トップページ»

ムカデの毒性

金曜日, 8月 17th, 2007
対 象物 ムカデ
成 分 毒成分の詳細は不明。hemolysine、 saccharase、蛋白分解酵素、histamine、hyaluronidase、serotonine、p-benzoquinone誘導体等。
一般的性状 毒成分の詳細は不明
毒 性 ムカデ類は肉食であり、捕殺用の毒液を毒腺から排出する。毒成 分は酸性。毒成分の詳細は不明であるが、hemolysine、saccharase、蛋白分解酵素、histamine、hyaluronidase、 serotonine、p-benzoquinone誘導体である。アカズムカデの毒性が最も強力で、serotonineが殆ど無く、 histamine及び局所透過性を高めるポリペプチドを含む。
症状はムカデの種類より個人差により異なるとする報告がある。
症 状 殆どが局所症状のみで、全身症状のでることは稀である。
局所症状:激しい疼痛、しびれ、灼熱感、発赤、紅斑、腫脹。
重症では咬傷部が潰瘍化する(リンパ管炎、リンパ節炎)。
全身症状:発熱、頭痛、嘔吐、心悸亢進、眩暈、譫妄。
処 置 1) 一般に予後は良好で、数日中に治癒する。
2)拮抗剤、解毒剤はないので、対処療法を行う。 *現場で可能な処置:アンモニア水塗布(直後であれば有効の報告:酸性毒であり中和作用)。抗ヒスタミン軟膏の塗布。
*医療機関での処置
重曹、硫酸マグネシウム飽和溶液の湿布(冷却)。
抗ヒスタミン剤含有ステロイド軟膏の塗布
疼痛には局麻剤(キシロカインスプレー等)とステロイド剤の皮内注 射。
セファランチン10mgの局所注射が有効との報告もある。

セファランチン10mgをブドウ糖液20mLに溶解して静脈注射。

事 例 『ム カデに刺された場合の処置について』の質問を受けて、調査した事例である。従って推理小説とは何等関係ないが、同じような事例に行き合ったときに参照でき るように検証したものである。
備 考 1.トビズムカデ(Scolopendra subspinipes mutilans Koch):体長約8cm。頭と頸は黄褐色、背板暗緑。本州、四国、九州、沖縄に棲息。
2.アオズムカデ(Scolopendra subspinipes japonica Koch):体長約6cm。歩肢は21対、触覚及び体の背面は全て暗緑色。本州、四国、九州、沖縄に棲息。
3.アカズムカデ(Scolopendra subspinipes multidens Newport):体長約8cm。触覚、頭、頸は赤褐色、背面は緑褐色。本州、四国、九州に棲息。 4.タイワンオオムカデ(Scolopendra morsitans Linne):体長12cm。体色は黄褐、各背板後縁に沿って太い暗緑の一帯があり、頭部と第一背板は鳶色。沖縄に棲息。
文献 1) 西 勝英・監修:薬・毒物中毒-救急マニュアル 改訂3版;医薬ジャーナル社,1986 2)鵜飼 卓・監修:第三版 急性中毒処置の手引き;薬業時報社,1999
調 査者 古泉秀夫 記入日 2002.7.10.