注射施用時の注意事項 改訂2版(特に物理・化学的事項)
金曜日, 8月 17th, 2007附:血管外漏出時の処置
■ 血管外漏出:薬物によっては静注部位からの血管外漏出のため、重大な局所組織損傷を惹起することがある。疼痛、紅斑などの初期症状は数時間以内にあらわれるが、遅延性の場合には1-2週間後となることもある。血管外漏出が起きた際には、以下の手順に従う。
1.化学療法薬注射中止:静脈カテーテルを抜去する前に血液5mL程度を吸引し、残存する薬物の除去に努める。
2.薬物に応じた湿布と中和:薬物の種類によっては冷湿布か温湿布が必要である。また静脈カテーテル抜去前のカテーテルへの注入、近傍組織への皮下注射を通じて、中和のための局所的薬物浸潤(必要とする部位の組織又はその周辺に注射する方法)を要することもある。
3.局所領域の監視:組織壊死の徴候に留意する。外科的にデブリードマン(debridement;創傷清拭;通常、無菌部分が露出して出血のみられるところまで切除する。)や皮膚移植術を要することがある。血管外漏出性損傷は通常、激痛をもたらすため、適切な鎮痛手段を講ずる。
[015.11.INJ:2001.4.24.古泉秀夫]
- 高久史麿・他監訳:ワシントン・マニュアル[第8版];メディカル・サイエンス・インターナショナル,2000
- 高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2001
- 医学大辞典;南山堂,1992
- 森潔:注射薬ハンドブック;富士書院,1989
- 造影剤要覧 第21版;日本シエーリング株式会社,1999.12.