トップページ»

肺癌患者-喫煙原因訴訟敗訴

水曜日, 8月 15th, 2007

魍魎亭主人

喫煙が原因で、肺癌などの病気になったとして、患者や家族計6人が、日本たばこ産業(JT)と国を相手取り計6000万円の損害賠償と広告の差し止めなどを求めた訴訟で、最高裁第一小法廷(才口千晴裁判長)は26日、請求棄却の1、2審判決を支持し、上告を退ける決定をした。患者側敗訴が確定した。喫煙者が国を相手取った初めての訴訟で、原告側は、「JTがたばこの有害性と依存性についての情報を提供せずに販売し、国はそれを放置した」と主張したが、 1、2審とも「依存性は低く、喫煙は自由意志だった」と判断していた。

[読売新聞,第46650号, 2006.1.27.]

米国であれば、あるいは煙草会社が悪い等という判断がだされ、賠償金を支払え等ということになるのかもしれないが、国民性の違う日本では、若干無理があるということなのかも知れない。

「依存性は低く、喫煙は自由意志だった」との判断がだされた。

『依存性が高いか低いか』というところでは、個人的な差異もあるから、軽々とは判断できないが、『喫煙は自由意志だった』といわれれば、別に誰からも奨められた覚えはないのにいつの間にか吸っていたところを見ると、そうかもしれないと思ってしまう。

思い起こせば、昔何度か試験問題で悩まされたものに『三公社五現業(さんこうしゃごげんぎょう)』なるものがあった。難しくいえば公共企業体労働関係法、公共企業体等労働関係法、国営企業労働関係法、国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律或いは特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和23年法律第257号)の適用を受けていた公共企業体及び国の経営する企業の総称であるということになる。

公共企業体いわゆる三公社は、日本国有鉄道・日本電信電話公社・日本専売公社の3企業体で、このうちの日本専売公社というのが、嘗ては煙草を独占販売していたのである。つまり現在のJT(日本たばこ)は民営化された専売公社のなれの果てであり、最も自由に煙草が販売できていた時代は、国営企業だった訳である。国が率先して自国民に体に悪いといわれる煙草を販売して稼いでいたわけであるが、この稼いだ金は国家の運営に使用したものであり、間接的に国民の全てが恩恵を受けているということになる。

従って煙草の害を認めて、賠償金を支払えというのであれば、国が全面的に責任を持たなければならないということになる訳であるが、国にすれば喫煙を推奨したこともなく、煙草の売り上げは国民のために使用したものであって、その恩恵を受けた国民から訴えられる筋合いはないということになるのかもしれない。

裁判所が、その点に配慮したとはいわないが、喫煙者が100%肺癌になるという事実が証明されない限り、煙草は世の中から無くならない。しかし、実際には煙草を吸いながら80歳まで何事もなく生きた人もおり、更に自分の意思で禁煙できる人達もいる以上、自らの喫煙を他人の所為にするのは如何なものかということになるのかも知れない。

ところで貴方はどうだということになると、禁煙する意志の強固さは持ち合わせていないので、長期の休煙期間に入っている。1日40本近く吸っていたので、休煙4年目を迎えて、尚、確固たる禁煙宣言に切り換えられないでいる。

情けないといえば情けないが、禁煙していることと同じことであるから、肩の力を抜いて、このまま継続できればいいのではないかということである。

昔懐かしい『三公社五現業』、歴史的な事実として、折角調べたので附録として残しておくことにした。

日本国有鉄道 日本国有鉄道清算事業団(1998年10月22日解散。)に移 行→JR北海道、 JR東日本、 JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、 JR貨物他。
日本電信電話公社 1985年4月1日解散→日本電信電話株式会社。
日本専売公社 1985年4月1日解散→日本たばこ産業株式会社。
郵便 郵便、郵便貯金、郵便為替、郵便振替及び簡易生命保険の事業 → 日本郵政公社に移管
造幣 造幣事業(賞はい等の製造の事業を含む。) → 独立行政法人造幣局に移管
林業 国有林野事業(国有林野事業特別会計において事務を取り扱う治山事業を含む。)
印刷 日本銀行券、紙幣、国債、印紙、郵便切手、郵便はがき等の印刷 の事業(これに必要な用紙類の製造並びに官報、法令全書等の編集、製造及び発行の事業を含む。)
→ 独立行政法人国立印刷局に移管
アルコール専売 アルコール専売事業 → 新エネルギー総合開発機構(=新エネルギー・産業技術総合開発機構。2003年10月1日解散。)に移管

(2006.3.10.)