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一般用医薬品(眼科用薬)の催奇形性について

木曜日, 8月 16th, 2007

KW:催奇形性・催奇性・奇形児・眼科用薬・一般用医薬品・OTC・妊婦・ 絶対過敏期・相対過敏期

「眼科用薬の製造(輸入)承認基準」(昭和61年7月29日)において、眼 科用薬の範囲・基準が規定されている。使用上の注意については、「昭和61年7月29日付文書が報告されているが、「妊婦への投与」については、特に医 師・薬剤師への相談事項としての記載はされていない。但し、点眼された薬剤が涙腺を経由し、口腔内に排出され、全身性の副作用を惹起することがあるとの報 告が見られるため、使用者からの質問があった場合、回答の根拠となるデータが必要であると考え、調査したので以下に報告する。

  • 妊娠1カ月:最終月経の開始日を0週0日とし、4週間が1カ月、0週0日-3週6日まで
  • 妊娠2カ月:4週0日?7週6日まで
  • 安 全 期 :月経周期28日型の場合、月経初日から33日目(3週末まで)→残留性のない薬剤の場合、催奇形性の可能性はない。
  • 絶対過敏期:最終月経開始日から28日-50日目(妊娠4週-7週末まで)→胎児の中枢神経、心臓、消化 器、四肢などの重要臓器が発生・分化し、催奇形に対し最も敏感な時期。
  • 相対過敏期:51日-84日目
[分類]・薬剤名 評価 概要
[239]allantoin

アラントイン

[適]消炎・収斂剤。抗刺激剤・抗

アレルギー剤

別名:

5-ureidohydantoin

5-carbamidohydantoin

glyxyldiureide

cordianine

data未詳

推定無影響

■19世紀のはじめ、ウシの羊膜(Allantois)の分泌液中にアラントインを発見し、この名 が付けられた。アラントインの治療的性質は、それ以前から知られており、昔農夫らが湿地に生える多年生植物の地下茎を傷や潰瘍の治療に用いており「仲直り させる性質を持っている」のギリシャ語から転化したSymphtumという名称 を付した。これがComfrey(和名: ヒレハリソウ)である。この植物の根を砕いて得た汁を、吐血患者に服用させると出血が止まり、痛風で痛む部分の全面に塗布すると 疼痛を緩和させる作用があることも知られていた。Saint-Quentinの戦争で蛆のわ いている戦傷は、そうでない傷よりも速やかに治癒することが認められ、一時は”ウジ療法”という名前まで付いてもてはやされた時代もあった。アラントイン は、細胞の増殖が盛んに行われている場合に、しばしば見受けられる。本品は壊死組織又は鱗屑を除去(剥離)する作用があると同時に、新しい正常な皮膚組織 を助長するので、酷い病状の部分に対すると同様に正常皮膚にも使用できる。

■本品は創傷、潰瘍、火傷等の手当、湿疹等の皮膚疾患に用いられ、速やかな経過を取り、膿汁集積を 敏にし最後に膿汁が全体として消失し、多くの場合切開の必要がないので治癒も速い。アラントインの癒傷の特徴として瘢痕組織が柔軟で、ケロイド形成がない ことである。また刺激性あるいはアレルギー性のものを使用しても、抗刺激作用を示すので刺激性やアレルギー作用を抑制する。化粧品原料として口紅の刺激 性・アレルギー性軽減目的に0.075-0.1%のアラントインが配合されるとする報告がされている(13。

■上記の報告からアラントイン配合の口紅を使用している女性から、特に奇形児出生の増加が見られた とする報告は知られていない。

[261]alkylpolyaminoethylglycine

アルキルポリアミノエチルグリシ ン

[適]殺菌消毒剤

data未詳 ■本薬の塩酸塩を配合するハイパールNo.3・No.20(大日本)の添付文書(1995.9.改 訂)中に妊婦への投与に関する注意事項は何等記載されていない。本薬は経口摂取を目的としない消毒剤であり、催奇形性に関する資料の入手はできなかった。
[332]ε-aminocaproic acid

