(8):166-167(2000)
- http://idsc.nih.go.jp/iasr/21/246/dj2465.html
- 福島雅典・総監修:メルクマニュアル 第17版 日本語版;日経BP社,1999
- 第十三改正日本薬局方解説書;広川書店,1996
- 日本病院薬剤師会・編:院内における消毒剤の使用指針;薬事日報社,1987
- 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2000
- 日野原重明・他監修:今日の治療指針;医学書院,1998
- 日本病院薬剤師会・編:院内における消毒剤の使用指針 改訂版;薬事日報社, 1994
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金曜日, 8月 17th, 2007
対象物 |
スコポラミン(scopolamine) |
成分 |
臭化水素酸スコポラミン(scopolamine hydrobromide) |
一般的性状 |
[英] scopolamine methylbromide、[独]scopolaminhydromide、[仏]bromhydrate de
scopolamine、[ラ]scopolamini hydrobromidum。[局]収載。副交感神経遮断薬。ヒヨス、チョウセンアサガオなどから得られるアルカロイド。無色又は白色の結晶あるいは白色の粉又は粉末。無臭、水に溶け易く、エタノールにやや溶け難く、クロロホルムに溶け難く、エーテルには殆ど溶けない。アトロピン様作用を示す。軽度の中枢抑制作用をもつ。内服又は皮下注射で躁状態、麻薬の禁断症状などに鎮痙薬として用いる。またパーキンソン症候群にも有効。無痛分娩に麻薬性鎮痛薬と併用する。散瞳の目的で点眼する。鎮静効果や唾液分泌抑制効果を現す。毒薬。極量:1回0.5mg、1日1.5mg。
*中枢神経系に対する作用は、アトロピンが興奮作用を呈するのに対して、スコポラミンは末梢作用発現の用量で軽度の中枢抑制作用がみられ、眠気、無感動、健忘、催眠等を起こす。
*ネコの網様体賦活系を抑制し、また光刺激に対する脳波覚醒反応を抑制する。末梢の副交感神経支配器官に対する遮断作用はアトロピンに類似している。
*鼻・口腔・咽頭・気管支等の分泌を抑制する。散瞳作用の発現は、アトロピンより速く、消失も速い。 |
毒性 |
急 性毒性:LD50(ラット)皮下3800mg/kg。 経口中毒量:3-5mg。 |
症状 |
経 口:30分ほどで口渇が現れ、体のふらつき、嘔気、倦怠感、眠気、散瞳、遠近調節力や対光反射の消失(羞明感や眼のちらつき)。
発汗が抑制され、皮膚が乾燥し、熱感をもつ。特に小児の場合には、顔面、首、上半身に皮膚の紅潮を見る。また体温が上昇する。やがて興奮が始まり、痙攣、錯乱、幻覚、活動亢進などが見られる。重篤な場合には昏睡から死に至る。血圧上昇、頻脈が見られるが、末期には血圧低下、呼吸麻痺を来す。
■過量投与:呼吸中枢を抑制する。 |
処置 |
医療機関での処置
基本的処置:消化管の蠕動が抑制されるため、摂取後24時間以内であれば催吐、胃洗浄、活性炭と下剤の投与。
拮抗剤:フィゾスチグミン(未市販。院内製剤)2mgを緩徐に静注。追加投与が必要な場合、20分程度経過後1-2mg追加。小児では0.5mgを使用(フィゾスチグミンは、気管支喘息、四肢などの壊死、心疾患、消化管や尿路の機械的狭窄を増悪させるので、使用に当たっては十分な注意が必要である)。対症療法:膀胱の弛緩性麻痺が起こるため、尿閉となり、しばしば導尿の必要がある。
■過量投与時の治療法:呼吸管理(酸素吸 入・人工呼吸等)を行い、興奮症状が強い場合はジアゼパムやフェノバルビタールを投与。フェノチアジン類は抗ムスカリン作用により中毒症状を悪化させるので、使用不可。
解毒剤:ChE阻害薬(ネオスチグミン等)。 |
事例 |
めがねや木綿の靴下などはポケットに入れられるけれども、がんじょうで不格好な編上靴や帽子は?これもがんこなイギリス風の帽子ですから?どこかへ片づけなければならなかった。で、それらは窓の外にほうり出された。その後ほんもののウィニーは海峡を渡り?麻薬を飲まされてぼうっとなっている女の子がイギリスからフランスへ運ばれるのを、警察もだれも捜していなかったのです?で、彼女は幹線道路の道ばたに車からそっと置き捨てられた。 もし彼女がスコポラミンでずっと眠らされていたのなら、その間に起こったことを記憶していないのは当たり前でしょう」
ミス・ホープはしばらくあっけにとられていたが、やがてふと思いついたように疑問を投げた。「でも、なぜそんなことをしたのかしら。そんなばかげた変装をした理由は、いったいなんなのです」ポアロは重々しく答えた。「ウィニーの荷物です! あの連中はあるものをイギリスからフランスへ密輸したかったのです?それは税関やあらゆる係官が目を光
らせているもの?盗品なのです。そこでかれらは妙案を思いついた?女学生のトランクほど安全な隠し場所はほかにあるだろうか! ミス・ホープ、あなたは著
名人ですし、あなたの学校もまた有名です。ノール駅では、生徒たちのトランクはひとまとめにして無検査で通りました。有名なミス・ホープ学院の名がそうさせたのです! そしてその後は?すでに誘拐事件が起きているのですから?パリ警視庁の者になりすましてあの子の荷物を取りに行っても、怪しまれるはずはないでしょう」
[アガサ・クリスティー:ヘラクレスの冒険-ヒッポリュトスの帯-(高橋豊・訳);ハヤカワ文庫,2001 |
備考 |
この物語で使われているスコポラミンは、殺人の目的で使用されたわけではなく、催眠目的で使用されたものである。現在医療用として使用されているスコポラミ
ンは、臭化水素酸スコポラミン(scopolamine hydrobromide:麻酔前投薬、特発性及び脳炎後パーキンソニズム→皮下注)、臭化ブチルスコポラミン(scopolamine
butylbromide:胃・十二指腸等の痙攣並びに運動機能亢進→経口・静注・皮下注・筋注・坐薬)、メチル硫酸N-メチルスコポラミン(N-methylscopolamine)
methylsulfate:胃・十二指腸潰瘍時の痙攣性疼痛→経口)の3種類であるが、物語で使用されたのは適応症から見て臭化水素酸スコポラミンであり、現在、我が国では錠剤の製造はされていないが、従前は錠剤の販売もされていた。 |
文献 |
1) 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,20042)薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990
3)大阪府病院薬剤師会・編:全訂医薬品要覧;薬業時報社,1984
4)鵜飼 卓・監修:第三版 急性中毒処置の手引き;薬業時報社,1999 |
調査者 |
古泉秀夫 |
記入日 |
2005.1.19. |
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