スギ花粉は無理だろう
水曜日, 8月 15th, 2007魍魎亭主人
厚生労働省から『スギ花粉を含む食品に関する注意喚起について』とする文書が公表された。これは先日報道されたスギ花粉を含むいわゆる健康食品で、健康被害を起こした女性がいたことによる。
平成19年3月27日
食品安全部基準審査課
新開発食品保健対策室
『スギ花粉を含む食品に関する注意喚起について』
スギ花粉を含む食品については、先般、スギ花粉症患者がこれを含む製品を摂取したことが原因と疑われる健康被害(重篤なアレルギー症状)に関する情報が報告されたため、厚生労働省において当該製品名等を公表したところです。
この健康被害と製品摂取との因果関係について、平成19年3月15日、専門家による検討会において検討がなされた結果、当該健康被害と製品摂取との因果関係は否定できず、また、他のスギ花粉を含む食品についても、スギ花粉症の方はこれらを摂食することにより重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性があることから、消費者に対し適切な情報提供を行うことが適切である旨のご意見をいただきました。
これを踏まえ、厚生労働省では、今後、スギ花粉を含む食品への対応について検討していくこととしていますが、スギ花粉症の方は、スギ花粉を含む食品を摂取する場合は十分にご注意ください。
また、2007年4月17日には『厚生労働省の調査会は16日、スギ花粉を含む健康食品について、スギ花粉症患者が摂取すると重いアレルギー症状を引き起こす可能性があると、包装などに表示するよう販売事業者を指導することを決めた。今年2月スギの花粉を粉末にしたカプセルを詰めた「パピラ」を飲んだ和歌山県内の女性が一時重体になった。
厚労省は、パピラを承認されていない医薬品と断定。山形県が製造元に販売停止と商品回収を指導した。他にも液体エキス、カプセル剤、錠剤、粉末剤、あめといったスギ花粉を含んだ健康食品がインターネットなどで販売されていることから、取り扱いについて調査会で検討した。
スギ花粉が主成分のケースは、医薬品にあたる可能性が高く、販売できない。調査会は今回、ごく少量含まれるだけの食品も、注意書きで示すように、業界団体や自治体を通じて販売元などを指導することを決めた[読売新聞,第47094号]。
山形市の健康食品製造販売会社「健森」が花粉症対策商品として製造・販売したスギ花粉加工製品「パピラ」を飲んだ和歌山県の40歳代の女性が今年2月、一時意識不明の重体になった問題で、山形県警生活環境課と山形署は16日「健森」を経営していた男性(今年4月に53歳で死亡)を薬事法違反(無許可製造、販売)容疑で、被疑者死亡のまま山形地検に書類送検した[読売新聞,第 47124号,2007.5.17.]。
スギ花粉症の拡大は、明らかに我が国の林野行政の失敗の結果であり、本来なら行政担当者は、国民にお詫びをしなければならないはずである。
それにしても3年前、突然花粉症に取り憑かれ、それ以後往生しているが、花粉症の時期になる度に、早く杉や檜は伐採したらどうだと思うのは、身勝手な言い分ということになるのだろうか。
TVで花粉の飛ぶ実況をみるたびに、”この野郎、速く切ってしまえ”と叫んでいるが、何時になったら花粉症の鬱陶しさから解放されるのか。
ところでアレルギーの治療法の一つとして、減感作療法がある。アレルギーの原因となっている物質を極く微量投与することによって、ヒトの持つ抵抗性を強化しようという手法で、経験を積んだ医師の監督下で実施される。
その意味で言えばスギ花粉症の患者に杉の花粉を服ませるというのは一見理にかなっているといえそうであるが、実際は甚だ危険な状況に追い込んでいることに気付くべきである。元々スギ花粉にアレルギーのある患者に大量のスギ花粉を服ませれば重篤な花粉症アレルギーが起こるのは当然で、それをいわゆる健康食品として販売することは、甚だしく危険な行為だといわなければならない。
[2007.5.18.]