イプシロン-アミノカプロン酸

[適]抗プラスミン剤

data未詳 ■動物において催奇形性のあることが報告されているが、ヒトにおける先天性奇形の報告はない。原発 的な繊維素溶解によって惹起されたと証明されうる凝血症が発生していないならば、妊娠中に使用されるべきではない(7。

■「妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には 投与しないことが望ましい」[イプシロンG(第一)添付文書,1996.3.改訂]

[221]aminoethylsulfonic acid

アミノエチルスルホン酸

[適]肝・循環機能改善剤

data未詳

原則無影響

■本薬を主薬とするタウリン散(大正製薬)の添付文書(1995.11.改訂)中に妊婦への投与に 関する使用上の注意は何等記載されていない。本薬は含硫アミノ酸であり、ヒトを含め各種動物の体内に存在することが認められると報告されている。その意味 では本剤の使用が直ちに胎児に障害をもたらすとは考えられない。
[239]azlene sulfonate

アズレンスルホン酸ナトリウム

[適]消炎剤

推定無影響 ■キク科植物カミツレ(Matricaria Chsodium amomilla L.)の有効成分である。本薬を主薬とするアズノールST(日本新薬)の添付文書(1996.5.改訂)中に、妊婦への投与に関する使用上の注意は何等記 載されていない。ラット、ウサギの妊娠前、妊娠初期及び胎仔の器官形成期に10-100mg/kg/日を経口投与して、母体と胎仔ならびに新生仔の発育に 対する影響を検討した試験では、本剤はいずれの項目においても特記すべ き異常所見を示さず、催奇形作用も認められていない(3。
[231]berberine chloride

塩化ベルベリン

[適]止瀉剤

推定無影響 ■塩化ベルベリンの製剤であるフェロベリン散(カネボウ薬品)の添付文書(1997.6. 改訂)中に妊婦への投与に関する使用上の注意事項は何等記載されていない。

■(ベルベリンとして)OTC薬の消化管用剤を、奇形発生危険度が高い絶対過敏期に服用した4例 で、いずれも奇形などない健常児を出産(3。

[231]berberine sulfate

硫酸ベルベリン

[適]止瀉剤

[131]boric acid

ホウ酸

[適]殺菌・防腐剤

data未詳 妊婦への投与については「規定した資料に、該当する記載がない」とされている(5。
[321]calcium chloride

塩化カルシウム

[適]電解質補正用剤

原則無影響 ■カルシウムは体内構成成分の一つであり、豆腐製造の際の凝固剤として食品添加物として承認されて いる(12。

■炭酸カルシウムとして:妊娠中期・後期における炭酸カルシウムの使用は、慢性的大量投与が行われ ない限り安全である。胎児の低マグネシウム血症、深部腱反射の更新および筋トーヌスの更新が報告されている(7

[313]calcium pantothenate

パントテン酸カルシウム

[適]パントテン酸欠乏症

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

[441]chlorpheniramine maleate

マレイン酸クロルフェニラミン

[適]抗ヒスタミン薬

C →

A→

推定無影響

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(5。

■ラットとウサギでヒト常用量の数十倍に当たる量を投与した試験で、催奇形性は認めなかった(3。

■妊婦の使用に関して、催奇形性あるいは胎児毒性を示唆する症例報告あるいは疫学調査はない(3。

■chlorpheniramineに体内で曝露された児に、先天性の奇形がみられる頻度は増加し ないとするレトロスペクティブな調査が報告(3。

■奇形発生の高い絶対過敏期あるいは相対的過敏期に、本剤配合薬を服用した4例で健常児出産(3。

[131]cyanocobalamin

シアノコバラミン

[適]ビタミンB12欠乏症

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

[441]diphenhydramine hydrochloride

塩酸ジフェンヒドラミン

[適]抗ヒスタミン薬

C →

A→

ジフェンヒドラミンとして

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投 与しないことが望ましい(5。

■diphenhydramine の服用により兎唇の発生が高まる可能性を無視できないとの疫学調査結果が報告されている(5。

■50,282組の母子に関する調査で第1三半期に595組が本剤に曝露された。また、妊娠中何ら かの時期に本剤に曝露された母子が、2,948組あった。いずれの群においても奇形との関連性を示唆する証拠は認められなかった。また数種の奇形と関連し ている可能性はあるが、統計的な有意さは明らかでない(3。

■599例の口蓋裂を有する児の群と590例の口蓋裂のない児の群を比較した調査では、第1三半期 に子宮内でdiphenhydramineに曝露されたのは 前者で20例、後者では6例と有意差がみられた。母親のdiphenhydramine服用と口蓋裂の発生に統計的に有意な関連が認められたの報告(3。

■1971年の奇形を有する児の調査では、第1三半期に抗ヒスタミン剤に曝露された児に、奇形のみ られる頻度は対照群と比較してむしろ少なかったとの報告。本調査でdiphenhydramineは2番目に繁用されていた(3。

■6,509人の母親の調査で、第1三半期に本剤を使用した270例では、薬剤の使用と催奇形に、 関連性は認められなかった(3。

■妊娠中にジフェンヒドラミンを毎日150mg/kg服していた母親から産まれた子供に、離脱症状として全身のふるえと下痢が発生したとの報告がある。フェノバルビタールに よる治療で症状は改善した(3。

[221]ephedrin hydrochloride

塩酸エフェドリン

[適]気管支拡張薬・喘息治療薬

C →

A→

推定無影響

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加 したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接的・間接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

■(OTC鎮咳去痰剤として)第1三半期に本剤を使用した373例と妊娠の時期に関係なく使用した 873例では、大小の奇形や個々の欠損との関連は示されなかった。しかし、第1三半期に交感神経刺激剤を使用した場合は、小奇形(生命には別状のない奇 形、皮膚欠損)、鼠径ヘルニア、内反足との関係が見られた(3。

■交感神経作動剤の妊娠中の使用は一般に安全であるが、本態性高血圧あるいは妊娠中毒症の患者にお いては、全身血圧を上昇させる可能性があるので、これらでは避けられるべきである。また、胎児予備能が低い状態においては、避けられるべきである(子宮内 のジストレスが促進される)。妊娠に特有な母体の副作用はない。これらの物質は胎盤関門と脳血液関門を通過し、胎児の中枢神経効果として、母体への投与後 に活動亢進やや興奮性が現れることがある。胎児はまた頻脈を発生することがある。OTC製剤中の交感神経作動薬の使用と関連した先天性奇形は報告されてい ない(7。

[131]epinephrine

エピネフリン

[適]血管収縮剤

C→ C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。
[131]epinephrine hydrochloride

塩酸エピネフリン

[適]血管収縮剤

 
[131]flavin adenine dinucleotide sodium

フラビンアデニンヌクレオチドナトリウム

[適]ビタミンB2欠乏症治療剤

A→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

■中程度の欠乏により、囓歯類の胎仔奇形が発生しているが、ヒトにおいては、その欠乏と奇形の間の 関連性は認められていない(7。

[323]glucose

ブドウ糖

[適]糖質用剤

原則無影響 ■栄養源として、飲食物等からの摂取がされるものであり、ブドウ糖の使用により奇形児の発生が増加 したとする報告は知られていない。
[131]glycyrrhizinate dipotassium

グリチルリチン酸二カリウム

[適]抗アレルギー薬

原則無影響 ■グリチルレチン酸として:妊娠中に使用した場合の有害作用、及び安全性を示唆する疫学調査の報告 はない(3。

■グリチルリチン酸二ナトリウムは、食品添加物として承認されている。本剤は甘草中の成分であり、 味噌及び醤油の甘味料として添加されている(12。従って、妊娠初期又は妊娠期間中、グリチルリチン酸に全く曝露しないとは考えられず、そのことにより奇 形発生率が増加したとする報告も知られていない。

[799 ]hydroxy ethylcellulose

ヒドロキシエチルセルロース

[適]安定化剤・乳化剤

推定無影響 ■容積増量剤の妊娠中の使用は安全である。妊娠に特有な母体への作用はない(7。
[799 ]hydroxy propyl methylcelluloseヒドロキシプロピルメチルセルロ ース

[適]安定化剤・乳化剤

[131]lysozyme chloride

塩化リゾチーム

原則無影響 ■医療用医薬品の添付文書中に、妊婦に対する注意事項の記載無し。ラットの妊娠前・初期、器官形成 期、周産・授乳期に50-4000mg/kg/日をそれぞれ経口投与したところ、催奇形性は認められず、新生児の発育も順調であった(6。

■リゾチームは涙液・鼻汁・白血球等生体内に広く分布するものであり、また本剤は卵白から生成した 製剤であるため、曝露による催奇形性の可能性は殆どないと考えられる。

[321]magnesium L-asparate

L-アスパラギン酸マグネシウム

[適]マグネシウム補給剤

原則無影響 ■本薬を主剤とするアスパラ-CA錠(田辺製薬)の添付文書(1996.7.改訂)中に、妊婦への 投与に関する注意事項は何等記載されていない。妊娠中特別に配慮する事項はない(7。

■マグネシウムは飲食物を経由して生体内に取り込まれる物質であり、そのことを理由にして催奇形性 発現の可能性を示唆する報告は知られていない。

[124]magnesium sulfate

硫酸マグネシウム

[適]緩下剤

原則無影響 ■天然には海水、鉱泉中に含まれる。醸造用添加物として、醸造用水のマグネシウム補給用の硬化剤と して使用する。醗酵助成剤、醗酵時の微生物無機栄養源(12。

■鉱泉中に含まれるとされており、その意味では、妊娠中の女性が本薬に全く曝露されなかったという ことは考えられない。またその結果奇形児の発生が増加したとする報告も知られていない。

[799]methycellulose

メチルセルロース

[適]安定化剤・乳化剤

推定無影響 ■容積増量剤の妊娠中の使用は安全である。妊娠に特有な母体への作用はない(7。
[222]dl-methylephedrine hydrochlor ide

dl-塩酸メチルエフェドリン

[適]局所血管収縮剤

C→

A →

推定無影響

C:塩酸エフェドリンとして→動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があ ることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在 的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

A:妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性多数例に使用されてきたが、使用によって奇形発現の頻度が増加したという証拠は得られておらず、ヒト胎児に対する他の直接的・間 接的な有害作用も証明されていない[ADEC](4。

■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠ている可能性のある婦人には、療 上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(5。

■生薬エキス製剤については、生殖試験の報告はされていない(3。

[132]naphazoline hydrochloride

塩酸ナファゾリン

[適]局所血管収縮剤

data未詳 ■妊娠中の投与に関する安全性未確立治療上の有益性(5。

■ヒトについての問題は実証されていない。本剤は全身性に吸収されるので、治療上の有益性が危険性 を上回ると判断される場合のみ投与すること(8。

[132]naphazoline nitrate

硝酸ナファゾリン

[適]局所血管収縮剤

[131]neostigmine methylsulfate

メチル硫酸ネオスチグミン

[適]抗コリンエステラーゼ剤

B2 → B2:ネオスチグミンとして→妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られている が、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する直接的・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸 念はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。
[313]panthenol

パンテノール

[適]パントテン酸欠乏症治療剤

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

■水溶性ビタミン剤。食事からの摂取が行われる物質であり、催奇形性の原因となり得る証拠はない。

[131]phenylephrine hydrochloride

塩酸フェニレフリン

[適]昇圧剤・血管収縮剤

B2 → B2:フェニレフリンとして→妊婦又は妊娠可能な年齢層の女性に対する使用経験はまだ限られている が、奇形発現頻度の増加はなく、ヒト胎児に対する直接・間接的有害作用は観察されていない。-まだ不適切・不十分な動物試験しか行われていないという懸念 はあるが、現在入手しうるデータでは、胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない[ADEC](4。

■外用で使用した場合の催奇形性に関する報告はないが、幼児の両眼に点眼したところ、顔面蒼白とな り血圧が上昇したという報告がある。3)

[711]polyvidone→povidone

ポリビニルピロリドン→ポビドン

[適]粘結剤・皮膜形成剤・分散剤・懸濁剤(製剤原料)

data未詳

原則無影響

■ポリビニルピロリドンは、1930年にイツで合成され、第二次世界大戦中、代用血漿として広く使 用されていたビニルピロリドンの重合体で、分子量約25000、約40000及び約120000のものが局方で用いられる。現在医療用には錠剤の粘結剤・ 皮膜形成剤等として使用(14されており、仮に本品が奇形発生の原因物質とすれば、既に多くの報告がされているはずであるが、現在までにそのような報告は 知られていない。
[711]polyvinyl alcohol

ポリビニルアルコール

[適]製剤原料

[321]potassium L-asparate

L-アスパラギン酸カリウム

[適]カリウム補給剤

原則無影響 ■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治 療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[アスパラK散・錠添付文書,1996.9.改訂]

■世界的にはシーズニングの添加剤、ゼリーなどに用いられるカラギーナンのゲル化剤として以前から 広く使用されているが、最近、高血圧の予防、肥満の予防を目的として家庭用塩味料とされている。他にパン類、サラダドレッシング類、ソース、ケチャップ、 ドライミート、チーズ、ソーセイジ、粉末調味料、ポテトチップス等加工食品に用いられた例も報告されている。また、人体には170-180gのカリウムが 存在する(12とする報告から、広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したとする報告は知られていない。

[322]potassium chloride

塩化カリウム

[適]カリウム補給剤

[321]potassium・magnesiumL-asparate

L-アスパラギン酸マグネシウム・ カリウム

[適]マグネシウム・カリウム補給剤

data未詳 ■妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治 療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること[アスパラ注射液添付文書,1995.9.改訂]
[321]potassium phosphate monobasic

リン酸二水素カリウム

[適]カリウム補給剤

原則無影響 ■醸造用、食品製造用、調味料、強化剤として用いられる。清酒醸造の際、洗米、浸漬などによって失 われるカリウムの強化に用いられる。カリウム10ppmの強化には水100Lに3.5g、リン酸10ppmの強化には1gが加えられる。カリウムの不足は 麹菌、酵母の増殖を妨げる。合成清酒の味覚調整の目的に0.005-0.01%使用される。乳製品、肉製品にも用いられる(12とする報告から、広範な摂 取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したとする報告は知られていない。
[313]pyridoxine hydrochloride

塩酸ピリドキシン

[適]ビタミンB6製剤

□推奨されている1日投与量以上、又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも危 険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒ トでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的危 険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

■食物から摂取されるビタミン剤であるため、広範な摂取が考えられるがその結果、奇形発生が増加し たとする報告は知られていない。

[311]retinol acetate

酢酸レチノール

[適]ビタミンA製剤

A→X

X→

D →

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

X:動物又はヒトでの試験で胎児異常が証明されている場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危 険性の証拠がある場合、又はその両方の場合で、この薬剤を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らかに危険性の大きいもの。ここに分類される薬剤 は、妊婦又は妊娠する可能性のある婦人には禁忌である。

D:ヒト胎児に作用して奇形あるいは可逆的障害の発現頻度を高める薬、あるいは、高めたことが推定 される薬、あるいは高めるであろうことが強く疑われる薬。これらの薬は薬理学的な副作用を伴うことがある。過量のビタミンA摂取は、先天障害を引き起こす ことがある。飲む前に、ビタミンAを補う必要があるのかどうかを考えてみること。通常、オーストラリア人の食事は、ビタミンAの1日標準必要量 2500I.U.を十分に含んでいる[ADEC](4。

■FDAリスクファクターでは、1日10000I.U.以上で[X]、8000I.U.では[A] に分類。疫学調査及び症例報告で、実際に奇形が報告されている用量は、1日25000I.U.以上で、潜在的催奇形性を示す用量は1日25000I.U. 以上とする見解も見られる(3。

[311]retinol palmitate

パルミチン酸レチノール

[適]ビタミンA製剤

□ビタミンA主薬製剤の場合1日最大分量はビタミンAとして4000I.U.。1日最少分量は 2000I.U.

□主薬製剤以外のビタミンA配合の場合、1日最大分量はビタミンAとして2000I.U.。1日最 少分量は500I.U.。

[234]sodium bicarbonate

炭酸水素ナトリウム

[適]制酸剤

原則無影響 ■ヒトにおける報告はないが、慢性的な使用は、全身性アルカローシスになる恐れがある。また、ナト リウム貯留により浮腫や体重増加の恐れがあるので、治療の有用性が有益性を上回るか否かを考慮する(5。

■妊娠初期3カ月-制酸剤は薬物監視予測研究薬の中には含まれていない。しかしながら、ある症例で は妊娠56日間の制酸剤の服用と、重度あるいは軽度の先天異常児の発生との間には相関があるとする回顧的な比較症例がある。しかし、先天異常児の発生の増 加と特定の制酸剤との間には個々の関係はない。

■重質炭酸イオンは全身的に吸収されるので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断さる場合のみ投 与すること。長期使用により全身性アルカローシスが生じることがある。吸収されたナトリウムは浮腫や体重増加の原因になることがある。非経口用剤、動物あ るいはヒトにおいての研究はなされていないので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること(8。

■膨張剤として単独又は配合して使用される。単独で用いる場合には、炭酸ナトリウムが残って食品を アルカリ性にする。ベーキングパウダーには殆ど本品が主剤として使用されている(12。

[321]sodium carbonate

炭酸ナトリウム

[適]無機塩類

原則無影響 ■アミノ酸醤油-醤油製造時に中和剤として大量に用いられる。また「かんすい」の主要原料として炭 酸カリウム、リン酸類のカリウム若しくはナトリウム塩などと共に用いられる。特に「固形かんすい」は、大部分炭酸ナトリウムが主成分(12と報告されてい る。その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したとする報告は知られていない。
[321]sodium chloride

塩化ナトリウム

[適]無機塩類

原則無影響 ■塩化ナトリウムは、通常食品から摂取される。その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、 奇形発生が増加したとする報告は知られていない。
[234]sodium chondroitin sulfate

コンドロイチン硫酸ナトリウム

[適]コンドロイチン硫酸欠乏症の予防・治療

原則無影響 ■コンドロイチン硫酸は、軟骨、骨、血管壁その他の結合組織に含まれ、動物体内に広く分布してい る。本品は魚肉ソーセージ、マヨネーズ、ドレッシングに対してのみ使用が認められ乳化安定剤、保水剤として添加(12.

■日常的に摂食する食品に添加、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加 したとする報告は知られていない。

[313]sodium pantothenate

パントテン酸ナトリウム

[適]パントテン酸欠乏症の予防 ・治療

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

□主薬製剤以外の配合の場合、1日最大分量はパンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸 ナトリウムとして30mg、1日最少分量は5mg。

A→C

C→

1日推奨許容量の範囲内であれば原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

■パントテン酸は、水溶性ビタミンでCoenzyme Aの構成成分の一つである。パントテン酸カルシウムは、使用基準が定められており、食品の製造又は加工上必要不可欠な場合、又は栄養の目的に使用する以外は使用してはならない。その量は Caとして1%以下である(12。

■食品に添加されており、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したと する報告は知られていない。

[321]sodium phosphate dibasic

リン酸水素ナトリウム

[適]無機塩類

原則無影響 ■「リン酸二水素ナトリウム」は醸造用、食品製造用として緩衝剤、中和剤に用いられる。その他チー ズ等の乳製品、ハム、ソーセージなどの食肉・魚肉製品に安定剤、結着剤として使用され、コンビーフには0.4%くらい用いられる(12。

■食品に添加されており、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形発生が増加したと する報告は知られていない。

[321]sodium phosphate monobasic

リン酸二水素ナトリウム

[適]無機塩類

[621]sodium sulfisomidine

スルフィソミジンナトリウム

[適]サルファ剤

B → B:サルファ剤として、動物生殖試験での胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験 は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期 3カ月の対照試験では実証されていない。またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はなもの[FDA](3。
[621]sulfamethoxazole

スルファメトキサゾール

[適]サルファ剤

C→ C:サルファ剤は血漿アルブミンに結合したビリルビンを置換してしまうため、生後の最初の1カ月間 は新生児核黄疸を引き起こす場合がある。従って、できるなら妊娠最終月にはサルファ剤の投与を控えるべきである[ADEC] (4。
[621]sulfamethoxazole sodium

スルファメトキサゾールナトリウ ム

[適]サルファ剤

[612]sulfisoxazole

スルフィソキサゾール

[適]サルファ剤

B → B:サルファ剤として、動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが、ヒト妊婦での対照試験 は実施されていないもの。あるいは、動物生殖試験で有害な作用(又は出生数の低下)が証明されているが、ヒトでの妊娠初期 3カ月の対照試験では実証されていない。またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠はなもの[FDA](3。
[139]tetrahydrozoline hydrochloride 塩酸テトラヒドロゾリン

[適]局所血管収縮薬

data未詳 ■妊娠中に使用することの安全性を確立するための、ヒトでの資料は不十分である(15。
[315]tocopherol acetate

酢酸トコフェロール

[適]ビタミンE剤

□推奨されている1日投与量以上又は服用時期によって→C

A→C

C→

1日の推奨許容量の範囲内であれば、原則無影響

A:ヒトの妊娠初期3カ月間の対照試験で、胎児への危険性は証明されず、またその後の妊娠期間でも 危険であるという証拠はない[FDA](3。

C:動物生殖試験では、胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、 ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいはヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。この分類に属する薬剤は、潜在的な利益が胎児への潜在的 危険性よりも大きい場合にのみ使用すること[FDA](3。

■米国・国立アカデミーの食品栄養協議会が勧告した妊婦における1日推奨許容量は16mgであり、 これ以下の量を服用した場合[A]。この用量を超えて服用した場合の危険度について、危険性を示唆した報告も安全性を示唆した報告もない(3。

■dl-α-トコフェロール:油脂、バター若しくはこれらを使用した食品の酸化防止剤として使用 (12。食品に添加されており、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果奇形発生が増加したとする報告は知られていない。

[322]zinc lactate

乳酸亜鉛

[適]消炎・収斂剤

原則無影響 ■「硫酸亜鉛」を妊娠マウスに0、0.3、1.4、6.5及び30mg/kgを妊娠第6-15日間 与えても、胎仔の奇形発生を認めず、ハムスターでは妊娠第6-10日に0、0.9、4.1、19及び88mg/kg投与により同様に着床、胎仔生存率器官 や骨の異常を認めなかった。またウサギの妊娠第6-18日にわたり0.6、2.8、13及び60mg/kg/日経口投与で催奇形性を認めていない(12。

■亜鉛も銅も自然界に広く分布しており、日本人の場合、食事からの亜鉛の1日摂取量は8-14mg といわれている(12。

■食品中に含有される亜鉛を摂取しており、その意味では広範な摂取が考えられるが、その結果、奇形 発生が増加したとする報告は知られていない。また、乳酸については雑菌の繁殖を防止する作用を有する 酸味料として、清酒及び合成清酒の醸造、清涼飲料水の酸味料、製菓、佃煮、ソース、製パン、漬物等に添加されている。

[322]zinc sulfate

硫酸亜鉛

[適]消炎・収斂剤

[015.11.TER.1998.8.27. 古泉秀夫・2004.1.17.改訂]


  1. 高久 史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院, 1998
  2. 薬名検索辞典;薬業時報社, 1991
  3. 佐藤 孝道・他編:実践 妊婦と薬;薬業時報社, 1992
  4. JPDI;薬業時報社, 1996
  5. ノイチーム錠・細粒・顆粒添付文書, 1996.12.改訂
  6. 柳沼